( ^ω^)それでも僕は変わらないようです
- 6: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:00:34.63 ID:oZZ6lhc20
第五話「思い返す理由、変えられない世界」
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/13(日) 21:04:34.31 ID:oZZ6lhc20
なぜ自分は存在している?
なんで、自分ばかりこんな目にあう?
逃げたい。
何を犠牲にしてでも。
たとえそれが悪であるとしても。
たとえ誰に憎まれることになっても。
- 9: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:08:17.86 ID:oZZ6lhc20
―――――――……・・・・・・ ・ ・ ・ ・
かつん、かつんと床に靴の音だけが響く。
柱だけでなく床も大理石のような白い石で造られているため、音がよく響きます。
心なしか音が余計大きく聞こえるのは緊張のためなんでしょう。
( <●><●>)(…緊張?)
自分で考えて驚いてしまいました。
しかし、心が高揚している、と言ったほうが正しいのでしょう。
喜びが私の内から湧きあがってくるのがわかります。
( <●><●>)(あと少し、あと少しで私達は――)
そう、あと少しで私たちの願いは叶う。
後ろについてくる、この男女をカウンターの元へ連れていくことで。
元の世界に、帰れるのだ。
- 11: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:10:44.32 ID:oZZ6lhc20
****************************************
――もう何年前のことになるのでしょう。
数えることはできませんし、数えるだけ無駄なのは。わかってます。
私は『向こうの世界』にいた時から仲の良かった、ちんぽっぽさん、ビロードと一緒に、
『こちらの世界』に来て。毎日『変わる』生活をしてきました。
きっかけは、手紙、でしたね。
ビロードの中学校の下駄箱に入っていた、ハートのシールの付いた手紙。
( <●><●>)「……これは間違いなく、ラブレターというのは分かってます」
(;*‘ω‘ *) 「ビロードにラブレター…嘘に違いねぇっぽ…
自分で自分にラブレターなんて、虚しくねぇっぽか?」
(;><)「違うんです!そんなバカみたいなことしないんです!」
口の悪いちんぽっぽさんと、気の弱いビロード。
そして私。
中学校で出会った私たちは、些細なことかで友達になり、いつも一緒にいるようになっていました。
- 12: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:12:02.89 ID:oZZ6lhc20
この日も三人で家に帰る予定だったのですが、下駄箱でビロードに引っ張られて、大騒ぎして。
三人で夕日が照らす教室に集まって、封筒を囲んでの会議。
しかし、開けてみれば書いてあったのは
『別な人間になってみたいと思いませんか?』
( <●><●>)「……帰りましょうか」
(*‘ω‘ *) 「……騒いだ私が馬鹿だったっぽ」
(;><)「…」
一人呆けるビロードと、帰り支度をする私たち二人。
しかし、次の瞬間、私達は白い光に包まれて。
- 13: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:14:02.00 ID:oZZ6lhc20
気がつけば、見知らぬ街の中。
周りは、知らない世界、知らない町。
泣き出したいほどの孤独感。
先ほどまで一緒だった友人の行方。
この「世界」の常識を知り、他の二人を探し。
出会えた時には互いを確認しあい。
離れた時にはお互いを忘れていない事を自分で確認し。
そうやっていれば、自分たちを保ち続けられると、私たちは思っていたのです。
――しかし、そう上手くいくはずもなかったのだと気づくのはもっと後になってからの事でした。
- 14: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:14:45.72 ID:oZZ6lhc20
―――――――……・・・・・・ ・ ・ ・ ・
預かり知らない大きな力によって人生を捻じ曲げられ。
自分の意思などないような日々が続き。
しかし、それも慣れてしまえば苦にもならなく、むしろ「明日」を心待ちにしている自分がいました。
( ・∀・)「( <●><●>) 23時59分。もうすぐですか」
その日は近代的な街で、ごくごく平凡なサラリーマンとして一日を働き。
(;・∀・)「(;<●><●>) しかし、お酒とは怖いものです…」
上司に誘われて飲みに行き。
明日は二日酔いだな、などとありもしない「明日」に想いを馳せ。
そして、『いつも通り』の白い光に包まれて次の人間へ。
( ・∀・)「( <●><●>) さ、もうこのまま寝ないでじっとしていましょうか」
私の身体が、光に溶けていく。
- 15: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:16:35.50 ID:oZZ6lhc20
――しかし、その日を最後に、私は「別人」になる事はできなかった。
- 17: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:19:12.28 ID:oZZ6lhc20
( <●><●>)「…ここは?」
目がさめると、そこは一面の白。
巨大な柱は、パルテノン神殿を思わせる荘厳さを備えています。
从'ー'从「えへへー。ようこそ。私の部屋へ。
滅多に来れる場所じゃないから、ここに呼ばれたのは喜んでいいんだよー?」
奥にはノートパソコンの乗った白い机。そこに微笑む一人の少女。
そ
して――
『見知らぬ』二人の人物。
気の強そうな少女と、
(*‘ω‘ *)
少女と対象的に気の弱そうな少年。
( ><)
- 19: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:23:19.69 ID:oZZ6lhc20
(*‘ω‘ *)「…詳しく聞かせろっぽ」
先ほどの少女が、相変わらず警戒はしたまま
しかし興味をもったように切り返し、同意を求めるように私を見る。
( <●><●>)「…私も、興味がありますね」
そして、同じように反対側にいた目の細い少年のほうを向く。
(;><)「ぼ…僕も知りたいんです」
先ほどから脅えたようにだんまりを決め込んでいた少年も、少女の眼力に負けたのか、諦めたように呟く。
从'ー'从「ふふふ。じゃあまず確認するけど、君たちには記憶がないよね?」
(*‘ω‘ *)「なにとぼけたこと言ってるっぽ。毎日記憶ならあるっぽ
『カウンター』とやらがご丁寧に一人一人に与えてて…」
少女がそこまで言うと、渡辺が手を挙げて遮る。
从'ー'从「そ。私がその『カウンター』なんだって事をまず理解してほしいの」
- 20: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:24:40.08 ID:oZZ6lhc20
( <●><●>)「…なんの冗談ですか?」
にわかには信じられない。
というよりはただの誇大妄想の変人、と片付けたほうが理に適っているでしょう。
(*‘ω‘ *)「あー…帰りたいんだけどどうやって帰ればいいっぽ?」
(;><)「ぼ…僕も帰らせてもらっていいでしょうか…?」
他の二人も呆れてしまっているようで、やる気を失っているようです。
从'ー'从「ふふ。そりゃ信じられないよねー?」
じゃあ、と呟くと座ったままノートパソコンを操作し始める。
しばらくキーボードを叩く音が白い神殿に響き渡る。
- 21: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:27:16.74 ID:oZZ6lhc20
从'ー'从「君たちに記憶をあげるよ。『元の記憶』を、ね」
渡辺が、操作を終えてパチンとキーを押す
――瞬間、少年と少女が頭を抱えてしゃがみこむ。
(;*‘ω‘ *)「頭…痛……何を…ッ!?」
(;><)「どうし、ッ!?」
(;<●><●>)「なッ!」
同時に、私の頭にもハンマーで殴られたような鈍痛が襲い来る。
从'ー'从「さぁ、貴方達自身の記憶へ、行ってらっしゃい」
―――――――……・・・・・・ ・ ・ ・ ・
( )「……これは間―、ラブ―うのは―ってます」
( ) 「ビ…ードにラブレタ―違いねぇっぽ…
自分で―にラブレ―て、虚しく―ぽか?」
( )「違――です!そんな―なことしないんです!」
―――――――……・・・・・・ ・ ・ ・ ・
- 22: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:28:48.25 ID:oZZ6lhc20
( <○><○>)「ああぁぁ…」
思い出した全ての記憶。
(* ω *)「ビロ…ワカッテマス…?」
三人の、記憶が。
( ‐‐)「…僕らは…」
『あちらの世界』の日々が。
从^ー^从「思い出したみたいだね?君たちの元いた世界の事を」
これでは、『カウンター』であると認めざるを得ない。
- 23: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:29:53.05 ID:oZZ6lhc20
( <●><●>)「…なんで私たちを召使いに?」
从'ー'从「うーん。だってこの世界全てを管理するのは大変だし、君たちに興味がわいたからね」
(*‘ω‘ *)「それだけかっぽ?」
渡辺はうーん、と少し首をひねると、
从'ー'从「それに、君たちは元の世界に帰りたいでしょ?」
確かに。
記憶を取り戻してみると、元々は戻ろうとしていたわけだ。
(*‘ω‘ *)「召使いやれば、戻れんのかっぽ?」
(;><)「本当ですか!?」
从'ー'从「もちろん!君達の働き次第でね」
- 25: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:31:42.99 ID:oZZ6lhc20
( <●><●>)「(という事は、もちろん裏もあるって事でしょうね)」
信用は出来ないが、一応しばらくの間従う他ないようだ。
なにより、他に当てもない。
从'ー'从「お仕事は、この世界で元の世界に戻ろうとしてる人たちを見つけ出して、報告する事。
最近なんでか知らないけど、そういう理由で私を追いまわす人がいるから。それと…」
そこまで言って、私たち三人を手招きして近くへ寄せ、小声で囁く。
(*‘ω‘ *)「…え?」
(;><)「……それは…」
( <●><●>)「なるほど。それ相応の対価って事ですか」
从^ー^从「そう。もちろんそれが達成されれば、君達を元の世界に返すよ?」
- 27: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:34:47.77 ID:oZZ6lhc20
从'ー'从「じゃあ改めてお願いしようかな?」
- 28: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:36:43.70 ID:oZZ6lhc20
「君たちの代わりが見つかるまで、私の召使いでいる事を?」
- 30: ◆j0VQcv9RTo :2009/09/13(日) 21:37:50.66 ID:oZZ6lhc20
第五話 ―了―
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