( ・∀・)悪魔戦争のようです

5: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:32:53.58 ID:vRz5PjHo0

 登場人物が多いので、紹介されてないのは今回は忘れてていいです
 実はしばらくモララー登場しないよ! さすが主人公!!

【主要登場人物紹介】

・人間

( ・∀・) モララー=ロードネス:主人公(?)。今回の話には出ない

( "ゞ) デルタ=S=オルタナ:モララーの親友。同じく出ない

( ><) ビロード=デス:女教師。使い魔はワカッテマス

( ´_ゝ`) 兄者:男教師。使い魔は弟者

/ ゚、。 / ダイオード=メタル:女保健教師兼癒士。

( ´∀`) モナー=カノンタ:男教師。

( ФωФ) ロマネスク=ガムラン:軍人。連合国軍大佐

<_プー゚)フ X=T=プラズマン:軍人。連合国軍中将。使い魔はアムリタ



7: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:34:56.74 ID:vRz5PjHo0

・悪魔

(´<_` ) 弟者:上級悪魔『ダンタリオン』。未来を予知する能力を持つ

( <●><●>) ワカッテマス:上級悪魔『エリゴス』。闇を固定化する能力を持つ

ノ,, ゚ 了 アムリタ:上級悪魔『カオスドラゴン』。???の能力を持つ

・天使

(,,゚Д゚) ギコ=シャティエル:上位天使。茶髪。意外に常識人

ノパ听) ヒート=S=O=ラビエル:上位天使。赤毛。火属性魔法が得意

(゚、゚トソン トソン=WB=バラキエル:上位天使。古魔法『幻覚』を使う?



8: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:37:01.04 ID:vRz5PjHo0



 諦めることを諦めろ。



 どうせいつかは向き合わなければならない。



 世界から逃げ切れると思うなよ?



9: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:38:57.18 ID:vRz5PjHo0

 罪を贖うか、生を打ち切るか、好きな方を選べ。



( ・∀・)悪魔戦争のようです



 第八話:【闇に佇む紫鬼】



10: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:40:53.72 ID:vRz5PjHo0

 天頂より少し傾いた太陽が照らす中、空を滑るように飛ぶ箱が一つ。

 屋根のついていない巨大な木箱の縁からは、前方へ向けてたくさんのロープが伸びている。
 それぞれのロープの先には黒い馬が結び付けられており、その馬達は鼻息も荒く木箱を引っ張って空中を走っていた。
 下級悪魔『アパオシャ』である。

( <●><●>)「…………」

 中央のアパオシャの背に跨り、静かに前方を見据えているのは、上級悪魔『エリゴス』――ワカッテマス。
 騎士の外見に恥じぬ程度には馬術を心得ているらしく、時折その槍でもって馬の脇腹を叩いている。

( ><)「ワカッテマス、あとどれくらいかかるんですか?」

 木箱の中からひょこりと顔を覗かせ、疲れた表情のビロードが問い掛けた。

( <●><●>)「あと四時間といったところデショウカ」

( ><)「だんだん寒くなってきたんです……」

 ぶるる、と身体を震わせて、ビロードは毛布を頭から引っ被った。

( <●><●>)「ハイア生まれの貴女にアロウカの寒さが酷なことはワカッテマス」

 ワカッテマスはそう言って、進行方向へ向き直る。

 先程から――彼の視界には、雪の結晶がちらついていた。



11: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:42:58.03 ID:vRz5PjHo0

( ´_ゝ`)「ビロード先生、疲れたなら小休止にしますか? もう丸一日以上起きてるでしょう?」

 大きな木箱の中にはこれでもかとばかりに毛布が詰め込まれている。
 その山の中から這い出てきた兄者が、顔色の悪い同僚の肩を叩いた。

( ´_ゝ`)「それに加えてずっとワカッテマスを召喚し続けてるんですから」

( ><)「いえ、大丈夫なんです。我慢は慣れてるんです」

 健気にも微笑みを返し、ビロードは木の板を背にして座り込んだ。
 彼女の笑顔が痛々しく見えて、兄者は思わず目を伏せる。

( ´_ゝ`)(……まあ、止めていられる状況ではないが……)

 考えうる限り最速の手段を採用している。この天を駆ける馬車のことだ。
 それでも――ハイアからブラクアロウまでの道程は、途方に暮れるほど、長いのである。

 彼らには休憩している余裕など全くと言っていいほど無いのだ。

/ `、、 /「…………」

(o0´∀`)テカテカ

 死人のように毛布に伏して眠るダイオード=メタル。
 しゃがみ込んで彼女の寝顔を観察しているのはモナー=カノンタ。

 彼ら四人の教師に加えて、この荷台にはもう一人が乗っている。



12: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:45:01.33 ID:vRz5PjHo0

( ・−・ )「モナー先生。少し聞きたい事があるんだけど」

( ´∀`)「モナ? 僕はダイオード先生の可愛い寝顔を見るのに忙しいモナ。しっしっ」

(;・−・ )「えぇ?」

 シーン=ルドガー。魔法学科五回生の中でも常にトップに君臨し続ける、首席生徒である。
 彼は既に『ケーニヒ』級の魔法を習得しているため、今回の徴集の対象となったのだ。

( ´∀`)「……まあ、君の話とあらば聞かざるをえないモナ」

( ・−・ )「悪いね」

( ´_ゝ`)(敬語を使えよ敬語をよぉ)

 召喚術理論と体育を担当している兄者にとって、シーンはあまり接する機会のない生徒だ。
 しかし――たまに漏れ聞く噂によると――いやに尊大な態度を誰にでもとる人物らしい、と知っていた。

 たかだか二十年ほどしか生きていない小童が、と兄者は常々思っていた。

( ´_ゝ`)「……雪か。そろそろ追加の魔法が必要になるかもな」

 簡単な魔法を使って吹き付ける強風を防いではいるが、雪はその魔法を通過して毛布を濡らし始めている。
 この状況では何を使えばいいか――と兄者が記憶を手繰り寄せていた、その時。

/ ゚、。 /「……何やら頬が冷たいと思えば、雪か。綺麗だが鬱陶しい」



13: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:47:47.30 ID:vRz5PjHo0

 ダイオードが手を毛布に叩きつけると、それだけで魔法が発動する。
 目に見えぬ壁が木箱をすっぽりと覆い隠したのをその場の全員が感知した。

/ ゚、。 /「うむ……むぐ……、ん? なんだ、寝ていたのは私だけか?」

 ぐぐと伸びをして起き上がり、眠そうに目を擦るダイオード。
 戦場に向かっているのである。熟睡するような度胸を持つのは彼女だけだろう。

(*´∀`)「ああっ! ダイオード先生! お目覚めですか!? 愛してるモナ!!」

/ ゚、。 /「……頼むから、目覚めを後悔するような声を出してくれるな」

 目を輝かせて飛びついてきたモナーを平手で張り倒し、ダイオードは低く唸った。

/ ゚、。 /「あまり気負っていても仕方ないのだぞ、皆の衆。わかっているとは思うが」

 口に手を当て、そんな事を言うダイオード。
 白衣を着て普段と何一つ変わらない様子の彼女には、およそ緊張感というものが感じられなかった。

( ><)「気負うなっていうほうが無理な話なんです……」

 呆れるような、あるいは羨ましがるような目で、ビロード=デスは癒士を見た。



16: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:49:59.80 ID:vRz5PjHo0

/ ゚、。 /「ん……そういえば、ルドガー。そこのゴミと何を話していたのだ?」

(;´∀`)「ゴミ!?」

( ・−・ )「あ……あぁ、いや、特に重要な話ではないんだが」

 急に名を呼ばれて驚いたのか、シーンは狼狽していた。

( ´∀`)「天使たちの目的は何だろうな、って話してたんだモナ」

( ´_ゝ`)「目的なぁ。俺も実は気になってたんだ」

 暇潰しになりそうだと判断した兄者は、身を寄せて会話に参加する。

/ ゚、。 /「そんなもの、侵略に決まっているだろう」

( ´_ゝ`)「いや、そりゃ無いな。そもそも侵略したって統治できねえ」

( ・−・ )「その通り。天使はこの現実界に住めないのだから」

/ ゚、。 /「知らん知らん。難しい事はそなたらに任せる。どうせ起きたら忘れる」

 勝手にやってくれ、と言い残してダイオードは寝転んだ。

( ´_ゝ`)「ダイオード先生は自由人だなぁ……」



17: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:51:58.09 ID:vRz5PjHo0

( ´∀`)「まぁ、千年以上も続いてる戦争だモナ。かつて天使が大陸の半分を占領したこともあるモナ」

( ´_ゝ`)「マジで!?」

( ・−・ )「……兄者先生、歴史の授業で習ったと思うよ」


 新暦五百年から五百三十一年に渡る、三十一年間。
 俗に『純白の円周率』と呼ばれるその期間は、天使による大陸の侵攻が熾烈を極めていた。

 現実界への長期滞在ができない天使は、その解決手段として、軍を四つに分割。
 次々と兵士を交代させることで常時の侵略を可能にしたのだ。

 五百年目にして勝利への希望を見出した天使軍の意気たるや軒昂そのもので、
 連合国軍との戦闘には勝利を重ね、ついには大陸の半分ほどが天使軍の手に墜ちた。


( ´_ゝ`)「なんでそれまでにその戦術をとらなかったんだ?」

( ´∀`)「諸説あるけど、下位天使の絶対数が足りていなかった説が有力モナ」


 このまま世界は天使の手に戻り、人間は滅ぼされるのか。
 そんな諦めに似た空気が満ちていた時代だった。



18: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:53:59.35 ID:vRz5PjHo0

( ´∀`)「しかしまぁ、人間と悪魔もバカばっかりではなく」


 世界の半分を天使に奪われたと聞き、傍観を決め込んでいた上級悪魔達も重い腰を上げ始めた。
 人間のことなどどうでもいいが――もしも魔界にまで攻め込んで来られてはかなわない。
 それが彼らの言い分であった……あくまで保身の為であると。

 新暦五百三十一年は、記録上、最も多くの上級悪魔が具現化した年である。

 その数、およそ三百。

 『ベールゼブブ』『サタン』『エンマ』『リーヴェ』『ラプラス』『アスモデウス』『シルヴァ』。
 これらはこの年に初めて観測され、またこれ以降一度も現実界に現れることのない悪魔となる。

 空前絶後の軍事力を持った連合国軍は、最も天使側の防衛が薄くなる瞬間を狙い、各地で一斉開戦。
 巨大になりすぎた戦線を維持するだけの兵力は天使軍に無く、猛火の勢いで迫る人間と悪魔には抗し切れなかった。

 上位天使一名、中位天使三十四名、下位天使に至っては数えるのも馬鹿らしいほどの数。
 天使側に援軍がやってくるまでの間に、それだけの戦死者を与えていた。
 当然、セブンスフィアは領土の全面放棄と全軍撤退を決断。純白の円周率は終わりを告げた。

 人間にしてみれば――快勝。

 戦史上初の大勝であった。



19: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:56:03.72 ID:vRz5PjHo0

( ´∀`)「数では悪魔が上だけど、総力的には天使には遠く及ばないモナ」

 『純白の円周率』で実際に連合国軍と戦ったのは、わずか四分の一に過ぎない。
 しかし、その四分の一相手に、上級悪魔五十名が散った。人間側の被害は言うに及ばない。

( ´_ゝ`)「まー、寿命も魔力も統率力もハンパないもんなぁ」

( ・−・ )「特に統率力なんて、悪魔には望むべくも無い要素だね」

( ´_ゝ`)「人間がまとめるにも限界があるしな」

 自身の使い魔・弟者のことを思い浮かべ、兄者は苦笑した。
 少々奇異な生い立ちである弟者だが、やはり他の悪魔同様に群れることは好まない。

( ´∀`)「唯一の救いは繁殖力が低いこと――もう一度占領作戦をとろうとしても、多分無理だモナ」

( ´∀`)「あの時の被害はまだ回復しきっていないはずモナ」

( ´_ゝ`)「五百年経った今でも?」

( ´∀`)「五百年経った今でも」

( ´_ゝ`)「そりゃまた随分とのんびりしてるんだな、敵さんも」

( ・−・ )「僕としては兄者先生こそのんびりしてると思わざるをえないね」

( ´_ゝ`)(こいつうぜえなあ)



21: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 18:58:05.45 ID:vRz5PjHo0

( ´∀`)「まあ、純白の円周率以来は拮抗状態を維持してるモナ」

( ´∀`)「維持してもらってる、と言った方がいいかも」

( ・−・ )「いくら戦力不足気味とはいえ、天使軍の優勢には変わりないから」

( ´_ゝ`)「いや……それは流石に知ってるぞ」

( ・−・ )「そうか。何も知らないのかと思ったよ」

( ´_ゝ`)「俺お前嫌いだわマジで。今確信した」

( ・−・ )「奇遇なことに僕も兄者先生が嫌いなんだ。ずぅっと前からね」

( ´_ゝ`)―×―(・−・ ) バチバチバチバチ

( ´∀`)「こらこら、今からその天使軍と対峙するというのに喧嘩してどうするモナ」

/ ゚、。 /「もう……五月蝿いなそなたらは。寝かせてくれないのか」

 ぱちりと目を開け、ダイオードが毛布の上で寝返りを打った。

/ ゚、。 /「兄に会う時に寝不足気味では恥ずかしい。邪魔しないでくれ」

 ごろごろと毛布を巻き込みながら彼女は転がり、ビロードの近くまで逃げていった。



22: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:00:15.47 ID:vRz5PjHo0

( ><)「……あ、ダイオード先生」

/ ゚、。 /「顔色が悪いな。治療が必要か?」

 毛布の塊と化したダイオードを見て目を丸くしていたビロードは、慌てて首を振る。

( ><)「いえ、先生に余計な魔力を使わせられませんから……」

/ ゚、。 /「そういうのは余計とは言わないのだがな。寒いのなら私のようにするといい」

(;><)「いや、それはちょっと遠慮しておくんです」

 そういえば、とビロードは話を持ち出す。

( ><)「アロウカにはダイオード先生のお兄様が来ているのでしたよね?」

/ ゚、。 /「ああ。素晴らしい人だぞ、気は利くし頭は良いし、人当たりも良いし」

 そこまで聞いていないんだけどなとビロードは思ったが、
 目を輝かせて兄自慢をしている彼女を止めようとは思わなかった。

/ ゚、。 /「対面するのは実に三年ぶりくらいか……楽しみでならないな、全く」

/ ゚、。 /「無敵に素敵な兄様は――今頃、何をしているのだろうなぁ」



23: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:01:55.79 ID:vRz5PjHo0



 一方その頃、ニタリキの地。



 ロマネスク大佐は腕から血を流していた。



25: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:03:54.04 ID:vRz5PjHo0

(゚、゚トソン「…………?」

 理解できない、と言うかのようにトソンは首を傾げた。
 数百の彼女がそれに続く。

(;ФωФ)「はぁっ、はぁっ、は」

 荒く息を吐くロマネスク。その右手には大剣が握られている。
 そして、左腕の上腕部には小さな傷が走り、だくだくと鮮血が流れ出していた。

(゚、゚トソン「……何をしているのですか、あなたは?」

 一人の問いに答えるために、ロマネスクは獰猛な笑みを向ける。

( ФωФ)「これを見るがいい」

 紅く染まった左手を持ち上げ、掌を開いてその中身を示す。

 妖しく輝く紫紺の石が――そこにはあった。

( ФωФ)「これぞ我がガムラン家に伝わる秘宝、『血魂石』である」

(゚、゚トソン「はあ……?」

 ロマネスクの血に塗れ、石は一際美しく紫を主張する。



26: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:05:59.56 ID:vRz5PjHo0

(゚、゚トソン「!?」

 ロマネスクの正面、最もその石が良く見える位置に立っていたトソン=WB=バラキエル。
 信じられぬモノを見たと目を瞬かせる。

 掌に付着していた血液――それが、『血魂石』に吸い込まれたのだ。

( ФωФ)「たった一人で策も無く、むざむざと殺されに来るわけが無かろう?」

 右手の指で血魂石を摘み、左腕の傷口に押し付ける。

(゚、゚トソン「なんなんですか、それは……?」

 ロマネスクの出血が止まった。

 否、止まったのではない。

 流れ出ると同時に血魂石に吸収されているのだ。

(゚、゚トソン「…………!」

 血を吸い込めば吸い込むほど。
 紫が朱に近づけば近づくほど。

 石の放っている魔力が強大になっていくのを、その場の全てのバラキエルが感じた。



29: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:07:54.42 ID:vRz5PjHo0

( ФωФ)「力を手に入れるには、代償が必要となる」

( ФωФ)「我輩の差し出す代償は血液、すなわち命の一部」

( ФωФ)「さて――どれほどの力が与えられるのか、我輩も使うのは初めてであるからして」

     貴様で

         試してみることとしよう。


(゚、゚トソン「ッ!!」

 ロマネスクが不敵に笑うが早いか、バラキエル達は一斉に飛び掛ってきた。
 いつのまにか作り出した剣を両手に携えて――全ての天使が、同時に。

 左右前後縦横無尽、三百六十度全方位からの突撃。

( ФωФ)(ならば上へ――)

(゚、゚トソン

( ФωФ)(――なんて逃げ道が、あるわけないな)

 どうしよう、とロマネスクは思った。
 家宝を持ってきて大口叩いたはいいが、これで殺されたら痛すぎる。末代までの恥だ。



33: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:10:00.17 ID:vRz5PjHo0

(゚、゚トソン(――――勝った!!)

 幻覚ではない、『本物』のトソンは、ロマネスクの背後十五メートルでほくそ笑んだ。
 『血魂石』とやらがどんな力を持っているかは知らないが、勝利は目前だ。

 あの大男を殺したら、怪しげな石も回収し、天界でじっくり検査する事にしよう。

(゚、゚トソン(久々に面白い研究対象を見つけてしまいましたね)

 『本物』は、ロマネスクの後ろに位置していたがために、見えず、気付けない。

 『血魂石』から赤紫色の影が染み出していた事に、気付けてはいない。

 赤紫色の影は地面へと滴り落ち、丸い形に薄く広がり。

( ФωФ)(ドア……?)

 ドアノブがついた丸い扉となり、元々そこにあったかのように黙った。

 この時既に、先頭を走っていたバラキエルの剣先は、ロマネスクの心臓を貫こうとしている。

(゚、゚トソン(ん?)

 『本物』が異変に気付いたのは、その時である。

 ロマネスクの前方から迫っていた分身の一群が――揃って驚愕に顔を歪めたのだ。



36: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:12:04.86 ID:vRz5PjHo0



『お前らぁぁぁうっとおしいのじゃああぁぁぁぁぁ!!!!!』



 ぼかり、と地面の扉が開いた。

 そこから小さな腕がにょきっと生えてきた。

(゚、゚トソン

 分身達が目撃したのはそこまでである。

 次の瞬間には、『それ』を目撃したバラキエルは全て、塵となって消えていったのだから。

 かろうじて『それ』の腕から何か紅い塊が放出されたのを視認した者もいたが、
 しかし視認したところで反応する時間は無く、辿る運命はその他大勢と同じであった。

 バラキエルの名が司るのは『幻覚』であり、分身達に実体があるわけではない。
 無数に生み出した魔力の塊に自分の姿の幻影を貼り付けただけのものである。
 しかし、そうは言っても上位天使の魔力。一つ一つが下位天使に匹敵する魔力を携えている。
 それが正確に五百十二体、ニの九乗分のバラキエルがロマネスクに向かい――

 ――半数、二百五十六体の分身が一瞬で消滅した。



39: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:13:56.36 ID:vRz5PjHo0

( ФωФ)「お……おお……?」

 ロマネスクの目前には、地面の扉より出でし鬼が。


l从・∀・ノ!リ人


 波立った金髪、紫色の豪奢なドレス――ロマネスクの腰あたりまでしかない矮躯。
 透き通るような肌は死人よりも白く、三日月型に捻じ曲がった口元からは二つ牙が覗く。

 紫鬼。

 上級悪魔『ヴァンパイア』の姿が、そこにはあった。

l从・∀・;!リ人「って、あっづう! まだ太陽が出ておるではないか! 愚か者が!」

 可憐な幼女は甲高い悲鳴を上げ、ロマネスクの脚にしがみついた。

l从・∀・;!リ人「こら、デカブツ。儂のために影を作らんか! 日光は敵なのじゃ!」

(;ФωФ)「うぬう? こ、これでよいか?」

 滅殺を逃れた残り半数のバラキエルが慌てて勢いを殺し後退する中、ロマネスクは大剣を翳して影を作る。



41: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:15:56.03 ID:vRz5PjHo0

(゚、゚;トソン(な……上級悪魔!? ありえない、彼にそれほどの魔力があるはずが……)

 分身達に距離を置くように指示を出したトソン=WB=バラキエルは、酷く驚いていた。

(゚、゚;トソン(あの石が血液を吸収し――魔力に変換した? しかし、契約していない悪魔を召喚?)

 『血魂石』が何か特殊な、召喚用の道具だったのだろうか?
 仮にそうだとすると一体どのような仕組みなのか。作ったのは誰だ?
 トソンの探究心はますます膨れ上がるばかりである。

l从・∀・ノ!リ人「しっかし暑苦しい格好をしとるのう、デカブツ」

( ФωФ)「いや……貴様は寒くないのであるか? 気温は氷点下を割っているが……」

l从・∀・ノ!リ人「貴様などと呼ぶでないわ。儂には『妹者』という高貴で麗しい名前があるのじゃ!」

( ФωФ)「イモジャ……?」

 まるで異世界の言語であるかのように、ロマネスクはその名前を口にした。
 その困惑も当然である。種族名を別にして、自分で自分の名前を定めている悪魔など聞いたことがない。
 上級悪魔には契約主が呼び名を付けるのがルールであり、掟となっているはずのだ。

( ФωФ)「もしや、貴様、既に誰かと契約しているのか?」

l从・∀・ノ!リ人「じゃから妹者と呼ばんか。妹者様でも別によいけどの」

l从・∀・ノ!リ人「この儂『ヴァンパイア』は今現在、誰とも契約しておらん。ふりーじゃ」



44: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:18:08.99 ID:vRz5PjHo0

l从・∀・ノ!リ人「どうやらこの状況、なかなかのぴんちなのじゃろう? のう、デカブツ」

 ロマネスクの顔を見上げてくる吸血鬼は、妖しく淫らに微笑んだ。

l从・∀・ノ!リ人「力を貸してやることもやぶさかではないぞ? ん? どうじゃ?」

( ФωФ)「是非もあるまい。我輩と契約してくれるか?」

l从・∀・ノ!リ人「よかろう! ならば少し手を借りるぞ」

 妹者はロマネスクの腕(大剣を握っているのと反対側の腕)を握り、その指先を自身の口に寄せた。
 厚い手袋を脱がせる。そして、その小さな口腔内に、ロマネスクの武骨な指を導き入れる。

l从・∀・ノ!リ人「かぷっ」

(i!!ФωФ)ゾクゥ

 形容しがたい悪寒を感じ、ロマネスクは妹者の口に目を向けた。
 彼女の鋭い牙が人差し指の腹に突き刺さっていた。傷口から紅い玉がぷつぷつと湧き出る。

l从・∀・ノ!リ人「れろり」

(i!!ФωФ)ゾクゾクゾクゥ

 牙を抜かれ、今度は傷を舐められた。
 妹者の唾液とロマネスクの血液が絡み合い、唇の端から垂れ落ちる。



45: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:19:59.18 ID:vRz5PjHo0

l从・∀・ノ!リ人「名を聞いてやろう、デカブツ」

 ロマネスクの指を舐め回しながら器用に喋る妹者。

(i!!ФωФ)「ロ……ロマネスク……ガムラン」

 指先から伝わってくる生温かさに悶えつつ、答えるロマネスク。

l从・∀・ノ!リ人「ふむ、ロマネスクか。悪くない味じゃ」

 ちゅぷっ。
 指を引き抜き、妹者は手の甲で涎を拭った。

l从・∀・ノ!リ人「儂かお主――どちらかの命が尽きるまで、お主に仕える事を約束しよう」

l从・∀・ノ!リ人「『妹者』の名に懸けて、お主の敵をこの腕で滅ぼそう」

l从・∀・ノ!リ人「『妹者』の名に懸けて、お主の命をこの腕で支えよう」

l从・∀・ノ!リ人「さあ、契約するがよい。儂の名を呼べ!」

 互いの手を握り、魔力が通い合う。

( ФωФ)「契約宣言! 真名『ヴァンパイア』、契約名『妹者』は今この瞬間より――」

 握られた手の中から光が溢れ、二人の体を包んでいく。

( ФωФ)「――我輩、ロマネスク=ガムランの使い魔である!」



47: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:22:01.16 ID:vRz5PjHo0

 にやりと意地悪く笑う、紫色を纏った吸血鬼。

l从・∀・ノ!リ人「とりあえず、この気持ち悪い女達をぶち殺せばよいのじゃろう?」

(゚、゚トソン

 半数に減ったとはいえ、まだ二百以上の頭数を揃える幻影の軍団。
 気味が悪くなるほどの静けさで二人を囲む彼女らは、同じ顔に同じ表情で静かに佇んでいる。

(゚、゚トソン「わざわざ契約の時間を与えたのには、理由があります」

 既に命を失ったゴーレムの肩に座っているトソンが口を開いた。

(゚、゚トソン「無契約状態の悪魔は、瀕死になれば魔界に帰ってしまう場合があります」

(゚、゚トソン「しかし」

 また別のトソンが言葉を継ぐ。

(゚、゚トソン「一度契約した使い魔は、契約者の為に命を尽くします。素晴らしい主従関係ですね」

(゚、゚トソン「ですから――――」

 その口が閉じられる前に、頭が弾けて塵と化した。



51: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:35:38.66 ID:nOwsvibB0

l从・∀・ノ!リ人「五月蝿いのじゃ、この年増女が」

 片方の腕でロマネスクにしがみつく妹者は、もう片方の腕を前方に向けていた。
 その小さな掌には細い亀裂が走り、傷口からは紅い棒のようなものが伸びている。
 消し飛んだトソンの分身の頭まで、伸びている。

 その棒こそが――目にも留まらぬ速さで分身を貫き、滅殺したのであった。

l从・∀・ノ!リ人「とっととかかってこんかいの。それとも何か、上位天使というのは……」

 その先は言わないほうがいいのではないか。ロマネスクは思った。

l从・∀・ノ!リ人「神と同じで、部下がおらんと何もできぬ腰抜けかぁ!?」

(゚、゚トソン

 空気が変わった。

( ФωФ)(肌に刺さるのは……寒さだけではない、な)

(゚、゚トソン「よろしいでしょう」

 ざん、と一斉に足を踏み鳴らす二百五十五のバラキエル。
 いつの間にやら、その諸手には剣が握られている。

(゚、゚トソン「もはや言葉は不要。トソン=WB=バラキエル、参ります」



53: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:38:25.26 ID:nOwsvibB0


 ――蒼穹に映えるは真紅の翼。

l从・∀・ノ!リ人「かぁーっはっはっは! 愉快愉快、愉快じゃあ!!」

 ドレスの背を切り裂いて生えた翼を羽ばたかせ、妹者は豪放磊落に笑った。
 蝙蝠のような二枚の翼は美しく透き通り、てらてらと日光を撥ね返している。

 ヴァンパイアの能力『赤の誓約』。己の血液を自在に操る能力である。

l从・∀・ノ!リ人「ほれほれ! 威勢のいいのは口だけか、バラキエル!!」

 妹者が腕を一振りすれば、その掌からは大量の鮮血が迸る。
 勢いのままに液体はいくつかの槍を形作り――地上へと降り注ぐ。

(゚、 ~, トソン「ぐっ」

( ./. ゚トソン「ごぇっ」

 脳天から串刺しになり破裂する数体の分身。

,,/・ 、j,.ソン「ひ、卑怯な――がふッ」

l从・∀・ノ!リ人「卑怯? くやしかったら飛んでみるがいいわ! かはは!」



55: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:40:07.08 ID:nOwsvibB0

(;ФωФ)「うおおおお!! 危ない!」

 ロマネスクが慌てて飛び込み前転をする、数瞬前まで彼の体があった空間に血の槍が突き刺さった。

(;ФωФ)「く、はッ!!」

 隙ありとばかりに斬りかかってきたバラキエルを剣ごと真っ二つにし、ロマネスクは叫ぶ。

( ФωФ)「こら! 我輩にも当たるところだったのである!」

l从・∀・ノ!リ人「ぬぅ? すまんの、儂は目が悪いのじゃ」

( ФωФ)「嘘つけこの……というか太陽が苦手では無かったのであるか?」

 右から来たバラキエルを斬り飛ばし、一歩下がって左からの攻撃を避ける。
 次の瞬間には再び槍の雨が地表を襲い、何体かが避け損ねて消滅した。

l从・∀・ノ!リ人「かははは。儂はの、契約主の血を飲むことで太陽を克服できるのじゃ」

( ФωФ)(えー)

 素直に疎ましく思うロマネスクであった。

(゚、゚トソン「く……この、たかが悪魔と人間が……!」



56: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:42:01.56 ID:nOwsvibB0

トソンはいまいち攻めあぐねていた。

 分身はただ単なる魔力の塊であり、対空攻撃性能は持ち合わせていない。
 もちろん自らが魔法を使用し、空中の悪魔を撃墜することは可能だ。
 しかしその場合――自身の、『本物』の位置をわざわざ教えてしまうことになる。

(゚、゚トソン(ふむ……)

 適当に攻撃に参加するフリをしつつ、その実ロマネスクからは距離をとり、トソンは思考する。

(゚、゚トソン(そもそも戦闘は苦手なんですよねぇ……)

 全力で撃てば、上級悪魔の一体くらいも簡単に潰せるだろう。
 頭脳労働担当とはいえ七領域の一端、それくらいの自信はある。

 しかし――地上にいる人間、ロマネスク=ガムランはどうだろうか。

 たかが人間と言ってしまえばそれまでだ。
 だが、先程から見ている限りでは、トソンの分身達を相手になかなか健闘している。
 魔法を撃った直後。恐らくは一秒かニ秒ほど生まれる、無防備な瞬間。
 果たして見逃してくれるだろうか?

 その可能性は限りなく低いだろう。

(゚、゚トソン(では――本当はやりたくないのですが、ね)

 妹者とロマネスクの容赦ない猛攻によって、既に分身は五十体ほどにまで減らされている。



57: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:44:01.81 ID:nOwsvibB0

 鈴の音のような音が響き渡り、全てのバラキエルが活動を停止した。

l从・∀・ノ!リ人「お?」

( ФωФ)「む?」

 凍りついた分身達は次々と砕けていき、細かな破片となって風に消えてゆく。

( ФωФ)「なんだ……?」

 頬の傷から流れる血を手袋の甲で拭い、ロマネスクは呟いた。

 泥と雪に塗れた地面、素朴な造りの家々、針葉樹。
 辺りに広がるのは、平凡な雪国の風景。

l从・∀・ノ!リ人「どこへ消えた、腰抜けめ」

 そこに天使の姿は無かった。

『言ったはずでしょう、私は司る領域は幻覚』

 どこからともなく響く甘い声。

『「ない」物を「ある」ように見せるだけが幻覚ではありません』

『「ある」物を「ない」ように見せることも――また、可能なのです』



58: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:45:57.15 ID:nOwsvibB0

l从・∀・ノ!リ人「なるほどの……実際はどこかにいるわけじゃ」

 ばさばさと血の翼で空を掻きながら、妹者は愉快愉快と呟く。
 内心は全く愉快などではない。少し厄介なことになったな、と思っていた。

(;ФωФ)「くっ……どこだ? どこにいるのであるか?」

 ただでさえ苦戦気味であったロマネスクは気が気でない。
 振り向いては大剣を構え、また後ろへ向いては大剣を構え、落ち着き無く動いていた。

『懺悔の時間を差し上げましょう。罪を悔い改めるのです』

『きっと神はお許しになられますことでしょう。さあ、祈りなさい』

 トソンの上品な声はそこらから反響して聞こえ、位置の特定を許さない。

l从・∀・ノ!リ人「さすがに上位天使じゃの。目でも耳でも――鼻でも、全く感じ取れんわ」

『当然ですとも。一山いくらの悪魔などと一緒にしないでください』

l从・∀・ノ!リ人「かっ、一山いくらか。それには同意するのじゃ」

 くつくつと泥が煮えるような声を出して、妹者は牙を剥く。


l从・∀・ノ!リ人「はて……儂がただの上級悪魔じゃとは、一つも言っておらんがの」



60: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:47:59.62 ID:nOwsvibB0

( ФωФ)「……? 何?」

 信じられぬ思いでロマネスクは目を瞬かせる。

『……これは……!』


 夕焼けに染まる茜空が、そこにはあった。


( ФωФ)(時間が……? いや、違う)

 太陽は少し傾いているが、紅く輝くほどに沈みかけているわけではない。
 ということは――少なくとも、時間が進んだわけではない。

(;ФωФ)(これは――まさか)

 空だけではない。赤く見えるのは木々、地面、そして自分の腕や剣に至るまで、視界全てだ。
 その事実に気がついた時、ロマネスクは妹者の非常識な作戦を理解することが出来た。

l从・∀・ノ!リ人「見えぬなら目は使わん。聞こえぬなら耳もいらん。鼻など元よりアテにしとらん」

『…………ッ!』

l从・∀・ノ!リ人「のう、バラキエル。お主は――」



62: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:50:21.56 ID:nOwsvibB0


l从・∀・ノ!リ人「空気をも、騙すことが出来るというのか?」


 赤く色づいているのは『空気そのもの』。

 つまり、そう。

『大気中に……血液を……!?』

l从・∀・ノ!リ人「儂はただ飛ぶために翼を動かしていたわけではない」

l从・∀・ノ!リ人「少しずつ少しずつ……儂の血を、風に乗せて飛ばしていたのじゃ」

 気付かなかったじゃろう、と妹者は誇る。

 目を凝らせばかろうじて見える。
 空気中に広がった薄い霧――極小の粒子となった妹者の血液が、辺り一帯を埋め尽くしているのだ。

l从・∀・ノ!リ人「視える、視えるぞ……ロマネスク、八時方向に三歩じゃ」

( ФωФ)「! ……はぁっ!!」

 妹者が指差した位置を睨み、ロマネスクは素早く大剣を突き入れた。

( ФωФ)「……? おい、手応えが無いぞ」

l从・∀・ノ!リ人「のろま。かすっただけじゃ」



63: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:52:20.85 ID:nOwsvibB0

 ロマネスクが剣を引き戻すと、刃の先に少量の血液が付着しているのが見てとれた。

『く……わ、私に傷を……!』

 焦燥の混じったバラキエルの声。

l从・∀・ノ!リ人「二時方向に五歩じゃ。ほれ」

 妹者が手を振り翳し、掌の亀裂から朱色を散らして弾丸を生成する。

l从・∀・ノ!リ人「『赤の制裁』!!」


 雨粒か火の粉のように、


 中空に浮かんだ無数の弾丸。


『…………!!』


 妹者にのみ知覚できる一点――トソン=WB=バラキエルの脳髄へと――

 ――千の死神は襲い来る!



64: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:54:37.73 ID:nOwsvibB0



『どうする。俺としてはあの女には死んでもらいたいんだが』



『もうギコの馬鹿っ! ドクオ様に怒られちゃうだろぉっ!』



65: ◆BR8k8yVhqg :2009/08/31(月) 19:56:07.87 ID:nOwsvibB0


 それを見つめる影二つ。


 第八話:【闇に佇む紫鬼】 了



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