('A`)ドクオと愉快な魔法少女のようです
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:44:40.03 ID:fS41vOTm0
('A`)「さて……」
今いる場所を見渡し、状況を考え直す。
決してよろしい状況ではなく、決してよろしい場所でもない。
異空間、とでも呼ぶべきか。この場所はどこかしら、あの時の修行した空間に似ている。
しかしどこかしら違う部分を感じる。なんとなく、だが。
空間の色そのものは真っ白とも呼べず、微妙に灰色が混じっている白といったものである。
だが、周りに人や家屋といった物や者がないのだ。
ただ一点、俺と
lw´‐ _‐ノv「ふぉっふぉっふぉ」
こいつを除いて。
('A`)ドクオと愉快な魔法少女のようです
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:46:47.47 ID:fS41vOTm0
('A`)「どういうことかねえ」
頭をぼりぼりと掻きながら、この状況を再び考える。
何故亜空間などにいるのか。さっきまで俺は自室にいたというのに。
いや、正確には自室に入ったはずだった。入って、部屋をそこまで見渡したわけでもないが、別段変わったところもなかった。
しかし、数秒後いきなり俺はこの場所にいた。
どういうことだ。
理解が出来ない。頭がこの状況についていかない。
lw´‐ _‐ノv「話がしたい、と言ったぞなもし。だからここでござる」
口調が安定しないおっぱいが、原因なのはわかっている。
しかし、あの一瞬でこんなことが出来るってのか?
この前の修行にしたって、数秒の時間は必要だったはずだ。
それを一瞬で行ったということか? こいつは。
……そんな馬鹿な話があってたまるか。だとすれば、こいつは事実上最強になる。
重力が操れても、相手に物理的攻撃を与えれば魔法が発動できても、
チート的に全方位に魔法を発動できても、相手の魔力を掴んで跳ね返せても、
こんな一瞬で魔法を発動させられては、対抗する術が一切としてない。
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:48:28.15 ID:fS41vOTm0
('A`)「拒否権はなしっすか」
lw´‐ _‐ノv「なしッスわ。だから強行手段を取らせて貰ったぞよ」
そういって奴は再びふぉっふぉっふぉと、不気味な笑みを浮かべる。スク水のままで。
なす術なしに俺はこの場所に連れてこられた。クーやハインさんが言っていたように、
奴の能力が瞬間移動だとすればこの状況も納得できる。
しかし……。
そんな一瞬で、かつ何度も自分以外の相手を瞬間移動させられたりできるものなのか?
いやいや。そんなオカルトあるものか。
まあ……魔法が使えるという時点で現実からはかなりかけ離れた論点ではあるんだが。
とはいえ、あいつの能力を見破っても、あいつが攻撃型でない限り俺は攻撃のし様が無いんだが。
('A`)「話ってなんですかね。家でゆっくりしたいんで短いといいんですけど」
クーや、ハインが感じているであろう圧倒的な力の差を未だに感じられない俺は、多少なり余裕があった。
まず第一に瞬間移動だけであれば、恐れるに足りない能力なのだ。
攻撃を仕掛けられるわけでもなければ、攻撃を仕掛けれるわけでもない。
つまり、身動きこそ取れないものの、こちらに害があるようなものではないのだから。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:50:50.07 ID:fS41vOTm0
lw´‐ _‐ノv「簡単ぞ」
奴は自分の顎に手をやる。
そして格好をつけたのか、決めたかったのかはわからないが思いっきり俺を指差す。
lw`‐ _‐ノv「私の元へ来い。青年」
(;'A`)「なん……だと……」
それはまさかの、
('A`)「プロポーズですか……!」
lw´‐ _‐ノv「いやいやいや。何を勘違いしている。
私と共に戦わないか、というだけぞ」
違った。思いっきり違った。
くそ……。その気にさせるだけさせてこの扱いかよ。
('A`)「なんだよ……。初めてフラグが立ったのかと思ったのに……
つーかそれならわざわざ人に指を差すなよ……無礼だろ……」
lw´‐ _‐ノv「あ、はい……」
……。あれ? ちょっとまて。
フラグがどうのとかより、何やらもっと大事なことをこいつ言わなかったか?
ん、ん。なんだったっけか。「私の元へ来い」だったか。
それに加えて、私と共に戦わないか、か。……それはつまり、
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:53:06.23 ID:fS41vOTm0
('A`)「……おい」
lw´‐ _‐ノv「なんぞな」
('A`)「お前、私と共に戦わないか、と言ったよな」
lw´‐ _‐ノv「ああ。全国のお百姓さんにかけてそういったと断言するぞな」
('A`)「……それは、つまりだな。クーやハイン、そしてショボンさんを裏切れ。ってことなのか?」
言い終えると同時に、奴の口元が釣りあがる。
なんとも敵役らしい、いやらしい笑みを浮かべている。
ああ、そうか。やはりそういうことなのか。
lw´‐ _‐ノv「簡潔に言えば、そうでござるな」
そこで奴は、しかし、と付け加える。
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:55:32.52 ID:fS41vOTm0
lw´‐ _‐ノv「本当の目的はお前を引き抜いてからにある。
これまで士農田工場を生かしておいたのにも、もちろん訳がある。
しかし、そろそろのんびりもしていられないだろうからな」
そして再び、ふぉっふぉっふぉという訳のわからない笑い声をこぼし、
本来の目的を話すためか、俺の布団に腰掛けた。
lw´‐ _‐ノv「だがその前に」
('A`)「ああん?」
lw´‐ _‐ノv「お前の仲間達は、私が帰っていないことに気づく」
('A`)「……」
俺はふと考える。
あいつらが俺とこの女が話しているという状況に気づくかどうかを。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 19:58:09.39 ID:fS41vOTm0
川 ゚ -゚) 「わーコーラがけパーティだー」
(´・ω・`)「頭がカピカピになっちゃうよー」
从 ゚∀从「いや、それよりベッドにコーラかけるのはやめろ」
( ・∀・)「天然カルピスソーダーはいらんかねー」
川 ゚ -゚)「きゃーダンディズムー」
うん。ないな。気付くわけがない。
今頃きっとモララーさんとでも戯れているだろう。
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:00:15.61 ID:fS41vOTm0
lw´‐ _‐ノv「仲間を信じたまえよ青年。一本のきのこの山を分け合った仲だろう?」
('A`)「チョコはやるが棒はやらん。絶対にだ」
そんなことをしているうちに、なにやら懐から茶封筒と紙を取り出す。
そして更にペンを取り出し、紙に何かを書き込んでいる。
('A`)「なあ」
lw´‐ _‐ノv「ん?」
('A`)「どうして漫画やアニメだと、封筒とか便箋を取り出す時懐からなんだ?」
lw´‐ _‐ノv「え、そこなの? 何書いてるんだ! とかあるじゃん」
('A`)「素直にカバンとかもってこいよ……カッコつけやがって……」
lw´‐ _‐ノv「わお! 素敵にスルーだ!」
それからしばらく沈黙。別に俺はこいつに話すネタもないし、話をする必要もない。
そのせいで、あいつが喋ってこない限り何も話せない。
その間暇をもてあました俺が取る行動はというとだが、
('A`)「全裸で踊ります。曲は尾崎豊で、卒業」
もちろん、こんな触れればやけどもののネタに突っ込んでくるわけもなかった。
俺は泣きながら踊った。この支配から卒業するために。
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:04:03.43 ID:fS41vOTm0
lw´‐ _‐ノv「よし。では移動しよう」
('A`)「なんでサビに入っていい気持ちになった瞬間止めるん?」
lw´‐ _‐ノv「知るか。お前がボケ倒しすぎてこっちがボケられなくて困ってんだよ」
('A`)「いやんいけずう」
lw#´‐ _‐ノv「くそ! 私は素直シュールだぞ!
これじゃシュールでもなんでもないじゃないか!」
と、俺の部屋に白米を撒き散らせながら怒る。
いや……充分シュールですよ……。
あんたの振りまいてる米、すでに炊いた後のだから取り返しのつかない事態になってますもの。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:07:29.98 ID:fS41vOTm0
('A`)「後処理が面倒なことを……」
lw#´‐ _‐ノv「もういい! 移動する!」
('A`)「ちょwwwwおまwwwwこれ放置したら部屋がカピカピにwwww」
lw#´‐ _‐ノv「知るか! こちとらキャラが崩壊して手がつけられないんだよ!」
そんなことを言われた直後、俺は意識だけ残った状態で、視界と、声を失った。
何故意識だけ残して? そう疑問に思ったが声は出なかった。
……まあ、恐らくだが移動する過程を知られないために、だろう。
だとすれば、どこか見知らぬ場所へ連れて行かれるに違いない。
そうしなければわざわざ視界と声を奪う意味がない。
しかしわざわざそんなことをせずとも、瞬間移動が出来るんじゃないか?
と、ふと思ったが静かに俺は意識が遠のいていくのを感じ、
意識から手を離した。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:09:21.76 ID:fS41vOTm0
第六話 現代社会で戦う人達と、現代社会では戦うことも出来なかった人達
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:11:49.43 ID:fS41vOTm0
一方その頃、士農田工場の人たち。
(´・ω・`)「ふふふ。どうだいこの逆三角形」
( ・∀・)「きゃー! 士農田さんふてきー! マッスルボディ!」
(´・ω・`)「はっはっは! そうだろうそうだろう! もっと言いたまえ! もっと誉めたまえ!」
某病院のとある病室の中で入院患者と戯れていた。
しかし、戯れると言っても、そんなことをしているのは二人だけであった。
それもショボンと、モララーが9割以上の人間が見れば気持ち悪い。と一蹴するような内容で。
从 ゚∀从「相変わらずの馬鹿だなこいつら……」
川 ゚ -゚) 「流石に同意せざるを得ない」
そしてある一角では、割とまともなグループが出来上がっており、一線を置いて話をしていた。
クーとハインは、今日起きた出来事を社長であるショボンに報告しに来たのだ。
一度本部へ戻り、部屋を訪ねてみたが、そこには職務を放棄したアホの手紙だけが残されており、
『モララー店長のところへ☆ミ(o*≧∇≦)ノイッテキマ-ス!!』
と、歳を考えて欲しい文が置かれてあった。
もちろんのことだが、無言でクーは破り捨て、近くにあったライターで燃やした。
そして仕方なくこの病室にやってきたら、この有様である。
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:13:42.74 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「なんだいクー、ハイン。
お前らも俺のダイナマイトの如く爆裂した腹筋に見ほれろよ」
川 ゚ -゚) 「そのまま爆発しろ」
(´・ω・`)「つれないなあ。せっかくウェブマネーをやろうと思ったのに」
川 ゚ -゚) 「きゃー! ショボンさーん! そのマッスルボディは天下無双だわー!」
(´・ω・`)「はっはっは苦しゅうない。苦しゅうないぞ」
从;-∀从「もういやだ……」
物で釣る者も釣る者だが、釣られる者もどうかしている、とハインは静かに思う。
この状況では、自分以外にしっかりした者などいない、と自覚し、ショボンに近づく。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:16:52.24 ID:fS41vOTm0
从 ゚∀从「ショボンよォ」
(´・ω・`)「なんだい。そんな怖い顔して」
从 ゚∀从「ヒートと、シューがドクオを襲ってきたんだ」
こういう状況では、変に回りくどい言い方をするよりも、
単純に事だけを話すほうが効果的だと、ハインは自分なりに方法を見出していた。
ある意味、一番苦労しているのはこの茶髪DQNなのかもしれない。
从 ゚∀从「ヒートはドクオが撃退した。
だが、シューがヒートを連れて帰ってしまい、また情報は聞き出せなかった」
(´・ω・`)「ああ、その話か。一応魔法を探知していたのでな。
そういうことがおきていたのは知っている」
从;-∀从「まァ確かに、途中で現れたしなお前……」
(´・ω・`)「はっはっは。流石にまずいと思えば現れるさ」
なら、シューの時も来いよ。と思うハインだったが、それはあえて口にはしなかった。
本当に危機だと思ったのなら勝手に来ただろう。
それに加えて今回はドクオが絡んでいるということもあり、
危なければ手を貸したとも考えられたのだ。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:19:23.14 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「しかし……」
从 ゚∀从「あァん?」
(´・ω・`)「今、ドクオは一人なのか?」
途端に、ショボンの顔が引き締まる。
それまで遊びほうけていた緩みきった表情はそこにはなく、
ただ真面目な、士農田工場社長の顔がそこにはあった。
川 ゚ -゚) 「……ああ。ドクオは今一人部屋にいるはずだが」
(;´・ω・`)「それは、不味いな」
从 ゚∀从「なんでだよ。別にいつもどおりじゃねェか」
(;´-ω・`)「いつも通り、ならいいんだがな。今回はシューが現れたのだろう?
そしてまた何もせずに帰った。……しかし、本当に奴はおとなしく帰ったのか?」
ショボンだけは、この状況を見抜いてた。
そして、徐々に他の二人も気づき始める。
ドクオを一人にさせてしまったという由々しき事態を。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:21:35.62 ID:fS41vOTm0
从;゚∀从「おいおいおい……。
まさか、俺らが帰ったのを確認して、シューがドクオに接近したってのか?」
(;´・ω-`)「充分にありえる話だと思うがな。
大した戦力も持たず、相手の実力を把握できていないあいつなら、
いつ襲われてもおかしくはない」
再び不味いな。と呟き、ショボンは考え始める。
この状況をどうするべきか。急いで人を向かわせたい。そう思うが、
从#;゚∀从「クソが……! 行って来る!」
(;´・ω・`)「待てハイン!」
そういうわけにもいかない。
今誰かに単独で動かれては危険が及ぶ可能性が高い。
ミイラ取りがミイラに、なんてことが考えられなくもないからだ。
从;゚∀从「んだよ! 一刻も争う事態じゃねェのかよ!」
それ以前にだが、
(;´・ω・`)「シューの場所、わかっているのか?」
从;゚∀从「はあ!? ドクオの部屋じゃねえのか!?」
まだシューの場所が特定できていない。
そんな中で手探りに動き回ってもジリ貧だ。そういう意味でも、まだ動かす時ではない。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:24:08.93 ID:fS41vOTm0
……しかし、ハインの言うとおり一刻をも争う事態だ。
どうするべきか。ショボンの脳裏には二通りの考えがよぎっていた。
ひとつは、思い過ごしという事態。これであればどれほど幸せだろうか。
まず、ありえない。向こうも遊びで魔法少女をやっているわけではない。
そうなると間違いなくドクオは狙われているだろう。
あいつは少し磨けばいきなり超がつくほどに光る原石なのだ。
そんなあいつの素質を見抜けないわけがない。となれば、
ドクオを良いようにして、あるいは強行手段で自分の組織に取り入れてくるだろう。
ここまでは予測がつく。しかしだ。
肝心の奴の居場所が特定できない。クーもショボンもハインも、
魔力の発信源を必死に探しているが、まったくといっていいほどに特定できないのだ。
何度かそれらしいものはあったが、まったくシューの足取りがつかめない。
これだ。いつも探りを入れてもあいつだけは見つけられない。そのせいで、何度も取り逃がした。
まともに戦闘すればおそらくショボンの方が攻撃力的にはかなり上手だろう。
しかしすぐに逃げられる。そのせいで何度も取りこぼした。ハインやクーにはシュールは倒せない。
やれるとすればショボン。しかし、今はそんなことよりもドクオの安否が大事である。
ドクオがもし部屋にいるのだとしたら、あまりに無警戒で無用心だ。
仮にもあの津野田建設の代表取締役がそんなミスを犯すとは思えない。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:27:17.45 ID:fS41vOTm0
(;´・ω・`)「ミス……ミスだと!?」
从;゚∀从「んだよ! 急に叫びやがって!」
(;´・ω・`)「おいハイン。ドクオの部屋に行くぞ!」
从;゚∀从「あァ!? 結局あいつの部屋でいいのかよ!」
ショボンは気づく。
あいつがミスを犯すとは思えない。そうではない、と。
そんなミスをしない、そういうことを思わせておいて、一番安全に隠れられる場所はどこか。
決まっている。まず真っ先にドクオの部屋など危険要素がありすぎて選ばない、と。
そこだ。危険だらけで選ばない。そう思わせれば逆に、
(;´・ω・`)「あいつの部屋が一番安全なんだよ!」
川 ゚ -゚) 「な、なんだってー!」
从;゚∀从「なるほどな! なら先に行くぜ!」
そういうとハインは重力操作を行い、病室の窓から飛び出した。
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:31:02.32 ID:fS41vOTm0
流石にそんな芸当を真似できるものはいない、と思うのが通常の考えなのだが、
川 ゚ -゚) 「では、私も」
そんな常識糞食らえといわんばかりに自分自身を殴り、
何らかの魔法を発動させて窓から飛び出す者が更に一人。
それに続いてショボンも窓の外に出ようとしたのだが、
川 ゚ -゚) 「やっぱ駄目だったわ」
見事に転落しているクーがいた。
(;´・ω・`)「お前はバカか!」
流石に赤フン一丁というボケ役でしかない存在でも、突っ込みに回らざるを得なかった。
急いで転落しているクーを浮遊させ、病室へと戻す。
川 ゚ -゚) 「やっちまった。まあいい。私はいつも通り走って向かうとする」
そういうと、今度は病院の壁を蹴りながら走っていった。
「最初からそうしろよ……」と、静かに愚痴をこぼすショボンだったが、
いつまでもそんなことを引っ張ってはいられない。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:34:36.49 ID:fS41vOTm0
事態は急を要すのだ。早く、早く対処しなくてはならない。
そんな状況だというのに、のんきな顔をして出て行ったはずのクーがまた窓から戻ってくる。
(´・ω・`)「どうしたクー」
川 ゚ -゚) 「いや……大したことじゃないんだが……」
(´・ω・`)「なんだ。いいから早く言え」
川 ゚ -゚) 「うむ。いや……しかし……」
(´・ω・`)「なんだお前らしくもない。いいから早く言うんだ」
そうか、なら。とクーが言い何かを言おうとしている。
もしかすると今の事態を打破できる内容かもしれない。
ショボンは真面目な表情を更に引き締め、クーの目を見る。
川 ゚ -゚) 「ではお言葉に甘えて。なんで急に真面目展開なん?」
(´・ω・`)「話が進まないからだろバロッシュ」
と、真面目な顔で返した。
するとクーは満足したのか、再び窓から去っていった。
あとこれから少しだけ真面目タイムに入るので、そういうのいいからって人は読み飛ばしを推奨する。
勿論その間ボケることなどないので、今のうちボケておくとしよう。
ちんこちんこ小便と便座とエレクトリカルパレードでございます。バースト。
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:36:54.46 ID:fS41vOTm0
さて……。
くだらない時間を要した。急いで考えをまとめなければならない。
今考えたドクオの部屋にいる、という一説。
もしそうだとすれば、事は簡単に進むだろう。しかし、そういうわけにはいかない理由がある。
これまで、何度とショボンはヒートを倒した後、シュールが連れ出し、そのたび詮索し続けてきた。
今回ドクオが連れ出されているであろうという状況に似た事は何度かあった。
しかしその度、ショボンはシュールに翻弄され続け、結局足取りはつかめずに逃げられる。
彼女にとっては今のこの状況もいわば『遊び』なのかもしれない。
だがショボンにとっては遊びではない。素晴らしい人材がいて、それを奪われようとしているのだ。
その状況下に立たされて、必死にならないわけがない。
そんな遊びに何度も付き合ってなどいられない。しかし、今もこうしてつき合わされている。
今日で終わりだ。静かにショボンはそう思いもう一度考えはじめる。
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:38:36.22 ID:fS41vOTm0
まず、ドクオの部屋が安全である、という仮説。
これは正当性がある。
なにより、ドクオはまず自分の部屋に帰ったのだ。
だとすれば、シュールも必然的にドクオを連れ去るには部屋に行かなくてならない。
と、なるとシュールはまず間違いなくドクオの部屋にいるだろう。
しかし奴がそんな凡ミスを犯し、
ずっと部屋にいるなどと考えられるだろうか。
否。そんなはずはない。
ショボンが足取りを掴もうとするのであれば、まずドクオの部屋という場所は除外する。
そして同時に、逆説も考えるということもシュールからすればお見通しだろう。
ならば、奴は今ドクオの部屋などにはいない。
仮にドクオの部屋にシュールがいる。と安直に考え行動に起こしてしまった場合どうなる。
そうなればいともたやすく見つかってしまう、そんなミスを犯すはずがないのだ。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:42:21.90 ID:fS41vOTm0
となれば、ドクオの部屋は駄目だ。
しかし、他にあるだろうか。
シュールがまだ遊んでいるのだとすれば、奴は足跡を少なからず残すだろう。
なら、ドクオの部屋に何かそのキーがあるのか? だとすればやはり向かうべきなのだろう。
だが、先にクーとハインが向かっている。
二人も魔法少女がいるのであれば何か足取りはつかめるだろう。
ショボンは自分にそう言い聞かせ、自分は自分で更に考える。
奴が向かう場所。
自分自身が向かうことが出来て、立ち入ることが可能な、そんな場所。
自身の脳内からはじき出される答え。ただ一つだけ浮かび上がる自分だけの真実。
そんな考えを疑うわけにはいかない。今の思考を否定してしまうと、前になど進めようが無い。
そう思い込む。そう信じることで、自明の理を信頼できる。
そして、ショボンはゆっくりと病室の扉に近づく。
ただ一つの道を信用して。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:43:48.92 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「行くか」
( ・∀・)「むむ、なにやら知らない間に話が発展しているね」
扉の取っ手に手をかけようとしたところで、不意にモララーが喋り出した。
元々ここはモララーの病室なので、彼がいるのは当然のことだが、
あまりに事態が急変したため、完全に彼の存在を忘れていた。
(´・ω・`)「ん、ああ。悪いな。急用が出来たのでな」
( ・∀・)「そうだね。ドクオ君の危機なのだろう? それなら仕方ない」
(´・ω・`)「物分りがよくて助かる。では……」
( ・∀・)「ああ、待ちたまえ」
再び扉を開けようと手を伸ばしたところで引き止められる。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:47:05.15 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「……? なんだ?」
( ・∀・)「目に見える事態だけが真実ではない。それだけヒントをやろう」
(´・ω・`)「この戦いに関係ないあなたが、何故そんなことを……」
( -∀-)「そうだね……」
( ・∀・)「感、さ」
(´・ω・`)「愉快な考えだ。参考にさせてもらおう」
( ・∀・)「ああ。では、行ってきたまえ」
(´・ω・`)「ああ。行って来る」
ショボンはあえて聞かなかった。
おそらくこの男は何かしら力があるのだろうと、思いながらも。
そして、この男は何故、
急に偉そうになったのか、と。
(´・ω・`)「あいつあとで絞めよう」
と、ショボンは思うのであった。
しかし残念なことにこの話の構想上、
モララーは全力で病室から逃げているのがセオリーなのだった。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:51:20.11 ID:fS41vOTm0
やがてハインがドクオの部屋に着くも、
从;゚∀从「誰もいねえ!」
ショボンの予感は的中したのか、すでに部屋には誰もいなかった。
まずいな、と無意識にぼやきながら辺りを見渡す。
そして部屋の中央に何故か封筒が置かれているのに気が付く。
これはドクオ宛の手紙だろうか。そう思い腰をかがめ、封筒を手に取り、確認する。
しっかり茶封筒に入り、封もまだ破かれていない様子で、まだ中身を確認していないようだった。
大事なフラグである。これをよまなければ話は進まない。
そういっても過言ではないだろう。
从 ゚∀从「……大事な手紙か何かなんだろうな。置いておこう」
しかしこんなところでみんなの突っ込み役のスキルが無駄に発動してしまうハインさん。
だが、どうしていいのかわからずその場に座り込み、二人がどこに行ったのか考え始める。
うーん。と首をひねり、数十秒経った後、唐突に何かひらめいたのかすっと立ち上がる。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:54:28.63 ID:fS41vOTm0
从;゚∀从「トイレか!」
なにを思ったのかぱんっと乾いた音を鳴らしながら手を叩いて、そんなことを叫び出す。
しかし何かあるのだろう。いくらなんでも何かしら理由はあるはずだ。
从;゚∀从「あそこなら鍵もついてるし、安全だもんな!」
馬鹿だった。
しかしハインはその考えですでに行動に移しており、ドクオの部屋のトイレを探す。
从 ゚∀从「見つけたぜェ……」
用心しなくては。そんな誰も入っていないトイレを見つけ、扉の前で警戒する。
中に入ろうとしても鍵がかかっているだろう。加えて、音を立てることで向こうに気付かれてもまずい。
そんなすでに独り言を散々ぼやき、挙句叫び散らして手遅れな状態だというのに、ハインはそう思っていた。
从 ゚∀从「ぶち壊すか……!」
そしてドクオの部屋のトイレの扉がぶっ壊される羽目になるのだが、
その事態に気付くのはまた別の話。
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:57:10.25 ID:fS41vOTm0
その頃、クーはというとだが。
川 ゚ -゚) 「ふっ……」
何故か街中で仁王立ちしており、格好をつけていた。
クーの横を通り過ぎる人々はみな目を合わせないように、さっさと立ち去っていく。
しかし、いくらなんでも無意味にそんな目立つことをするようなタイプではない。
となると、クーにはクーなりの何か理由があるのだろう。
そして不意に喋りだす。
川 ゚ -゚) 「やべえ迷った」
ドクオの家にたどり着く前に、道に迷っていた。
川 ゚ -゚) 「あ、すみません。道を尋ねたいのですが……」
「にゃー」
川 ゚ -゚) 「え、いや……にゃーじゃなくてですね……」
何故か猫に道を尋ね始め、その場で座り込む。
川 ゚ -゚) 「ドクオの家に行きたいんですけど……」
「なー」
猫の頭をなでながら、懸命に道を尋ねる自称魔法少女二十四歳。
今年で二十五になるというのに、街中で猫に道を尋ねるそのさまは、いつ警察が来てもおかしくはなかった。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 20:59:27.50 ID:fS41vOTm0
川 ゚ -゚) 「いい加減教えてくれませんか……」
「なー」
川 ゚ -゚) 「いや、なーじゃわかんねえよ」
「それよりドクオの家じゃもっとわかんねえよ。誰だよドクオって」
川 ゚ -゚) 「うお。猫が喋った」
「喋ってねえよ。お前の力かなんかだろうが」
川 ゚ -゚) 「そういえば触っていたな。私の魔法やべえ」
「で? 俺になんのようだよ。日光浴邪魔してんじゃねえぞクルァ!」
川 ゚ -゚) 「いや、だからドクオの家までの道のりを知りたいのだが」
「そんな奴知るか! そもそも猫に聞くんじゃねえよ!」
川 ゚ -゚) 「お前……」
「ああん?」
川 ゚ -゚) 「突っ込みの素質があるな」
「帰れよ!」
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:00:38.80 ID:fS41vOTm0
クーはバツが悪そうに、猫に悪態をつきながらその場を後にした。
しょうがない。空を飛ぼう。不意にそんなことを思い立ち、自分の背中を叩き、翼を生やす。
川 ゚ -゚) 「なんでもありのご都合主義って怖い」
そんなことをぼやきながら、再びドクオの部屋に向かいたどり着くのだが、
考えるだけ考えて疲れ果てたハインと出くわし、徒労だったことを嘆き、
二人そろってドクオの部屋で眠りはじめた。
あれだけ真面目なふいんき(魔法使いだから変換できない)を出させておきながら、結局まともな進み方をしない。
だが、ショボンは動いている。彼だけが一人真面目に動いていた。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:03:35.70 ID:fS41vOTm0
* * *
……頭が重い。耳鳴りがする。ついにで言えば体中痛い。
どうやらまっ平らな床の上にそのまま横になり、眠っていたようだ。
そりゃ身体も痛いわな。まあいいや。
('A`)「よいしょっと」
上半身だけ起こし、辺りを見渡す。
まだ日は落ちておらず、あたりは明るかった。
とりあえずここは屋内のようだ。窓がある辺り、何かの部屋だろう。
「やっとお目覚めかね青年」
('A`)「ああ……そういえばそんな状況だったな」
lw´‐ _‐ノv「へろう」
寝ぼけていたが、俺は状況を把握した。
なるほど。こいつに意識を奪われ、その間にこのわからない部屋に連れてこられたわけだ。
目的はさっぱり見えないが、奴は確か話がしたいだのなんだの言っていた。
だとしてもだ。
恐らく穏便な内容ではないのだろう。でなければこんな強行手段は取らないはずだ。
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:05:51.06 ID:fS41vOTm0
lw´‐ _‐ノv「では早速だが、話に移るとしよう」
出来ればお断りしたいものだ。
しかし、そうは問屋が卸さないだろう。
ああ、というから返事だけを送り、俺は奴と目をあわす。いやん恥ずかしい。
lw´‐ _‐ノv「士農田工場からおぬしを引き抜く、というのは話したぞな」
('A`)「ああ」
それは話された。内容の全ては知らないが、引き抜く前提みたいなものは知っている。
なんでも、俺を引き抜いてから何かしら行動を起こすとかなんとか。
つまり、俺はその行動を起こすための鍵か何かの役割を持っているわけだ。
……あれ。俺そんな重要人物だったっけ。
なんかこの前初戦闘をしたばっかりなんだが。しかも辛勝だし。
lw´‐ _‐ノv「簡単に事が進んでくれると、こちらとしても助かるのだが」
('A`)「そういう言い方をするってことは、簡単に進むとは思ってないんだろう?」
lw´‐ _‐ノv「ご名答。しかし……一応問おうぞ。私たちの仲間にならないか?」
決まっていた。展開的にも、こうなることは予想済みだ。
あまりに綺麗な進み方だったがために、俺の口元が釣りあがる。
笑いをこらえながらに、俺は言う。
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:08:22.25 ID:fS41vOTm0
('∀`)「いいぜ! お前らの仲間になってやる!」
lw´‐ _‐ノv「えー」
当たり前だ馬鹿野郎。言ってしまえば正式にスカウトしに来たんだ。
だとすれば待遇もそこそこにいいだろうし、今の状況を比べれば当然だろう。
これで俺もようやくまともに生活が出来るってもんだ。
('A`)「でもまあ」
lw´‐ _‐ノv「あん?」
('A`)「こういうことを言うとな」
遠くから何かを破壊した音が聞こえる。
あまりに出来すぎた話。再び俺の口元が釣りあがる。
('∀`)「誰かが、必ずやってくるんだよ」
そんな非現実な展開。だが、今の俺にはありえる現実的展開。
フラグというのは気がつけば立っている。あとはそれを掴み、上手く処理すればいい。
そんなことを思い、発言した。するとやはりだ。
俺を閉じ込めていた部屋の壁が、静かに崩れ落ちる。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:11:01.46 ID:fS41vOTm0
lw;´‐ _‐ノv「よく、わかったな」
現れた人物に、俺は少し残念な気持ちにもなったが、
それでも、現時点で言うなれば
(´・ω・`)「当たり前だ。俺を誰だと思っている」
最強の変態が、そこに立っている。
(´・ω・`)「シュール。餌を自分で撒いてくれて助かったぞ」
lw;´‐ _‐ノv「なにを馬鹿なことを……餌を食っているのなら今頃ここには居まい」
(´-ω-`)「逆、だな」
lw;´‐ _‐ノv「なん……だと……」
(´・ω・`)「お前が逃げ回るのはすでに計算済みだ。それに加えて毎回残すヒント。
それを考えれば、簡単なトリックだった。普通ならそのヒント通りに行けば出逢える。
しかしそうじゃない。残したヒントと俺にはなんら関連性のない……
お前にだけ関係がある場所、つまり」
ショボンさんの赤フンが静かに舞い上がる。昇華の時だ。
というか、ショボンさんって意外に頭よかったんだな。石鹸屋の社長のくせに。
(´・ω・`)「ここだ。士農田工場本部。最も簡単な答えだった」
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:12:28.75 ID:fS41vOTm0
('A`)「……で、本当のことを言うと?」
(´・ω・`)「ドクオの魔力をたどって来た」
('A`)「ちょwwwwwwwww」
(´・ω・`)「とはいえ、理にかなっているだろう? シュール」
lw´‐ _‐ノv「くく……ククク……!」
(´・ω・`)「ふふ……フハハ……!」
互いに笑い始める。どちらとも悪役臭しかしない笑い方である。
唯一の良心は俺ぐらいか。まったく困った魔法少女だぜ。
ちなみにこんな怪しくも真面目な話をしているこいつらですが、
衣装は勿論赤フン一丁と、スク水です。本当にありがとうございました。
つーか一人の馬鹿がどう見ても少女じゃねえだろ。アホか。おっさんじゃねえか。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:13:46.40 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「決着をつけようか」
lw´‐ _‐ノv「貴様程度、相手にならんがな」
('A`)「お前ら二人揃って冥界に送ってやんよ」
真面目な展開になるのが非常に好ましくない。こんな展開真っ平ごめんだ。
そんなことを思い、こんなセリフを吐いたは良いが……。
('A`)「あれれー冗談なのに二人とも俺をにらんでるよー」
(´・ω・`)「覚醒したドクオ君の力も、一度肌で感じてみたかった」
lw´‐ _‐ノv「新戦力になる魔法少女の力……とくと味あわせてみよ!」
('A`)「うーん。今すぐバシルーラを自分に使いたい」
lw´‐ _‐ノv「「ゆくぞ!」」(´・ω・` )
('A`)「やべ、失禁する」
二人の姿が消える。何お前ら俺相手に二人がかりで向かってるんだよ。ふざけんな。
さっきまで険悪なムードが流れてて、さあ戦いだ!みたいな感じだったじゃねえか。
それが一体全体どうして標的変えてんだよ。己を貫けよ。クソったれ。
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:15:29.60 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「そぉい!」
(;'A`)「ちょwwwwwあぶねえwwwwwガチで来るなwwwww」
突然目の前に現れたかと思えば、魔法でも何でもない回し蹴りが鼻先をかすっていく。
ショボンは俺の能力を恐らく知っている。俺は魔法に対しての反射が主な能力だ。
魔法攻撃を受けることで、それを相手に跳ね返すことで攻撃に転じれるが、
俺が攻撃することはほぼ叶わないと言っても過言ではない。
lw´‐ _‐ノv「ふぉっふぉ。余所見をしている場合であろうかな」
('A`;)「バッキャローwwwwwお前もガチかwwwww」
後方から飛んできたのは雷。紫電を迸らせながら、地を駆けていた。
勿論、これは魔法攻撃に当たるものだ。おかげさまで俺は防ぐことが出来る。
だが、向こうは腐っても代表取締り役。能力に気づけばすぐに手を打ってくるだろう。
とりあえず撃たれた雷は跳ね返し、一撃お見舞いする。
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:16:34.93 ID:fS41vOTm0
lw´‐ _‐ノv「む……。私の攻撃をリフレクター一つで防ぎ、跳ね返したとな。凄まじい魔力だな」
おやおや厨二臭いセリフが飛んでおりますなあ。
……つーかノーダメージかよ。雷なんか食らったら人間の体は焼け焦げるだろうが。
それを涼しい顔して受けやがって。化け物かこの野朗。
(´・ω・`)「さてドクオ君。君の対処法を知っている僕に対してどういう風に攻撃するのかな?」
困った。
確かにそうだ。今現在この人と戦う理由はないが、向こうはやる気満々満なのだ。
そうなると嫌でも相対せざるを得ないわけだが、俺には攻撃の術がない。
('A`)「そう、ですねえ……」
そうなると、俺の脳内会議では満場一致である答えが出る。
当たり前の答えだろう。何かって? はは、そんなもん決まってらあ。
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:18:26.07 ID:fS41vOTm0
(;'A`)「逃げるが勝ちってね!」
(´・ω・`)「ちょwwwwやっぱりかwwwwww」
('A`)「当たり前だバッキャロー! 誰がてめえら万国ビックリショー人間に付き合えるかクソッタレ! ファッキン!」
俺は必死に逃げた。そりゃあもう明日を通り越して来世が見える勢いで逃げた。
だが現実で待っていたのはなんだ? 扉を超えた先にある未来か? それによって得られた明日か?
違うな。俺が見たのは、
lw´‐ _‐ノv「ふぉっふぉ。私から逃げるなんてミジンコぐらい存在感がなければ無理じゃのう」
(;'A`)「ミジンコは生態系を整える大事な役割があるんだぞ……」
地面だった。
何をされたのかといえば、まったくさっぱりわからない。
どれだけ短距離走が速くとも、
あの距離を一瞬で詰められる速度だと人間の体は耐え切れないだろう。
仮に耐えられたとしても、あんな余裕の表情を浮かべられるはずがない。
と、すれば俺がされた攻撃はなんだ? やはり魔法の類か?
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:19:33.35 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「相変わらず、卑怯な能力だなシュー」
lw´‐ _‐ノv「ふぉっふぉ。お前に言われたくないがのう」
(´・ω・`)「俺は魔法に頼りたくはないからな。男なら黙って肉体言語だ」
('A`)「おい責任者が魔法少女のアイデンティティをガン無視すんな」
lw´‐ _‐ノv「そうか……お前は変わらんな、この二十年間。何一つとして」
('A`)「あれれー視界からハブられてるよー」
(´・ω・`)「俺だけに言えたことか。お前も変わってない。何一つとしてな」
lw´‐ _‐ノv「変わったよ。……人は変われる生き物だ」
('A`)「クソ……どんどん話がシリアスムードになっていきやがる……!」
(´・ω・`)「変われる生き物? 違うな。変われたふりをして、結局何一つ変われしないんだ」
('A`)「全裸 de ダンス! ミュージックカモン!」
lw#´‐ _‐ノv「違う! 変わったんだ!
苦境を乗り越え、苦渋をかみ締め、そして成長し、退化して、私は変わった!」
(´・ω・`)「変わった気でいるだけさ。……俺も、そうだからな」
('A`)「駄目だ。俺一人じゃこのムードを変えられない。何一つな!」
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 21:20:56.00 ID:fS41vOTm0
(´・ω・`)「お前の過去も、俺の過去も知ったことじゃない。俺らがやることは一つだ」
lw#´‐ _‐ノv「いいだろう……。ならばはっきり白黒つけようじゃないか……」
('A`)「……」
ヘ('A`)ヘ いいぜ
|∧
/ /
('A`)/ てめえらがこの空気を
/( ) 変える気がないってんなら……
('A`) 三 / / >
\ (\\ 三
(/A`) < \ 三
( /
/ く まずはそのふざけた
幻想をぶち殺す!
lw#´‐ _‐ノv「「決戦だ!!」」(´・ω・`#)
('A`)「あれれー」
第六話 おわり
戻る/