('A`)と怪異のようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:00:39.96 ID:9LD0V53t0

('A`)「…マジっすか」

風呂から上がると、入る前に付けていた筈の廊下の電気が全て消えていた。
別に鞄が落ちてびっくりしたりはしない。

なんというオカルト。これは間違いなくフラグ。
明かりを付けたら間違いなく惨殺される。
このまま全裸でベッドに潜り込めば、翌朝枕元に

『あかりをつけなくてよかったな』

と、殴り書きが置かれてあるかもしれない。
いや、流石にそれはないか。
普通に、寝てる間に殺されますよねぇ。はは。

('A`)「はは」

怖いものって、一旦想像してしまうと、中々払拭されませんよね。
足が扉の外に出てくれようとしません。

しかし、ここは風呂場。つまり水場。
幽霊って言う、ハレンチな覗き魔達が集まっちゃうような場所です。
そんな場所に長居はしたくありませんが、何しろ一寸先は闇。
明かりの下からは、なるべく出たくはありません。

だが湯は冷めるもの。
このままでは湯冷めします。
湯の中にいても、いずれ冷え行く湯と共に病魔にかかります。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:04:43.60 ID:9LD0V53t0

取りあえず笑いながら出て行く事にしました。
笑う角ありゃ服着たれです。

('A`)「ははははははっはははははははh」

そのままははははぁー…と溜息をついて風呂場から出る。
よし出ちまえば大丈夫だ。大丈夫。

脱衣所の電気を付け、バスタオルに手を

(・∀ ・)「ばあ!」

(゚A゚)「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!111」





('A`)と怪異のようです

     『絶対に開けないでね!』の巻(・∀ ・)



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:09:00.68 ID:9LD0V53t0

(・∀ ・)「ばーか! ばーか!」

全裸で蹲り、背中をげしげしと蹴られる内に驚きが怒りに変化した。
そのまま体を捩じって足首を掴み、引き倒す。
相手が混乱している所で右腕を背に捻り上げ、寝技の完成。

(・∀ ・;)「ちょ、バカ痛ぇ離せ!」

(#'A`)「因果応報だ!」

体重は軽いほうだが、子供一人押さえ込むくらいの余裕はある。

(・∀ ・;)「やめろ背中にちんこ当たってる汚ぇ離せ!」

一応言っとくがな、俺は風呂上がりだぞ。
綺麗になった息子様に向かって汚いとは、許せん。

もう包皮にチンカスの溜まっていた包茎時代じゃないんだ。
俺は変わったんだ。
男として、一皮剥けたんだ。これは比喩だぞ。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:13:02.15 ID:9LD0V53t0

気の済むまで一通り殴り倒し、ぐったりしたまたんきを脱衣所の外に蹴り出す。
ずべしゃあとギコが2ゲットするように滑って行った。


         ズザザザザ
     ∩ ∩
   〜| ∪ |         (´´   こんな感じで。
   ヘノ  ノ       (´⌒(´
  ((つ ノ⊃≡≡≡(´⌒;;;≡≡
   ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒;;


しかし、家の床は全てフロォリングだ。
土が露出している場所なんてないし、埃の溜まっている場所だって物置しかない。


        ズキュキィキュキュッ

    ∧< /     (´⌒      つまりこうだ。
  ∠( (ー ノ-≡≡≡(´⌒;;≡
   ̄ ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒.



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:15:16.65 ID:9LD0V53t0

顔を押えてのたうち回るまたんきに気をよくした俺は、今日は全裸で寝る事に決めた。
深い意味はない。ただちょっと、解放感が欲しいだけだ。
夏だし。ビバ裸族。

('A`)「ふふんふんふ〜ん♪ …ふん?」

真っ暗な廊下をスキップで歩いていると、リビングから明かりが漏れていた。
明かりはあるが、しかし無音。

オイオイどんなドッキリだよ。
またもフラグか?
部屋の中心に女が立ってたり、TVが延々と砂嵐を流してたりしないよな。

後ろを見る。
またんきが体をくの字に折り曲げて寝ている。

『卑猥って文字って何か卑猥…』と寝言を言っている。
何て夢を見ているんだお前は。
だが今の言葉には全面的に同意する。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:18:40.55 ID:9LD0V53t0

俺は勇気を振り絞って扉を開け放った。
背中には汗が滲んでいる。
決して、背中を拭くのが面倒だったとかそんなんじゃない。

( ´_ゝ`)「おお〜ドクオ、お前もやるか?」

目の前に飛び込んで来たのは、妖怪布団被りだった。
冬は別にいいのだが、夏に出会うと著しく気力を消耗する。

('A`)「何やってんのお前」

( ´_ゝ`)「ホラゲ」

やる? と言って2Pコントロォラァ(白)を差し出す兄者。
色々と突っ込みたい事はあるが、零って一人プレイ専用じゃなかったっけ?

( ´_ゝ`)「隣で同じコントロォラァを握る奴がいるだけで、かなり心境は変わるのさ」

取りあえず布団を剥いておいた。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:20:54.12 ID:9LD0V53t0

( ´_ゝ`)「何すんだ返せ、それは俺のだぞ」

('A`)「自宅から友人の家に、布団だけ持って来るとかどんなんだよ…」

流石に男がくるまった布団に寝る気はないので、その辺に捨てる。
捨てた瞬間に兄者から1Pコントロォラァ(黒)が飛んで来た。
直前まで引きつけてカッコよく紙一重で避けようとしたら、タイミングを外してぶち当たった。
その隙に兄者は軍人もびっくりのスピィドで匍匐前進し、布団の下に潜り込む。

お前はどこのゴキブリだ。

(#)A`)「バルサン焚くぞコラ」

( ´_ゝ`)「せめてそこは練炭焚けよ」

わかってないな。
これはお前が虫けらだと遠回しに言ってるんだっての。
練炭なんか焚いたら、階下の人とかにも迷惑がかかるだろう。

( ´_ゝ`)「んな事言ってたら今月の電気代払わないよ?」

('A`)「すんませんした」

残念だが、俺はこの台詞に弱い。
こいつの定額給付金は、俺が全て貰っている。
その上、電気代は負担してもらっているので、強く出る事が出来ないのだ。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:24:25.79 ID:9LD0V53t0

だがこれだけは言わせてもらう、と俺はポォズを決める。

('A`)「ゲェムをする時は部屋を明るくして画面から離れてそのまま死ね」

( ´_ゝ`)「あー鏡石どこかなー」

シカトされた。
脱衣所の扉が開く音が聞こえたが、俺もシカトする。

( ´_ゝ`)「ホラゲやる時って、やっぱ部屋暗くしたほうが雰囲気出るだろ?」

('A`)「だからって家の電気全部消すなよ」

( ´_ゝ`)「そんな事してないぞ」

('A`)「あるぇ?」

んん、これは。何かとても嫌な予感が。
しかし、深く考えたら負けな気がする。
家の同居人は兄者以外にもいるんだし、またんきが消したって事にしておこう。

('A`)「せめてその布団脱げ」

( ´_ゝ`)「だって怖いと寒くなるだろ」

何がしたいんだお前は。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:25:28.09 ID:9LD0V53t0

俺は兄者に向かって唾を吐いて、その場を立ち去った。
床にべちゃりと落ちた唾は、後で自分で拭いておこう。

取りあえず服を着なければなるまい。
冷房をフルにしているお陰で、この家は寒い。
全裸で廊下に寝そべったら、膝が床に触れた瞬間、金玉がヒュンとなる冷たさなのだ。

ついさっきノォパンで寝るとかほざいたけど撤回する。
大事なのは今なんだ。昔は昔だ。
小学校の頃の担任は、そう言ってPTAのおばちゃん達に連行されてった。
何をしたのかは知らない。
寧ろ、知りたくもない。


ぱちっと付けた廊下の電気、またんきの死体がどっかに消えていた。
まあ墓場か布団か、どっちかに逝ったんだろう。

自分の寝室まで行き、そう言えば脱衣所にパジャマ置いてあったんだと思い出す。
やれやれ、最近記憶力が危ないぜ。
アルツハイマァの前兆か?

('A`)「あれ、俺風呂場の電気消し忘れてたっけ…」

もしかしたら、電気が消えてたってのは俺の勘違いかもしれない。
もしかしたら、元から付け忘れていたのかもしれない。
もしかしたら、俺はもうアルツハイマァなのかもしれない。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:28:33.60 ID:9LD0V53t0

今度病院にでも行こうかしら、と考えながら服を着る。
先に風呂場の電気を消すのが先じゃないか、とか言わない。
このアパァトは電気代一律だからいいのです。

('A`)「でも月々の電気代だけで2万逝ってるんだよな…」

一体誰の所為なんだか。一律で2万5千円だけど。
まあ、全部兄者が払うから、痛くも痒くもないんだけど。

付けっ放しにしておく気もないので、風呂場の電気をぱちんと消す。
なんか中から「きゃあ!」とか可愛い声が聞こえた。

え、何。何なの。
まさか、俺の残り湯を狙って入浴する可愛い美女幽霊か?

(   ;)「オイやめろバカ開けんな! 絶対開けんな!」

そんな訳ないですよねー。
中から響くのは、いつもの糞生意気な家出少年の声です。

('A`)「だが断る」

コントなどで「絶対〜やるなよ」ってのは、遠回しにやってと言う意味のツンデレだ。
俺はそう信じて疑わない。

まあ、多分こいつはそんな事考えてないだろうね。
何、実は包茎だから見られたくないとか? 粗チンだとか?
いやははは、小さい頃なら仕方ないってwwww被っててもwwwwww



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:31:48.78 ID:9LD0V53t0

('A`)「ザ・オォプン!」

がららぴしゃーんと開けた先には、

(;∀ ;)「開けるなって言ったじゃないかバカァ!」

貧乳ロリがいました。






貧乳ロリ。
これを英語にするとhinnyuuroriとなる。
hinnyuuroriと言えば犯罪、つまりこの文字の後には罪が来る。
hinnyuurori罪、後の文字はノイズだと思われるので消す。
そして全ての答えであるAを付け、並び替える。
すると導き出される答えはロリ犯罪。
つまり俺は前科持ち。

ごめんなさい。お父さん、お母さん。
この不詳の息子を許して下さい。
自分はペドフィリアだと思っていたら、ロリ属性もあったようです。


早速、この滾る欲望を抱えて、目の前のょぅιょ″にルパンダイブを



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:33:51.96 ID:9LD0V53t0

('A`)「そんな妄想は置いて、だ」

(・∀ ・;)「心の声丸出しだったぞ」

( ´_ゝ`)「そこは丸聞こえと言えよ」

兄者がやっていたゲェム機のコンセントを抜き、色々と強制終了させた。
砂嵐しか映さないTVも消して、静かになった居間で三人正座。
所謂、家族会議ってやつだ。家族じゃないけど。

ちなみに、囲むのはテェブルではなく青森林檎のダンボォルだ。種類はふじ。
持ち上げようとしたら意外と重かったので、ここまで引き摺って来た。
箱はほぼ満らしいが、ガムテープが微妙に剥がれている。
誰かが一度開けて、また閉じて、未開封でも装っているのだろうか。
別にそんな事を咎める程、俺の心は狭くない。

皺が寄ったカーペットは、後で直しておこう。
ああ、真上の点滅する電灯が切ない。後で交換しなければ。

('A`)「まず1つめ、廊下の電気を消したのは誰か」

( ´_ゝ`)ノ「それ俺」

はい、と軽く挙手して答えるのは流石兄者。
どっかの近くに住む駄目人間で、うちの電気代の殆どはこいつが食っている。
食ってる事に関しては、何も文句は言わない。
前述にもあるように、電気代は全てこいつ持ちだから。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:35:36.89 ID:9LD0V53t0

('A`)「お前、嘘吐きやがったな」

( ´,_ゝ`)「『家の電気全部消すなよ』に『そんな事してないぞ』とは返したがなあ?」

この揚げ足取りめ。取られるほうが悪いってか。

こいつは、気がつけば家に居て、飯も食わずにTVの前を陣取っていた。
電気代が一律になる前、思わず絶叫したくなるような法外な請求書が届き、
その時にその代金を全部こいつが支払った事から、敷金浮かせとして居座らせている。

以前、その金はどっから来るんだと聞いた事があった。
「お前も病気になればいいんだよ」と返された。答えになってない。
PCの前に座る姿を見た時はないが、株でもやってんのかと聞いた。

( ´_ゝ`)「適当に病んで、人前で発狂してゲロでも吐けば金は入るよ」

と返された。応えになってない。
まさか精神病院から脱走してきたアブない人かと思い、距離を置いた。
そうして、兄者の捨てた言葉を頭の中で拾って考える。

つまるところ、生活補助金てやつか。成程。池沼め。
攻めようとしても、背後には擁護団体がいる。
健常者には手が出せないってワケか。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:39:45.99 ID:9LD0V53t0

('A`)「俺も貰えるかなあ。補助金」

( ´_ゝ`)「お前ならそのままでも行けるさ、顔的に」

('A`)「ふざけんなイケメンでもない癖に」

( ´_ゝ`)「イケメン>>越えられない壁>>フツメン>>>キモメン>>>>>>グロメン

              ビミョメン≧綺麗な奇形                      奇形」

('A`)「整形外科でぱっちり二重瞼にしたら、俺でも少しは変わる筈だ」

( ´_ゝ`)「…目だけ可愛くても、それってただキモさに磨きかけるだけなんじゃ……」

('A`)「………」

( ´_ゝ`)「ー…」

反論出来なかった。
そして会話は終了。

深入りして面倒な事に関わるのは嫌なので、それ以上訪ねてはいない。
尋ねる前に、話は脱線しているが。

しっかし、病気と言ったが何の病気だろうか。
結核ならもう既に俺がアウトだし、俺とこうやって話してる時点で対人恐怖系には見えない。
…深く考えない事にしよう。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:43:18.25 ID:9LD0V53t0

(・∀ ・)ノ「脱衣所の電気を消したのは俺だぞー」

('A`)「知ってる。黙れ俺女」

なんだとー、と間延びした気の抜けた声を出す。
ずりずりと正座したまま近寄り、ぽかすかと右半身を叩き出す。
どうせ叩くなら背中にしてくれ、最近背中が凝ってるんだ。

俺は姿勢を崩して、またんきに背を向けた。
またんきの拳の位置は変わらないので、凝っている場所に拳が来るよう座る。

('A`)「あーそこそこ…いい感じ」

(・∀ ・)「ドクオってば年寄りみたいだなー!」

やーいジジイと悪態を吐くまたんきを無視して、今は打撃にリラックス。
前は「お前もいつかジジイになるんだよ」「へへーん」みたいなやり取りをしていた。
やっとあの「へへーん」の意味がわかった。

そうだよな、女なら糞ジジイにはならないもんな。
でもな、女はババアになるんだぞ。
しわくちゃのババアになるんだぞ。

(・∀ ・)「ジジイはしわくちゃのはげになるんだぞー!」

ですね。
でも私に髪はありませんよ。AA的に考えて。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:46:21.48 ID:9LD0V53t0

こいつも、気がつけば家に転がり込んでた物体その二。
まだ声変りもしてない事から未成年と決め付け、警察に突き出そうとしたら、

(・∀ ・;)「何も言わずにこれを受け取れ!」

と、金を掴まされた。
そして俺は、掴んだその八十五万円を無言で懐に捻じ込む。
まるで社会の暗黒面をコントみたいにして、斉藤またんきは此処に居る。

その外見と糞生意気な口調から、今の今まで家出少年と決め付けていた。
まさか家出少女だったとは。…途端にsneg臭がして来ましたよオイ。
あとsnegって初見スネゲって読んじゃいません? ませんか。

(・∀ ・;)「ドクオ、顔が危ないぞ」

炊事も洗濯も掃除もしないが、居るだけで寂しさは紛れる。
男と思ってた時は、ただ腹が煮えくり返るだけの存在だったが。
今となっては、部屋のマスコットキャラクターのようなものだ。

('A`)「ああ、ごめん。元から」

ニヤけていた頬を、両手で修正する。
いかんいかん、毒男でありつつも、容易く表情に出てしまうのが俺の欠点だな。

( ´_ゝ`)「……ぅゎぁ」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:50:46.18 ID:9LD0V53t0

くっ、兄者がまるで生ゴミを見るかのような目で俺を見ている。
リサイクルしようか、捨てようか、ここには畑がないから袋に詰めて捨てよう。
悪臭や悪習なんかが漏れないよう、袋の入口をきつく縛って。
いや、それだけじゃ足りない。万が一の為に、ファブっておこう。よし完璧。

そんな目だ。


(;'A`)「兄者よ。俺は弁解する。二次こそ至高。三次は、惨事でしかないと」

( ´_ゝ`)「…そう」

('A`)「そもそも俺は、前科持ちになる気はない。勇気もない。度胸もない」

('A`)「それ以前に、三次とか当の昔に諦めた」

('A`)「もし何かあっても、事前にカーチャンの顔を脳裏に思い浮かべるっていう荒業で乗り切ってるから」


       [ J( 'ー`)し ]


('A`)「こんな感じで、ね」

だからそんな目で見るのをやめておくれ。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:53:51.29 ID:9LD0V53t0

( ´_ゝ`)「…気付かなかったとは言え、家出少女を家に連れ込んだってのは
       世間に十分に犯罪として捉えられると思うがな。一般的に考えて」

(・∀ ・)「世間に気付かれたら親に俺の居場所がバレるーやめろー」

('A`)「俺の世間体を死守する為にもお前は此処にいろ」

そしてドクオは犯罪への第一歩を踏み出すのであった…と地の文を語る兄者。
やめろ。そんな事俺はしない。レイプは犯罪だ。していいのは妄想の中だけだ。
あと俺は、三次元は怖くて、本当、手とか出せないから。マジで。

(・∀ ・)「だからドクオのトコに来たんだぜー! そんな顔してるからなー!」

なにこいつ。可愛い事言ってくれるじゃないの。
そんな顔ってのは「他人に優しそうな顔」って事だよな。うん。
決して「グロ過ぎて人と付き合えないから虹へ逃げるような顔」じゃないよな。

(・∀ ・)「…」

何故黙る。
何か喋れ。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 17:57:48.92 ID:9LD0V53t0

('A`)「…」

( ´_ゝ`)「…」

(・∀ ・)「…」

話す事もなくなり、静寂が耳に痛くなってきた。
取りあえずTVでも付けようと辺りを探す。ない。そう言えば数ヶ月前から見ない。
それを見た兄者が、ごそごそとTVのリモコンを懐から取り出し、付ける。
リモコン無くしたと思ってたら、お前が持ってやがったのかよ。

( ´_ゝ`)「自分の財産管理に隙があるお前が悪い」

んだとふざけんな殺すぞ。

ミセ*゚ー゚)リ『〜の知らせです。犯人は喪男町2丁目0-72付近で行方を晦ましたそうです』

んだとふざけんな死ぬぞ。

口に何も含んでないけど、思わず噴いたじゃねーか。
しかも、喪男町2丁目0-72てこのアパァトじゃん。見失ってないだろ。
絶対アパァトの中に侵入してるって。立て篭もりフラグだろそれ。

ミセ*゚ー゚)リ『付近住民の皆様は、戸締りをしっかりとお願いします』

もう駄目だチャンネル変えよう。現実から目を背けよう。
俺は兄者からリモコンを取り返そうと襲いかかった。
しかし、右手の運動しかしていない俺が敗北するのは必然である。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:02:06.49 ID:9LD0V53t0

だが、男には引けない戦いと言うものがあるのだ。
俺はフラつきグラつきゲロはきつつも、立ち上がった。まるで主人公だ。汚れ役の。
兄者はそれを見届けると、迷いなく全力で、リモコンを壁に向かってぶん投げた。

砕けるリモコン。

(゚A゚)「てめぇえええええ! 何してんだ!!」

( ´_ゝ`)「知るか。俺以外の俺に聞け」

糞! ファック! それってつまりお前じゃねーか!
こいつたまにこんな意味不明且つ電波的破壊行動を起こすから嫌いなんだ!
俺は怒りに任せて鼻糞をほじり、兄者に向かってそれを弾いた。避けられた。

( ´_ゝ`)「『付近住民の皆様は戸締りをしっかりとお願いします』って可愛いお姉さんが言ってたけど
      戸締りしなくていいのかい? そりゃ盗むものなんてエロゲとまたんきくらいしかないけどさ」

あと俺らの命、と事も無げに兄者が言う。

(・∀ ・;)「俺!?」

( ´_ゝ`)「若い子ってば売れるんだぜ。初めてなら尚更。三重の意味で」

ちなみに三重は「みえ」でなく「さんじゅう」だと言い笑いながら、兄者が外へと飛び出してった。
玄関ではなく、窓から。またんきがそれに歓声を上げる。

(・∀ ・*)「おお! 兄者かっこいい!」

どこが? 兄者が着てた甚平の裾の翻り具合が?



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:05:34.11 ID:9LD0V53t0

なんだかよくわかりませんが、またんきが兄者に続いて飛び出して行ってしまいました。
説明として地の文に注釈を加えておきますと、彼らは自殺志願者ではありません。
自殺したら地獄逝き、なんぞと一部では言われておりますが、あの二人なら地獄も入店拒否。

('A`)「流れにノれないのは悔しいから、俺も飛び降りよう」

一応弁明しておくが、俺も自殺志願者ではない。
たまにとてつもなく死にたくなるけど。

('A`)「よっと」

ここは2階ですが、下に自転車小屋があるので、その上に着地出来るのです。
二人は先に屋根から降りて、なんか携帯をいじくっています。
ちょっと待て、その機種、それ俺の携帯じゃね?

('A`#)「こるぁああああああああああああ!!」

俺は叫びながら屋根の上から飛び降りた。猛る獅子のように。
そして着地地点にあった自転車のハンドルで、股間を強打した。

(・∀ ・;)「うわぁ…」

股間を押えて蹲る俺、カッコワルイ。
時折思い出したようにビクンビクンするが、決して某同人サークルの出す本の内容の真似ではない。
つーかこんなトコに自転車置いたの誰だ。きちんとしまえ。ちゃんと屋根の下に入れろ。
雨に濡れてもいいのかよ。盗まれてもいいのかよ。ぶち殺してやる。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:08:35.36 ID:9LD0V53t0

(・∀ ・)「ドクオー大丈夫かー?」

ああ、なんていい子なんだまたんき。またんき可愛いよまたんき。
女の子だと認識したら、途端に可愛らしく感じて来た。だが俺はロリじゃない。

俺が股間に走る激痛に悪戦苦闘の末、打ち勝とうとしているところに不意打ちをくらい、
妄想の中で力尽きようとしていると、ぴっぴっと携帯のボタンを押す音が聞こえた。
俺の携帯は、ボタンを操作すると音が出るよう設定してある。

勝手に鳴る音ではない。音が出る時は、使用時か、故障時だ。
またんきは、電子機器に疎いので携帯を使えない。つまり、

( A )「兄者…」

( ´_ゝ`)「ん?」

そのまま指を止める事もせずぴっぴっと押す。
地面にキスする俺の頭上に携帯電話が落とされた。
壊れたら弁償してもらうぞ糞が。
無論、俺の秘蔵プライベートフォルダの中身もな!

(・∀ ・)「ドクオードクオー、ここ危ないからもっとあっち行こう」

いきなり何を言うのまたんき。
やだ。やめて、まだ動けないの引っ張らないで。あふん。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:09:37.57 ID:9LD0V53t0

('A`)「駄目だ。もうまたんきの台詞が脳内で勝手にエロ変換される」

(・∀ ・)「!?」

( ´_ゝ`)「ほう、例えば?」

兄者が携帯をぱたんと閉じた。
畜生、アドレス帳は母親のしか入ってないから大丈夫だとして、他に何か見られてないだろうな。
こんな事になるなら、面倒くさがらずにさっさとロックかけときゃよかった。

('A`)「ここ危ないから→ここだと誰かに見られちゃうから
    もっとあっち行こう→もっと人目がない場所に逝ってシよう」

それでも答える俺、ジェントルメン。

(・∀ ・;)「変態! 変態!」

俺を罵倒しながら、ぽかぽかと背中を殴るまたんき。
可愛いよまたんき。ふふふ、またんき。
そんな事をしてもお兄さんは喜ぶだけだぜ。

( ´_ゝ`)「またんき、危ないお兄さんから離れようか。それ以上近くにいると危ない
       その内、黄ばんだような白くて粘っこい汚らしい液体が頭上から降り注ぐぞ」

(・∀ ・;)「ドクオ! お前魔法使いだったのか!?」

何その曲解。
確かに、このまま行けば、三十路には魔法使い確定ですが。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:12:39.92 ID:9LD0V53t0

(・∀ ・*)「すっげーなードクオ! 魔法使いなら犯人もすぐに見つけられるよな」

('A`)「へ?」

またんきの話が飛躍し過ぎてて理解出来ない。
何、股間押えて悶絶してると思ったら、実は俺気絶でもしてたの?

( ´_ゝ`)「犯人逮捕に協力すると賞状貰えるって言ったらさ、捕まえたいって」

そうですよ。
今まで股間に気を取られて忘れていましたが、あの事件の犯人さんが近くにいらっしゃるんでした。
確か、ニュースで見た彼の罪状は、放火、強盗、殺人、婦女暴行。
そんな凶悪犯を捕まえるですと?
またんき、頭が弱い子だとは知っていましたが、まさかここまでとは。

そして兄者。てめぇは煉獄に焼かれて来い。

('A`)「おm(・∀ ・)「それじゃー二手に別れようぜー、ドクオあっちで兄者と俺がこっちな」

('A`)「人の台詞に割り入って来るなんて! 見損なったぞまたんき!」

( ´_ゝ`)「そうだぞまたんき。こんなもやしをほっぽいて行ったら、それこそ死んでしまう」

ヒョロ長い分、お前のほうがモヤシだよコンチキショウ。
つーか、捕まえる策とかあんの? ないよね?

(・∀ ・)「むむ! 怪しい人影発見!」

両手をぶんぶん振り回し、待てー犯人め、と叫びながらまたんきが明後日の方向に駆けて行った。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:15:53.16 ID:9LD0V53t0

(;'A`)「あ、お、オイ!」

追い駆けないわけにはいかないでしょう。
私は股間から両手を解放し、地に肘をついて立ち上がりました。

こんな深夜、狼がうろつき犇めいてもおかしくはない通りに、ノーブラの女の子を放り出すなど。
ああ、こうして見ると、ランニングから覗く膨らみかけた胸と、短パンから覗く太股がまばいい。
またんきハァハァ。

おっと、ウドの大木が、まるで犯人を見るかのような視線で射抜いてきます。
さっさと追い駆ける事にしましょう。




('A`)「見失いました」

( ´_ゝ`)「ここから直進、二つ目のT字路を右へ曲がれ。この右曲がりが」

('A`)「サンクス。だが、俺のちんこが右曲がりなのを何故知っている」

( ´_ゝ`)「せめて隠れて行えよ」

('A`)「てへ☆」

見られるのが快感です。女の子ならば尚更。冗談です。
またんきに見てもらいたいのですが、彼女の年でこんなものを見せたら、非行に走りかねません。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:19:03.92 ID:9LD0V53t0

右曲がりを左手で修正しながら右へ曲がると、またんきがいました。
両手を上下に振りながら、がに股で待っています。
AA的にそうなのですが、一応は女の子なのだから、がに股はやめなさい。

('A`)「めっ」

(・∀ ・)「うるさいぞ右曲がり!」

な、なんですって。驚喜しますよ。
またんきと同じ行動をして、驚きと喜びを表現していると、後ろから頭を叩かれました。

( ´_ゝ`)「はーい電話」

('A`)「は?」

目の前に突き出された俺の携帯。
その画面に浮かぶのは国家権力の番号。ひゃくとおばん。
ひゃくとうばんと言うのは、現代仮名遣いとしては間違った表記である。
正式名称は警察通報用電話。つまりは110番。
現代日本において、警察機関に提供される緊急通報用電話番号である。

それが俺の携帯に、

(゚A゚)「てめぇドコにかけてんじゃブルァアアアアアアア!!」

( ´_ゝ`)「俺面倒くさいから状況説明お願い。詳細についてはまたんきから」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:22:15.93 ID:9LD0V53t0

ああよかった! よく見たらまだ青い通話ボタン押されてない! 本当によかった!

('A`)「またんきkwsk! でも産業で!」

(・∀ ・)「>>ドクオ
     ・ドクオは気付いてなかったけど、ダンボールの中に人がいた
     ・兄者と二人で共謀して、ドクオも部屋の外に出るよう仕向けた
     ・あれが犯人じゃないにしろ不法侵入、よって逃げよう」

('A`)「んんんんん僕は思慮に欠けるので、もう産業お願いします!」

(・∀ ・)「>>バーカ
     ・危険が危ない
     ・会話を聞かれると不味いので遠くへ行ってから通報しよう
     ・よって、今までのは茶番」

( ´_ゝ`)「解らない人は、流石なお兄さんがくどく遠回りに教えてあげよう
       ここにx+y=zの式があります。xに>>ドクオを代入し、yに>>バーカを代入します
       =とはつまり今までの過程です。zは答えではなく結果。さあドクオ、これで最後だ」

そう長ったらしく嫌味に言って、兄者は携帯をぶん投げた。
ぶん投げられた携帯電話を、今度こそ俺はキャッチした。
二度とリリィスなんてしない。させない。

( ´_ゝ`)「知ってるか? 百十番って、勝手に繋がるんだぜ」

何それトリビア。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:25:28.90 ID:9LD0V53t0

どうせこうなったら避けられない。
ここまでデカイ嘘で人を嵌めるような奴らじゃないし、やってやるよ。

国家のわんちゃんが電話に出るまでの数秒間、俺は疑問を投げた。早口で。

('A`)「なんでお前らが気付いて俺は気付かなかったんだよ、不公平だ
    俺もお前もまたんきも、条件は一緒だったはずだろう糞が」

(・∀ ・)「えー、だって俺、あの箱の中の林檎食べちゃってたもん」

('A`)「何処のピンクの悪魔だよ」

あのダンボールには五十くらいの数の林檎が入ってたはずだ。
そして、あの林檎が届いたのは三日前。
三日で五十の林檎全部食うとか、どんだけだよ。

( ´_ゝ`)「俺はまたんきが林檎剥くのに失敗して指切って、代わりに剥くの頼まれたから」

('A`)「俺にも食わせろよ、あれ俺のカーチャンの仕送りなんだぞ」

なんかもう泣きたくなってきた。色々な意味で。
最近どうも涙腺が緩い。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:27:45.61 ID:9LD0V53t0

そして、今俺の部屋にいるだろう、ダンボールの中の人よ。


ダンボールの中って、そりゃ何処のスネークだよ。
普通はベッドの下だろ。下男だろ。
包丁持ってて、友達の女の子に見つけられて、コンビニに避難するんだろ。


( ´_ゝ`)「この世には不思議なことなど何もないのだよ、ワトソン君」

何か二つ、混じってるぞ兄者。
医者なのか小説家なのか、はっきりしやがれ。


( ´_ゝ`)「真実とはいつも、他人の理解とは無関係の所にあるものだよ」

お願いだから会話をしてくれ。言葉のキャッチボォルをしてくれ。
俺の言葉を聞いてくれよ。お前の言葉は聞こえないが。

全く、電波野郎と会話するのには、時間と根気と粘り気がいるね。


('A`)「んだそりゃ…つまり、俺には理解出来ないって事かよ?」

そして兄者はものすっげぇムカつく笑みを浮かべて、その通りと言い捨てて逃げ帰った。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 18:30:50.46 ID:9LD0V53t0

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崖っぷちに、一人の人が立っていました。
それを見た通りすがりは、まさか命を捨てる気なのか、と思いました。

引き留めようと声をかけます。
それに人は応えました。

「俺ってばフォーエバー」

そう言って、人は崖の上から身を投げました。
通りすがりは、人を引き留める事が出来ませんでした。

____________________________


1” 『絶対に開けないでね!』
                     おしまい



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