('A`)と怪異のようです
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 19:44:04.95 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「ふい〜」
- ざばあと湯桶の中の湯を被る。
- 今日も色々あった。色々あったので、疲れた。
- 学生ニートなので、主にネットでだけど。
- ああ、あいつの真っ赤な顔が目に浮かぶぜ。
- 想像だけど。
- ('A`)「いっい湯〜だ〜な、ハハハン♪」
- イントネーションを変えて、もう一度いい湯だなを繰り返す。
- 次の歌詞は知らない。ここしか知らない。何の歌かも知らない。
- なんとなく、風呂場で親父が歌っているのが、耳に残っただけだ。
- さて、体を温めてから上がろうと、湯船に片足突っ込んだ所でチャイムが鳴った。
- なんでいつもいつも、俺が風呂にいる時に誰か来るんだ。
- 水か、水が悪気を呼び寄せてるのか。霊的に考えて。
- 『居留守使うんじゃないお! そこにいるのは分かってるんだお!』
- 続いて、がんがんがんと扉が乱暴にノックされる。
- いや、これは蹴ってるのか?
- どちらにしろ、破られたら弁償してもらおうと考える。
- そしてその考えは決行される事となる。
- 何故なら、べきぃ、ばたんと言う擬音が家の中に木霊したからだ。
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 19:48:27.64 ID:9LD0V53t0
- どすどすどすと重い足音。
- そのまま床が抜けろとの毒電波は、残念な事にフロォリングは受信してくれなかった。
- 今度、アンテナでも付けるかな。床に。
- がらり、と風呂場の扉が開けられた。
- ( ^ω^)「やあドクオ! 唯一無二でもない親友よ! 生きてるかお?」
- 扉を開け放ち、靴を脱ぎながら劇の台詞を言う。
- そのバカは俺の、唯一無二のである親友だった。
- どうでもよくないけど、今ここに来て靴を脱ぐな。
- ('A`)と怪異のようです
- 『希望を持って覗く事』の巻( ^ω^)
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 19:51:32.48 ID:9LD0V53t0
- ( ^ω^)「気でも狂ったのかドクオ! 早くその粗末な箸をしまうお!」
- 仰け反り、右手を額に当て、左手の人差し指でびしぃと俺を刺す。
- なんかそれ、ジョジョっぽいポォズだな。
- それにしても箸とは、言ってくれるじゃねぇか。
- 長さでも太さでも硬さでも勝負出来ない俺を、蔑んでいるのか。
- ('A`)「勝手に人の風呂場に踏み入って、ほざく事がそれか」
- ( ^ω^)「そんなの、僕の押したチャイムに出ないドクオが悪い」
- なんて不遜な態度だ。お前なら間違いなく地獄の大公になれるぞ。
- 傲慢さで地に落ちた、あの天使みたいに。
- ( ^ω^)「まあ、風呂に入ってたのなら仕方ないお。今度から叫ぶお」
- ('A`)「お前ここがアパァトだって忘れてないか、隣人に迷惑だぞ」
- いつだったか、大音量でエロゲをしていたら、隣人が押し掛けて来た。
- チャイムも鳴らさず、壁をぶち破って。
- (#-_-)『その顔で女連れ込んで満足かよ! 俺にも紹介させろ!』
- そして、プレイしていたエロゲを紹介。
- 以来、彼とは友人としての不純な付き合いをしております。
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 19:53:49.49 ID:9LD0V53t0
- ( ^ω^)「顔見知りなら、問題ないんじゃないかお?」
- ('A`)「知り合う仲にも礼儀あり、との名台詞があってだな」
- ぴしゃんと扉が閉じられた事によって、俺の名台詞が中断される。
- 浴室ドアの向こうから、さっさと服を着るお! とか聞こえた。
- やっべー、俺お前と親友やめたいぜ。
- 取りあえず、親友から友人に格下げな。
- 金銭的免除から、知り合いに格下げはしないどいてやるよ。
- ('A`)「ごめん、着替え忘れたから持って来てくれる?」
- ( ^ω^)「この阿呆」
- 罵倒しながらパジャマを投げてくれた。このツンデレさんめ。
- ありがとう、親友よ。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 19:54:51.19 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「で、だ」
- 親友である内藤が持って来た、高級玉露をひと啜り。
- ううん、うまい。
- 何がうまいのが、庶民的な舌を持つ俺にはわからんが。
- ('A`)「今度は連絡も糞もなしに来やがったな、また何か急な用事か?」
- 以前、内藤の飼っている恋人が行方不明になった時。
- この辺りを探すから、泊めてくれと懇願し、承諾する前に家に押し入った。
- 理由を聞いたら、家に帰ってまたここに来るまでのロスタイムが惜しいとの事。
- 勝手に俺のベッドを占領し、勝手に同居人の飯を食い、風呂を使った。
- そして元気になったホライゾンは、走ってこの部屋から出て行った。
- 後に遺されたのは、食い散らかしたインスタント食品と、しわくちゃの布団だった。
- ('A`)「なんか、嫌なの思い出した」
- ( ^ω^)「人間、楽しい事よりも、辛い事のほうが記憶に残り易いんだお
- そうして、危険や不快な事を回避出来るように作られてるんだお」
- ('A`)「そうですね」
- 原因はお前だけどな、と心の中で付け加える。
- こいつと知り合いである限り、回避出来そうな気はしない。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 19:58:35.56 ID:9LD0V53t0
- (・∀ ・)「おー内藤久し振りー」
- ( ^ω^)「おお、久し振りだお。何年経っても変わらないその姿、まさしく犯罪で」
- (・∀ ・)「バカにしてんのかー」
- てめーこのやろーと、間延びした怖くもなんともない声で威嚇する。
- それを内藤は、まあまあと言って落ち着けようとする。
- 兄者はプリキュアを見ている。俺は初期の二人の方が好きだった。
- ああ微笑ましい。
- いっそ笑いたくなるくらいにシカトされてんな、俺の質問。
- ('A`)「で?」 ( ^ω^)「っていう」
- ('A`)「ふざけんな。何しに来たんだよ。質問に答えろ」
- 内藤は自分の胸の谷間に手を突っ込…訂正。
- 内藤は胸の内ポケットに手を突っ込むと、一枚の写真を取り出した。
- ( ^ω^)「この子、見かけなかったかお?」
- [ o川*゚ー゚)o ]
- ('A`)「何このロリ」
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:02:31.50 ID:9LD0V53t0
- 写真に写っているのは、肩辺りまでさっらさらの髪を伸ばしている女の子。
- 元気にちっちゃな両手をあげて、アテクシ可愛いアピィルをしている。
- この年からスイィツの片鱗を見せるとは、中々油断できないロリだ。
- ( ^ω^)「探し人だお。見つけたら教えてくれお」
- ('A`)「お前、半学生ニィトである俺にそれ聞くとかどうなんだ」
- ( ^ω^)「その学生である半分に賭けてるんだお。ドクオでもコンビニくらいには逝くお?」
- ('A`)「まーな」
- ( ^ω^)「だお」
- しかし、行くと言っても人通りの少ない早朝か深夜しか行かない。
- 何故なら、人に会うのが嫌だからだ。別に怖いとかほざいてる訳じゃない。
- 夜は幽霊が出るかもしれんが、人よかマシだ。
- 幽霊は元・人じゃね? とか突っ込まない。言わない。思わない。
- ('A`)「三ヶ条」
- ( ^ω^)「何言ってるんだお、ドクオ」
- ('A`)「気にしないでくれ」
- 内藤は、ちょっと危ない人を見るような目で俺を見る。
- ざっけんな。鏡見やがれ。この裸コォト野郎が。
- 68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:05:36.03 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「つーかなんで捕まらないんだよお前。歩く猥褻物陳列罪じゃねーか」
- ( ^ω^)「愚問だお。陳列しなければどうと言う事はないんだお」
- 確かにその通りではあるが…隣りを歩く男のコゥトの下が、素っ裸とか、ねぇ?
- どう考えたって嫌だろう。俺だったらちょっと通報する。
- ( ^ω^)「たまにないかお? 履くものを間違えたり、着忘れたり」
- ('A`)「何をどう忘れれば、裸になんかなれるんだよ」
- ( ^ω^)「裸じゃないお、コォト着てるお、ネクタイ締めてるお」
- 内藤は、素肌に巻いたネクタイをきゅっと絞った。
- 病的に白い肌のお陰で、下はワイシャツか何かだと思われていんだろうか。
- いや、それにしても限度がある。
- ( ^ω^)「例えば『これでいつでも出来る』みたいな心構えと似たようなものなんだお
- 地震や火事の備えである非常持出袋とか、雨降りそうな時の傘とかだお」
- ('A`)「それがどう裸コォトと一致するんだよ」
- ( ^ω^)「予め脱いでおけば、いつでも露出できるお」
- コォトの下の世界。
- 知らなければどうと言う事はない。
- まさに知らぬが仏。
- 70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:10:28.13 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「通報シエスタ」
- 俺は内藤から光速で写真をふんだくる。光速と言うのは単なる比喩である。
- そして、ダッシュでベッドの中に潜り込もうとし、先客のまたんきに蹴り落とされた。
- ('A`)「糞が!」
- だが、俺は決して諦めない。妥協しない。
- 信念を曲げない昔のRPGの勇者のように、決められた物語を進む事しか出来ない勇者のように。
- 俺はまたんきを羽交い締めにすると、足を使って器用に布団を被った。
- 布団の上から通報シエスタ! とか聞こえる。叫びが聞こえる。
- 俺は俺以外の全てに無視を徹底する事を取り決め、寝た。
- ('A`)「…んごー! ぐがー! ずぴぃいいいい!!」
- (・∀ ・#)「だー! ドクオの鼾うっせeEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
- 72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:14:49.80 ID:9LD0V53t0
- ヾヽヽ
- (,, ・∀・) < チュン!
- ミ_ノ
- 翌朝。 ″″
- 何故か腕の中で小動物が丸まっていた。
- 俺は何処かで何か間違っても、人として間違いだけは起こさないとだけ思っていた。
- 自分に失望し、絶望し、項垂れ落涙していると、小動物が目覚めた。
- (・∀ ・;)「朝っぱらから何泣いてんだ? とうとうおかしくなったのか?」
- 俺は事の顛末を説明する。このまま前科者の仲間入りをしてしまうのかと。
- そして、またんきのない胸で男泣きをした。うーんAAカップ。アスキィアァトなだけに。
- 貧乳には貧乳の良さがあるってね。俺は程良くある美乳派だが。
- ('A`)「なんかどうでもよくなった」
- (・∀ ・)「切り替え早過ぎんだよこの変態」
- 小五ロリであるまたんきにどつかれても、痛くも痒くもない。
- 仁王立ちで高笑いし、ダメェジがない事をアピィルしていると玉を握り潰された。
- 駄目、そこは駄目。
- (・∀ ・)「へへーんだ!」
- 女にも、この痛みが解ればいいのに。
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:18:21.90 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「この野郎が、皆の真上にsunがあるなら、皆の股間にsonがあったっていいじゃない!
- 息子か? 息子ってネェミングだから駄目なのか? やっぱショタといえ男だと萎えるってか?
- ならばどうだ、これでどうだ。逆に考えるんだ。別に逆じゃないけど。言い方を変えるんだ。
- 『皆の股間に娘があればいいのに』と変えるんだ。…やべぇ、おっきしてきました^^」
- 俺の長所の一端として、オカズがなくても妄想で補えるという点がある。
- デメリットは、所構わず発動してしまい、授業中むくむくとテントを張ってしまうという点だ。
- ハァフスタンド
- 所謂、半 勃 起。 ルビカッコイイ。
- その所為で、女子から軽蔑の視線で見られると言う…
- ('A`)「まさか地の文で脱線するとは思わなかった」
- (・∀ ・)「?」
- ('A`)「いや、こっちの話、こっちの話」
- (・∀ ・)「??」
- ('A`)「僕、疑問符が二つ以上連なっていると、どうしようもなく苛立つ時があるんです。
- 別にその人が嫌いだとか憎いとか言う訳ではなく、ただ苛立つんです。
- どなたか僕の意思にシンクロして下さった方は『はいてません』と書き込んで下さい。嘘です」
- (・∀ ・)「(病院連れてったほうがいいのかなー…)」
- 74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:21:25.79 ID:9LD0V53t0
- 俺は朝飯を食う前に着替える質なので、ささっとスウェットに着替える。
- またんきや兄者や妖精さんが、居ようが居なかろうが関係ない。
- 俺は人に見られて興奮するような、内藤のような変態性癖の持ち主じゃないしな。
- それに、着替え始めると皆無言で出て行ってくれる。
- いやあ、全くこういう時を判る奴らばっかりでよかったよ。覗きとか信じられないね。
- ( ´_ゝ`)「おいドクオ、カップラァメンが切れてたから足しといたぞ」
- ('A`)「おお、どーも」
- 兄者はそう言って、開けっぱなしだったドアを閉めて姿を消した。
- 覗かれる方も、色々事前の対策しとかないと、ですよね。
- 俺は今度からドアをオォトロックにする事にした。
- そのお陰で後日寝小便をぶち撒ける事になるのだが、それはまた別の話。
- ('A`)「カップラァメンか…朝だから、重くないのがいいなあ」
- カレェとか、焼きそばドゴォンとか、豚チャァシュゥとかはお断り( ゚ω゚ )だ。
- あっさりしたのがいい。海鮮系。シィフゥドチキンとか。
- そしてその望みは果たされた。わかめそばが一箱。
- カップラァメン足しといたって言葉で、勝手に多種多様なカップラァメンの山を想像していた。
- わかめなら、当分持つね、色々な意味で。
- わかめって、湯を吸って膨れるんだろ? 腹持ちいいじゃん。
- 75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:22:27.43 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「ウマー」
- (・∀ ・)「うめー」
- ( ^ω^)「ウメーお」
- 何故か普通に内藤がいる。寄りによって兄者の定位置に。
- 俺はカップラァメンの残り汁を内藤に向かって投げた。
- 内藤はピザとは思えない素早さで容器を打ち返す。
- わかめそばは、華麗に窓の外に飛んで行った。
- 道路を歩いていた通行人Aの悲鳴が聞こえたけど、気にしない。
- ( ^ω^)「何するんだお! 一張羅が汚れたらどうするんだお!」
- ('A`)「一張羅も何も、お前一張羅しか着てねーじゃん…」
- ( ^ω^)「と言うか、今までのあらすじも伏線も、ここまで無視して普通に進めるなお」
- ('A`)「え?」
- 内藤は自分の胸の谷間に手を突っ込…訂正。
- 内藤は胸の内ポケットに手を突っ込むと、一枚の写真を取り出した。
- ( ^ω^)「この子の事だお!」
- [ o川*゚ー゚)o ]
- 77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:25:28.24 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「そう言えばそんな事もありましたね」
- ( #^ω^)「うぉおおおおい!」
- ばん! と床に写真を叩きつける。
- なんでそんな薄っぺらい紙切れでこんな大きな音が出るんだ。
- 大丈夫なのか物理法則。
- ( ^ω^)「この辺を調べてたら、行方が判ったんだお」
- ('A`)「そりゃよかったじゃん」
- 内藤がここに遊びに来てくれるのは歓迎だが、これ以上の宿泊は勘弁だ。
- 俺は素直に、内藤を賛美する。
- ( ^ω^)「この子の母親は、怪しい宗教に入り浸ってたらしいんだお」
- ('A`)「ふんふん」
- 鼻糞をほじりながら相槌を打つ。
- ( ^ω^)「その宗教の集会所みたいな建物は、あの平屋にあるらしくて」
- ('A`)「ふん」
- 鼻糞を鼻息で打ち出す。
- 78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:30:03.13 ID:9LD0V53t0
- ( ^ω^)「近隣の住民の皆様方によると、この子はその平屋に母親と一緒に入ったらしいんだお」
- ('A`)「…子供に同情するわ」
- その子の母親が、夫にDVくらってたとか、癌だとかで正常な判断を見失ってたとかは知らない。
- 事情を知らないからこそ、母親を否定できるし、子供を哀れむ事も出来る。
- ( ^ω^)「それで、その母親が出て来た時は、その子はいなかったらしいんだお」
- 内藤の言葉に、俺は玉露を噴出する。
- ('A`)「え、何それつまり、監禁?」
- 俺の言葉に、内藤はこくりと頷く。
- どんな話だよそれ。生贄として捧げましたとか?
- 実は児童ポルノの裏ビデ撮影とかそんなオチじゃないよな?
- ('A`)「それ、警察頼ったほうがいいんじゃないのか」
- ( ^ω^)「…この依頼をした旦那さんは、警察には駆け込みたくないらしいお」
- ああ、そうだったな。
- お前の所に来る依頼は、そんなんばっかりだったな。
- つーか嫌な予感がする。探偵って守秘義務がモットォだろ?
- なんで俺にそんな事を伝えるんだよ。
- 俺とかその辺を歩く通行人A以下、ただの一モブだろうがよ。
- 79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 20:33:37.48 ID:9LD0V53t0
- ( ^ω^)「僕一人だと少し危険が危ないから、ドクオにも来て欲しいんだお」
- ほーら来ました! 来たよやっぱり!
- (゚A゚)「ふざけんな! 俺に何が出来るって言うんだよ!」
- 状況が状況なら、主人公の名台詞にもなる括弧内。
- しかし俺が言うと、ただ外に出たくないとだだを捏ねる引き篭もりである。
- ( ^ω^)「大丈夫だお、ドクオは僕が護るお」
- あれれー? 何か変な言葉が聞こえたよー?
- 内藤、それはゲロインに向かって喋る言葉だ。
- 決して男に向かっていう台詞じゃねぇ。新しい八百屋でも開拓する気か貴様。
- ('A`)「どっちにしろ、俺は行かないからな」
- 俺が行ったって、プラマイゼロならずマイナスである。
- もしかしたら、二人まとめて逝ってしまうかもしれない。
- 人生ゲェムオゥバァだけはごめんだ。まだ親孝行もしてない。
- ('A`)「第一、頼る相手が俺とか間違えてるだろ」
- 俺よりも、いいのが沢山居るに決まっている。
- 内藤の交友範囲は広いのだ。
- 93 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [あ、書き込めた] 投稿日: 2009/07/15(水) 21:19:30.17 ID:9LD0V53t0
- 俺がサボらず毎日元気よく登校していた日に見た、あの化け物とか。
- [ ( ゚∋゚) ]
- 体育館裏での乱闘、古の風景。
- その中で、十を相手に一で勝った男。
- その名はクックル。
- 血溜まりに伏せた敵の人数は数知れず。
- あの後、止めに入ろうとした教師陣や警察官もまとめて吹き飛ばした。
- その様に、俺は痺れて憧れた。
- なんでまだ大学に在学出来るんだよお前。
- ('A`)「クックル、クックル呼べよ」
- ( ^ω^)「着拒されたお」
- ('A`)「なんですと」
- 95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:24:41.76 ID:9LD0V53t0
- ( ;ω;)「だからもうドクオしか頼る人がいないんだお!」
- おーんぷてらのどーん! と泣き叫び始めた内藤。
- ごめん。せめて、手に持ったその目薬を隠してから泣き始めてくれ。
- ('A`)「頼る奴だったら、他にも兄者とかいるだろうがよ…」
- ( ;ω^)「…」
- ぴたりと泣き止んだ。
- そう言えばまだあいつが残ってた、的な顔だ。
- ヒキヲタ学生ニィト俺よりも認識度が薄い兄者カワイソス。
- ( ^ω^)「兄者! 兄者いるかお!」
- ( ;´_ゝ`)「目の前にいるだろ…」
- ( ^ω^)「わお」
- 畳んでいた布団の隙間からにゅうと頭が出て来た。なにこれきもこわい。
- 兄者が出て来た後も前も、布団の盛り上がり具合は変わらない。
- 何処に潜んでたんだよお前。
- ( ´_ゝ`)「一応話は聞いてたけどさ…俺も行かんからな」
- 内藤が目薬を自分に向けて発射した。
- 96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:28:44.74 ID:9LD0V53t0
- ( ;ω;)「お゙お゙お゙お゙おおおおおぉーん!!」
- ('A`)「お前そこまで体張るなよ…ドリフのタライだって、痛くないように作ってあるんだしさ…」
- 今のは見てるだけでも痛い。
- 例えるなら、水圧が強い水鉄砲を目に向かって発射された時のようだ。
- ( ;ω;)「違うお! 今のこれは本当に痛いんだお! 加減を間違えたおおおおお!!」
- なんてバカな奴だ。救いようもない。
- うぎゃああと部屋の中を転げ回る。
- 俺は肉布団にプレスされる前に、タンスの上に逃げた。
- 兄者は肉じゃないほうの布団を抱えて窓枠の上に逃げた。
- もし兄者の保険金の受取人が俺だったら、突き落とすかどうか迷うところだ。
- ( ;ω;)「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!」
- 伊国語を放ちながら、部屋にある物をプレスして回る内藤。
- ティッシュ箱ならまだわかるが、なんでラジオレコーダーも同じようにプレスされてんだよ。
- おかしいだろ。
- コートの下が裸とか言いつつ、何仕込んでやがるんだ。
- ( ´_ゝ`)「つーか床抜けるだろこれ」
- ('A`)「ですよね」
- 99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:31:49.63 ID:9LD0V53t0
- そして俺は兄者と共謀し、作戦を実行した。
- まず兄者が、内藤が真下に来た瞬間に、抱えている布団を落とす。
- そして、内藤の動きが鈍った隙を狙い、その上に二人で飛び降りるというものだ。
- ('A`)「制圧完了!」
- (・∀ ・)「おー!」
- ( ´_ゝ`)「おーぅ」
- ( ω )「………」
- と言うのは嘘だ。
- ロォリングする内藤に布団を落とせば、布団を巻き込んで止まってくれるかもしれない。
- そんな楽観的な作戦だった。
- しかし、現実は時として非情。
- 布団を巻き込み続けてもロゥリングは止まらない。
- 諦めかけた俺達に一筋の光明が差し込んだ。
- それは少女として具現化し、災厄の上に舞い降りた。
- もとい、飛び降りた。
- 続けて、俺達もダイブした。
- 内藤の上に。
- 101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:35:32.69 ID:9LD0V53t0
- ( ; ω )「ぐふぅ、死ぬぅ」
- ('A`)「語尾に『お』を付けろよデコスケ野郎!」
- ( ´_ゝ`)「何故そこでネ実」
- 内藤が元に戻り、平穏が戻った。
- しかし、俺達の冒険はこれからだ!
- ('A`)「完」
- ( ;^ω^)「いや来いお、拒否権は与えさせないお」
- 俺はハッとしてパソコンのほうを見る。
- 外付けハァドディスクが、ない。
- (;'A`)「貴様!」
- ( ^ω^)「大丈夫だお、ちゃんと返すお」
- 内藤は、胸の谷間からHDを取り出した。
- もう中身が湿気でやられてそうな気がしないでもない。
- 102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:40:14.85 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「今返してくれんのか…?」
- 受け取ったHDをパソコンに付け直しながら言う。
- くさい。汗臭い。なんか酸っぱい臭いがする。
- フォルダの中身が、全部相撲の画像に変異してたら俺は死ぬぞ。
- ( ^ω^)「事が終わったら返す、とでも言うと思ったかお?」
- ('A`)「その通りだよ」
- 寧ろ、それ以外に何があるのか知りたい。
- ( ^ω^)「勿論、ただでは返さないお」
- 嫌なものを察した俺は、PCを立ち上げる。
- ('A`)「何々だ? 中身を全部別の物に移し替えたとかか?」
- ( ^ω^)「そんな面倒な事しないお、ちょっとロック掛けさせてもらっただけだお」
- 起動された画面で、真っ先にHDを開く。
- パスワァド入力画面。
- 思い尽く限りの、内藤に纏わるものを打ち込む。該当なし。
- 出鱈目に打ち込んでみた。該当なし。
- 103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:43:20.53 ID:9LD0V53t0
- ( ^ω^)「パスワァドは他人にわからないものにしなさいって注意書きを読んだことないかお?
- 英数字が程良く混ざったアトランダムなものにしろとお天道様もおっしゃってるお」
- どんな穢れた太陽だよそれ。
- ( ^ω^)「ま、事が終わったらパスワァド教えてあげるお」
- ('A`)「後から思い出せないとかほざいたら、俺は死ぬ気でお前を殺すからな…」
- ( ^ω^)「エロ画像に命をかける男の人って…」
- それでも、内藤がHDを餌に俺を釣って、現場で落として壊すよりはマシか、と考える。
- なるべく前向きに、良心的に考える。
- そうでもしないと、やってられない。
- ('A`)「あー兄者、お前も来いよ」
- ( ´_ゝ`)「なんでだよ」
- ( ^ω^)「人数は多くて困らないお。あ、いや、多過ぎるのはアレだけど
- 二人じゃ正直心もとないから、来て欲しいお」
- ( ´_ゝ`)「えーめんどい、俺関係ないじゃん」
- 104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:46:26.46 ID:9LD0V53t0
- ( ^ω^)「そんな事言っていいのかお?」
- 内藤は胸の谷間に手を突っ込んだ。
- そこから取り出される、PS2のメモリィカァド。
- ( ;´_ゝ`)「げ、おま」
- ( ^ω^)「心苦しいけど、これにロックかけられないから持たせてもらうお」
- 内藤は、メモリィカァドを胸の谷間に戻す。
- ( ^ω^)「大丈夫だお、これは僕が責任持って守るお」
- ( ;´_ゝ`)「そう言う問題じゃなくてだな…」
- ( ^ω^)「もし壊してしまった時は、僕が責任持って兄者がセェブしたとこまで進めるお」
- ( ;´_ゝ`)「それはそれで嫌なんだが」
- ('A`)「…」
- 俺的に、衝撃で壊れると言う自体はなさそうだ。
- 全て、あの肉の防壁が吸収してくれるだろう。
- 落とすどうこうの以前に、内藤の汗で壊れそうだが。
- 106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 21:48:08.52 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「目的地まではショォトカットです」
- ( ^ω^)「誰に向かって言ってるんだお?」
- ('A`)「液晶画面の前の皆様に」
- 実況してるのかお? と内藤が聞く。
- まあ、実況と言えば実況だけど。
- なんと言うか。
- ( ´_ゝ`)「こっち人いねー」
- トイレから戻ってきた兄者が、甚平の紐を結い直しながら報告をした。
- 今気付いたけど、お前もかなりのガイキチスタイルだよな。
- ( ^ω^)「どんな服を着てもルンペンに見える奴が言える事じゃないお」
- ('A`)「黙れよ裸コォトネクタイ」
- 全員キチガイだった。
- 俺達がこんなにもだらけているのは、一重に、想像の斜め上をいかれて気が抜けたのである。
- 内藤のピッキング技術で裏口からこっそり侵入したにも関わらず、暖かく迎えてくれた受付。
- 案内係に優しそうなお婆さんまでもが紹介されたが、自分で見回ってみたいのでと丁重に断った。
- 111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:02:39.46 ID:9LD0V53t0
- 内藤は、今にも首を吊りそうなドクオの顔のお陰だと言って肩を叩いた。
- 俺が首吊りなら、お前は痩せる為に宗教に入ったような勘違いさんだろうよ。
- そう言って、俺は内藤の贅肉を抓った。
- ( ^ω^)「ともかく、行けるとこまで探索だお」
- ('A`)「あの女の子見つけたらどうすりゃいいの?」
- 自慢じゃないが、俺は泣かれる自信がある。
- ( ^ω^)「携帯持ってるおね? それで知らせてくれお」
- ('A`)「いきなり音楽鳴ったりしたら怪しまれないか」
- ( ^ω^)「大丈夫だお、かけてみるといいお」
- 内藤は普通にコォトのポケットから携帯を取り出した。
- 電話料金を惜しみつつも、俺は内藤の電話にかける。
- ('A`)「…鳴らなねーな」
- ( ^ω^)「だお」
- ふんぞり返って胸を張る。
- 肉圧でメモリィカァドが粉砕されたりしないだろうな。
- 兄者が珍しく焦っている。
- 114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:06:26.72 ID:9LD0V53t0
- ('A`)「サイレントモォドとかじゃないのか?」
- ( ^ω^)「違うお。音が出ないよう、配線を切ってあるんだお」
- 何その違法改造。捕まるぞ。
- ( ^ω^)「ちなみにシャッタァ音も出ないお」
- マジかよ。
- スカートの中の花園、盗撮しまくりじゃねーか。
- ('A`)「あれ、じゃあバイブは?」
- ( ^ω^)「そっちも振動音が出ないよう、弱めに改造してあるんだお」
- ('A`)「ただでさえ弱めなのに、ポケットの中だと気付かなくね?」
- ( ^ω^)「だから、今からこっちに入れるお」
- 内藤は、自分の胸の谷間をくぱぁと開いた。
- 振動と共に微弱に揺れる乳を想像して、込み上げてきた吐き気を抑える。
- (il'A`)「わかった…取りあえず、見つけたらお前に電話かメェルだな。
- 116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:09:28.54 ID:9LD0V53t0
- それじゃあ、散開! と、ちょっと格好いい号令を背に駆け出した。
- そして、なんだか怪しい人にうっかり捕まった。
- 実際、捕まってはいないんだけど、どうも。
- 逃げ出せない雰囲気とか、そんな感じだ。
- ('A`)「…どうも」
- 【+ 】ゞ゚)「やあ、どうも」
- 有頂天のまま走り続けたら、いつの間にか天ではなく地下室に来てしまっていたらしい。
- 薄暗く湿っぽい、なめくじが這ってそうな壁に囲まれた部屋。
- 点滅する電灯が切なくはない、この状況では怖い。
- なんでオカルト系だと、絶対と言っていい程に電球が切れてるんだよ。
- 【+ 】ゞ゚)「君も永遠が欲しいのかい?」
- 出会い頭にそれとか、ねぇわwwwww
- おまテラ電波wwww危ねぇwww花畑wwwwwww
- ('A`)「え、何、兄者なのか?」
- 【+ 】ゞ゚)「…?」
- あ、人違いですか。ですよね。
- 兄者の鼻はゝですしおすし。
- 118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:13:00.47 ID:9LD0V53t0
- 【+ 】ゞ゚)「自己紹介がまだだったね、私の名前は棺桶死オサムだ」
- ('A`)「あ、は、ひゃじめまして、ドクオです」
- オサムと言った、外見と比べて平凡の名前の男は、目深に被っていた帽子を脱ぎ、礼をした。
- 俺も吊られて土下座する。うっかり噛んでしまったが、気にする事ではない。
- そして沈黙が支配した。
- 正直気まずい。いや、でも、何か喋られても気まずい。
- オサムは何故か、視線を逸らさずにじっと俺を見てくる。
- 負けたくないので、俺も見つめ返した。
- ('A`)「…」
- 【+ 】ゞ゚)「…」
- 顔をぐるぐると包帯で巻いたこの男。間違っても女はないだろう。
- 全体AAが定められていない、顔文字だけの存在に耳がついてるか否かは怖いので描写しない。
- 顔をミイラ男にしたのは、後から耳付き設定が増えてきても対応できるようにとの配慮だ。
- きっと。俺はそう信じたい。
- 120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:15:04.86 ID:9LD0V53t0
- 沈黙に耐え兼ねたのか、俺が何も言わないからか、オサムはまた口を開いた。
- 【+ 】ゞ゚)「君は、永遠を信じるかい?」
- (;'A`)「ふへ?」
- 比喩ではなく、俺は飛び上がった。
- 【+ 】ゞ゚)「君達の探している子だけど、彼女はこの先の部屋に居るよ」
- (;'A`)「え、マ、マジで?」
- 【+ 】ゞ゚)「マジで」
- 意外とフレンドリィだ。
- 【+ 】ゞ゚)「事情を知らない君に、説明をしてあげよう。彼女はね、長く生きられないのだよ」
- 彼女とは、あの子を差しているのだろうか。
- 中々紳士的なミイラだ。
- しかし、重そうな話の予感がする。
- 【+ 】ゞ゚)「白血病なのだよ。医者に余命半年もないと宣告されてね」
- やっぱ重かった。
- はは。
- 124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:18:09.21 ID:9LD0V53t0
- 心臓のばくばくが止まらない。これは緊張だ、多分。
- 心臓が頭に血を送り過ぎて、頭痛もしてきた。
- (;'A`)「そ、それで…」
- 閉口したオサムに、先を促すよう相槌を打った。
- これは、意図的な閉口に違いない。しかし、聞きたくない。
- 【+ 】ゞ゚)「彼女の母親は、娘を溺愛していてね。それこそ幾多の病院を駆け回った
- 全ては無駄足だったがね。そして、宗教に頼るようになり、辿り着いたのが此処だ」
- オサムは、おもむろに背後の壁を叩いた。
- いや、ドアを叩いた。
- 壁と同色で気がつかなかったが、そこにはノブがついている。
- 区切りなどないかのように、ドアと壁の境目が見えない。
- 【+ 】ゞ゚)「彼女はこの先の部屋で生きている。永遠に。それこそ永遠に
- 可能性という名の、何百、何千の道と時間の果てと狭間で、永遠に」
- オサムの言っている意味が理解出来ない。
- 暑さではない汗が、額から伝う。
- 左手が、心臓の付近の服を鷲掴みにする。
- 126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:21:16.95 ID:9LD0V53t0
- 【+ 】ゞ゚)「もう何十人もがこの部屋に踏み入った。誰も帰ろうとはしない
- 余程、死が恐ろしいのだろう。永遠が、居心地がいいんだろう」
- 扉の先の見えない部屋。何があるかは、開けてみるまで判らない。
- オサムの言っている事は嘘なのか。本当なのか。
- 見ない限りは否定出来ない、開けてみるまでは解らない。
- 例え死んでいると俺が此処で豪語しても、その反対の仮定を持つオサムがいる限り。
- 悪魔の証明。全ては平行線だ。可能性と言う幾多の未来の中の。
- その仮定の中で、永遠に生き続ける人々。
- (; A )「……」
- 思考する事に億劫になって、俺は何度も何度もオサムの言葉を反芻した。
- 反芻している内に、俺はオサムの言葉の一部の変化に気付く。
- 背筋にぞっとしたものが這うのを覚えた。
- 129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:24:33.20 ID:9LD0V53t0
- 考えちゃいけない。でも考えないといけない。
- いけないけど、言わないと終わりな気がする。
- 言っても終わってしまう気がするけど、俺は生きたいから。
- この可能性に、賭けるしかない。
- 安価
- >>131
- 1、言う
- 2、言わない
- 131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:25:40.97 ID:FDv0mz57O
- 2
- 132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:28:56.40 ID:9LD0V53t0
- 2、言わない
- 駄目だ、怖い。言えない。
- 言って、下手に刺激したら、俺にはどうしようもない。
- こんな状況じゃ、内藤に電話する事も出来ない。
- (;'A`)「す、すみません。ちょっと僕トイレ…」
- 【+ 】ゞ゚)「ああ、いってらっしゃい」
- 我ながら、この言い訳はないと思う。けどこれしか思いつかなかった。
- トイレに行く奴に、その言葉をかけるオサムさんもどうかと思うけど…
- ('A`)「あ、あれ?」
- 振り返った場所に、降りて来た筈の階段がなかった。
- 理解出来ずに、いや、脳が理解を拒み、俺は誘われるように壁に手をついた。
- (;'A`)「あ、ええ、あ、なんで、なんで」
- 忍者屋敷のように、壁が反転するとか、隠し扉が出現したりはしてくれなかった。
- 心臓が早鐘を打つ。もう破裂しそうだ。
- 俺はせめて、この部屋に居るもう一人の人間に声をかけようとして、固まった。
- 135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/15(水) 22:32:11.38 ID:9LD0V53t0
- ( A )「…」
- オサムさんも、扉も、ない。
- 跡形もなく、綺麗さっぱり消えている。
- いつから? どこから? どうして?
- 疑問が頭の中をぐるぐる回って、耐え切れずにその場でリバァスした。
- 臭いが不快だ。胃液で喉が焼けて痛い。口の中を漱ぎたい。
- 窓もない、扉もない。
- 完全な密閉空間に、俺は息を詰めた。
- 点滅する電灯だけが、嘲笑うように俺を照らしていた。
- BAD END.
⇒バッドエンドです
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