( ´_ゝ`)はお菓子をごちそうするようです

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:37:54.81 ID:D3kiz8z+0

よくはれたある日のことです。
店長さんはとなり町まで、お買いものに出かけていました。

このあいだ、お客さんがうっかりティーカップをわってしまったので、
あたらしいティーカップを買いにきたのです。


(´<_` )はおかしをごちそうするようです



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:41:07.49 ID:D3kiz8z+0

(´<_` ) 「ん?」

おめあてのティーカップを買って、さあかえろうか、というときです。
店長さんは、あるおかしやさんをみつけました。

店長さんも、お菓子屋さんの店長さんです。
ライバルしんとまではいいませんが、少しきょうみがわいたので、
そのおかしやさんに入ってみることにしました。


 ※


おかしやさんには、いろんなおかしがそれぞれ少しづつ、ちいさなふくろに入って売っていました。
店長さんは、お店のなかをぐるりと一しゅうしました。

(´<_` ) (うちの店のほうが美味しそうだな)

店長さんは、ちょっととくいげになりました。
それといっしょに、このおかしやさんへのきょうみもなくなりました。

ですが、なんにも買わないで出て行くのも、なんだかわるい気がしたので、
どれかのおかしを買おうと、たくさんのおかしをみてまわりました。

(´<_` ) 「ああ、これにしよう」

店長さんは、おかしのふくろをひとつもって、お金をはらいに行きました。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:45:34.76 ID:D3kiz8z+0

 ※


(´<_` ) 「ただいま」

( ´_ゝ`) 「おかえり、売ってたか?」

(´<_` ) 「ああ」

(´<_`;) 「・・・・・・何してるんだ?」

店長さんが、自分のお菓子屋さんにかえると、
もうひとりの店長さんは、なにもないところに向かって、スプーンをさしだしていました。

( ´_ゝ`) 「いや、腹が空いたというから」

(´<_`;) 「ああ・・・」

店長さんは、もうひとりの店長さんが、なにをしているのかわかりました。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:49:04.81 ID:D3kiz8z+0

このお菓子屋さんには、少しまえからお客さんがいます。
とうめいなので、ほかのおきゃくさんも店長さんも、見えません。
もうひとりの店長さんは、お客さんが見えて、おはなしもできるようでした。

また、とうめいなお客さんは、見えないだけでなく、どんなものにもさわることが
できませんでしたから、スプーンをもつこともできません。
ですからかわりに、もうひとりの店長さんにスプーンをもってもらっているのだろう、
店長さんは、そうかんがえました。

( ´_ゝ`) 「でもな、食べられないんだ。 触れないから」

(´<_`;) 「まあ、そうだろうな」

もうひとりの店長さんは、ざんねんそうに、スプーンを自分の口に入れました。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:53:04.08 ID:D3kiz8z+0

店長さんは、買ってきたおかしのことを思いだしました。

(´<_` ) 「兄者、おみやげだ」

( ´_ゝ`) 「おお、ありがとう」

店長さんは、かばんのなかから、となり町のおかしやさんで買ったおかしをとり出しました。
もうひとりの店長さんは、うれしそうにそのおかしをもらおうとしました。

( ´_ゝ`) 

( ´_ゝ`) 「これってどういう・・・」

(´<_` ) 「そういう深読みいらない」

なかなか受けとろうとしない、もうひとりの店長さんに、
店長さんはめんどうになって、むりやりおかしをわたしました。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:57:03.88 ID:D3kiz8z+0

もうひとりの店長さんは、なんともいえないかおをします。
なのに、店長さんは買ってきたティーカップをあらうため、あっちへ行ってしまいました。

のこされたもうひとりの店長さんは、むりやりわたされたおかしを見ます。

ちいさくてまあるい、まっしろなこなざとうのかかった、雪だまのようなおかしです。

しばらくおかしをながめたあと、もうひとりの店長さんは、それをひとつ、つまんで食べます。
おかしは口のなかで、ほろほろくずれて、こうばしい味がします。

( ´_ゝ`) 「・・・・・・」

もうひとりの店長さんは、じぶんが作ったお菓子のほうがおいしいと、しっていました。
ですが、もうひとりの店長さんは、人の気もちがなによりも、
お菓子をおいしくしてくれることも、しっていました。
だから、おいしい、と、もうひとりの店長さんは、そう思いました。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:58:31.24 ID:D3kiz8z+0


そういうことがあって、きょうのお菓子屋さんの
お夕飯は店長さんの好きなものがいっぱいだったのです。





(´<_` )はおかしをごちそうするようです  おわり



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