( ・∀・)と愉快な仲間たちのようです

  
25: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 22:58:12.17 ID:A8bCEVrO0
  
第十七話 『処方箋(二枚目)』

('、`*川「くっ、うう…」

俺とドクオがショボンの店を出て歩いていると、女がうずくまっていた。
女の子、と言っても差し支えないかもしれない。顔が幼いせいか、高校生に見える。
泣いているのかと思ったがそうではないみたいだ。誰が見ても具合の悪そうな顔色をしている。
場所はまだ通りに出ていない、昼間でも少し薄暗いところだ。



  
26: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:01:54.29 ID:A8bCEVrO0
  
('、`*川「うう…」
('A`) 「おい、大丈夫か」
('、`*川「う…病院は、イヤ…」
( ・∀・) 「誰も連れて行くなんて言ってないけど…とりあえず、ショボンとこ運ぶか」
('A`) 「そうだな。ほら、肩貸してやるよ」

甘い香水のにおいがする。服もそれなりに決め込んでいて、化粧もばっちりだ。
( ・∀・) 「(これなら連れがいてもおかしくないはずなんだけど…ん?)」
とりあえず、今色々考えても仕方ない。俺たちはショボンの店へと足を戻した。
…気のせいだろうか。香水に混じって少しだけ、鼻をつくにおいがした。






  
27: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:06:04.73 ID:A8bCEVrO0
  
(´・ω・`) 「貧血かなんかじゃないかな。寝ちゃったみたい」
( ・∀・) 「それならいいんだ。悪いな、世話かけて」
(´・ω・`) 「これくらいなんてことないよ」
('A`) 「目が覚めたら連絡くれ。手出すなよwww」
(´・ω・`) 「ははは、病人を口説くようなことしないさ」
( ・∀・) 「とにかく、よろしく頼むわ」

はいよ、という返事を受けて、来た道を戻る。
帰宅して数時間後、家を出る前となんら変わりない様子の渡辺が帰ってきた。



  
28: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:11:16.33 ID:A8bCEVrO0
  
从'ー'从「たっだいまー♪」
('A`) 「おう。おかえり。今日バイトだったんか?」
从'ー'从「う、うん!そう!バイトだったの!」
( ・∀・) 「へえ。明日も?」
从;'ー'从「そ、そうなの!バイトなの!」

渡辺は嘘がつけない。本人はこれで隠しているつもりなのだろうか。
この分だと、おおかた明日もデートだろう。なんてわかりやすい奴。
しかし、なんで隠す理由が…ま、いいか。
俺とドクオは目で合図を送りながら、言葉を交わす代わりに少しだけ口の端を吊り上げた。






  
29: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:15:05.82 ID:A8bCEVrO0
  
( ><) 「…です!」
从'ー'从「…」

('A`) 「あれが彼氏か」
( ・∀・) 「ずいぶん背が低いな」

俺とドクオは、予定通り渡辺のあとをつけたまま、原宿の竹下通りにいた。
こんなとこ高校を卒業してから来た覚えがない。平日の昼間だというのに山のような人だかり。
特に面白いものがあるとは思えないのに、どうしてここはいつも混んでいるんだろう。
居心地のよさはこれっぽっちも感じないが、この混み具合が尾行にうってつけだった。
会話は「です!」といちいち語尾につく言葉以外、何も聞こえなかった。



  
30: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:18:09.93 ID:A8bCEVrO0
  
(*><) 「…です!」
从'ー'从「…」

( ・∀・) 「あーあー、顔真っ赤だぞ、彼氏」
('A`) 「若いって、いいねえ…」
( ・∀・) 「何をジジイじみたことを」



  
32: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:21:33.72 ID:A8bCEVrO0
  
(*><) 「…なんです!」
从'ー'从「…」

(;・∀・) 「クレープなんか食べちゃって…若いなおい」
('A`) 「お前もじゃねーか。見てるこっちが和むような光景だな」

男は確かに羽振りのよさそうな、それとわかるブランドの服を着ていた。
しかし背が小さいせいかずいぶん若く見える。服装次第では、10代でも通じるんじゃないだろうか。
手も繋いでないのに頬を染めるあたり、こういうことには慣れてないようだ。



  
33: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:24:40.50 ID:A8bCEVrO0
  
( ・∀・) 「どこで会ったか知らねーが…ま、あの調子なら問題ねーだろ」
('A`) 「そうだな。ちょっと期待外れだったなぁ」
( ・∀・) 「まぁそう言わずに。とっとと帰ろうや」

俺とドクオは渡辺に気づかれないよう、そっと人ごみに紛れて消えることに。
なんだか少し罪悪感。覗きにしか来てないようで、悪い気がした。






  
34: ◆dIeazkfFEk :2007/02/19(月) 23:27:19.80 ID:A8bCEVrO0
  
帰宅途中、ショボンから電話が入った。
『もしもし?昨日の子が起きたんだけど、ちょっと今手が離せないんだ』
( ・∀・) 「ああ、すぐそっちへ向かうよ」
『ありがとう。部屋で待たせておくよ』
( ・∀・) 「…っというわけだ。目的地変更だな」
('A`) 「ああ、とりあえず家帰しとけばいいべ」


一見ばらばらに見えることでも、つながることがある。
このときはまだ、ちっともわからなかった。



つづく



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