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ブーン系情報誌:Boon Novel Magazine
創刊号


特集その1
VIPに日夜たち続ける「〜ようです」スレ。
最初にVIPに来た時は、だれもがこれをうざく感じているのではないだろうか。
だがいつのまにか僕らはこの世界に取り込まれている。
スレ一覧に「ようです」で検索をかけるようになっている。
あまつさえ自分でそういったスレを立て、話を書き、ブログを持ち、絵を描き続ける。
「ブーン系」の世界の持つ不思議な魅力に、取り込まれるのだ。

ここまで好きになる理由は何だろうか?

僕は思う。
きっと、ブーン系ファンというやつは、
自分をブーン系の世界に引き込んだ忘れられない一作を、ずっと心に抱いているはずだ、と。
今回は三人のブーン系関係者に話を伺った。
みなさんもこれをきっかけに、自分にとっての忘れられない一作のことを思い出していただければ幸いである。

case.1 イントロ氏の場合
どうも。
「俺のオススメ」 私イントロが担当する作品は
「( ^ω^)ブーンがシリアルキラーになったようです」
http://boonsoldier.web.fc2.com/siriaru.htm
です。ブーン系初期の名作。

シリアルキラートップ

今回はこのシリアルキラーの魅力を徹底解剖したいと思います。
できるかどうかは不明です。
あ、未読の方はネタばれ注意でお願いします。


(あらすじ)
内藤は離婚した医師の父と共に住む高校生。
普通の高校生と同じく、怠惰な毎日を送っていた。
日課となっているPCを立ち上げインターネットに繋ごうとすると、突如として動画が再生される。
その動画を見た内藤は、自分の中の不可解な感情に気付き始める。

ジャンル分けをするとファンタジー……ですかね。
魔法やなんやかんやは出てきませんけど。
現代風ファンタジー。
自分は見たことないけどこんな世界が実際あるかもしれない……そんな感じです。
この作品の大きな特徴は
 ・顔文字が一切出てこない
 ・エピグラムと呼ばれる手法が使われている
 ・文章力の高さ
が挙げられるでしょうか。
上から行きましょう。1つ目の「顔文字が出てこない」。
顔文字が出てくることを前提としたブーン系の常識を根本から覆したと言っていいでしょう。
この作品のすごいところは顔文字が出てこなくても登場人物の感情の起伏が手に取るようにわかるというところでしょうか。
一般小説のよう、とまでは言い過ぎかもしれませんがブーン系の歴史の中でも随一の文章力であることは間違いありません。
地の文が主体ですが、スイスイと読めるのはこの文章力の高さの賜物でしょう。

2つ目。「エピグラム」。
これは説明するより実際に出した方がいいでしょう。

「人の世の旅路の半ば、ふと気がつくと、 俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた。」
       ―――酒鬼薔薇聖斗「懲役十三年」最後の一節より。
 (プロローグより)

こういった文章が各話の最初に1文づつ存在します。
これらは、実在したシリアルキラーの文章から取っているもので作品に奥深さを出しています。
各話の主題に沿った文章が選ばれている(と思う)のでその話を暗示している……ということもあり、深読みするのも面白いです。

3つ目は「文章力の高さ」。
1つ目のところでも触れましたが、この作品は読ませる文章で作られています。
これからブーン系を書こうと思う人は参考にしてもいいかもしれません。
もちろん一般書籍と比べれば見劣りする部分もありますがね。
長い地の文に押されて未読、なんてことはあまりにもったいないですよ。

文章や表現をつっつくのはこれぐらいにして、内容に入りましょう。

 ・プロローグ
いきなり人体の解剖シーンからスタートです。
ここで出てくるのは 「ツン」 と 「僕」。
解剖シーンは圧倒的に想像力を刺激してきます。
まるで自分が殺害現場を目撃したかのようなリアリティを感じたり。
プロローグ終盤の2人の掛け合いによって、2人の異常性が浮き彫りになります。
強烈なプロローグで、これを見たら先を気にならずにはいられないでしょう。

 ・第1話〜第5話
物語全体の 「起」 に当たる部分です。
プロローグから時間が戻り、内藤が普通の高校生であるところから始まります。
あらすじで言ったとおり、内藤はウイルスにより動画を見せられ、自分の中の感情に気付きます。
ここで出てくる 「男」 の殺害シーンは読者にこの作品の色をみせる役割を持っています。
「男」 を殺害し終わって (内藤の意識下での想像の中で) しばらくは日常描写が続きます。
日常描写に安心しているとすぐに人が死んじゃうから油断できません。
この時点で内藤は正真正銘の殺人犯になってしまいます。
ここからが 「起」 の山場で、内藤の人殺しに対する感情の葛藤があります。
人を殺したいという本能と、人を殺したくないという理性。
この葛藤は父を殺され、決着がつきます。
第5話の扉の場面は秀逸。おススメ。

 ・第6話〜第9話
「承」 の部分。ちなみに自分が適当に起承転結を割り振ってるだけでずれがあるかも。すいません。
内藤は2ちゃんねらーという存在になったことをツンに教えられます。
2ちゃんねらーとは簡潔に説明すると、まあ、シリアルキラーです。詳しくは本文内で。
魔少年とかが出てきて楽しいところでもあります。魔少年って今何してんだろ。
6・7話で伏線が張られ、8話からいよいよ2ちゃんねらー同士の殺し合いが始まります。
内藤の最初の相手は心臓を喰い散らかすドクオ。
ドクオとの殺し合いの話のタイトルが弱肉強食。タイトルセンスに嫉妬。たまんねえ。
目玉のペンダントっていいよね。頭の中がヒリヒリするぜ。
あと、佐伯部長の死にはびっくりした。

 ・第10話〜第12話
「転」 。今更ながらこの分け方は失敗だったかなと思わないでもない。
ここからはもう殺し合いの連続ですね。
自らを公務員と称する日浦たちに攻撃を受けたり待ち伏せを食らったりする内藤とツン。
日浦も城嶋もラスカもブーン系のキャラではないんですけどキャラがはっきりわかるんですよね。
これはもう、1つの才能なんではないかと。
抗護とかと違ってどっちもマッドマックスに悪者ですからね。
殺人鬼が殺人をするために目の前の人間を殺す。
我殺す、故に我あり。 みたいな感じなのでしょうか。
私たちには理解できない世界をよく表現していると思います。

 ・第13話〜エピローグ
「結」 。
流石にここまで語ってしまっては興ざめでしょう。
内藤とツンの行く末はあなた自身でお確かめください。

こんな感じで、シリアルキラーを語ってみましたが、いかがだったでしょうか。
自分の文章でこの作品の魅力は伝えられないと思います。
とにかく読め! いいから! すぐに! 早急に!
といった感じです。マッハでブーン芸の完結作品へGO!
ではでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。



case.2 天国氏の場合
ξ゚听)ξツンは魔法学校の落ちこぼれのようです。
http://vipmain.sakura.ne.jp/end/211-top.html

18禁

この小説が書かれてもう二年以上にもなるのか、とよくわからないノスタルジアを覚えます。
ガチガチのエロ小説なので、その点はご注意下さい。

この小説、まず見て貰って分かるように、顔文字が使われていません。
最近、この手の小説をあまり見ないような気がします。
ブーン系小説だからといって、絶対に顔文字を使わなければならないと言うこともないと思うのですが。

さておき、内容はごくごく普通の魔法陵辱物語。
所謂男のロマンです。
陵辱したいと言うよりされたいという方もいらっしゃるかもしれませんが。
また、エロシーン以外のストーリーも面白いので、一石二鳥の感覚で楽しむことが出来ます。
文章量もコンパクトで、真夜中、眼が冴えて眠れないときなどにオススメです。



case.3 afo氏の場合

「( ^ω^)ブーンは歩くようです」
http://vipmain.sakura.ne.jp/end/445-top.html

18禁

白状するけど、俺は最初、ブーン系というやつを舐めていた。
VIPのスレ一覧で「新ジャンル」というのを見ると「もう何番煎じだよ、いい加減にしろ」とイラッとし、「( ^ω^)が何々・・」を見ると「何だよこの中二くさいスレ・・」って思ってた。
そういったスレをまともに読んだこともなかった。
そんな俺がブーン系を書き始めた動機も不純なものだった。
あれはいつの頃だったか、当時はワロタ2ッキを始めとしたコピペブログが隆盛を極めていた。
そうしたコピペブログの中の一つ(今にして思えばあれは蛇屋さんだったと思う)を職場で何気なく眺めていたら、俺にVIPを教えてくれた先輩が、ほんとに何気なく俺に軽口を放ったのだ。
「お前むかしは小説とか書いてたんだろ、なんか書いてお前もこういうブログに乗れる?」
「あ、余裕っスよwwww」
「マジですげーwwwじゃ書けよ先生wwwww」
当時職場で文学部出身は俺だけだったから、俺はいつも「文学青年」ネタでいじられていた。
そんなこんなで書き始めたブーン系。
とはいえ最初はブーン系なるものがあることすら知らず、「コピペブログに乗るお話」を作るつもりで、ちょこっと専門性があってライトユーザーの興味をそそる実用系の物語…のつもりで書いていた。
これが後のやる夫系の主流となることも知らず。
そんなこんなで俺はブーン系を書き始めたけど、しばらくの間、ほかのブーン系スレは全く読んでいなかった。
というか「ようです検索」を知らなかった。
あるとき、自作品の続き物(たしかやる夫系)のスレタイに「ようです」を入れなかったことがあった。
そうすると来る人が少ない少ない…
見るに見かねてとある読者が教えてくれた。
「スレタイにようですを入れないと人が来ないよ、みんなようですで検索してるから」
「そ、そうだったのか…!」
俺は衝撃を受けた。
「そうか、『ようです』で検索…」
俺は導入したばかりのjaneで、マニュアルと首っ引きでスレタイ検索を敢行した。
いくつものスレが赤文字で引っかかってきたが、
その一番上に上がっていたのは、『( ^ω^)ブーンは歩くようです』だった。
「初検索成功! 記念だし、ちょっと読んでみっかな…」
そう思って、俺は初めてのブーン系本格読みの扉を開いた…

今でも時々ふしぎに思う。
こんな素晴らしい作品との出会いが、全くの偶然に彩られた運命的なものだったことを。
この作品のおかげで俺は忘れていた「小説の面白さ」を思い出した。
昔買った小説類はすべて捨てるか売るかしていたので、俺の部屋には一冊も小説本はなかったが、
このとき以来、また本屋に足を運ぶようになった。

「歩く」は、それくらいインパクトの強い作品です。
物語として読んでも面白い。
けど、この作品を読んで本当に面白いと思う人は、
きっと世の中のさまざまなことについて思い悩んだ経験のある人でしょう。
この作品を読み、内藤のたどった足跡を追体験する。
旅物語として世界中につけられた靴跡を追うばかりでなく、ブーンが歩いた心の軌跡をも追体験する。
ブーンは歩きます。
人は、歩く速度でしか、成長できないものなのかもしれません。


 《おわりに》
いかがだっただろうか。
皆それぞれ特徴的な作品を上げられていたと思う。
それぞれ作風も活動内容も違うブーン系関係者。
それらみんなを引き込んだ、多種多様なブーン系作品の数々。
この懐の深さこそ、ブーン系の特徴なのではないか。そう思える編集結果であった。
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