( ^ω^)とξ゚听)ξが下校中のようです

  
663: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/27(水) 23:59:36.61 ID:nWzVUVYO0
  

ξ゚-゚)ξ「…ぇ?」
ツンが、さっきとは違う キョトンとした顔で顔を上げ、ブーンを見る
まるで、そんな言葉は予想してなかったかのように。

( ´ω`)「…お金持ちって、なんでもできるんじゃないのかお?」
( ´ω`)「おいしいモノ食べて、寒いときは部屋を暖かくして…」
( ´ω`)「欲しいモノを買って、好きなように遊んで、好きな場所へ行って…」

( ´ω`)「…違うのかお?」


ξ゚-゚)ξ「…」
ツンは、まだブーンの顔を見つめたままだった


「お金持ち『だから』幸せなんでしょ?」

そんな言葉は、何度も聞いた。

でも━━━━…





「お金持ち『なのに』幸せ『じゃないのか』?」

ツンは、返答に詰まる



  
665: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:05:00.12 ID:uCD/LPz10
  

( ´ω`)「…お金持ちって、そうなんじゃないのかお?違うのかお?」
( ´ω`)「お金持ちでも、幸せじゃないのかお…?」
ξ゚-゚)ξ「………」


おいしいモノ食べて、寒いときは部屋を暖かくして
欲しいモノを買って、好きなように遊んで、好きな場所へ行って

お金さえあれば、どれだって出来る


でも、一つだけ 買えないモノがある。











  心




それが、一つだけ、買えないモノ。



  
669: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:10:23.94 ID:uCD/LPz10
  

いや、そもそも心は『モノ』じゃないかもしれない。

確かに、お金を使えば 心は『操作』できる。

買うって事は、全てを自分の意のままに 自由に使えると言う事だ
買うって事は、それを自分の所有物にする事

『操作』

自分がリモコンを使えば、それは操作できる。

なら、リモコンが 壊れたら?

リモコンを 無くしたら?


その『モノ』自体が 壊れたら?











それはもう、自分のモノとは言えなくなる



  
674: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:23:24.08 ID:uCD/LPz10
  

( ´ω`)「… 僕の家、貧乏なんだお」
ξ゚-゚)ξ「……」
ツンは、ブーンの方を向いたまま 話しに耳を傾ける。

( ´ω`)「…毎日毎日 そのせいでいじめられて、食べ物もおなかいっぱい食べられなくて」
( ´ω`)「友達もできなくて、いっつもいっつも みんなから仲間はずれにされてるんだお」

( ´ω`)「僕は貧乏だから、そうなっちゃてるんだとおもうんだお…」
ξ゚-゚)ξ「……」

( ´ω`)「…お金持ちって、どんな感じなんだお?」
ξ゚-゚)ξ「……」

話をふられ、ふと我に返る。



  
676: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:28:20.38 ID:uCD/LPz10
  

ξ゚-゚)ξ「……」
この人は、自分とは全く違う人 共通点なんてほとんどない

ただ一点以外は

その一点が、とても重く 大きい



ξ゚-゚)ξ「わたしは━━━━…」

ξ゚-゚)ξ「毎日おいしいモノを食べて、寒いときは部屋を暖かくして」
ξ゚-゚)ξ「欲しいモノを買って、好きなように遊んで、好きな場所へ行ける」

でも

いくらお金を持っていても










ξ゚-゚)ξ「でも、わたし ともだちがいない。」



  
678: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:33:06.93 ID:uCD/LPz10
  

ξ゚-゚)ξ「ともだちは お金じゃかえない。だって、『モノ』じゃないもの」

ξ゚-゚)ξ「ともだちがいなきゃ、おいしいものだっておいしくない。暖かくしても暖かくない」
ξ゚-゚)ξ「欲しいモノを買っても、好きなように遊んでも、好きな場所に行ってもつまらない」



ξ゚-゚)ξ「わたしは…しあわせじゃない」
( ´ω`)「…」



  
681: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:36:58.72 ID:uCD/LPz10
  

( ´ω`)「…そうなのか…お」
ξ゚-゚)ξ「…うん」

( ´ω`)「…………」
ξ゚-゚)ξ「…………」



互いに、沈黙する。



これからどうすればいいのか、迷うように

お互いの悩みが、相手に乱される。



悩みは、消えたのか それとも増えたのか


それも 解らない






ブーンが、口を開く。



  
686: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:42:53.89 ID:uCD/LPz10
  

( ´ω`)「…それなら」

( ´ω`)「…友達になろうお」

ξ゚-゚)ξ「…ぇ?」
予想外の言葉
ツンが何度も 周りから言われた言葉
でも、ツンが一度も感じたことのない響きの言葉


ξ゚-゚)ξ「ともだちって…?」
( ´ω`)「友達 だお。友達は1人じゃできないお」

( ´ω`)「…ダメ かお?」
ξ゚-゚)ξ「………」

自分が何度も 周りから言われた言葉
でも、ツンが一度も感じたことのない響きの言葉

ブーンの言葉には、嘘も 偽りも

何も無かった。






ξ゚ー゚)ξ「…ともだち なろっか?」



  
693: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:49:19.43 ID:uCD/LPz10
  

( ´ω`)「お…」
ξ゚-゚)ξ「?」

ブーンが、少し驚いた顔をする

( ´ω`)「初めて、笑ったお」
ξ゚-゚)ξ「ぁ……」

私が、笑った?

最後に笑ったのは、記憶にないほど昔
自分では解らないほど、自然に出た笑顔
嘘も偽りもない 自然に出た笑顔だった

ξ゚-゚)ξ「…ずるいから、あなたも笑って」
( ´ω`)「お?」
ξ゚-゚)ξ「あなたも、笑ってない」
( ´ω`)「…お………」









( ^ω^)「…こうかお?」
ξ゚ー゚)ξ「…うん」



  
699: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:53:03.05 ID:uCD/LPz10
  
( ^ω^)「ぇーっと…ツン ちゃん?」
ξ゚ー゚)ξ「ツンでいい えっと、ブーン 君?」
( ^ω^)「ブーンでいいお」

ξ゚ー゚)ξ「…今から、友達 だね」
( ^ω^)「お、そうだお 僕はツンの友達だお」
ξ゚ー゚)ξ「…私は、ブーンの友達」
( ^ω^)「お」



お互い、自然に笑みがこぼれる



  
701: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 00:56:56.44 ID:uCD/LPz10
  

キュルルルルルルルル

ξ゚-゚)ξ「…?」
(;^ω^)「ぁ… 僕のお腹の音だお…」
ξ゚-゚)ξ「…ごはん 食べてないの?」
(;^ω^)「…カーチャンとケンカして… ご飯食べれなかったお…」

そっか だからこんな所にいるんだ…


ξ゚-゚)ξ「…ブーン」
(;^ω^)「お?」

ツンは、ポケットの中を探り 一つの飴を取り出す



ξ゚ー゚)ξ「アメ… 食べる?」



  
709: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 01:00:14.94 ID:uCD/LPz10
  

( ^ω^)「お、もらっていいのかお?」
ξ゚-゚)ξ「うん お腹空いてるみたいだから…」

そう言って、ブーンの手のひらにアメ玉を一つのせる

( ^ω^)「じゃあ、いただきます だお」

ブーンは、飴の包みをガサガサと取る



そこにあったのは、今までブーンが見てきたどのアメよりも綺麗な、球状のアメだった



  
727: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 01:04:13.29 ID:uCD/LPz10
  

( ^ω^)「…きれいだお」

その飴は、月の光を浴びて 緑色の輝きを放つ
宝石と言われても気づかないほどの緑の輝きが、ブーンの目に映る

ξ゚-゚)ξ「メロン味」
( ^ω^)「お、だから緑色かお」



ブーンはしばらく、月に飴をかざした後、自らの口の中に入れる



( ^ω^)「おいひーお ありがとうだお!」
ξ゚ー゚)ξ「…うん」



  
738: わた ◆FmWaTaZ4nU :2006/12/28(木) 01:07:52.69 ID:uCD/LPz10
  

ξ゚-゚)ξ「…時間も遅いし、もう帰ろうかな……」
( ^ω^)「お」

( ^ω^)(カーチャンに…謝らなくちゃだお)

ξ゚-゚)ξ「…でんわばんごう」
( ^ω^)「お?」
ξ゚-゚)ξ「…こんど、あそぼう」
( ^ω^)「お、解ったお」




互いに、番号を教えあう
それを2人は、ツンが持っていたメモ帳に書き、お互いに渡す

ξ゚ー゚)ξ「…またね?」
( ^ω^)「ばいばいだお またいっしょに会おうお」










…そう言って、2人は林を抜け、帰路についた。



  
7: 猪(ドラム) : 2006/12/28(木) 01:16:19.41 ID:uCD/LPz10
  


それから、2人は連絡をとりあうようになり、ちょくちょく遊ぶ仲になる。

その間、2人は 最初に会った崖には行かなかった

もう既に、行く必要も無かった。










その後、2人は中学校で再び 出会うことになる



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