( ^ω^)ブーンと隠のツンξ゚听)ξ

  
49: エピローグ ◆HGGslycgr6 :2007/01/02(火) 01:14:15.34 ID:orgssEfW0
  
 しん、と静かな家に、僕は1人で座っている。静かだと言うだけで感じる広さがここまで
違うものかと、ここ3日間ずっと同じことを考えていた。
 何もする気が起きなかった。大きな別れが僕に残した物は無く、ただ全てを奪いつくされた
気がしていた。髪留めを握ったまま、僕は寝床で食事も摂らず、ずっと黄土色の壁を見ていた。

(´・ω・`)「大丈夫ですか?」

 その声に僕はゆっくりと右を向く。そう言えば昨日からこの男が家に来ていたような気もする。
何故来たのかは覚えていない。

(´・ω・`)「……気持ちはわかりますが、そうしていても何も変わりはしませんよ」

 何を言っているのだ。僕の悲しみを知っての事か。この体中の温もりを全て奪われたような
脱力感を知っての事か。しかし僕に反論をするような気力は無い。代わりに僕はゆっくりと呟く。

( ^ω^)「不幸と言うのは……いつ来るか、判らないものですお」
(´・ω・`)「……」



  
50: エピローグ ◆HGGslycgr6 :2007/01/02(火) 01:15:51.46 ID:orgssEfW0
  


(´・ω・`)「僕と一緒に隠の研究をしませんか?」
( ^ω^)「……隠の?」

 既にあれから2週間が経っていた。普通の生活が出来るくらいに回復した僕にショボンが
そう持ちかけてきたのだ。

(´・ω・`)「いつ会えるか判らない彼女を只待つより、その方が幾らか有益だとは思いませんか?」
( ^ω^)「……そうかも知れませんお」

 確かに彼の言うとおりだ。仕組みを調べることが出来れば、こうしてただ手を拱いているだけの
生活から脱却することが出来る。
 ただ、本当は忘れればいいのかも知れないとも思う。しかし今の僕には到底そんなことは
出来ないのだ。

(´・ω・`)「実は既に外に看板を掲げたのですがね」
( ^ω^)「勝手に何をしているんだお」

 そう言って僕は笑った。久々に腹の筋肉を使った気がする。それが僕の全身に活気を
送ったのか、僕は急に体が軽くなったのを感じた。



  
51: エピローグ ◆HGGslycgr6 :2007/01/02(火) 01:18:04.95 ID:orgssEfW0
  
(´・ω・`)「看板を上げれば旅の人からも情報を集められますからね」

 いつの間にか我が家を乗っ取られてしまったが、1人で住むには広すぎると感じていたので
丁度良い。そう思いながら僕は大きく伸びをした。

     「すみませーん」
(´・ω・`)「噂をすれば、客のようですね」
( ^ω^)「忙しくなりそうだお」

 僕は力強く立ち上がり、髪留めを懐に仕舞った。今度は僕が会いに行く番だ。そう心の中で
呟き、戸口へと向かう。そして隙間から漏れる日光を浴びながら、僕は意味も無く笑った。

( ^ω^)「どうしましたかお?」
      「その……落し物をしまして」
( ^ω^)「……お?」

――その涙声に聞き覚えがあった。



  
52: エピローグ ◆HGGslycgr6 :2007/01/02(火) 01:19:39.25 ID:orgssEfW0
  
      「私……大事な……髪留めを……お……落とし……」

瞬間、涙が溢れた。こんなことが起こり得るのか。これは幻聴か。返事を、返事をしなければ。

( ;ω;)「かっ……ぁみどめ! っはぁ! ぁあ! かみっ……どめ……」

 思ったように声が出ないんだ。目の前に彼女が居るのに戸に手が届かないんだ。
涙で世界が歪んで、把手が全然見えないんだ。

ξ;;)ξ「ブーン!」
( ;ω;)「ツン!」

 僕達は抱き合った。今までの年月を埋めるように、ギュッと。涙でびしょ濡れの顔を
乱暴に重ね合わせては、また抱き合う。いっそこのまま潰れて1つになってしまえば良い。
そうすればもう離れ離れになって悲しむことも無いんだから。ずっとずっと、このままで
居れば良い。

(´・ω・`)「ふぅ……参ったな。幸せもまた、いつ来るかわからないってことかな。ねぇ、デレ……」



−終−



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