( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです

  
1:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 22:44:06.93 ID:hPWBYdwM0
  
--第14話--


悲しき思いを背負いし者が集まった。

動き出した
役者は揃った

悲劇の復讐が
狂気の復讐が



血の宴の火蓋が落とされる


いよいよ  否  やっとだ

フサギコは、鋭い瞳で更に細くして、口の端を吊り上げた。



  
4:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 22:50:07.92 ID:hPWBYdwM0
  
----

( ^ω^)「ひなたぼっこは気持ちがいいおー」


ブーンがまだ少し早い春の風を浴びながら言う。
広い広い、新緑の茂る草原の中で。

周りにはみんなもいる。

ドクオは寝そべっているショボンに寄り添うように座っている。
ジョルジュは年甲斐もなく草原を元気に走り回る。

( ^ω^)「のどかだお・・・」

ぱたん、と両手両足を大地に投げ出すブーン。



  
5:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 22:55:16.10 ID:hPWBYdwM0
  
と、その時。
南から吹く春の風が嵐となり、ブーンの周りを駆け抜けた。


「アンタ、いつまでここでだらだらしてるの?」

聞き覚えのある声がした。

全然昔の事じゃないのに懐かしい。
その高く澄んだ声色。
少し強気なその口調。


( ^ω^)「・・・その声は間違いなく・・・」

「そんな事より、コロシアムに行くんでしょ?さっさと起きて行くのよ!」

一瞬にしてブーンの眼前に一人の女性が現れた。


ブーンは彼女を必死に掴もうと手を伸ばす。
だが、紙一重で届かない。


そんなブーンを見てツンは言う。

ξ゚ー゚)ξ「さぁ、早く起きて。頑張ってらっしゃい」



  
8:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 23:00:53.48 ID:hPWBYdwM0
  
彼女の体が透けていく。
あともう少しで手が届くのに!

悔しくてかなしくて、ブーンは大声で叫んだ。

( ^ω^)「ツンッ!!」


ガバッ


(;^ω^)「夢オチかお・・・」

目覚める前に見たものは、あまりにも鮮明なツンの微笑み。

・・・?
どうしてドクオもショボンもジョルジュも
ニヤニヤといたずらっ子の様に笑っているんだろう


あ、もしかして・・・

(;^ω^)「僕、もしかして寝言でツンって叫んじゃってたお?」

ご名答、とでも言うかの様にジョルジュが大口をあけて笑った。



  
13:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 23:28:57.51 ID:HyP/OWfC0
  
(;^ω^)「顔から火吹きそうだお。穴があったら入れさせて欲しいお」

('A`)「性的な意味で?・・・まぁまぁ、いいじゃねぇか。恋する気持ちは誰にも止められないさ」

(´・ω・`)「ドクオ君が言うと説得力があるんだけど・・・」

コロシアムの座る席を探しながらショボンが言う。
 

_
( ゚∀゚)「若干ドン引きだよな」

そこらへんに腰を下ろしたジョルジュがショボンの言葉の後を続ける。

('A`)「若干なのかドン引きなのかはっきりしてくださいよ」
ちょっぴり不満そうなドクオがショボンの隣に座る。
そこはドクオの特等席だ。


( ^ω^)「まぁまぁ、そんな事よりもバトルが始まりますおー」


最初はくじ引きにより中級"和解者"の試合。
ブーンたちには関わりのない試合なので、のんびり観戦することにしたのだ。

見ることも立派な修行、ショボンはそう言った。



  
14:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 23:39:27.46 ID:HyP/OWfC0
  




キン、キンと金属のぶつかり合う高い音がしている。

( ^ω^)「・・・」

しかしそれは、ブーンの耳には届いていなかった。



( ^ω^)「(ツン・・・)」


強くなると言ったのに。
ツンの事を思い出して、気弱になっている自分がいる。
ついこの間まで一緒にいたのに。
いや、だからこそなのだろうか。

会いたい。
ツンに会いに行きたい。

初めてツンに触れたあの夜に、戻れたら。



  
17:◆OLIVIA/O7I :2006/09/01(金) 23:52:35.43 ID:HyP/OWfC0
  
( ^ω^)「駄目だお、しっかりするお」


こんな僕を見たら気丈なツンはきっと怒るだろう。

そう考えると元気が出そうだ。

それに、ツンを守れるぐらい強くなるって誓ったんだもの。
どんなことにもへこたれちゃいけない。

・・・よし。

( ^ω^)「頑張るおー!!」

声を張り上げて叫ぶ。
学校に通っていた頃に、体育の先生が「負けそうになったら声を出して気合を入れろ」と言っていた。


あれ、なんだろう。なんだか視線を感じる。

(;^ω^)「ここコロシアムだったお・・・すごい目立ってるお。ダメダメだお」



  
19:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 00:09:16.31 ID:p58EM2zZ0
  
ブーンはその場にいるのが恥ずかしくなって、
トイレに立ってみたり、売店におやつを買いに行ってみたりを繰り返していた。

売店でジョルジュに頼まれたキャラメルポップコーンを買って帰る帰り道、
地平線に懸かる紅く輝く太陽を見て少し落ち着いた。


( ^ω^)「ジョルジュさん、ポップコーンお待たせだお」

  _
( ゚∀゚)「おう、わざわざすまねぇな」

自称超甘党のジョルジュがたっぷりとキャラメルのかけられたポップコーンに手をつける。


('A`)「お、ブーン丁度良いときに帰ってきたな。
    今から下級"和解者"のトーナメントのくじ引きを受付でするらしいぞ」


( ^ω^)「おっおっ。ジャストミートちょうど肉だお!
       受付まで競走だおー」

両手を広げる格好でブーンが駆け抜けていった。

('A`)「ちょ、おまwフライングwww」

ドクオもブーンを追いかける形て受付まで走っていった。



  
23:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 00:28:04.34 ID:p58EM2zZ0
  



('A`)「今回の"下級"和解者の参加人数は16人だってさ」

( ^ω^)「じゃあ1/16の確率で優勝できるおね」

二人はそれぞれくじ引きの箱に手を入れて、かさごそと中身を漁りながら話をしている。
まだまだくじを引く気はないようだ。

('A`)「1/16って、宝くじじゃないんだから」

ガサコソ

( ^ω^)「勝負は時の運だと昔の人は言いましたお」

ガサガサガサ・・・

('A`)「ま、4回勝てば優勝ってことだな」

ガサッ

( ^ω^)「そうだお。気楽にいくお」

シュッ

二人同時にピンポンに数字の書かれたくじを引いた。



  
26:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 00:44:42.79 ID:p58EM2zZ0
  
ブーンはピンポンを眺めて番号を把握する。

( ^ω^)「えーと・・・僕は2番だお!ドクオはどうだお?」


('A`)「えと、俺は・・・」

ドクオは自分のピンポンを検分する。
そして自分が確認した後、ブーンにも見えるようにしてくれた。

( ^ω^)「4番かお。ってことはもしかして・・・」

二人はトーナメント表を見つめる。

('A`)「あぁ、2回戦でぶつかるな」


( ^ω^)「2回戦とはまた微妙だお・・・」

('A`)「まぁ、一回戦はウォーミングアップと思えばいいんじゃないか?」

( ^ω^)「ドクオは強気だお」

('∀`)「なに、少なくともブーンと戦うまでは負けないさ」



  
27:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 00:47:23.59 ID:p58EM2zZ0
  

少しだけ楽しそうにドクオが言う。
そういえば僕はドクオのこの表情の薄い笑顔に何度も励まされたっけ。

( ^ω^)「僕もドクオと戦えるように頑張るお!」

('∀`)「おう。戦う時は本気でやろうな」

ブーンはかりかりと首筋を掻く。

(;^ω^)「それはちょっと怖いけど・・・いざ戦うとなったら本気でやるお」


和気藹々と朗らかに話すブーンとドクオ。
2人に新しくくじ引きに来た人達の会話が聞こえてきた。



  
30:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 01:06:28.42 ID:p58EM2zZ0
  


(*‘ω‘ *) 「ちんぽっぽちんぽっぽちんぽっぽ!」

( ><)「ちんぽっぽちゃん、そんなに騒がしくしちゃいけないんです!」

(*‘ω‘ *) 「ちんぽ!!!」

( ><)「放送禁止用語なんです!
      短くすればいいってもんじゃないんです!」

('A`)「強烈なキャラ立ちの奴が来たな・・・」

(;^ω^)「あの女の子、すごい発言だお・・」

ブーン達の後に現れたのは少年と少女。

年齢はブーン達より少し上。



  
31:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 01:09:10.68 ID:p58EM2zZ0
  

少女の方は小柄で痩せている、というか引き締まった体を持っている。
少年は長身で細身ながらも全身に筋肉の筋が浮いており、鍛錬の証拠を示していた。


( ><)「混むと迷惑になるから早くくじを引きましょう」

(*‘ω‘ *) 「ちんぽ!!!!」

( ><)「もういいんです!青少年の育成に悪いんです!」

(*‘ω‘ *) 「ぽっぽ!」

本来なら伏字にしなければいけないであろう表現をしながら、それでも少女は元気にくじを引く。
少年もそれに倣う。



  
32:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 01:18:50.66 ID:p58EM2zZ0
  


( ><)「僕は1番でした!ちんぽっぽちゃんはどうでした・・・ぐはっ」

少年の顎にちんぽっぽと呼ばれた少女のアッパーがクリーンヒットした。

(*‘ω‘ *) 「1番なんてずるいっぽ!変えるっぽ!」

( ><)「別に1番が偉いとかないんです!痛いんです!」


(;^ω^)「(猟奇的な女の子だお・・・)」

('A`)「なぁ、ブーン・・・あの男の方が1番って事はさ・・・」



( ><)「ちんぽっぽちゃんは何番だったんですか?」

(*‘ω‘ *) 「ぽっぽっぽ!」

少女は3の数字が書かれたピンポン玉を少年に見せる。

( ><)「ちんぽっぽちゃん3番なんです!勝てれば2回戦で戦えるんです!」


( ^ω^)「って事は・・・あの人達が僕らの対戦相手かお」



  
35:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 01:29:49.18 ID:p58EM2zZ0
  

(*‘ω‘ *) 「ぽ!」

ブーンの言葉に反応して、少女がこちらに歩いてくる。後ろに少年を従えて。

( ><)「あなた達が対戦相手なんですか!よろしくおねがいしますです!」

(*‘ω‘ *) 「よろしくたのむっぽ。ちんぽっぽだっぽ」

( ><)「僕はわかんないんですなんです!お見知りおきをなんです!」


(;^ω^)「よろしくだお、僕はブーンだお」

そこまで言ったとき、受付のおねえさん(ジョルジュがおっぱいおっぱい叫んでいた)が
1番と2番の選手は控え室に行くようにと教えてくれた。



  
37:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 01:36:23.54 ID:p58EM2zZ0
  
( ><)「じゃあ、僕はコロシアム南入口の方なんでこっちから行くんです!
      頑張るんです!」

( ^ω^)「僕は北だから逆だお。お互い頑張ろうだお。じゃあドクオ、行って来るお!」

('A`)「おう、行って来い。・・・っと、俺の紹介がまだだったな、俺はドクオ。よろしく」

ちんぽっぽに自己紹介する。

(*‘ω‘ *) 「君はなりたての"和解者"だっぽね。でも相手に取って不足なしっぽ!よろしくっぽ」

そう言って2人は握手をして、応援のためにそれぞれの席に戻った。



席に着く頃、下級"和解者"コロシアムバトル初戦の始まりのゴングが鳴った。



  
38:◆OLIVIA/O7I :2006/09/02(土) 01:39:43.96 ID:p58EM2zZ0
  
--第14話 終--



戻る次のページ