( ^ω^)は村人Aのようです
- 158: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:30:10.94 ID:akmXOAUP0
- 暗闇の中に人間が入ると、その人は必ず恐怖心を抱く。
人によってその物の大小は変わってくるだろうが、ほぼ確実に恐怖心という物は湧き出てくる物だ。
では何故恐怖心を抱いてしまうのか?
それは視覚的に得られる情報量の多大なる欠如が原因だろう。
光によって判別できていた情報が闇によってその姿を隠してしまうのだ。
そうなると人間は本能的な直感から脳に危険信号が送り出される。
何処に何がいるのかわからない。
何時誰に襲われるかわからない。
そんな不安を生み出す闇が嫌われてきたのは至極当然のことだろう。
その闇の中に、ブーンはいた。
- 159: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:30:37.22 ID:akmXOAUP0
- (;^ω^)「いや、これは怖すぎるお」
彼もまた暗闇の中で本能的に怯えていた。
無理もない。
ここは既に安全な村の中ではなく、いつ魔物に出会うかわからない闇の中なのだから。
足は震え、数子を握る手の内は汗でびっしょりだ。
もちろん彼の汗で数子も汗だくになっている。
……想像もしたくない映像だが。
- 160: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:31:22.03 ID:akmXOAUP0
- 魔物A「がおー」
突然闇の中から魔物が姿を現した。
人間の姿とは掛け離れていて、異形の姿。
(;゚ω゚)「ひぎぃ!」
その突然の来訪者に思わず悲鳴を上げるブーン。
元々幼少の頃の体験で魔物がトラウマになっているのだ。
そんな魔物が闇から突然出てくるのだから平常心を保てる方がおかしい。
- 161: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:31:54.39 ID:akmXOAUP0
- (;゚ω゚)「くぁwせdrftgyふじこlp;」
魔物に出会う事はわかっていた。
そんなこと承知で村を出た。
しかし、イメージしていたのと現実で会うのとではその恐怖心の大きさは雲泥の差だ。
実際に今のブーンは意味不明な言葉を叫きつつ、戦うべきその手を振り回している。
すると汗で滑りやすくなっていた数子が彼女の所有者の手からすっぽ抜けて飛んでいってしまった。
- 162: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:32:28.85 ID:akmXOAUP0
- 魔物A「ひでぶっ!」
なんと宙に放たれた数子は狙い澄まされたかのように魔物の奇妙な形をした頭部に命中した。
頭蓋骨が叩き割れたかのような音がしたかと思うと、そのまま美しい軌道を描いて吹っ飛んでいく魔物A。
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋かぁぁぁああ!」
その飛び様はこの名ゼリフが聞こえてくるかのようだった。
そして、数子に飛ばされた可哀想な被害者はそのまま二度と動くことはなくなった。
- 163: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:33:29.28 ID:akmXOAUP0
- ( ^ω^)「お?数子がやってくれたのかお?」
魔物が頭部を砕かれた音と地面に叩き付けられた音。
この2つの音を聞いてブーンは平常心を取り戻した。
( ^ω^)「数子は想像以上に強いんだお……正直なめててすまんかった」
両親の我が子を守ろうとする強い思いからか、数子という名を持つ者の運命なのか。
確かに数子の破壊力は凄まじかった。
>>89『棍棒ってけっこうつおいんだぜ』
今は亡き>>89の言葉がブーンの脳に浮かんでくる。
- 164: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:34:02.71 ID:akmXOAUP0
- ( ^ω^)「数子がいるならもうCHA−LA HEAD−CHA−LAだお」
数子がいる安心感からか、ブーンはパワーウルトラZな歌を軽く口ずさみながら歩き出した。
もちろんその歌声が酷く音痴で、すぐに不快な気分を味わった魔物達に襲われたことは言うまでもない。
魔物B「がおー」
魔物C「がおー」
魔物D「がおー」
(;^ω^)「ちょwwwこっちくんなwwww」
- 165: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:34:33.09 ID:akmXOAUP0
- しかし平常心を取り戻したブーンと最強の棍棒の数子とのコンビはなかなか強力であった。
村人に戦うスキルはほぼ無に等しいはずなのに、ブーンは的確に数子で魔物を殴り倒していく。
そんな数子の暴力に魔物達は平伏すしかなかった。
( ^ω^)「あたたたたたた……ほわたぁ!」
魔物B「あべし!」
( ^ω^)「ほぉ〜……ぅわちゃぁ!」
魔物C「うわらば!」
( ^ω^)「そぉい!」
魔物D「ぎゃー」
それにしてもこの魔物達、ノリノリである。
- 166: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:35:13.17 ID:akmXOAUP0
- ( ^ω^)「数子強すぎワロタwwww」
そんな展開を2〜3回程繰り返した頃、闇夜の下に小さな明かりを見つけた。
その明かりは闇の中に長く置かれて緊張状態だった村人に安心感を与える。
( ^ω^)「あそこに何かあるお……お、そういえばメモの住所はここら辺だったはずだお」
ブーンは頭の中でセーブによって記録された住所と地図を見比べてみた。
確かに遠くに見える明かりと住所は一致している。
遂に彼は目的地に辿り着いたのだ。
- 167: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:35:50.14 ID:akmXOAUP0
- ( ^ω^)「ktkr!やっと到着だお」
仕事の疲れ、闇の中の緊張感、魔物に対する恐怖、あと作者の期末試験が間近に控えていること。
様々な事を忘れて走り出すブーン。
地面が見えないため何度か躓き、転びそうになったが特に何事もなく明かりの元へと到達した。
そこには木造で少し古めの、こぢんまりとした小屋が建っていた。
( ^ω^)「夜分遅くすいませんお!とある話が聞きたいんですお!怪しい者じゃないから開けて欲しいお!」
扉の隣にチャイムがあることに気付かず、扉を叩きながら大声で叫びまくるブーン。
そんな彼の言葉には何一つ説得力など無かった。
- 168: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:36:23.07 ID:akmXOAUP0
- ξ゚听)ξ「こんな夜にうるさい!用があるならチャイムを押しなさいよ!」
変質者の叫きが本当にウザかったのだろうか。
その家の住人が軽くキレながら扉を開いた。
(;^ω^)「お?」
顔を見せた住人に不審者は焦った。
金髪で緩いウェーブが掛かった髪。
髪の下には絹のように白く繊細な肌。
それらを持ち合わす西洋人形のように整った綺麗な顔立ち。
住人は明らかに不審者の探し求める【(,,゚Д゚)】ではなかった。
- 169: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:37:07.66 ID:akmXOAUP0
- ξ゚听)ξ「で、何の用?用件があるならさっさと言ってちょうだい」
顔に似合わず少しトゲのある喋り方だ。
それに面食らったブーンは少し考えて、素直に謝ることにした。
(;^ω^)「ゴメン。人違いだったお」
ξ゚听)ξ「はぁ?人違いとか有り得ない!散々人ん家のドア叩いたくせに何それ?」
凄い勢いで責め立てる住人。
しかし言っていることは当然のことである。
- 170: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:38:19.01 ID:akmXOAUP0
- (;´ω`)「本当に悪かったお……実は僕、ある人を探してて……」
ξ゚听)ξ「こんな夜にふざけないでよ!……まぁ良いわ。どんな人か言ってみなさいよ」
どうやら彼女は不審者の言葉に興味を示したらしい。
言葉遣いとは裏腹に少々お節介な性格なのかもしれない。
( ^ω^)「こんな人だお」
彼は昨夜にショボンから渡され、ポケットの中にしまっておいた似顔絵を取り出した。
【(,,゚Д゚)】
- 174: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:39:38.35 ID:akmXOAUP0
- ( ^ω^)「正直怖そうな人で会うのが軽く嫌だけど、僕はこの人に会って聞きたいことがあるんだお」
今の状況を説明しながら似顔絵を手渡す。
似顔絵を受け取り、描かれている絵を見た少女はその大きな目を更に大きく広げて驚いた素振りを見せた。
ξ゚听)ξ「これってパパじゃない!」
(;^ω^)「……ほわっと?」
衝撃的な言葉を聞き、元々大して働いていない脳みそが一瞬停止するブーン。
どうやら目的地は間違ってなかったようだ。
- 175: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:40:25.96 ID:akmXOAUP0
- ξ゚听)ξ「パパに用があるなんて珍しいわね。でもちょっと前に『勇者が来た』って言って城に行っちゃったからまだしばらく帰らないわよ」
(;^ω^)(城……?何のことだお?)
ブーンが不意に浮かんだ疑問に思考を巡らしていると、続けて少女が話し出す。
ξ゚听)ξ「しょうがないから家に入れてあげる。別にあんたの為じゃないわよ。
家の前が魔物にやられてグチャグチャになった死骸で汚されるのが嫌なだけなんだから!」
( ^ω^)「こいつは酷いツンデレだおwwwでもそうしてもらえるとありがたいんだお」
- 176: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:41:02.06 ID:akmXOAUP0
- 家の中に男と女が2人っきり。
こんなシチュエーションは一瞬で童貞の脳の中を淫らな妄想でいっぱいにした。
(*^ω^)(こいつはもしかしたらエロゲのような展開が待ち受けているかもだお。選択肢を間違えないように気をつけるんだお)
そんな童貞の心を読んだのか、少女の漂わす空気が変わる。
ξ゚听)ξ「何か変な事しようとしたら本気で殺すからね」
彼女の周りにどす黒いオーラが見えた。
直感でわかる。これは殺気だ。
(;^ω^)「把握したお」
- 177: ◆qvQN8eIyTE :2007/03/04(日) 21:42:14.04 ID:akmXOAUP0
- 冷や汗を流しながらブーンは怯えていた。
(;^ω^)(娘がこんなに怖いんなら父親の方は一体どんだけ怖いんだお)
しかしこれは彼が望んだ出会いだ。
決して設定が決めつけた出会いではない。
そのことを思うと下降気味だった気分が少し上昇した。
少女の父親が帰ってくるまでに、少女に何度も言葉責めされてすぐに気分がどん底まで落ちたのは余談だが。
( ´ω`)「ウツダシノウ……」
こうして少女と2人きりの時間は過ぎていった。
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