ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: ほっちゃん(岡山県) :2007/03/16(金) 20:54:20.43 ID:PooBF2Ek0
  
「正義のヒーロー」と聞いて、あなた達は何を想像するだろうか。
それは仮面ライダーであったり、ゴレンジャーであったり、ウルトラマンであったり、
お巡りさんであったり、レスキュー隊であったり、近所のお兄さんであったり、
それぞれ人によって違うだろう。

テレビの中では、誰かがピンチの時、
正義のヒーローが颯爽と現れて、困っている人を助けてくれる。
悪は斃れ、人々は喜び、正義のヒーローは何処かへと去り、
ハッピーエンドで物語は終結する。

そう、正義のヒーローは助けを呼べば必ずやってくる。
だからこそ、人々はそんな彼らを「正義のヒーロー」と呼び、
それ故に正義のヒーローは正義のヒーローとして定義される。

……しかし、それはテレビの中だけの話だ。
現実には、正義のヒーローは困っている人の前には現れたりなんかしない。
正義のヒーローなんか世界の何時何処にも存在しない。
正義のヒーローは、誰も救ったりなんかしない。



4: ほっちゃん(岡山県) :2007/03/16(金) 20:55:34.06 ID:PooBF2Ek0
  
――それでも、
それでも正義のヒーローを信じ続けた一人の少年がいた。
傷ついて、傷ついて、傷ついて、
それでも、いつか、いつの日か、
正義のヒーローが助けに来てくれると、
心の底から信じ続けた。

……当然のように、正義のヒーローはやって来なかった。
そもそも、居もしないものが現れるなんて、有り得ないことだった。
それでも、少年は信じて、待ち続けた。
いつか、いつか、いつか、いつか、いつか、正義のヒーローが――

――時間だけが過ぎ、少年は青年になり、希望はは歪に捻れ、
それでも少年は裏切られた事に気付かず、気付こうとせず、
ただ、純粋な想いだけが、風化しないまま積もっていった。

正義のヒーローは、誰も救ったりなんかしない。

だから、少年は――


         *        *        *



戻る第一話