ドクオは正義のヒーローになれないようです

2:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 16:06:06.52 ID:7TT+IWjg0
  
第五話『正義の使者、ブーン!』

悪党、怪人を擁する悪の秘密結社があれば、
必然的に正義の組織というものも存在する。
光が生れれば影が出来るように、表だけのコインは存在しないように、
両者は絶対不可分の存在なのである。

『JOW(Justice Of the World)』……誰も知らない所から世界の正義を司る、絶対正義執行機関。
歯車王指揮する『秘密結社tanasinn』と、長年に渡り死闘を繰り広げているとされている。

そんな組織の一員である、正義の使者――
ドクオ言うところの正義のヒーローである、ブーン。
今回のお話は、彼に焦点を当てたものである。



4:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 16:12:56.66 ID:7TT+IWjg0
  
( ^ω^)「みんなー、おいすー」
VIP市の中心地にある高層ビルの一角に、毎朝恒例になっている陽気な声がこだました。
彼はブーン。
若干17歳の現役高校生ながら、これでもれっきとしたJOWの特殊戦闘部隊の一員である。

ξ゚听)ξ「おはよ、ブーン
      相変わらず冴えない顔してるわね」
( ^ω^)「ツンちゃんも相変わらず可愛いお!」
ξ゚听)ξ「な、何言ってるのよ!
      べ、別にそんな事言われても嬉しくないんだからね!」

テンプレートなツンデレっぷりを見せるこの少女はツン。
ブーンの幼馴染にして、ここJOW日本支部の支部長の娘でもある。

(´ー`)「お嬢様、お急ぎになられませんと、ご主人様のお見送りに間に合いませんよ」
ツンの横に付き従う老紳士。
パリっとしたスーツを着こなしたその姿からは、
老いによる衰えよりも寧ろ熟年の威容すら感じさせる。

彼の名は初代モナー。
JOW日本支部初期からの古株であり、今は本名ではなくご隠居などと呼ばれることのほうが多い。



5:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 16:22:35.45 ID:7TT+IWjg0
  
ξ゚听)ξ「分かったわ、爺。
      それじゃちょっと行って来るから、爺はここでそこのピザの相手をしてて」
( ^ω^)「ピザって……」
(´ー`)「かしこまりました」
( ^ω^)「あんたも否定しないのかお」

JOW日本支部――
戦後、マッカーサーによる日本の改革と共に創設されたその組織は、
今も歴史の影で存在し続けている。

時が経て、創立当初は五階建ての木造建築だった支部の建物も、
今では何十回もの高層ビルとなっているが、その基本理念は創立以来変わっていない。

世界各地に根を張り巡らせるJOWの行動理念、
それは悪の殲滅と正義の執行による絶対正義の確立。
その一念のみで、JOWは今まで存在し、活動し続けてきていた。



6:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 16:35:17.05 ID:7TT+IWjg0
  
( ^ω^)「……ご隠居、僕はそんなにピザなのかお?」
まだ青春真っ盛りであるブーンにとって、身体的な特徴は大きな悩みの一つであった。

(´ー`)「いえ、そこまでお気になさる程ではありませんよ。
     私も若い頃は、微笑みデブとか言われていましたが、
     それに比べれば大したものではありません」
( ^ω^)「ご隠居の若い頃って言われても、あんま想像つかないお。
      でも、ありがとだお」

ブーンは初代モナーが現役の時、
微笑みデブどころか『死神モナー』とか『死置き人モナー』とか
『魔弾モナー』とか『地獄の狂笑』だとかいう今の微笑の似合う好々爺の姿には
凡そ相応しくない二つ名で呼ばれていたことを知っていたが、
怖いのでそのことには敢えて突っ込まなかった。

川 ゚ -゚)「おや、ブーンにご隠居じゃないか。
     どうしたのだこんな所で」
雑談をしていた二人の後ろから、凛とした声がかけられた。
ブーンとご隠居が、声だけで誰か分かったのか、驚くこともなく後ろに顔を向ける。



7:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 16:44:51.88 ID:7TT+IWjg0
  
( ^ω^)「あ、クー、おいすー」
川 ゚ -゚)「うむ、おいすー」
いつも冷静沈着無表情を崩さない彼女は素直クール。
ブーンと同じ特殊戦闘部隊に所属しており、彼女の方がブーンより先輩に当たる。
ともすれば暴走しがちなブーンを抑えるのが、最近の彼女の役目であった。

(´ー`)「お早う御座います、クー様」
川 ゚ -゚)「ああ、ご隠居も元気そうで。
     また、機会があれば組み手に付き合って頂きたいんだが」
(´ー`)「おやおや、こんな年寄りに余り無茶を仰らないで下さい」
川 ゚ -゚)「何を謙遜を。
     この前だって、ご隠居からはついに一本も取れなかったではないですか」
( ^ω^)「ブーンで良ければ相手するお!」
川 ゚ -゚)「ああ、あと十年経ったらお願いするよ」
( ^ω^)「ひどいお……」



11:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 16:57:38.38 ID:7TT+IWjg0
  
川 ゚ -゚)「そういえば、ここで何をしていたのだ?」
クーがさっき聞きそびれた質問をもう一度行った。
( ^ω^)「あ、そうだったお。
      ツンを待っていたんだお」
(´ー`)「今、お嬢様はご主人様のお見送りに行っておられますから、
     もうそろそろ戻って来られると思いますよ。
     おっと、噂をすれば、ですな」
パタパタと軽い足音を聞きつけて、その場の全員が足音の方へと向き直った。

(´ー`)「お帰りなさいませ、お嬢様」
計ったように正確な30度腰を曲げたお辞儀をして、
初代モナーがツンを出迎えた。
ξ゚听)ξ「お待たせ、ブーン、爺。
      あ、クーさんも来てたんだ」
川 ゚ -゚)「うむ。 お邪魔だったかな?」
ξ゚听)ξ「そんなことないわ。
      そうだ、折角こうして集まったんだし、皆でお茶でもしない?
      といっても、このビルの中のカフェテリアだけど」
( ^ω^)「賛成だお!
      僕、ここのザッハトルテとミルフィーユ大好きだお!」
ブーンが歓喜の声をあげた。
(´ー`)「では、私は入り口で待っておきましょう」
ξ゚听)ξ「何言ってるの、爺も一緒よ。
      こういうのは、人数が多い程楽しいでしょ?」
こうして、半ば強引にお茶会が始められることとなった。



12:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 17:06:06.00 ID:7TT+IWjg0
  



( ^ω^)「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)(´ー`)「ちょwwwwwwwwwwwwwwきめえwwwwwwwwwwwwwwwwww」
テーブルマナーだのエチケットだの、
そういった人として大切な何かを一切感じさせない食べ方で、
ブーンは運ばれてきたケーキを貪っていた。

ξ゚听)ξ「ブーン……あんたね、爺を見習えとまでは言わないけど、
      もうちょっと綺麗な食べ方しなさいよ」
川 ゚ -゚)「全くだ。 人に不快感を与えないのも、社会人としての常識だぞ?」
ツンとクーが呆れたように溜息を吐く。

(´ー`)「まあまあ、お嬢様もクー様も……
     若い時はあれぐらい貪欲な方が将来大きくなるというものです」
ブーンとは対照的に、初代モナーの皿にはカスの一つすら残っていない。

( ^ω^)「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)(´ー`)「……聞いてねえし」



13:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 17:15:24.28 ID:7TT+IWjg0
  
( ^ω^)「あー、食った食ったお。
      シーハーシーハー、ゲップ」
ξ゚听)ξ「お前もう死ねよ」
ツンが温度の低い視線をブーンに投げかけたが、当人のブーンは全く気にした様子は無い。

川 ゚ -゚)「そういえば、ツン。
     長官のお見送りに言っていたとご隠居に聞いたが、長官はどちらへ?」
ξ゚听)ξ「んと、詳しくは教えてくれなかったんだけど、どこかで会議があるみたい。
      最近、忙しいんだって」
川 ゚ -゚)「そうか…… 確かに、最近怪人らしき事件が目立ってきているからな……」
クーが何か考えるように顎に手を当てる。

ξ゚听)ξ「この前も、蜘蛛の怪人の死体があったとか何かで、
      その事実の隠蔽にあっちこっち奔走してたみたいだし、
      ここのところ、あまりお休みにもなられてないみたい……」
父親の体を案じ、ツンの表情が僅かに曇った。
( ^ω^)「てか、何で怪人のことを一々隠す必要があるんだお?」
ξ゚听)ξ「あんた馬鹿じゃないの!?
      そんなことしたって、余計に世間を混乱させるだけじゃない!」
川 ゚ -゚)「その通りだ。
     時としては、何も知らない方が幸せなことだってある。
     特に、あるべきではない真実ほど、な」



14:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 17:25:28.09 ID:7TT+IWjg0
  
川 ゚ -゚)「しかし、最近の怪人の跋扈、確かに気にはなるな……」
クーは飲み終えたコーヒーカップを静かに皿の上に置いた。
(´ー`)「明らかに、tanasinnが絡んでいると思料される事件が、ここ数週間頻発しています。
     今はまだ隠匿出来ていますが、これ以上発生するとなると隠し続けるのは無理が出てくるかもしれませんな」

( ^ω^)「そんなことはどうでもいいお!」
ブーンが突然机に手を突いて立ち上がった。
( ^ω^)「一番大切なのは、事件が起こってるってことは、
      傷ついている人が生れているってことだお!
      隠蔽だの世間だの難しいことはよく分からないけど……
      傷ついてる人を助けなけりゃならないってことははっきりと分かるお!
      僕は、その為に正義の味方になったんだお!」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
いつもとは違うブーンの剣幕に、一同は声を失った。
ブーンの瞳の中には、悪を許さぬ炎が宿っていた。

(´ー`)「……その通りですな。
     どうやら我々は、大切なことを見誤っていたようです」
川 ゚ -゚)「全く、恥ずかしい話だ。 ブーンに教えられる、とはな」
( ^ω^)「そ、そんな褒められると照れるお」
ξ゚听)ξ「ううん、私も、ブーンは立派だと思うわ」



15:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 17:37:47.56 ID:7TT+IWjg0
  

 ヅー、ヅー、ヅー

( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)(´ー`)「!!!!!」
突然、ビルの中に緊急警報が鳴り響いた。
ブーン達の顔が、一斉に緊張に強張る。

「VIP市北、それなんてエロゲ山にて非常事態発生。
 遠足に来ていたVIP小学校の生徒、教員とが、怪人らしき者に襲われたとのこと。
 詳細は、逃げ帰った者から聴取中。
 隊員は速やかに出動し、事態の鎮圧に当たれ」

( ^ω^)「それなんてエロゲ山かお!」
川 ゚ -゚)「そうだ! 急いで出撃するぞ、ブーン!」
ブーンが腕に腕時計のような機会をはめ、クーが懐に入れてあった拳銃を取り出してスライドを引く。

ξ゚听)ξ「爺!」
(´ー`)「承知しております。
     今、ヘリコプターを用意させるように電話を入れました。
     八分もあればそれなんてエロゲ山まで到着出来るでしょう」
( ^ω^)「ご隠居、ありがとうだお!」
ブーンとクーが、同時にヘリポート目掛けて駆け出した。



18:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 17:49:48.46 ID:7TT+IWjg0
  



ブーン時々、考える。
自分はどうしてここにいるのか。
自分はどうして正義の味方になったのか。

物心ついた時から、ブーンはJOW日本支部にいた。
ブーンの両親が怪人に殺されて、JOWが引き取ったとブーンは聞かされたが、
ブーンはよく覚えていない。

ただ一つはっきりしていることは、
自分のように、両親のいない悲しみを他の人には味わわせたくないこと。
そして、正義の味方という肩書きが、
ブーンに何よりの力を与えてくれていることだった。

( ^ω^)「怪人はどこだお!」
ヘリの中からそれなんてエロゲ山を見下ろしながら、ブーン達は怪人を探していた。
川 ゚ -゚)「ッ! ブーン、あれを……!」
( ^ω^)「!!!!!」
ブーンとクーは目を見開いた。
山の木の開けた部分に、真っ赤な水溜りが出来ている場所が見える。
そこには幾人もの子供の死体が倒れ、その中心には、
手を血に染めた醜悪な容姿の男が一人。
そいつが、この惨劇の元凶だということは、誰の目にも明らかだった。



19:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 17:57:29.77 ID:7TT+IWjg0
  
( ^ω^)「何てことを……!」
川 ゚ -゚)「下種が!」
ブーンもクーも、嫌悪を隠そうとしなかった。
唇を噛み、血が滲む程拳を握り締め、
目の前の悪への怒りに打ち震えていた。

( ^ω^)「あの野郎! 絶対許さねえお!!
      ブーンが、ここで、奴を斃す!!」
ブーンは腕時計のような機械のスイッチを押すと、ヘリコプターのドアを開け、
パラシュートも付けずに上空から山へと飛び降りた。

( ^ω^)「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
説明しよう!
ブーンはJOWに生体強化施術を受けた改造人間である!
普段は一般人と何も変わらないが、
腕に取り付けられた機械から、特殊な薬品が打ち込まれると、
改造されたブーンの体組織と反応を起こし、無敵のヒーローへと変身するのだ!

( ^ω^)「変! 身!!!」
瞬間、ブーンの体が発光し、光の玉となったまま地面に激突した。



24:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 18:09:09.19 ID:7TT+IWjg0
  
( 0ш0)「…………」
光が消えた時、そこにはさっきまでのブーンの姿は無く、
変わりに、白い装甲に包まれた超人がそこにあった。
あれだけの激突だったにも関わらず、その体には一つの傷も無い。

(∴)◎Д◎(∴)「な、何だ! 貴様は!」
今回の惨劇の元凶――怪人オタ男は、狼狽した様子でブーンに問う。

( 0ш0)「僕は、お前のような悪を倒す為に生れた戦士……」
ゆっくりと立ち上がりながら、ブーンは言った。
( 0ш0)「ブーン仮面、ここに参上だお!」
(∴)◎Д◎(∴)「ブーン仮面だと!? このJOWの狗め!!」
ブーンが名乗ると同時に、オタはブーンへと突進した。

(∴)◎Д◎(∴)「ぶるああぁッ!!」
オタ男はその右手に持っていた武器、ライオンボードアックスでブーン仮面に斬りかかる。
( 0ш0)「当たるかお!!」
しかし、その一撃はブーンにかすりもしないまま空を斬った。
ブーンが、当たる直前にバックステップで距離を開けたからだ。



25:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 18:18:12.49 ID:7TT+IWjg0
  
( 0ш0)「ブーーーーーーーーン!」
距離を離したところで、ブーンが両手を広げてオタ男の周りを旋回し始めた。

(∴)◎Д◎(∴)「な、何ぃ!?」
オタ男がその余りの速度に驚愕する。
元々スピードには優れているブーンだが、
改造によりその脚の筋力は既に人外魔境の域にまで達している。
その速度たるや、最早誰にも捉えることは出来ないものであった。

( 0ш0)「ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
オタ男がうろたえている間にもぐんぐんブーンのスピードは上がっていく。
残像により、オタ男にはまるでブーンが何人にも分身したように見えていた。

( 0ш0)「ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
加速に次ぐ加速に次ぐ加速により十分速度が乗ったところで、
ブーンは走る方向をオタ男へと変更した。

( 0ш0)「お前が殺した子供達の痛み、とくと味わうお!!!」
跳躍――と同時に、左足を折りたたんで右足を突き出す。
そのブーンの姿は、まるで一本の矢と化したかのようであった。



31:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 18:32:30.81 ID:7TT+IWjg0
  
( 0ш0)「ブーーーーーーンキィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッック!!!!!」
ブーンの右足がオタ男の胸に吸い込まれるように命中した。
恐るべき速度から放たれた飛び蹴りはオタ男を人形のように吹き飛ばす。

オタ男の体が何度か木に激突したが、キックの勢いが殺されることはなく
何本もの気を衝撃でなぎ倒しながら吹っ飛び続け、
十本目の木にぶち当たったところでようやく空中飛行は終わりを迎えた。

(∴)◎Д◎(∴)「ぐわああああああああああああ!!」
同時に、オタ男の命も終わりを迎えていた。
叫び声を上げながら、オタ男の体が爆散する。
炎と肉片を撒き散らし、爆炎が天に向かって昇っていった。

( 0ш0)「子供達の苦しみは、こんなもんじゃないお!!」
悪の権化、怪人オタ男は滅びた。
しかし、ブーンの目からは、熱い涙が流れていた。



川 ゚ -゚)「……どうやら、今回は私の手助けは必要なかったようだな」
ヘリの中でブーンとオタ男の戦いを見守っていたクーが、目から双眼鏡を離す。
川 ゚ -゚)「…………」
クーの目にも、ブーンと同じ涙が溢れていた。



32:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 18:39:32.72 ID:7TT+IWjg0
  



ξ゚听)ξ「お疲れ様、ブーン、クー」
ツンがヘリから降りたブーンとクーにタオルを差し出した。
川 ゚ -゚)「私は今日は何もしていない。
     私はいいから、ブーンを」
クーがブーンを労わるように促した。

ξ゚听)ξ「聞いたわよ、ブーン。
      大活躍だったそうね」
ツンがブーンにタオルを差し出したが、ブーンはそれを手で払い、受け取らなかった。

ξ゚听)ξ「ブーン……?」
( ^ω^)「……大活躍なんかじゃないお」
ブーンは歯を食いしばり、顔を下に俯いていた。

( ^ω^)「ごめんお、ツン。
      ちょっと一人にしておいてくれお」
ξ゚听)ξ「ちょ、ブーン!」
ブーンはツンの言葉を無視して、自分の部屋へと戻って行った。
場に、気まずい雰囲気だけが残る。



33:占い師(チリ) :2007/03/25(日) 18:47:07.62 ID:7TT+IWjg0
  
川 ゚ -゚)「すまないな、ツン。
     色々、あったんだ」
それだけ言うと、クーも無言のままツンのもとから去って行った。
彼女もまた、ブーンと同じ、
子供達を助けられなかったという思いで一杯だった。

ξ゚听)ξ「ブーン……」
ツンが不安そうな表情でブーンの去った方を見続ける。
初代モナーはそれを察すると、ツンの肩に優しく手をかけた。
(´ー`)「心配いりません、お嬢様。
     ブーン様なら、きっと立ち直って、また元気な姿をお嬢様に見せてくれる筈です」
ξ゚听)ξ「爺……」

確かに悪は斃れた。
しかし、失われた命はもう二度と戻って来ない。
負けるな、ブーン。
まだこの世には悪が蔓延り、君の力を必要とする人がいるのだから。


〜第五話『正義の使者、ブーン!』 終
 次回『闇黒より生まれし新怪人!』乞うご期待!〜



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