ドクオは正義のヒーローになれないようです
- 1: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 17:39:21.00 ID:s9hWq4Dy0
- 第十四話『JOW、ドクオに接触す』
〜前回までのあらすじ〜
ドクオと銀が怪人達との死闘を繰り広げている中、
VIP市には新たな脅威が襲来していた!
( ФωФ)「ふはははは!
今度はこの星を征服し、我輩の支配下に置いてくれる!」
そいつの名は杉浦ロマネスク!
B78星雲からやってきた、宇宙大魔王(自称)だ!
平和だった地球に、奴の魔の手が襲い来る!!
( ФωФ)「さて、まずはこの星の汚染から始めるとするか!」
ロマネスクの手にスプレー缶やペンキが握られる!
宇宙大魔王(自称)のわりには、やってることはカラーギャングと同レベルだ!
( ФωФ)「むむッ!? 何だこれは!
壁がこんなに汚れていては、我輩が落書きしても目立たないじゃないか!
おのれ、地球人め! 小癪な真似を!
その手に乗ってたまるか!!」
落書きを諦め、壁の掃除を始めるロマネスク!
これが地球征服の為の活動の第一歩だ!!
- 3: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 17:41:40.05 ID:s9hWq4Dy0
- ( ФωФ)「……壁は綺麗になったが、
よくよく考えるとこんな小さな悪事をしていてもしょうがない。
矢張りここは、弱い存在から金品を強奪してやる!」
ロマネスクの前を、大きな荷物を背負ったおばあさんが通りかかる!
おばあさんが危ない!
( ФωФ)「やいそこのお前。 その背中の荷物を寄越せ!」
从'ー'从「あら、荷物を運んで頂けるのですか? どうもすみません」
( ФωФ)「えッ? いや、あの……」
从'ー'从「それでは、VIP市今北町の3丁目までお願いします」
( ФωФ)「あのー……」
何故か荷物運びをすることになったロマネスク!
これじゃただの良い人だ!!
- 4: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 17:42:19.96 ID:s9hWq4Dy0
( ФωФ)「おのれ地球人共め! この私をここまでコケにするなんて!
こうなれば、街ごと全ての人間を消し飛ばしてくれるわ!!」
ついにロマネスクがブチギレた!
今度こそ、地球は滅んでしまうのか!?
「キャー! 誰かー!」
「大変だ! 幼稚園の通学バスが何者かにカージャックされたぞ!」
そこに飛び込んでくる悲鳴!
怪人がまたもや悪事を働こうとしていたのだ!
( ФωФ)「何ィ!? こうしてはおれん!!」
ロマネスクが颯爽と現場に急行する!
果たしてその真意は!?
<ヽ`∀´>「ふははははー!
このバスはこのキムチ男が占領したニダ」
不敵に笑う怪人、キムチ男!
幼稚園児の命は風前の灯火だ!
- 5: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 17:43:04.17 ID:s9hWq4Dy0
- ( ФωФ)「待てい!!」
<ヽ`∀´>「な、何者ニダ!?」
( ФωФ)「我輩は邪悪の化身、宇宙大魔王杉浦ロマネスク!
この我輩の目の前で、それ以上の悪事は許さん!!」
<ヽ`∀´>「邪悪の化身が何故ウリの邪魔をするニダ!?」
( ФωФ)「我輩こそが悪!
我輩こそが真の邪悪!!
その我輩を差し置いて悪を名乗ろうなど言語道断!!
宇宙大魔王の名において、ここで貴様を滅殺してくれる!!」
<ヽ`∀´>「ニ、ニダーーーーーーー!!!!!」
ロマネスクの手によって、キムチ男は倒された!
園児の顔に再び笑顔が戻る!
「ありがとう、ロマネスク!」
( ФωФ)「くッ……! 誰が礼を言えなどと言った!
まあいい! 近いうちにこの星を征服してやるから、その時は覚悟しておけ!!」
ありがとうロマネスク!
頑張れロマネスク!
だけど、そんな調子で世界征服が出来るのか!?
- 7: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 17:48:33.77 ID:s9hWq4Dy0
* 以下、何事もなかったかのように再開 *
川 ゚ -゚)「……ふう」
JOW事務室の一角、素直クールは椅子の背もたれに身を投げ出し大きく溜息をついた。
(´・ω・`)「お疲れのようだね、クー」
その後ろから、クーの同僚であるショボンが声をかける。
その優男的な外見とは裏腹、
これでもクーやブーンと同じ特殊戦闘部隊の一員である。
川 ゚ -゚)「ああ。 少々、考え事があってな」
(´・ω・`)「最近の怪人騒動、かい?」
コーヒーを渡しながら、ショボンが尋ねた。
- 9: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 17:58:13.05 ID:s9hWq4Dy0
- 川 ゚ -゚)「そうだ。
はっきり言って、私には奴らの目的が皆目見当もつかない。
通り魔的に人を襲ったり、ショッカーよろしくバスジャックをしてみたり……
その気になれば、もっと大々的なことも起こせように、
何故かヒーローものの番組のような子供騙し的な悪事に終始している。
しかも、それを隠そうともしない。
奴らは、一体何がしたいのだ?」
(´・ω・`)「怪人や戦闘員の実力のテストをしている、では?」
川 ゚ -゚)「それだけなら、もっと他にも方法がある筈だ。
わざわざ、私達JOWに目をつけられるようなやり方をする理由が無い。
どころか…… 寧ろ、事件を明るみにすること自体が目的のような……」
(´・ω・`)「ふむ……」
ショボンとクーが、思案しながらコーヒーを啜る。
黒色の液体が、二人の舌を少し焼いた。
川 ゚ -゚)「それと、もう一つ」
(´・ω・`)「うん?」
クーの言葉に、ショボンがコーヒーのカップを置いて耳を向ける。
川 ゚ -゚)「まだ確定的ではないが、私達と、怪人達の他に、
第三の勢力が動いているかもしれない」
(´・ω・`)「第三の勢力?」
ショボンが少し身を乗り出し、クーに聞いた。
- 13: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 18:07:57.14 ID:s9hWq4Dy0
- 川 ゚ -゚)「ああ。
怪人クマ男が何者かに倒されていた事件、覚えているだろう?
その時、こういう証言があったそうだ。
『クマの怪物からマスク仮面とかいう正義のヒーローと、綺麗な銀髪のお姉ちゃんに助けられた』
……とな」
(´・ω・`)「ふうん」
川 ゚ -゚)「他にもある。
蜘蛛男の死骸といい、この前の廃工場の地下の実験施設だってそうだ。
あそこには、明らかに我々でも怪人達の仕業でもない死体があった。
何か、別の勢力が、事態に絡んできている可能性が高い」
(´・ω・`)「別の勢力、ねえ……」
ショボンがコーヒーカップを持ち直し、一口コーヒーを含んだ。
川 ゚ -゚)「その辺りを突いていけば、もしかしたら何か掴めるかもしれない。
……ところでショボン、『マスク仮面』とは何か、知っているか?」
(´・ω・`)「ま、人並みにはね。
十年以上も前に放送されてた特撮ヒーロー番組さ。
当時、結構子供達の間では人気だったよ」
川 ゚ -゚)「そのヒーローが、今、何故か現実に現れて怪人と闘っているかもしれない、と……」
(´・ω・`)「ジョークとしては一流の部類だね」
ショボンが肩をすくめ、おどけてみせた。
クーもそれを受けて、苦笑いをする。
- 16: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 18:14:23.67 ID:s9hWq4Dy0
( ^ω^)「あ、クー、ショボン、おいすー!」
停滞した空気が流れていた部屋に、陽気な挨拶が飛び込んできた。
ブーンだ。
後ろには、初代モナーとツンも一緒にいる。
川 ゚ -゚)「ああ、ブーンか」
(´・ω・`)「相変わらず君は元気だね」
( ^ω^)「ショボンは相変わらずシケたツラしてるお」
(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」
(;^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ 「二人とも、ずっと仕事してたの?」
ツンがクーとショボンに尋ねる。
川 ゚ -゚)「いや、それが全くはかどらなくてな。
そろそろ切り上げようと思っていたところだ」
(´・ω・`)「何にせよ、情報が少なすぎるからね」
クーとショボンが互いに小さく溜息をつく。
- 21: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 18:21:33.21 ID:s9hWq4Dy0
- (´ー`)「ふむ……
御主人様も、そのことには随分と頭を痛めておいでです」
初代モナーが主人の身を案ずるように控えめな声でいった。
(´ー`)「そのせいで仕事も増え、家にもあまりお帰りにならず、
お嬢様も随分と寂しい思いを……」
ξ゚听)ξ 「ちょ! ちょっと爺、余計な事は言わないの!」
(´ー`)「おっと…… 申し訳ございません」
初代モナーがツンに深々と頭を下げる。
川 ゚ -゚)「そうだ、ブーンにツン、それからご隠居」
クーが、やおら三人に尋ねた。
川 ゚ -゚)「『マスク仮面』と銀髪の女で、何か心当たりはないか?」
(´ー`)「…………!」
ブーンとツンが首を傾げる中、初代モナーだけが顔色を変えた。
(´・ω・`)「ご隠居、何かご存知なので?」
その変化を見逃さず、ショボンが初代モナーに問い詰める。
- 25: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 18:32:40.99 ID:s9hWq4Dy0
- (´ー`)「……昔の事でございます」
しばらくの沈黙の後、初代モナーは観念したかのように口を開き始めた。
(´ー`)「あれは第二次世界大戦が終わって二年くらい後の頃でしたか……
当時、私はJOW特殊戦闘部隊の一員として働いておりました」
遠くを見つめるような視線で、初代モナーが語り出す。
(´ー`)「その活動の一環として、
旧日本軍が血眼になって獲得しようとしていた、
『銀獣』なるものの捕獲―−
不可能ならば、討伐というものがあったのです」
川 ゚ -゚)「『銀獣』……」
(´ー`)「捜索の末、『銀獣』を見つけ出したのですが――
その姿を見て、私は一瞬心を奪われました。
それは、あまりに気高く、美しい、この世ならざる美しさだったのです」
(´・ω・`)「…………」
(´ー`)「ま…… しかし、それはそれ。
私はそれの捕獲こそが仕事だったので、当然、戦闘ということになったのですが……
その強さたるや想像を絶するもので、
結局、捕獲はおろか討伐も出来ませんでした」
- 27: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 18:41:52.32 ID:s9hWq4Dy0
- (´ー`)「それから『銀獣』がどこへ行ったのか、
足取りを掴むことはできないまま、その作戦は打ち切られたのです。
しかし――今になって、再びこのことを思い出すことになろうとは」
川 ゚ -゚)「その『銀獣』について、他に知っていることは?」
(´ー`)「『銀獣』は狼の物の怪。
普段は銀髪の人間の女の姿をしていますが、
ひとたび闘いとなれば全身が銀の毛に覆われた人狼へと姿を変えます。
そうそう、武器として日本刀を使っていましたな」
(´・ω・`)「銀髪に日本刀、か。
成る程。 それだけ特徴的な格好なら、探すのは簡単そうだ」
ショボンが不敵な笑みを浮かべながら腕を組む。
(´ー`)「……お言葉ですが、不用意に『銀獣』に接触するべきではありません。
あれは、我々人間の手には少々余りますので」
川 ゚ -゚)「……ご隠居がそこまで言うならば、相当の相手なのだろうな。
有難う、ご隠居。 参考になったよ」
クーが初代モナーに向き直って礼を言った。
- 28: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 18:51:00.32 ID:s9hWq4Dy0
- (´ー`)「いえいえこちらこそ。
年寄りの昔話に付き合って頂き、有難うございました」
初代モナーがクーに礼を返し、コーヒーで口を湿らせる。
( ^ω^)「それでご隠居、その『銀獣』って人が好きだったのかお?」
突然のブーンのその質問に、初代モナーが勢い良くコーヒーを噴き出した。
(´ー`)「ブ、ブーン様、いきなり何故そのようなことを……」
( ^ω^)「だって『銀獣』の話をしてるとき、
ご隠居が珍しく生き生きしていたお!
これはきっと恋だお!」
(´ー`)「いや、あれとはあくまでも仕事の上での関係でして……」
(´・ω・`)「僕も詳しく聞いてみたいね」
川 ゚ -゚)「私もだ」
ξ゚听)ξ「爺、命令よ。 洗いざらい話しちゃいなさい」
ブーン達が目を輝かせながら初代モナーに詰め寄る。
(;´ー`)「い、いや、その……
そ、そうだ! 手がかりが欲しいのは『銀獣』だけではなかったのでは!?」
人生最大のピンチを迎えていた初代モナーが、
窮地を脱するべく強引に話題をすりかえようとした。
- 32: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 19:01:56.66 ID:s9hWq4Dy0
- 川 ゚ -゚)「……そういえばそうだったな。
ま、ご隠居のことは後日じっくりと聞かせてもらうことにしよう」
(;´ー`)(後日ゆっくり、ですか……)
初代モナーがひとまず胸を撫で下ろす。
(´・ω・`)「『マスク仮面』、だったね。
でも、これについてはテレビで流れている以上の情報は無いんじゃないか?」
ショボンがコーヒーを飲み干し、紙コップをゴミ箱に投げ入れた。
( ^ω^)「『マスク仮面』?」
(´・ω・`)「ああ、ブーンやツン君には分からないかな。
ちょっと世代が違うしね。
昔流行ってた正義のヒーローさ」
言いながら、ショボンがパソコンを操作して『マスク仮面』のファンサイトの一つを開いた。
- 33: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 19:02:57.91 ID:s9hWq4Dy0
- (´・ω・`)「ほら、これさ。
昔こんな格好のヒーローが居たんだよ」
( ^ω^)「……………」
ショボンの開いたページを、まじまじと見るブーン。
ξ゚听)ξ「ちょっと、どうしたのよブーン。
あんたそういうのに興味あったっけ?」
川 ゚ -゚)「何か気になるのか、ブーン?」
ツンとクーがそれぞれブーンに問いかける。
( ^ω^)「……僕、これと一緒の変身スーツ持ってた人見たことあるお」
川;゚ -゚)ξ;゚听)ξ(;´・ω・`)(;´ー`)「な、何だってーーーーーーー!?」
〜第十四話『JOW、ドクオと接触す』 終
次回、『正義の使者とハリボテヒーロー』乞うご期待!〜
- 34: 林業(岡山県) :2007/04/08(日) 19:04:45.50 ID:s9hWq4Dy0
- この番組は
うぐぅ
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イヒイッッ……陣痛イイイッ……
お兄ちゃん、ボク妊娠しちゃうゥゥゥッ!
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