ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 今年も留年(岡山県) :2007/04/24(火) 22:17:32.58 ID:uHiJidfC0
  
第二十一話『汚れた手と綺麗な意思』

〜前回までのあらすじ〜

問題1
冨樫義博作の漫画を一つ挙げよ

('A`)「ハンターハンター」
イ从゚ ー゚ノi、「てんで性悪キューピッド」

問題2
戦争が舞台の漫画を一つ挙げよ

('A`)「ジパング」
イ从゚ ー゚ノi、「のらくろ」

問題3
カプコン製作のホラーゲームを一つ挙げよ

('A`)「バイオハザード」
イ从゚ ー゚ノi、「スウィートホーム」

問題4
ダンジョン探索ゲームと言えば?

('A`)「風来のシレン」
イ从゚ ー゚ノi、「ポートピア連続殺人事件」



5: 今年も留年(岡山県) :2007/04/24(火) 22:19:16.47 ID:uHiJidfC0
  
問題5
勇者と言えば?

('A`)「ガオガイガー?」
イ从゚ ー゚ノi、「もょもと」

問題6
次の漢字の読み仮名を答えよ 『昇天』

('A`)「しょうてん」
イ从゚ ー゚ノi、「アンアン、イグーッ! イッヂャヴーッ!!」

問題7
桃太郎のお供を3つ挙げよ

('A`)「犬、猿、雉」
イ从゚ ー゚ノi、「地蔵、うんち、スリの銀次」



6: 今年も留年(岡山県) :2007/04/24(火) 22:19:45.01 ID:uHiJidfC0
  
問題8
忍者が主人公のゲームと言えば?

('A`)「天誅シリーズ」
イ从゚ ー゚ノi、「忍者じゃじゃ丸くん」

問題9
うさぎと言えば?

('A`)「人参」
イ从゚ ー゚ノi、「くびをはねられた」

問題10
スクウェアのRPGと言えば?

('A`)「LIVEALIVE」
イ从゚ ー゚ノi、「LIVEALIVE」



1: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:19:49.43 ID:Ggpo1Qe30
  


      *  以下、何事も無かったかのように再開  *


正義を貫くということ。
それは、闘うということ。

闘うということ。
それは、力で己の意思を押し通すということ。

力で己の意思を押し通すということ。
それは、邪魔者を排除するということ。

邪魔者を排除するということ。
それは、殺すということ。



4: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:21:21.83 ID:Ggpo1Qe30
  



……闘う以上、必ずどこかで犠牲は出る。
それが自分であれ、相手であれ、無関係の第三者であれ、必ず犠牲は出る。

そんなことは、分かっているつもりだった。
痛みを伴わない闘いなど――
この世のどこにも存在しないと、理解していたつもりだった。

自分が犠牲になってもそれは仕方無いと、
覚悟していたつもりだった。

だけど、その覚悟だけでは足りなかった。

自分が傷つくかもしれないということは、
相手も傷つく可能性があるということ。

その事に、目を背けていた。

自分を犠牲にする覚悟は有っても、
他人を犠牲にする覚悟は無かった。

そんな半端な覚悟で闘おうなど――
最初から、ふざけた話だったんだ。



5: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:22:54.89 ID:Ggpo1Qe30
  
だけど、もう遅い。

そんな覚悟の有る無しに関わらず、
誰かと闘えば犠牲が出る。

そして――
俺は俺の為に、他人の命を犠牲にした。

それまで、自分が他人を殺めるなんて、考えたことすら無かった。
何度か闘いの中に身を投じていても、自分だけはそんなことと関係無いと――
そう、勘違いしていた。

そんなあやふやな気持ちのまま、
俺は、人を殺してしまった。

到底、許されることではない。
誰も、俺を許してくれなどしない。

何より――
自分が、自分を許せなかった。

だから――



8: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:24:40.10 ID:Ggpo1Qe30
  


               *          *           *


真っ暗な空間に、俺は独り佇んでいた。
どこだ、ここは。
どうして、誰もいないんだ。

('A`)「誰か、誰かいないのか!?」
暗闇の中に声を投げかけてみたが、一つも声は返ってこない。
それが、更に孤独感を加速させる。

('A`)「誰か! 誰か返事をしてくれ! 誰か!!」
それでも、何一つ声は返ってこなかった。

('A`)「ドス女! 居ないのか!? ドス女!!」
必死に、ドス女の名前を呼ぶ。
しかし、ドス女の声などしやしない。

当然だ。
俺は――ドス女にあんなに酷いことを言ったんだ。

「俺は、お前みたいな化物とは違うんだ!」

あんなことを言って――
今更、助けに来てなどくれる筈がない。
俺は、ドス女を傷つけてしまったんだ。



10: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:25:27.87 ID:Ggpo1Qe30
  
「ぜ……した……」
と、突然後ろから声がした。

誰か居た!
反射的に、声のした方向に振り返る。

ミ,,・・彡「何故殺した……」
そこにいたのは、蝙蝠男だった。

いや、蝙蝠男だけじゃない。
奇形男に戦闘員に――
今まで、俺が殺した連中がその場に勢揃いしている。

('A`)「う、うわあああああああああああああああああ!!!」
俺は恐怖のあまり逃げ出した。

知らなかった。
こいつらが、元は人間だったなんて、知らなかったんだ……!



11: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:25:56.78 ID:Ggpo1Qe30
  
「何故殺した」
「何故殺した」
「何故殺した」

逃げても逃げても、声はどこまでも追いかけてくる。

やめろ。
来るな。
来ないでくれ。

知らなかったんだ。
俺は、何も知らなかったんだ……!

('A`)「うわあッ!」
足がもつれ、その場に倒れた。

やばい。
このままでは追いつかれる。

急いで立ち上がろうと顔を上げると、そこには――



16: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:27:58.03 ID:Ggpo1Qe30
  
(・∀ ・)「よう、ドクオ」
そこには、斉藤またんきが居た。

(・∀ ・)「全く、酷いことしてくれるよなー。
     俺の心臓をぶち抜いてくれるんだもん」
胸から血を流しながら――
半笑いの表情で斉藤が言った。

('A`)「し、仕方がないだろう!
   お前、あの時何の罪も無い人を殺そうとしてたじゃないか!!
   あの時は、ああするしかなかったんだ!!」
そうだ。
あれは不慮の事故だ。
俺は、人を殺そうなんてこれっぽちも思ってなんて――



17: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:28:27.65 ID:Ggpo1Qe30
  
(・∀ ・)「嘘をつくなよ」
俺の心を見透かすかのように、斉藤が言った。

(・∀ ・)「お前は、俺を殺したかったんだ。
     昔の復讐の為にな。
     人助けの為なんて、只の詭弁だ」
('A`)「違う! 俺はそんなことなんて――!」
(・∀ ・)「これっぽっちも考えて無かった、とでも言うのか?
     違うだろう。
     お前は心の奥底で思ってたんだ。
     力を手に入れた今、昔自分を傷つけた奴に復讐が出来る、ってな。
     嘘だとは言わせないぜ?」
違う。
俺は、復讐なんか望んでいなかった。
復讐なんて――

(・∀ ・)「望んでたんだよ。
     それが、お前の本質だ。
     見てみろよ、今のお前の醜い姿を」
斉藤がいつの間にか出現していた鏡を指差す。
そこに映っていたのは――

( ▼w▼)「うわああああああああああああああああああああああ!!!」
化物となった、俺の姿だった。



18: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:29:02.05 ID:Ggpo1Qe30
  



('A`)「うわああああああああああああああああああ!!!」
叫びながら、俺は跳ね起きた。

今のは――夢か。
夢で、本当に良かった。

それで、ここは――
ここは、隣町の公園?

そうだ。
警察署の事件の後、俺は何も言わず、ドス女を置いてここまで逃げてきたんだ。
それで、ここで眠ることにして……

……ドス女の傍に、一秒たりとも長くいられなかったんだ。
今も、その気持ちに変わりは無い。

……今更、どんな顔をしてドス女に合えばいいってんだ。
あんな、酷いことを言っておいて。



20: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:30:03.76 ID:Ggpo1Qe30
  
( ФωФ)「何を大声を出している。 近所迷惑な」
いきなり声をかけられた。

('A`)「杉浦、ロマネスク……」
宇宙大魔王にして、悪の帝王。
それが、どうしてこんな所に。

('A`)「……どうしてこんなとこにいるんだよ」
( ФωФ)「無論地球征服の活動の為だ。
       ゴミを撒き散らして愚民共を困らせてやろうと思ったが、
       既にあちこちにゴミが捨てられていたのでな。
       これでは我輩がゴミを捨てても目立たんから、掃除しているうちにここまで来た」
……それじゃただの良い人じゃねえか。
本気で地球を征服する気があるのか、この宇宙大魔王は。

( ФωФ)「貴様こそ、どうしてここにいる。
       家は、ここからずっと遠くだろう」
('A`)「…………」
ロマネスクからの質問に、俺は何も答えなかった。

( ФωФ)「だんまり、か。 まあ無理に聞こうとも思わんが……
       今日はいつになく覇気が無いのと、関係でもあるのか?」
('A`)「…………」
俺は、この質問にも答えないつもりだった。

しかし――
しばしの沈黙の後、俺はゆっくりと口を開く。



22: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:32:05.11 ID:Ggpo1Qe30
  
('A`)「……人を、殺したんだ」
何で、俺はこんな奴にこんなことを喋っているのだろう。
悪の帝王に相談をする正義のヒーローなんて、聞いたことがない。

('A`)「俺は殺すつもりなんて無かったんだ!
   だけど――!」
だけど、殺してしまった。
どんな言い訳をしたって、この事実は変えようが無い。

( ФωФ)「フンッ。 何を言い出すのかと思えばそんな下らんことか」
ロマネスクが吐き捨てるように言った。

('A`)「下らない、だと!?」
人を、殺したんだぞ!?
命が、無くなったんだぞ!?

それの――
どこが下らないというのだ。



23: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:32:34.39 ID:Ggpo1Qe30
  
( ФωФ)「ああ、下らんね。 どんな経緯かは知らんが、生きていく上で何かを殺すのは至極当然のことだ。
       それが家畜か、人間かだけの違いだ。 それで一々悩む方がどうかしている」
('A`)「ふざけるな! そんな考えがあっていいものか!!」
( ФωФ)「ふざけるな? 我輩は悪の帝王だぞ?
       その我輩に、道義的な回答でも期待していたのか?
       それこそ、ふざけているというものだ」
そう言われ、俺は返答に詰まった。
忘れていた。
こいつは、地球征服を企む悪の帝王だったのだ。

( ФωФ)「最初に話を振ったのは我輩だが、そんなことを我輩に話して、貴様は何がしたかったのだ?
       まさか、慰めたり、罵倒して欲しかったのではあるまいな」
('A`)「――――!」
……そうだ。
俺は、誰かに決めてもらいたかったのだ。

自分が正しいのか。
それとも、間違っているのか。

そうやって誰かの価値観に乗っかれば、自分で決定しなくて済む。
誰かの答えに縋ることが出来る。

そんな下劣なことを、考えてしまっていたのだ。



24: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:33:05.21 ID:Ggpo1Qe30
  
( ФωФ)「図星のようだな」
ロマネスクは心底見下げ果てたような視線で、
( ФωФ)「全く、完璧に期待外れだったようだな。
       久し振りに我輩の宿敵たる者に出会えたと思っていたら、こんな腑抜けだったとは。
       今ここで雌雄を決しようかとも考えていたが――
       貴様のような男、わざわざ我輩が手を下す価値も無い。
       がっかりさせてくれる。
       とんだ正義のヒーローが居たものだ」
それだけ言うと、ロマネスクはそれ以上話すことなど無いとでもいうかのように、
俺の方には一瞥もくれずその場を去って行った。

公園に、俺一人だけが取り残される。

('A`)「…………」
誰もいなくなった。

斉藤も。
ロマネスクも。
ドス女も。

殺したくなんてなかった。
だけど、あの時、他に何が出来たというんだ。
俺は、何をすれば良かったんだ。

(;A;)「どうすりゃ良かったっていうんだよ……」
問いかけだけが、空しく虚空を彷徨った。



27: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:36:51.44 ID:Ggpo1Qe30
  



夜になって――
相変わらず、俺は公園に佇んでいた。

これから、どうすればいいんだろう。

俺のアパートには帰れない。
もしかしたら、ドス女と会うかもしれないからだ。

かといって、いつまでも外にいるわけにもいかない。
最近どんどん寒くなってきているし、お金も底を突き始めている。

どうする。
気まずくはあるが、家に帰ってドス女にお互いもう会わないように言ってみるか――



28: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:37:29.22 ID:Ggpo1Qe30
  
(=゚д゚)「よう」
考え込む俺に、一人の男が声をかけてきた。

誰だ、こいつは。
待て、この声、どこかで聞いたような……

(=゚д゚)「覚えてないのも無理はないラギ。 お前が俺を見たのは、たった一瞬ラギからね」
思い出せ。
確かに、俺はこいつを見ている。
どこだったか。

――そうだ!

('A`)「お前、あの時の……!」
思い出した。

ドス女が怪人クマ男を倒した直後、俺を気絶させた男だ。
それがどうしてここに。



30: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:38:18.31 ID:Ggpo1Qe30
  
(=゚д゚)「思い出してくれたみたいラギね。
    俺はトラギコ――怪人トラ男ラギ。
    ま、そんなことはどうでもいいラギ。
    今日ラギがここに来たのは他でも無い、お前を連れて帰る為ラギ」
('A`)「連れて帰る――?」
(=゚д゚)「そうラギ。 今までは放置していたが、そろそろ祭りの準備が整いつつあるラギからね。
    怪人毒男、お前は今日から我らが総統の手駒となって働くラギ。
    今なら、これまで幾多の怪人を屠ってきたことも不問にしてやるという話ラギよ」
怪人毒男、だって――?
まさか、それは俺のことを言っているのか。

('A`)「ふざけるな! 俺は怪人なんかじゃない!!
   誰が手前らなんかに協力するか!!」
違う。
俺はあんな化物なんかじゃない。

化物なんかじゃ――
ないんだ。

(=゚д゚)「怪人じゃない? はッ、お前、本気で言ってるラギか?」
トラ男は可笑しそうに笑った。

(=゚д゚)「異形の姿に変身して、並み居る怪人共を倒して、それでも怪人じゃない?
    誰がそんな話を信じるラギ?
    いいか、お前はもう、正真正銘の怪人――化物の一員なんだラギ」
違う。
違う違う。
違う違う違う。
俺は、化物なんかじゃ――



31: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:38:51.02 ID:Ggpo1Qe30
  
(=゚д゚)「言っとくが――もしお前の秘密をJOWが知れば、JOWは嬉々としてお前を殺しに来るだろうラギね。
    もう、お前を受け入れてくれる場所は、俺達のところしか無いんラギ。
    さ、分かったら大人しくついて来るラギ」
トラ男が俺に手を差し出した。

JOW――
確かに、トラ男の言う通りだ。
あの連中が、俺を生かしておくとは思えない。

それに――
俺はもう、人を殺しているんだ。
だったら、正義のヒーローを目指すのなんかやめて、
悪の秘密結社の一員になった方が――



イ从゚ ー゚ノi、「それでいいのか?」

イ从゚ ー゚ノi、「そこで諦めてしまって、本当にそれでいいのか?
    お主の夢は、希望は、その程度のものだったのか?」



その時、いつかドス女が言っていた言葉が、俺の脳裏に甦った。

――俺だって、本当はここで諦めたくなんてない。
だけど。
だけど……!



33: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:41:46.48 ID:Ggpo1Qe30
  

('A`)「…………!」
手を握る寸前、俺はトラ男の手を払った。

駄目だ。
この手を取ってはいけない。

この手を取ったら、正義のヒーローになれないどころか、
ただの悪党にまで成り下がってしまう……!

(=゚д゚)「あー…… それが答えラギか」
トラ男はやれやれと肩を竦め、
(=゚д゚)「ま、どうでもいいラギ。
    最初から、力ずくでも連れて帰るつもりだったラギからねえ!!」
言い終わると同時に、トラ男がボディーブローを叩き込んできた。

('A`)「ガハッ!!!」
内臓が口から飛び出そうなくらいの衝撃が腹部を襲う。

('A`)「ゲボッ……! ゲエエエエ……!」
胃の中にあったものを全部逆流させながら、俺は地面を転げ回った。

痛い。
死ぬ程、痛い。
こんな痛みを、俺は今まで怪人達に与えてきていたというのか。



35: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:42:23.58 ID:Ggpo1Qe30
  
(=゚д゚)「どうした? 変身しないラギか?」
挑発するようにトラ男が言う。

こいつも怪人ということは、変身能力を持っている筈だ。
しかし、変身していないにも関わらず、この強さ。
到底、今のままの俺が勝てる相手ではない。

変身しなければ、やられる。
それは、分かる。

だけど、もし変身したら。
そうしたら、また人を殺してしまうかもしれない……!

(=゚д゚)「何だァ? 拒否したかと思えば、抵抗しなかったり。
    訳分かんないラギね。 まあ、こっちは楽でいいラギ」
倒れている俺を、トラ男は更に蹴りつけてきた。

ドス女は、助けには来てはくれなかった。
来てくれる筈がなかった。

「俺は、お前のような化物とは違うんだ!」

あんなことを言っておいて、助けになど来てくれる筈がない。
俺は、自ら救いの糸を断ったのだ。



36: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:43:06.37 ID:Ggpo1Qe30
  
このまま気絶したら、どこかに連れ去られて、洗脳でもされて、
悪の為に人を殺し続けることになるのだろうか。

嫌だ。
そんなのは、絶対に嫌だ。

だけど――
もう、体に力が入らない。
変身する気力すら残っていない。

……最後に、ドス女に謝っておきたかった。
許されることではないのかもしれない。
だけど、一言だけ、謝りたかった。

ごめんなさいと。

(=゚д゚)「……さて、そろそろ眠るラギ。
    なあに、心配することは無いラギ。
    目が覚めた時には、立派な怪人に生まれ変わっているラギ」
トラ男が止めとばかりに腕を振り上げ――



39: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:44:09.94 ID:Ggpo1Qe30
  
( ФωФ)「待てい!!」
聞き覚えのある声が、静寂を切り裂いた。

あれは――
杉浦ロマネスク。

ロマネスクが、いつの間にかジャングルジムの天辺に立っている。

どうして。
何で、こんな所に……

( ФωФ)「その男は我輩の獲物だ。
       勝手に横取りするのはやめて貰おうか」
どこから用意してきたのか、漆黒のマントをたなびかせながらロマネスクがトラ男に言う。

(=゚д゚)「……お前、何者ラギ?」
いきなり現れた怪しさ爆発の男に、トラ男が不信感を露にして尋ねる。

( ФωФ)「我輩は宇宙大魔王杉浦ロマネスク、悪の帝王!
       この我輩の目の前で、それ以上その男に手は出させん!!」
ロマネスクがジャングルジムから飛び降り、トラ男に向き直った。



40: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:44:42.23 ID:Ggpo1Qe30
  
(=゚д゚)「悪の帝王が、何でこっちの邪魔をするラギ?
    普通、逆じゃないラギか?」
訳が分からないといった表情で、トラ男が首をかしげる。

( ФωФ)「我輩こそが悪! 我輩こそが絶対の邪悪!!
       故に、正義のヒーローを倒して良いのは我輩のみ!!
       その男を倒すの者は、我輩以外に存在してはならないのだ!!!」
ロマネスクが拳を固めながらトラ男を睨みつける。
まるで、お気に入りのおもちゃを取られそうになった子供みたいに。

( ФωФ)「ではそろそろ行くぞ、下郎!
       この我輩が、本当の悪というものを徹底的に教育してやる……!!」
ロマネスクとトラ男の間を、熱い風が吹き抜けた。


〜第二十一話『汚れた手と綺麗な意思』 終
 次回、『頂上対決、ロマネスクVSトラ男!』乞うご期待!〜



41: 整体師(チリ) :2007/04/26(木) 23:45:12.07 ID:Ggpo1Qe30
  
この番組は、

アイドル雀士スーチーパイ
対戦ホットギミック
ロイヤルマージャン
対戦麻雀ファイナルロマンス
スーパーリアル麻雀

の提供でお送りしました。



戻る第二十二話