ドクオは正義のヒーローになれないようです
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:21:34.89 ID:/sfKnSdY0
- 第三十六話『マスク仮面VS魔弾!』
〜前回までのあらすじ〜
( ゚∀゚)「う〜ううう、あんまりだ……
あァァんまりだァァァァァ!
オォレェの腕があァァァァァァ!!
AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOOOOOOOO!!」
('A`)「だから一般読者がついてこれないネタ使うなって何度も言ってるでしょ。
確かにあんた本編で腕無くなってますけど」
( ゚∀゚)「そんなことはどうでもいい!
今日! ここで! 俺が登場したのは!
あるエロゲーを見つけたからだ!!」
('A`)「何スかそれ」
( ゚∀゚)「その名もLILITH製作の『ネコノヒメ』だ!
何が良いってヒロインが良い!
人外! ネコミミ! 古風口調! ネコミミ! ネコミミ!!」
('A`)「!!!」
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:22:49.31 ID:/sfKnSdY0
- ( ゚∀゚)「ちっくしょおおおおおおおおおお!
何故今までこれに気付かなかったのか!!
俺もまだまだ甘いということか……」
('A`)「そっスね」
( ゚∀゚)「しかし! 不満が無いわけでもない!
ヒロインがロリ体系なところだ!
いいか! 作sy……もとい俺が好きなのはグラマーお姉さん!!
ロリコンなどに興味は無いわ!!」
('A`)「外道ワルイロリコン許すまじっスね」
( ゚∀゚)「早速今日……もう昨日か。 このエロゲーを買ってきました!
今日はこれをオカズにします!」
('A`)「ヤバイっスよチャカさん」
( ゚∀゚)「あと別に私はLILITHの回し者ではありません。
購入を勧めるわけでもありませんし、
むしろ健全な人生を送りたければこういうのには関わらないほうがいいです」
('A`)「あと近いうちにまた講義するかもしれんね」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:24:10.49 ID:/sfKnSdY0
* 以下、何事も無かったかのように再開 *
走る。
ただ走る。
自分がすべき事を成す為に。
自分が望む事を成す為に。
心と体が焼き切れそうな程痛む。
構わない。
今は、痛みを感じている暇など無い。
苦しむのも、悩むのも、後でいくらでもやればいい。
今はただ、走らなければならない……!
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:25:19.36 ID:/sfKnSdY0
- ('A`)「どこだ! ドス女!!」
叫んだ。
恐らく、ドス女は別の場所に囚われている筈。
それは間違い無い。
だが、一体どこに。
('A`)「…………」
倒れているJOWの職員らしき連中を横目に、廊下を走り抜ける。
全員手酷くやられてはいるが、どうやら気を失っているだけのようだ。
多分、というか間違いなく、ロマネスクがやったのだろう。
これだけの人数を殺すことなく制圧するなんて離れ業、あいつくらいにしか出来ない。
――とはいえ、無傷な奴が残っていないという保障も無いし、
こいつらもいつ目を覚ますか分からない。
そうなる前に、ドス女を救出しなければ――
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:26:14.13 ID:/sfKnSdY0
- ('A`)「!!!!!」
その時、俺の顔の真横を何かが物凄い速さで通り過ぎていった。
一拍遅れて右頬がざっくりと裂け、赤い血が流れ出す。
何だ、今のは!?
一体何が――
(´ー`)「…………」
見ると、廊下の向こうに見覚えのある老人が立っていた。
パリッとしたスーツ。
白髪交じりの頭髪。
深く皺の刻まれた、しかしそれでいて衰えを感じさせない顔。
そして――大きな、弓。
忘れる筈も無い。
あいつは、ドス女の昔からの知り合いで――
恐らく、今もドス女に焦がれ続けている男。
(´ー`)「……矢張り来ましたか」
初代モナーが、そこに居た。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:27:21.28 ID:/sfKnSdY0
- ('A`)「…………」
俺は立ち止まり、腰を落として身構えた。
初代モナーまで――目測で約30メートル。
そしてその距離は、余裕で初代モナーの射程範囲内。
こいつの強さは、以前ドス女と闘うのを見た時に良く分かっている。
あの時はドス女が勝ったが――果たして俺が、こいつに勝つことが出来るのか……!
――何を馬鹿なことを考えてるんだ、俺は。
勝つ。
でないと、ドス女を助けられないじゃないか……!
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:28:51.01 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「最初に言っておきましょう。 あなたの探し物は、この廊下の奥です」
弓を構えたまま、初代モナーが言った。
('A`)「……やけにあっさり教えるんだな」
(´ー`)「別に親切心ではありません。
教えたところで何も支障は無いからです。
何故なら――」
初代モナーがゆっくりと背中の矢筒に手を伸ばし、
(´ー`)「貴方は、ここから先には進めないのですから」
握った矢を、弓につがえた。
('A`)「……悪いけど、そうはいかない。
どうあっても、ここを通して貰う」
意識を自分の心の中に向け――
内に潜む闇に接触し、開放する。
黒い塊が俺の中で弾け――
漆黒の奔流となって、俺の体を包んでいく。
( ▼w▼)「ドス女は、返して貰う」
変身を終えて、初代モナーを見据える。
初代モナーは、そんな俺を冷ややかに見つめていた。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:30:05.47 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「返して貰う――ですか。
貴方にその権利や義務があると?」
冷ややかな表情のまま、初代モナーが俺に訊ねた。
(´ー`)「仮に貴方が首尾よく私を倒して銀獣を助け出せたとして――
それから、どうするのですか?
JOWは、貴方達をどこまでも追い続ける。
その過程で、闘い、貴方か銀獣か――
あるいは両方が、傷つき、命を落とすこともあるでしょう。
それが分かっていて、銀獣をここから連れ出す、と言うのですか?」
( ▼w▼)「…………!」
そうだった。
ここから逃げたとして――
全てが解決するわけではない。
どころか、事態は更に悪化するとも言える。
俺は、そんなことにも頭が回らなかったのか……!
(´ー`)「それに……
銀獣が、一言でも貴方に助けを求めたのですか?
貴方の一方的な我侭で、銀獣を連れ出そうとしているだけなのではないですか?」
( ▼w▼)「…………」
俺は、何も答えられなかった。
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:31:06.73 ID:/sfKnSdY0
- ――ここに居る限り、
俺は兎も角として、ドス女の身の安全は初代モナーが保障してくれるのだろう。
だとすれば――
俺のやろうとしていることは、ドス女を危険に晒しているだけなのではないか?
それに――
初代モナーの言う通り、俺はドス女に助けてくれと頼まれた訳じゃない。
どころか、俺は一時、ドス女のことを恐いとさえ思っていたのだ。
そんな俺に、ドス女を連れ出す資格があるのか?
(´ー`)「……貴方の我侭に、銀獣を道連れにするつもりですか?
それが、銀獣にとって幸せだとでも?」
初代モナーの言葉が俺に突き刺さる。
……だけど。
それでも。
それでも、俺は……!
( ▼w▼)「……それでも、通して貰う……!
もしお前らが、俺達を狙い続けるって言うのなら、
俺がドス女を護り切ってみせる!!
例え俺が――」
命を落とすことになったとしても。
正義のヒーローなんかじゃ、ないのだとしても。
分かってる。
これは俺のエゴだ。
それでも俺は――
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:32:06.64 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「……そうですか。
これ以上の問答は、どうやら無意味なようですね」
初代モナーが目を閉じ、軽く頭を振る。
再び開かれた目には、明確な殺意が宿されていた。
(´ー`)「……正直、貴方に嫉妬していますよ。
60年前のあの時――
私にも、貴方のような人外の体があれば……!」
そこで初代モナーは言葉を止め――
構えていた弓から、矢を放った。
( ▼w▼)「!!!!!」
反射的に腕を前にかざし、矢を受けようとする。
しかし、矢は魔法のように腕の間をすり抜け、
俺の胸板に突き刺さった。
( ▼w▼)「がはッ!!」
肺を貫かれ、焼けるような痛みと息苦しさが襲い掛かる。
馬鹿な。
今、まるで矢が生き物のように……!
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:33:18.09 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「ハアッ!!」
自己再生する暇を、初代モナーは与えてはくれなかった。
続けざまに、何本もの矢が俺に飛来してくる。
( ▼w▼)「ぐああッ!!」
避けきれない。
一本の矢を避けたとしても、
避けた場所に次の矢が飛んでくる。
それを受けようとしても、更に次の矢が防御の隙間を狙って喰らいついてくる。
しかも、ここは廊下。
避ける範囲も限られている為、大きく動き回って狙いを逸らすことも出来ない。
ならば――
( ▼w▼)「うおおおおおおおお!!」
接近戦に持ち込むまでだ。
ダメージ覚悟で突進して――
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:34:10.10 ID:/sfKnSdY0
- ( ▼w▼)「!!!!!」
走ろうとしたところで、俺はつんのめって前に倒れた。
…………!
足を、矢で縫い止められている!?
俺が走り出そうとした、あの一瞬で!?
(´ー`)「近付けば何とかなると思ったのでしょうが――
こちらも、簡単には近寄らせませんよ」
初代モナーの声が、呪詛のように忌まわしく響いた。
直後、無数の矢が更に俺の体に突き刺さる。
一撃で致命傷になる頭部だけは何とか防御するが――
それ以外の部分は、とてもじゃないが守り切れない。
瞬く間に、俺の体は針の筵となった。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:35:12.98 ID:/sfKnSdY0
- ( ▼w▼)「ゴボッ……! ガッ……!」
口から、真っ黒な血が溢れる。
体中が痛みの悲鳴を上げる。
まずい。
このままじゃ、やられてしまう。
だが――
どうすればいい。
こいつに勝つ方法が、思い浮かばない……!
(´ー`)「まだ息があるとは……
流石は人外の生命力といったところですか」
これだけの深手を負わせているというのに、
初代モナーは全く油断の無い様子で、慎重にこちらを見据える。
(´ー`)「――ですが、不死身というわけでもない。
ならば再生が追いつかなくなるまで、攻撃するのみ……!」
初代モナーが手に矢を握る。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:36:05.63 ID:/sfKnSdY0
- ――勝つ方法が無いわけじゃない。
いくら初代モナーが強いとはいえ、肉体は普通の人間。
ならば、毒ガスを使えば、5秒とかからず斃すことが出来る筈だ。
……だけど、その手段だけは絶対に使うわけにはいかない。
使えば、この建物全員を巻き込むことになる。
JOWは確かにいけ好かない連中だけど――
こいつらも、こいつらの正義の為に行動しているだけ。
好き好んで、誰かを傷つけたりしてるわけじゃない。
だからこそ、ロマネスクも命までは奪っていないんだろう。
そんな連中を、自分の目的の為だけに殺すようなことをすれば、
それこそ、怪人と同じになってしまう。
嫌なんだ。
もう、誰かを犠牲にしてまで闘うことは……!
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:37:30.88 ID:/sfKnSdY0
- ( ▼w▼)「…………!」
それに――
自分を助ける為に、俺が毒ガスを使ったことを知ったら、
きっとドス女は自分を責める。
ドス女に、俺と同じ、罪無き人々を殺した苦しみを背負わせてしまう。
そんなこと、絶対にしてはならない……!
( ▼w▼)「!!!!!」
――と、一つの策が俺の頭の中で閃いた。
そうだ。
この手があった。
こんな簡単なことに、どうして今まで気がつかなかったのだ。
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:38:37.14 ID:/sfKnSdY0
- ( ▼w▼)「くぅッ!!」
無理矢理、足に刺さっている矢を引き抜いた。
他の矢を抜いている暇は無い。
足が自由に動くようになればそれでいい。
( ▼w▼)「おおおおお!!」
続けざまに、建物の壁を殴りつけた。
衝撃で、壁に罅が入る。
(´ー`)「!? 何を――」
初代モナーの声を無視して壁に入った罅に指を潜り込ませる。
これでいい。
これなら、きっと――
(´ー`)「!! まさか――!」
初代モナーが俺の企みに気付いたのか、慌てて矢を放つ。
だが、もう遅い。
俺の策は、既に完了している……!
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:40:00.23 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「!!!!!」
初代モナーの放った矢は、俺の体に突き刺さることはなかった。
俺が無理矢理引き剥がして、盾代わりにかざした廊下の壁――
それに、阻まれたからだ。
簡単な話だった。
矢を避けることが出来ないというのなら、防げばいい。
その為の盾は、すぐ近くにいくらでもあったんじゃないか。
( ▼w▼)「うおおおおおおおおおおお!!」
廊下の壁を前にかざしたまま、初代モナーに向かって突進する。
人間では出来ない、化物だからこその作戦。
だけど、それでいい。
例え俺が化物なのだとしても、
その力で、大切なものを護ることが出来るのなら……!
(´ー`)「くッ……!」
初代モナーが苦し紛れに矢を放つが、無駄だ。
いくら超絶の技術による必中必殺の魔弾とはいえ――
攻撃それ自体はただの弓矢。
分厚いコンクリートの壁を貫通する程の威力は、ありはしない……!
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:41:03.93 ID:/sfKnSdY0
- ( ▼w▼)「おおおおおおおおおおおおお!!!」
充分接近したところで、
壁を投げ捨て、初代モナーに飛び掛かる。
(´ー`)「!!!!!」
初代モナーが弓の照準を合わせ、俺の脳天に向けて矢を放とうとしたが――
それより早く、俺の腕が弓を掴んだ。
( ▼w▼)「おおおおおッ!!」
片手で弓を掴んだまま、もう片方の手で初代モナー殴り飛ばした。
(´ー`)「がッ!!」
初代モナーが弓から手を放し、吹っ飛んで壁に激突する。
死なない程度に手加減はしたが――
しばらくは、まともに動けない筈だ。
( ▼w▼)「…………」
念の為、弓を破壊しておく。
これで、初代モナーの魔弾は完全に封印された。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:42:06.43 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「……敗れてしまいましたか。
……歳は、取りたくないものですね」
自嘲気味に初代モナーが笑った。
( ▼w▼)「…………」
俺は初代モナーに背を向け、その場を去ろうとした。
(´ー`)「……止めを刺さないのですか?」
( ▼w▼)「……俺は、ドス女を助けたいだけだ。
人殺しをしに来た訳じゃない」
例え偽善なのだとしても、
独りよがりな、自己満足なのだとしても、
それでも、誰かを殺してまで、自分の我侭を通したくはなかった。
――ふざけた話だ。
罪も無い人が傷つくことがないように、怪人を殺すことだって、
結局は、自分の我侭だというのに。
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:43:04.41 ID:/sfKnSdY0
- (´ー`)「甘いですね……
ここで止めを刺さなければ、いつか、必ず後悔することになりますよ?」
( ▼w▼)「…………」
初代モナーの言葉を黙殺して、俺はその場を後にし、ドス女の所へと急いだ。
……きっと、初代モナーも俺と同じなのだろう。
やり方は違えど、
ドス女が大切だからこそ、こうして護る為に闘った。
何も、俺と変わらない。
……俺のしていることは、正義でもなんでもない。
ただの、自分勝手な子供と一緒でしかなかった。
〜第三十六話『マスク仮面VS魔弾!』 終
次回、『大脱出! 闘いの果てに』乞うご期待!〜
- 68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 03:44:20.96 ID:/sfKnSdY0
- この番組は、
ロケットで突き抜けろ!
斬
重機人間ユンボル
KOマサトメ
の提供でお送りしました。
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