ドクオは正義のヒーローになれないようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:27:07.24 ID:+hogx5OW0
- 第二部 第一話『歪んでいく正義 その1』
〜前回までのあらすじ〜
('A`)「ドクオと」
( ゚∀゚)「ジョルジュの」
('A`)( ゚∀゚)「ファッキンレクチャー2」
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:28:30.20 ID:+hogx5OW0
* * *
(*゚ー゚)「どうしたの、ギコ君? こんな所に呼び出して」
(,,゚Д゚)「……あのさ、しぃ姉。 話があるんだ」
(*゚ー゚)「? 話って何?」
(,,゚Д゚)「……俺、しぃ姉が好きだ!」
(*゚ー゚)「え!?」
(,,゚Д゚)「しぃ姉にとって、俺は歳の離れた弟みたいなもんなんだろうけど、
俺は、ずっとしぃ姉のことが好きだったんだ!」
(*゚ー゚)「そんな…… 急にそんなこと言われても……困るよ。
……困る」
(,,゚Д゚)「……ごめん、しぃ姉。 今の言葉、忘れてくれていいから……!」
(*゚ー゚)「!! ギコ君! 待って! ギコ君!!」
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:48:08.26 ID:+hogx5OW0
(,,゚Д゚)「……あー、何で俺、あんな馬鹿なこと言ったんだろ。
明日からどの面下げてしぃ姉に会えばいいんだ」
ピンポーン
(,,゚Д゚)「? 誰だ、こんな時間に」
(,,゚Д゚)「はい、どちら様でしょうか……ってしぃ姉!」
(*゚ー゚)「……ギコ君。 ごめん、こんな時間に」
(,,゚Д゚)「別にいいけど……一体、どうしたんだ?」
(*゚ー゚)「昼の返事、まだだったから……」
(,,゚Д゚)「……ごめん。 別にいいよ。
昼言ったように、忘れてくれていいから……」
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:48:45.86 ID:+hogx5OW0
- (*゚ー゚)「私もギコ君が好き……!」
(,,゚Д゚)「!!」
(*゚ー゚)「でも……気持ちを伝えるのが怖かったの。
私、ギコ君よりずっと年上だし、ギコ君も、同年代の子と付き合うほうがいいって思ってたから……」
(,,゚Д゚)「馬鹿! そんなのどうだっていい!
俺は、しぃ姉の全部丸ごとひっくるめて、しぃ姉のことが好きなんだ!!」
(*゚ー゚)「ギコ君!」
(,,゚Д゚)「しぃ姉!」
('A`)「ト・シ・ウ・エ。 見事な……」
( ゚∀゚)「ギャルゲーには『年上』と呼ばれる特殊なシチュエーションがある!
青臭い青春の最中、自分より大人の女性に対する憧れは恋心までに昇華していたのである!
大人の女性がふいに見せる少女のような可憐さは予想以上に萌えていた!
精妙なる年齢の調節が出来なければ、展開はただの熟女好きの方向へ飛んでいったろう!
年上はギャルゲー中目録以上の秘伝であり、
ロリコンがこのシチュエーションに萌えることは禁じられている!」
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:49:52.57 ID:+hogx5OW0
* * *
ξ゚听)ξ「それじゃ、今日はこれくらいで帰るわね。
バイバイ、ショボン。 楽しかったわ」
(´・ω・`) 「うん、それじゃね」
(´・ω・`) (付き合ってもう3ヶ月……
未だにキスもさせてくれないなんて……これじゃ生殺しだよ……)
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:50:51.12 ID:+hogx5OW0
ζ(゚ー゚*ζ「こんばんは」
(´・ω・`) 「こんばんは。 ……えーと、ツンの妹さんだったっけ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。 デレっていいます」
(´・ω・`)「お姉さんにはいつもお世話になってます。
こんな所で会うなんて偶然だね」
ζ(゚ー゚*ζ「……偶然じゃないですよ」
(´・ω・`)「え?」
ζ(゚ー゚*ζ「ここで、あなたが来るのを待っていたんです」
(´・ω・`)「? 何でそんなこと……」
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:52:32.48 ID:+hogx5OW0
- ζ(゚ー゚*ζ「ショボンさん、お姉ちゃんと付き合って、満足してますか?」
(´・ω・`)「! 何を言ってるんだい。 僕は、ツンと付き合ってて幸せだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「嘘。 本当は欲求不満なんでしょう。
お姉ちゃん、潔癖症なとこあるから。
未だに手すら握らせない。 違いますか?」
(´・ω・`)「それは……」
ζ(゚ー゚*ζ「私なら、ショボンさんにそんな思いさせない。
身も心も、全て捧げることが出来る。 ……こんな風に」
(´・ω・`)「!? デレちゃん、何で服を――!」
ζ(゚ー゚*ζ「……抱いて、ショボンさん」
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:53:10.86 ID:+hogx5OW0
ξ゚听)ξ「ただいまー」
ζ(゚ー゚*ζ「お帰りなさい、お姉ちゃん」
ξ゚听)ξ「あら、デレ。 こんな時間にあんたが家に居るなんて珍しいわね」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃん、話があるの」
ξ゚听)ξ「何? お金なら貸さないわよ」
ζ(゚ー゚*ζ「……私、ショボンさんと寝たわ」
ξ゚听)ξ「!!? あんた、何を言って――!」
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:53:49.45 ID:+hogx5OW0
- ζ(゚ー゚*ζ「ショボンさん、まるで獣のように私を貪り尽くしたわ。
相当、溜まってたのね」
ξ゚听)ξ「やめて!! デレ、あんた自分が何を言ってるか分かってんの!?」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃんが悪いんだからね!
お姉ちゃんがショボンさんをしっかり繋ぎ止めておけば、
こんなことにはならなかった!
全部お姉ちゃんが悪いんだからね!!」
ξ゚听)ξ「デレ、あんたァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
('A`)「リャ・ク・ダ・ツ。 見事な……」
( ゚∀゚)「エロゲーには『略奪』と呼ばれる特殊なシチュエーションがある。
決して体を許さないフラストレーションの最中、男の欲望は押さえられないくらい膨れ上がっていたのである!
男の性欲は予想以上に激しかった!
男に浮気を許さない倫理観があれば、こんな悲劇は起こらなかったろう!
略奪は君が望む永遠流中目録以上の秘伝であり、
メインヒロイン一筋主義者がこのシチュのあるエロゲーをプレイすることは禁じられている!」
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:56:34.39 ID:+hogx5OW0
* * *
从 ゚∀从「ハハハハハ! 良い様だな、魔法少女しぃ!」
(*゚ー゚)「くッ……!」
从 ゚∀从「そう怖い顔で睨むなよ。
今日は、お前に素敵なプレゼントがあるんだ」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 19:57:02.05 ID:+hogx5OW0
- (*゚ー゚)「!? そいつらは何なの!?」
从 ゚∀从「こいつらは俺が開発した新種の淫獣さ。
こいつらは、遺伝子型とか色々無視して、どんな個体の雌でも孕ませることが出来る」
(*゚ー゚)「!! まさか……!」
从 ゚∀从「ククク…… 察しがいいな。
さあ、今からこいつらの子種をお前の子宮にたっぷりとご馳走してやるよ!!」
(*゚ー゚)「嫌! やめてェ!
産みたくない! 私、化物の赤ちゃんなんか産みたくないよぉ!!!」
('A`)「ハ・ラ・マ・セ。 見事な……」
( ゚∀゚)「エロゲーには『孕ませ』と呼ばれる特殊なシチュエーションがある!
触手ものエロゲーの進化の最中、異形の子供を宿すシチュエーションが開発されていたのである!
エロゲーマーの性癖は予想以上に病んでいた!
精妙なる正気の調整が出来なかったからこそ、このような異色なシチュエーションが生み出されたのだろう!
孕ませはブラックリリス中目録以上の秘伝であり、
一般ユーザーがこのシチュのあるエロゲーをプレイすることは禁じられている!」
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:00:17.56 ID:+hogx5OW0
* 以下、何事も無かったかのように再開 *
あの惨劇の夜から2ヶ月――
世界は、再び落ち着きを取り戻してきつつあった。
東京で発生した怪人達によるテロは世界中を震撼させ、
その惨状は連日のように世界中で報道された。
あのテレビ東京ですら、6時のアニメを中止にして特別報道を行ったのである。
しかし――
人間というものは存外にしぶとく、忘れやすい生き物で、
その惨劇すら、過去の出来事として片付けようとしていた。
無論、何もかもが前と同じように元通り、という訳にはいかない。
あの夜で、あまりに多くのことが変わった、変えられてしまった。
その一つが――
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:01:13.10 ID:+hogx5OW0
- 「本日、有事の際のJOWとアメリカ防衛庁との相互連携を約束する条文が締結され……」
('A`)「…………」
ロマネスクの秘密基地のミーティングルームで、
俺はテレビから流れるニュースをぼんやりと眺めていた。
JOW――
あの夜を契機として、あいつらは歴史の陰から表舞台へと進出してきた。
今まで、間全部外秘としてきていた怪人の事実を全世界に発表。
あの夜の惨劇も、その怪人達によるものであると公開したのだ。
普通なら一笑にふされるであろうその突拍子も無い事実は、
しかし誰も疑おうとしなかった。
当然だ。
東京があんなことになって、それでも信じないなどと言う奴など居るわけがない。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:02:29.53 ID:+hogx5OW0
- そしてJOWは怪人がまだ完全に撲滅出来ていないことを同時に伝え、
その殲滅に全力を注ぐことを発表した。
事実、東京の災厄の後にも、怪人によるテロは世界各地で発生し、
その度にJOWがそれを鎮圧した。
国家もJOWの存在を軽視することは出来なくなり――
どころか、全面的に協力する国も少なくなかった。
そして――
「今日は特別ゲストとして、JOWの正義のヒーロー、ブーンさんにお越し頂いています」
( ^ω^)「こんにちは。 ブーンですお」
そして、『正義のヒーロー』ブーンが、
この世に誕生した。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:03:42.04 ID:+hogx5OW0
- 「ブーンさんはずっと怪人達と闘ってこられたというお話ですが」
( ^ω^)「そうですお」
「辛かったり、怖いと思うことは無いのですか?」
( ^ω^)「正直くじけそうになることは何度もありましたお。
でも、みんなの為に闘っているのだと思えば、そんな気持ち吹っ飛びますお」
「成る程。 流石『正義のヒーロー』ですね」
( ^ω^)「照れますお。 これからも、『正義のヒーロー』の名に恥じないように頑張っていきたいと思いますお。
だから、全世界の皆さん、どうか安心して下さいお。
みんなのことは、僕達JOWが護りますお!」
「心強い言葉ありがとうございます。
それではブーンさんのこれまでの闘いをダイジェストで流して、今日の特集は終了したいと思います」
テレビに、ブーンが怪人達と闘っている姿が流される。
その姿は、さながら昔見た特撮番組のようであった。
そして――
闘うブーンの姿は、『正義のヒーロー』そのものだった。
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:04:41.41 ID:+hogx5OW0
( 0ш0)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ブーンが、歯車王を倒すシーンが流れてきた。
歯車王――
あの時、セントジョーンズの後ろには、何体もの歯車王がいた筈だ。
だが、JOWが、ブーンが倒した歯車王は一体だけ。
……では、残りの歯車王は、一体どこへ行ったのだろう?
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:06:03.72 ID:+hogx5OW0
- ( ФωФ)「下らん」
ロマネスクが、吐き捨ててテレビのスイッチを切った。
( ФωФ)「何が『正義のヒーロー』だ。
このブーンとやら、我輩がこの前倒した時と、何も変わっていないではないか」
('A`)「そんなこと言うなよ、ロマネスク。
実際、JOWは怪人達から世界を護ってくれてるんだしさ……」
そう、JOWは、まさに『正義』の象徴となっていた。
あいつらの力ならば、残った怪人達を撲滅するのも時間の問題だろう。
俺達が出来ることは、もう、ほとんど残されていない。
('A`)「…………」
だが――
だが、この得体の知れない不安は何なのだ?
姿を隠したセントジョーンズ達が、
また良からぬことを企んでいるかもしれないことが原因なのか?
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:06:29.50 ID:+hogx5OW0
- いや、違う。
それもあるが、それだけじゃない。
もっと、とてつもない悪いことが起こりそうな――
そんな、漠然とした、しかし圧倒的な何かだ。
有り得ない。
不安を打ち消すように頭を振る。
世界は、確実に良い方向に向かって進んで行っている筈だ。
なのに――
なのに、どうしてこんなにも何かが気にかかる?
まるで、より勢い良く転がり落ちる為に、
敢えて高い場所へと一時的に登っているような――
そんな、不安。
――俺がその不安の正体を知るのは、
それからすぐのことだった。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:08:08.28 ID:+hogx5OW0
* * *
(´・ω・`) 「…………」
JOW日本支部の中央電算室――
ここで、ショボンは中央端末に接続した、
自作のノートパソコンのキーボードをせわしく叩いていた。
爪'ー`)「今日から君達と共に闘うこととなった二人を紹介しよう」
数週間前、支部長であるフォックスがそう言って連れてきた二人の女性。
その姿を見た瞬間、ショボンは言い知れない恐怖と不安に襲われた。
あの二人は、違う。
上手く言い表せられないが、自分達とは全く違う異質のものだ。
その雰囲気は、人間というよりまるで――
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:08:50.07 ID:+hogx5OW0
- (´・ω・`) 「…………」
それからショボンは、それとなく二人の素性を探ってみた。
しかし、結果は経歴不明という答えだけだった。
考えられない。
JOWに所属する際には、諜報部によって徹底的に素性を洗い出す筈だ。
JOWにも、うさんくさい過去を持つ連中は少なくない。
だが、過去が全く分からない、などということは皆無と言っていい。
それが――
JOWの力を以ってしても、調査出来ていないとは、どういうことなのだ?
いやそもそも、支部長はどうしてそんな連中をJOWに?
……自分が踏み込んでいい問題ではない。
ショボンの本能がそう危険信号を告げていた。
しかし、それでもショボンは分からないことを分からないままにはしておく事が出来なかった。
彼生来の、野次馬根性というのも勿論ある。
しかし――あの二人を放置しておけば、
きっととんでもないことになる。
そんな気持ちが、彼を突き動かしたのだ。
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:10:18.16 ID:+hogx5OW0
- (´・ω・`) 「…………」
キーボードを叩きながらも、周囲への警戒は怠らない。
JOW日本支部の中枢であるマザーコンピューターへの不正介入は、
いくら自分の立場といえども問答無用で粛清されるレベルの造反行為だ。
万が一にでも、ばれるわけにはいかない。
(´・ω・`) 「……これでも、駄目か」
だがしかし、そこまでの危険を冒したにも関わらず、これといった収穫は無かった。
アンノウン(詳細不詳)、アンノウン(経歴皆無)、アンノウン(正体不明)――
どれをとっても、そればかりである。
(´・ω・`) 「そろそろここを離れるか……
あまり長居していてもヤバい」
そう言って立ち上がろうとした時――
ショボンはふとあることを思いついた。
そういえば、あの二人が来たのは、
東京の怪人テロが起こってから。
ならば、そのテロの様子を調べてみれば、何か掴めるかもしれない――
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:11:59.15 ID:+hogx5OW0
- (´・ω・`) 「っと。 ここにもプロテクトか」
軍事衛星が遥か上空から撮影している筈の映像を開こうとしたが、案の定セーフティがかけられていた。
が、これくらいのプロテクトなら問題ない。
(´・ω・`) 「……って言っても、大した情報は無いか」
しかし、出てくるのは何の変哲も無い戦闘の状況だけだった。
まあ、仕方無い。
今日はこれぐらいで――
(´・ω・`) 「――――!?」
と、ショボンの目にある映像が飛び込んできた。
全身の血液が凍りついたかの様な戦慄に襲われる。
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:12:42.74 ID:+hogx5OW0
- (;´・ω・`)「ば、馬鹿な! こんな、こんな――」
ありえない。
どうして、どうしてこんな奴らがJOWにいるのだ……!
どうして――
「……『好奇心は猫を殺す』、って言葉知ってるか?」
(;´・ω・`)「!!!!!!!!」
次の瞬間、ドアを開けて何者かが中央電算室に入ってきた。
いや、何者か、じゃない。
こいつは。
こいつは――
(;´・ω・`)「う、うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
ショボンの絶叫が、電算室に響き渡った。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:13:51.31 ID:+hogx5OW0
川 ゚ -゚)「……ふう」
JOW日本支部特殊戦闘部隊控え室――
クーは、一人溜息をついていた。
あの惨劇の夜から、JOWも随分とメジャーになったものだ。
表舞台に出ることによって、様々な援助も受けやすくなり、
それはそのままJOWの強化にも結びついていた。
JOWに所属する自分としては、喜ぶべきことなのだろう。
しかし――
クーには、心の底からそれを喜ぶことが出来なかった。
理由としては、二つ。
一つは、支部長フォックスが連れてきた得体の知れない二人組――
もう一つは、ブーンのことだった。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:15:20.31 ID:+hogx5OW0
- ブーンは、変わった。
以前は、純粋な気持ちで『正義のヒーロー』になろうとする、子供っぽい少年だった。
だが、今は、違う。
表面上は、以前と何も変わっていないように見える。
しかし、決定的に何かが変わってしまっている。
まるで、『正義のヒーロー』であることが当然であるかのように、
『正義のヒーロー』として振舞っている。
それ自体は、別に悪いことではないのかもしれない。
だが――それに何かおぞましい歪みを感じているのは、
自分の思い過ごしなのだろうか?
何かが、おかしい。
どこかで、歯車が狂っている。
そして――
恐らく、ツンもそれに気がついている。
気がついているからこそ――
ツンは、ブーンの豹変に心を痛めている筈だ。
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:16:47.86 ID:+hogx5OW0
- 川 ゚ -゚)「…………」
そういえば、初代モナーも姿を消したまま帰ってきていない。
あの人は、今何処で何をしているのだろう?
ショボンも、最近何か思い詰めた様子だし――
何も、悪い事が起きなければいいのだが……
川 ゚ -゚)「!!!」
と、控え室出入り口の扉が荒々しく開けられた。
驚き、そちらに目を向ける。
そこには――
(´・ω・`)「…………!」
川 ゚ -゚)「ショボン!?」
そこには、ショボンがいた。
だが、その様子はいつもと同じそれではない。
全身から血を流し、満身創痍で立っているのがやっとの状態である。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:17:20.60 ID:+hogx5OW0
- 川 ゚ -゚)「ショボン、何があった!? 怪人の襲撃か!?」
クーがショボンに駆け寄ろうとした。
しかし、ショボンはそんなクーを制して、
(´・ω・`)「クー……逃げ……ろ……」
息も絶え絶えに、そう言った。
川 ゚ -゚)「逃げる? 一体どういうことだ!?
話してくれショボン、何があった!?」
クーが詰め寄ろうとした時、彼女はショボンの後ろに他の気配があることに気がついた。
その気配のする方に、目を向けると――
(*゚ー゚)「あらあら。 お友達を巻き込むなんてひどい人ねえ」
从 ゚∀从「口封じしなきゃなんねえ奴が増えたじゃねえか」
二人の女が、悪魔の様な笑みを浮かべていた。
〜第二部第一話『歪んでいく正義 その1』 終
次回、『歪んでいく正義 その2』乞うご期待!〜
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/15(土) 20:17:48.07 ID:+hogx5OW0
- この番組は、
鬼ノ仁
氏家もくねんど
緋鍵竜彦
の提供でお送りしました
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