ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:32:11.99 ID:vgJdujFU0
第二部 第三話『生きてきた意味』

〜ネタ切れ〜

川;゚ -゚)「ハアッ、ハアッ、ハッ――!」
深夜の山の中を、クーはひたすら走り続けていた。

あれから、どれぐらいこうして逃げ続けているのだろう。
どこに向かって逃げているのだろう。

いいやそんな事を考えている暇は無い。
今はただ、少しでも遠くに逃げなければ。

そして――
伝えなければならない。
JOWの闇を。

だが、誰に伝えればいいというのだ?

マスコミや警察に行ったところで、握り潰されることは目に見えている。
他の国の軍隊も、あてにはならない。
一体、どうすれば――



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:33:45.01 ID:vgJdujFU0
川 ゚ -゚)「!!!!!!」
そんなことを考えていた瞬間、
クーの右腕が根元から弾け飛んだ。

血と肉片が周囲に飛び散り、
胴体から離れた右腕がごろりと地面に転がる。

川 ゚ -゚)「ぐあああああッ!!」
痛みと衝撃から転倒しながらも、
傷口を押さえながらよろよろと立ち上がる。

今のは――!?
銃か!?
いや、銃声は全くしなかった。
だったら何が――

川 ゚ -゚)「!!?」
後ろを振り返ると、見たことのない少年が立っていた。

あいつは一体――
いや、一つだけ見覚えのあるものがある。
あの弓は――



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:34:40.77 ID:vgJdujFU0
( ´∀`)「今晩は」
あの弓は――!

川 ゚ -゚)「ま、まさか、お前――あなたは……!」
あっていい筈がない。
こんな現実、あっていい筈がない。

そんな、まさか。
あの、ご隠居まで――!

( ´∀`)「久し振り……だなあ。 ちょっと姿形が変わったんで、分からなかったかな?
      素直クール”様”」
恭しく一礼しながら、その少年は言った。

川 ゚ -゚)「ご隠居……! 何故……!」
痛みを堪えながら、クーはモナーに訊ねた。

突然の事態に頭が混乱し、
現実の脳内での処理が追いつかない。

背後は崖。
どこにも、逃げ場は無い。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:35:12.64 ID:vgJdujFU0
( ´∀`)「『何故』ってえのは、
      何故俺がこんな姿になっているのか、
      何故こんなにも早く自分の逃げ場所がばれたのか、
      どっちを聞いてるのかな?」
おどけるように肩を竦め、逆にモナーからクーに問う。

( ´∀`)「まあいいや。 折角だから両方答えてやるよ。
      前者は、怪人改造施術を受けたから。
      後者は、お前の体の中に発信機が埋め込まれてるからさ」
弓を手で弄びながら、モナーは言った。

川 ゚ -゚)「発信機……!?」
発信機だと!?
そんなもの、一体いつ。

( ´∀`)「頭悪ィなあ。
      お前、JOWで肉体強化施術を受けてんだろうが。
      そん時ぐれえしか考えられねえだろ?」
川 ゚ -゚)「…………!」
あの時か……!
ということは、つまり、
その時から自分はJOWの手駒だったということなのか……!



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:36:45.93 ID:vgJdujFU0
( ´∀`)「さて、種明かしはこれで終了だ。
      んじゃ、後はちゃっちゃと死んじゃってくれねえかな」
モナーが言うと同時に、後ろからJOWの尖兵らしき者達が姿を現した。
一斉に、クーに向かって自動小銃の照準を合わせる。

( ´∀`)「撃て」
モナーの合図にあわせて、連続した銃声が周囲に轟いた。

川 ゚ -゚)「ぐあああああああああああああ!!」
弾丸が、次々とクーの体を貫いていく。
鉛の雨を全身に浴びせられ、悲鳴を上げながら、
そのままクーは崖から転げ落ち、谷底へと落下していった。

「……やりましたかね?」
谷底を見下ろしながら、尖兵の一人がモナーに訊ねた。

( ´∀`)「多分な。
      だが、相手は強化人間だ。
      万が一ってこともある。
      きっちり探して止めを刺しとけ」
そう吐き捨てると、モナーは弓を担いで森の闇の中へと消えていくのであった。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:37:46.83 ID:vgJdujFU0


           *             *            *


JOW日本支部長官室――
その部屋の中に、三人の男が居た。

/ ,' 3 「鼠が一匹逃げたようじゃな」
現JOW最高司令官、荒巻スカルチノフ。

( ゚∋゚)「…………」
その傍らに居るは、JOW米国本部特殊戦闘部隊隊長、クックル。

爪'ー`)「ご安心下さい。
     すぐに、片は付きますよ」
そして――JOW日本支部長官、フォックス。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:38:30.75 ID:vgJdujFU0
爪'ー`)「それにしても、光栄の極みですね。
     総帥自ら、このような極東まで足を運んで頂けるとは」
深々と一礼し、フォックスが言った。

/ ,' 3 「何、今回の件で、日本支部の者達には良く働いてもらったからの。
    これぐらいの返礼、当然じゃろうて」
微笑を浮かべながら、荒巻が答える。

/ ,' 3 「いや、しかし本当によくやってくれた。
    君達が世界中に向かって行ったパフォーマンスで、
    我らJOWの株は鰻上りじゃ。
    これで益々、JOWの権威は磐石のものとなるじゃろう」
そう言って、荒巻はフォックスの肩に手を置いた。

爪'ー`)「ええ。 そして、あなたの役目もここまでです」
肩に乗せられた新巻の手を払い、フォックスが短く告げた。

/ ,' 3 「!? それはどういう――」
荒巻が言い終わる前に、クックルが荒巻の首根っこを掴んで宙へと持ち上げた。

/ ,' 3 「!? 何のつもりじゃ、クックル!
    離せ! 離さんか!!」
( ゚∋゚)「…………」
じたばたと荒巻がもがくが、クックルは黙ったまま荒巻を持ち上げ続けていた。
ぎりぎりと、荒巻の首を掴む手に力がこもっていく。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:39:14.00 ID:vgJdujFU0
爪'ー`)「権力の椅子に座っているだけの老いぼれはもういらない。
     これからは、私がJOWを正しい道へと導いていきましょう」
クックルに吊り上げられた荒巻を見上げながら、フォックスが言った。
その口の端には、皮肉気な笑みが浮かんでいる。

/ ,' 3 「貴様! こんなことをしてただで済むと……!」
荒巻がフォックスを睨みつけるが、フォックスは涼しい顔のままで、
爪'ー`)「ご安心を。 他の皆様は、私が新総帥ということで納得して頂いています。
     まあ中には納得されない方もおられましたが、
     そのような人達には全てこの世から消えて頂きました。
     つまり、私が新総帥になることに反対しているのはあなただけです」
そう、事も無げに言った。

/ ,' 3 「やめろ! フォックス! 助け――!」
( ゚∋゚)「…………」
命乞いをしようとした瞬間、クックルが荒巻の頚椎を圧し折った。

ビクリと荒巻の体が痙攣し、すぐにぐったりと全身から力が抜ける。
クックルは興味無さげにその荒巻の死体を見つめると、
ゴミでも捨てるかのように床に放り投げた。

爪'ー`)「さて、これで内側のゴミは全て掃除出来た」
荒巻の死体に目もくれず、フォックスが呟く。

爪'ー`)「これからだ…… これから私が、、本当の、唯一無二の『正義』となる……
     フフフ、ククク、クアーッハッハッハッハッハッハーーーーー!!」
フォックスの狂った笑いが、部屋の中に響き渡っていった。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:40:02.46 ID:vgJdujFU0


             *               *             *


('A`)「あー、暇だー」
ロマネスクの基地の外で、俺はそんなことを呟いていた。

最近は怪人騒動も起こらないうえに、
ロマネスクの基地にある娯楽用品といったらテレビくらい。

かといって、基地のある山の下まで降りるのも危険である。
JOWが俺達を探し回ってるかもしれないからだ。


イ从゚ ー゚ノi、「暇なら星でも眺めておるがいい。
       なかなかいい暇潰しになるぞ」


そんなドス女の言葉を受けて、星を見に外に出てみたはいいが、
ちっとも楽しくない。
流石、何百年も生きている奴の暇潰し方法は一味違う。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:40:21.07 ID:vgJdujFU0
('A`)「……帰ろう」
そう独り言を呟いて、基地の中に戻ろうとした瞬間――

('A`)「!!!!!!!」
連続する銃声が、夜の闇を切り裂いた。

何だ、今のは!?
このすぐ近くだぞ!

('A`)「……! ドス女! ロマネスク!」
俺は二人に異常を伝えるべく、基地の中へと駆け込んで行った。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:41:00.06 ID:vgJdujFU0


               *             *             *


これは夢。
いつか過ごした日々を映した、儚い夢。

若葉萌える春の季節。
私達は、ピクニックに来ていた。

( ^ω^)「みんなー、早くこっちに来るおー!」

ξ゚听)ξ「ちょっと! 少しは周りと合わせなさいよブーン!」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:42:16.14 ID:vgJdujFU0
(´・ω・`)「やれやれ。 子供は元気だねえ。
      ピクニックなんかであんなにもはしゃぐなんて」

川 ゚ -゚)「たまにはこういうのもいいじゃないか、ショボン。
     このところ、忙しい日が続いたからな。
     こういう息抜きも、悪くない」

(´・ω・`)「まあ、そうだね」

(;´ー`)「皆様…… この老体の歩く早さももう少し考慮に入れて欲しいのですが……」

(´・ω・`)「あっと! すみませんご隠居!
      気付きませんでした」

ξ゚听)ξ「無理しちゃ駄目よ、爺」

(;´ー`)「かたじけありません……」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:42:38.34 ID:vgJdujFU0



( ^ω^)「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

ξ゚听)ξ「ちょっとブーン! 少しは落ち着いて食べなさいよ!」

( ^ω^)「だってこのお弁当、美味し過ぎだお!」

(´・ω・`)「確かに美味いね。 特にこの唐揚げなんて絶品だ」

川 ゚ -゚)「それは嬉しいな。 ツンと一緒に作ったんだが、気に入ってくれたみたいで良かった」

(´ー`)「皆様、食後のお茶でもいかがですか?
     淹れたてのローズティーがご用意出来ております」

(;´・ω・`)「どこから取り出した、そのティーセット」

(´ー`)「お茶は紳士の嗜みですから」

川;゚ -゚)「いや、答えになってません」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:43:35.36 ID:vgJdujFU0



( ^ω^)「うわー、凄い景色だおー!」

ξ゚听)ξ「本当。 とても綺麗……」

川 ゚ -゚)「だな」

(´・ω・`)「今日はここに来れて本当に良かったね」

(´ー`)「左様ですな」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:44:04.04 ID:vgJdujFU0
( ^ω^)「……決めたお」

ξ゚听)ξ「え?」

( ^ω^)「ブーンは、この日常を護る為に闘うお。
      ツンがいて、クーがいて、ショボンがいて、ご隠居がいて、
      それで、みんなでこうして楽しく過ごせる日々を護ってみせるお!
      ううん、ブーン達だけじゃない。
      他のみんなの大切な日常だって、きっと護り切ってみせるお!」

ξ゚听)ξ「ブーン……」

(´・ω・`)「…………」

川 ゚ -゚)「……そうか。 お前なら、きっと出来るさ、ブーン。
     お前は、『正義のヒーロー』なんだから」

( ^ω^)「おっおっお。 照れるお」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:44:23.61 ID:vgJdujFU0
(´ー`)「さて、そろそろ日も暮れてきましたし、帰るとしましょうか」

川 ゚ -゚)「ええ、そうしましょう」

( ^ω^)「みんな! JOWまで競争だお!!」

ξ゚听)ξ「あっ、こら! 待ちなさいよ、ブーン!」

(´・ω・`)「やれやれ…… 本当に元気がいいね」

川 ゚ -゚)「ふふっ、そうだな」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:45:21.89 ID:vgJdujFU0


                              ・

                              ・

                              ・


――そうだ。
あんな日々がいつまでも続けばいいと思っていた。

その為に、自分は闘ってきたんだ。

……いや、自分一人じゃない。
ブーンと、
ツンと、
ショボンと、
ご隠居と、
一緒に闘ってきた。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:45:53.56 ID:vgJdujFU0
辛かった、挫けそうになった日もある。
だけど、みんなと一緒だから、今までやってこれた。

共に泣き、笑い、怒り、哀しみ、傷つき、血を流し、喧嘩をし、助け合い、
そうやって続いてきた、楽しかったと断言出来る日々。
その日々があったから、自分は闘ってこれたのだ。

だが、その日々もまやかしだったというのか。
あの輝いていた時間も、
フォックスの生み出した虚構の一部に過ぎなかったというのか――



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:46:20.34 ID:vgJdujFU0
川 " -゚)「…………」
川縁で、意識を取り戻した。
どうやら、結構下流の方まで流されてきたようだ。

体の損傷を確認する。
片目は潰れ、右腕は失い、体中に銃創痕が出来ている。
血も、流れ過ぎた。

死んでいないのがおかしいくらいの重症なのに、
自分はまだ、こうして生きていた。

川 " -゚)「ぐ……」
痛みに悲鳴を上げる体を無理矢理引き起こす。

まだ死ねない。
まだ、やるべきことが残っている。

それを果たさなければ、全部が無駄になってしまう。
ショボンが命懸けで自分を逃がしてくれた、
そのショボンの生きてきた意味が無くなってしまう……!



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:47:27.89 ID:vgJdujFU0
「いたぞ! あそこだ!!」
その声と共に銃声が響き、クーの体を飛来した銃弾が突き抜けた。

川 " -゚)「ぐああああああああああああ!!!」
衝撃で大きく吹っ飛び、地面に転がる。

糞ッ!
もうここまで来ていたのか……!

「きっちり頭を砕いておけ。
 話だと、普通の人間より少し頑丈らしいからな」
「了解」
ガチャガチャと銃を構える音と共に、尖兵達の足音が近付いてくる。

ここまでか。
ここまでなのか。
私は、ショボンが託してくれた役目も果たせず――



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:48:12.46 ID:vgJdujFU0
「!! 何だお前らは……ぐあああああああああああ!!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
しかし、次に聞こえてきたのは銃声ではなく、尖兵達の悲鳴だった。

何だ。
一体、何が……

('A`)「大丈夫か!!」
残された左目に飛び込んできたのは、
知っている顔の男だった。

かつて、自分達JOWが危険とみなし、
監禁していたその青年。
それが、どうしてこんな所に――

('A`)「あんたは――」
向こうも私に見覚えがあったらしく、顔を強張らせる。

……そうだ。
こいつがいた。
こいつなら、全てを伝えても……



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:48:37.53 ID:vgJdujFU0
川 " -゚)「あ……が……」
必死に言葉を発しようとするが、声にならない。

駄目だ。
このまま死んでは駄目だ。
何としても、伝えなければ。

('A`)「喋っちゃ駄目だ! すぐに、助けるから!」
そうはいかない。
ここで喋らなければ、全てが終わってしまう。

('A`)「ドス女! ロマネスク!」
青年が、傍らに居た男と女に救いを求めるような声を投げかける。

( ФωФ)「…………」
イ从゚ ー゚ノi、「…………」
しかし、二人は何も答えず黙って首を横に振った。

その通りだ。
私はどうせ、もう助からない。
だが、このまま死ぬ訳には絶対にいかない……!



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:49:17.74 ID:vgJdujFU0
川 " -゚)「J……O……Wだ……」
全身の力を搾り出すように、私は言った。

川 " -゚)「JOWが……怪人騒動の全ての黒幕だ……
     ツンも……ショボンも……二人とも、殺された……」
私を逃がす為に。
私が護れなかった所為で。

('A`)「…………!」
青年の顔が驚愕に歪む。
どうやら、こちらの伝えたいことは理解してくれたようだ。
これでいい。
これで、私の言うべきことは、残っていない。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:49:40.19 ID:vgJdujFU0
川 " -゚)「……ずっと……信じて闘ってきたんだ……」
だが、言うべきことはもう無い筈なのに、私の口は独りでに言葉を発していた。

川 " -゚)「……いつも、自分が絶対に正しいと……思ってたわけじゃない……
     だけど……それでも……少しでも、人助けになればと……闘ってきたんだ……」
今更、何を言っているんだ、自分は。
こんなこと、こいつらに言ってどうする。
こんなこと、聞かせてどうするのだ。

川 " -゚)「だけど……全部嘘だった……
     体良く、利用されてただけだったんだ……」
死んだ。
皆死んだ。

同僚も、上司も、部下も、ショボンも、ツンも、
皆、利用されるだけされて、虫けらのように殺されたのだ。

川 " -;)「私は……何の為に闘ってきたんだ……
      私の人生は、無意味だったのか……!」
あの想いも、傷も、日々も、
全ては、フォックスの野望の為の捨石でしかなかった。
そんなものの為に、自分は今まで生きてきたというのか……!



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:50:13.29 ID:vgJdujFU0
('A`)「違う!!」
そんな私の言葉を、青年は否定した。

('A`)「無意味なんかじゃない!
   例え、あなたの望んでいた結果とは違ったのだとしても、無意味なんかじゃない!
   だって、あなたが流してきた涙は、血は、
   信じ続けた想いだけは、本物の筈だろう!?」
川 " -;)「――――」
――ああ、そうか。

この一言が、聞きたかったのか。

言葉では、何も変わらないのだとしても、
変えられないのだとしても、
ただ、この言葉を。



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:50:43.07 ID:vgJdujFU0
川 " -゚)「…………」
視界が霞んでいく。
体から、力が抜けていく。
どうやら、もうほとんど時間は残されていないようだ。

だが、これでいい。
後は、この青年に任せれば大丈夫だ。
この青年なら、きっと、止めてくれるだろう。
JOWを。
……ブーンを。

川 " -゚)「…………」
目を閉じると、脳裏に浮かんでくる。

ピクニックに行ったあの日の光景が。
ブーンの、
ツンの、
ショボンの、
ご隠居の笑顔が。

そうだ。
この想いだけは、
この思い出だけは、
偽りなんかじゃない。

自分だけの、大切な宝物。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/18(火) 20:51:57.59 ID:vgJdujFU0
川 " -゚)「…………」
ショボン、どうやら私はここまでのようだ。
もうすぐ、お前の居る所へ行く。

だけど、ちゃんと伝えたぞ。
お前が私を逃がしてくれた命懸けの行為、無駄にはならなかったぞ。
意味があったってことなんだぞ。

だから――
だから、
私がそっちに行ったら、
笑顔で出迎えてくれ。

川  ー )「――――」
そして、クーは静かに永遠の眠りにつくのだった。


〜第二部第三話『生きてきた意味』 終
 次回、『殴り込み』乞うご期待!〜



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