ドクオは正義のヒーローになれないようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:31:06.69 ID:N3G0rUCN0
- 第五十一話『赤き暴風! ロマネスクVS『死獣操』桶死オサム』
〜まだネタ切れ〜
ノパ听)「ハハハハハ! アハハハハハハハハハハハァ!!」
素直ヒートが高らかに笑う。
快活に、傲然と。
( ФωФ)「――――!」
ロマネスクは言葉を失っていた。
何だ、これは。
こんなことがある筈がない。
あってはならない……!
ノパ听)「…………」
――と、素直ヒートが笑うのを止め、ロマネスクの方を向いた。
次の瞬間――
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:32:22.87 ID:N3G0rUCN0
- ノパ听)「よお」
( ФωФ)「!!!!!!!!!」
素直ヒートは、ロマネスクの目の前にまで移動していた。
素直ヒートとロマネスクとの距離は、数十メートル開いていた。
それを、たった一瞬で。
ロマネスクにすら知覚させずに、である。
ノパ听)「シィッ!!」
素直ヒートがおもむろに右手を振り上げ、
ぶっきらぼうにロマネスクを殴りつけた。
フェイントもテクニックも糞も無い、
子供の喧嘩で使うような、単純なパンチ。
そのパンチが――
( ФωФ)「がァッ!!!」
そのパンチが、いとも容易くロマネスクの顔面を捉えた。
( ФωФ)「ぐああああああああああ!!」
錐揉み回転しながら、ロマネスクが殴り飛ばされて宙を舞う。
何度も地面に叩きつけられてバウンドし――
瓦礫の中へと突っ込んで、ようやく動きを止める。
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:33:20.62 ID:N3G0rUCN0
- ( ФωФ)「かッ―― ぐはッ……!」
あまりのダメージに、ロマネスクはすぐに動くことが出来なかった。
馬鹿な。
この威力、本当に、あいつそのものの――
ノパ听)「りゃああああああああああああああああああ!!!」
倒れたロマネスクに向かって、素直ヒートが上空から襲い掛かる。
空中で右足を突き出し、
飛び蹴りの体勢でロマネスクを蹴り潰そうとする。
( ФωФ)「ぬうぅッ!!」
ダメージが抜け切らない状態ながらも、
ロマネスクはうつ伏せの体勢から跳躍し、すぐさまその場所を離れた。
直後、素直ヒートの足が先程までロマネスクがいた場所に衝突。
轟音と共に大地に大規模なクレーターを作る。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:34:35.26 ID:N3G0rUCN0
- ノパ听)「ハッハァー」
クレーターの中心で、素直ヒートが笑みを浮かべながらロマネスクを見据えた。
( ФωФ)「…………!」
ロマネスクが何とか体勢を立て直し、戦闘態勢を取る。
どういうことだ。
このプレッシャー、確かに、あいつの――
ノパ听)「久し振りだな、ロマネスク」
あの時と変わらぬ表情で、素直ヒートが言った。
( ФωФ)「黙れ、偽者め!!
偽者風情が、気安く我輩の名を呼ぶな!!!」
ロマネスクが叫んだ。
そう、あいつは、素直ヒートは死んだのだ。
死者が生き返るなど、奇跡が起きたって不可能だ。
ならば――
ならば目の前にいるそれは、一体何なのだ!?
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:35:14.21 ID:N3G0rUCN0
- (*゚ー゚)「これが棺桶死オサムの『死獣操』よ」
遠巻きから高見の見物をしていたしぃが、ロマネスクに告げた。
(*゚ー゚)「相手の心の中に眠る、死者の記憶を読み取り――
それを媒介に死者の魂をその身に宿らせ、己が力とする。
それこそが『死獣操』。
確かに目の前にいるそれは、棺桶死オサムが変化した偽者。
――けど、棺桶死オサムの変身した存在である、ということ以外は、全て本物と同じなのよ。
体も、心も、記憶もね。
それは、今の一撃を受けたあなたが一番良く分かっているでしょう?」
( ФωФ)「うるさい!! あの女は死んだ!! いなくなったのだ!!
その死者を愚弄するような真似、断じて許さんぞ!!!」
ロマネスクがしぃを睨む。
ここまでロマネスクが感情をあらわにするのは、彼にとっても初めてのことだった。
(*゚ー゚)「おお怖い。 でも、私なんかを気にしてる暇なんてあるのかしら?
あなたの相手は、そこの『正義のヒーロー』よ?」
( ФωФ)「――――!!」
ロマネスクが素直ヒートの方へと視線を戻したとき、
そこには既に彼女の姿は無くなっていた。
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:35:52.89 ID:N3G0rUCN0
- ( ФωФ)「!!!!!!!」
直後、ロマネスクの顎が跳ね上がる。
ロマネスクまで接近していた素直ヒートが、
左のアッパーでロマネスクの顎を打ち抜いていたのだ。
( ФωФ)「がッ!!」
脳を縦に揺さぶられ、ロマネスクの平衡感覚が完全に失われる。
自分の意思とは無関係に膝が折れ、ロマネスクは力なく地面に膝をついた。
ノパ听)「うおりゃあッ!!」
そのロマネスクの顔面に、素直ヒートの右足がめりこむ。
( ФωФ)「ぐあッ!!!」
鼻血を撒き散らしながら、ロマネスクが地面を猛スピードで転がっていった。
――ありえない。
この自分が、手も足も出ないだと!?
それじゃあ、本当に奴は、あの女と同じ力を身に付けているというのか!?
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:37:24.77 ID:N3G0rUCN0
- ノパ听)「どうしたロマネスク?
前やった時はこんなもんじゃなかったろ?
それとも、遠慮してくれてんのか?」
素直ヒートが嘲るような声でロマネスクに言った。
( ФωФ)「黙れ……! 偽者が、あの女の振りをするな……!
その姿で、その声で、あの女を騙るな!!」
歯を食いしばりながら、ロマネスクが全身の力を総動員して立ち上がった。
違う。
あいつは、違う。
あいつは、素直ヒートなどではない。
素直ヒートなんかでは、あってはならないのだ……!
ノパ听)「まだ分かんないかなあ。
アタシは、変身した偽者であるということ以外、全て本物と一緒なんだぜ?
本物と全く同じ偽者――つまりそれは、本物と同一ってことさ。
そう、あんたの心の中にいる、素直ヒートとね」
( ФωФ)「黙れええええええええええええええええ!!!」
ロマネスクが素直ヒートに向かって突進した。
彼の巨体がそのまま砲弾と化し、
一直線に素直ヒート目掛けて襲い掛かる。
( ФωФ)「るうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
右腕を思い切り振り絞り、最大限まで力を蓄えたところで、一気に開放する。
渾身の、右ストレート。
その必殺の一撃が素直ヒートの顔を捉え――
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:38:00.25 ID:N3G0rUCN0
- ( ФωФ)「なッ!!?」
打ち抜けなかった。
確かに、ロマネスクのパンチは命中した。
しかし、それだけ。
素直ヒートの体は、ビクともしない。
ノパ听)「ぬるいんだよ」
動揺で動きを止めたロマネスクの頭上から、
素直ヒートの鉄拳が襲い掛かった。
( ФωФ)「!!!!!」
恐るべき威力の鉄槌をまともに受け、
ロマネスクが頭から地面に叩きつけられた。
その余波で地面が陥没し、ロマネスクの体がビクンと大きく痙攣する。
( ФωФ)「あ……がッ……は…………」
ロマネスクが苦悶の表情を浮かべ、地面にのたうつ。
その姿に最早いつもの不遜なまでの気迫は無く、
ただの、一人の敗者でしかなかった。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:41:19.93 ID:N3G0rUCN0
- ノパ听)「よっと」
素直ヒートがロマネスクの首元を掴み、強引に引きずり起こした。
( ФωФ)「お……のれ……! 偽……者……が……!」
ロマネスクの声はもう言葉にならず、呻き声として口から漏れるのみである。
瞳からは、既にほとんどの力が失われていた。
ノパ听)「まだ偽者って言ってんのかよ。
じゃあ、とっておきの証拠を出してやろうか」
言って、素直ヒートがロマネスクの顔を引き寄せた。
ノパ听)「一つ残らず教えてやるよ。
死ぬ前アタシが犯された時、どんな顔で、どんな声で喘いだのかをなァ」
( ФωФ)「――――!!」
その言葉が、ロマネスクの理性を完全に打ち砕いた。
消えかけていたロマネスクの眼光に、
煉獄の如き怒りの焔が宿る。
ロマネスクの体の中で何かが弾け、
その激情が彼の意思とは無関係にその体を突き動かした。
( ФωФ)「貴様アアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」
首を掴んでいた素直ヒートの手を振りほどき、本能の赴くままに拳を放った。
全身全霊を込めた、恐らくロマネスクの生涯で最高の一撃。
その一撃が――
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:42:05.42 ID:N3G0rUCN0
- ( ФωФ)「!!!!!!!!!!!」
ノパ听)「惜しかったな」
素直ヒートの拳で、完全に粉砕されていた。
ロマネスクの拳に合わせ、素直ヒートがその拳を狙ってパンチをぶつけたのだ。
ロマネスクの拳は歪な形にへしゃげ、皮膚からは折れた骨が飛び出していた。
( ФωФ)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
しかし、それでもロマネスクは諦めなかった。
残った左拳で、なおも素直ヒートに殴りかかる。
だが――
ノパ听)「無駄なんだよ」
ロマネスクの拳が届く前に、素直ヒートの右拳が彼の胸部に突き刺さっていた。
( ФωФ)「がばァッ!!!」
胸骨を根こそぎへし折られ、口から大量の血を吐きながらロマネスクが吹っ飛んでいく。
( ФωФ)「ごッ……!」
ロマネスクの体が地面と激突し、周囲に瓦礫と土煙を撒き散らした。
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:42:46.08 ID:N3G0rUCN0
- ( ФωФ)「う――が……!」
駄目だ。
こんな所で倒れていては駄目だ。
誓ったではないか。
誰にも負けないと。
勝ち続けて、あの女が正義のヒーローだったと証明しようと。
深く、心に刻んだのに――
――どうして、もう立ち上がれないのだ……!
( ФωФ)「ァ…………!」
立ち上がろうと、何とか体を動かそうとする。
しかし、どれだけ頭の中で体に命令を下しても、指一本動かせなかった。
( ФωФ)「…………」
底無しの悔恨と絶望。
その闇の中へと、ロマネスクの意識は静かに沈んでいった。
〜第五十一話『赤き暴風! ロマネスクVS『死獣操』桶死オサム』 終
次回、『正義のヒーローはやって来る』乞うご期待!〜
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/07(火) 18:43:03.89 ID:N3G0rUCN0
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