ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:34:52.04 ID:Txl/Fs0I0
第二部 第十六話 『夢の終わり 〜銀獣VS魔弾〜』

〜ネタ切れ〜

イ从゚ ー゚ノi、「るうあああああああああああああああ!!」
銀が前への跳躍で間合いを詰めながら、右から横薙ぎに白刃を閃かせた。

( ´∀`)「ッ!!」
後ろに跳んで、モナーがそれをかわす。
そして跳んだ瞬間には既に、モナーは弓矢を構えていた。

イ从゚ ー゚ノi、「!!!」
銀の心臓目掛けて、モナーの放った矢が飛来する。

避けられない。
瞬時に、銀はそれを理解した。

この矢だけなら何とかかわすことが出来るかもしれない。
しかし、避けて体勢を崩したところに、次の矢が飛んでくる。
そうなると、致命傷は避けられないだろう。

ならば――

ミ,,゚(叉)「おおおおお!!」
体を変化させながら、銀は矢を避けることなく正面から突っ込んだ。

否、正確に言えば避けなかったわけではない。
ほんの少し、そう、ほんの数センチ分だけ、体を右に捩ったのだ。



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:35:50.52 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「――――!」
銀の胸部を矢が貫く。
だが、完全に心臓を貫いたかに見えたその矢はしかし、
銀の動きを止めることは無かった。

( ´∀`)「――――!」
モナーが微かに表情を強張らせる。

どうせ避けることが出来ないなら、そのダメージを最小限に抑えるまで。
銀は僅かに体の軸をずらすことで、内臓に深刻な損傷を与えない部分を矢が貫くように誘導したのだ。

ミ,,゚(叉)「るおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
返しの刃を銀が振るう。

最高の角度、最高のタイミング、最高の速度でのその斬撃が、
モナーの胴を二つに裂くと見えた瞬間――



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:36:29.27 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「そう来るのは『視えて』たんだよ」
ミ,,゚(叉)「!!!」
甲高い音と共に、銀の刀が虚空を薙いだ。
銀刃がモナーに届く寸前、モナーが弓でその斬撃を受けたのだ。

無論いくら弓が金属製とはいえ、
まともに受けただけでは銀の刀は容易く弓ごとモナーを真っ二つに切り裂いていただろう。

そうならないように、モナーは正面から受け止めるのではなく、
刀を受け流し、攻撃のベクトルをずらす形で防御を行ったのだ。

しかしこれは、口で言う程簡単なものではない。
神速に等しき銀の斬撃を狙った通りに防御するなど、事実上不可能に近い。

にも関わらず、モナーはさも当然のようにそれをやってのけたのだ。
そう、まるで最初からその結果が判っていたかのように。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:37:59.60 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「――千里眼」
銀は舌打ちをした。

全てを見通す、異能の瞳。
何であろうと、その眼に見えないものは無い。
そう、例えそれが、未来であろうと。

( ´∀`)「御明察」
モナーが得意気に鼻を鳴らした。

( ´∀`)「判ってんだろ、銀獣?
      この眼がある限り、お前の攻撃は先の先までお見通しだ。
      俺には、お前の動きが手に取るように視えるんだよ」
言って、銀に向けて弓を構える。

しかし、銀は些かも怯んだ様子を見せず、
ミ,,゚(叉)「そんな事は百も承知よ。
     六十年前、お前と闘った時からな。
     その眼、確かに恐るべき眼じゃ。
     筋肉や空気の流れを『視て』、さながら未来を視るかのように何十手先までも予測する。
     正に『千里眼』。
     その恐ろしさ、骨身に染みて判っておる。
     同時に――」
銀が僅かに腰を落とした。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:39:00.10 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「――その眼が、決して万能ではないこともな」
銀が、そう言って微笑んだ瞬間、
(;´∀`)「――――!?」
モナーの腹部に赤い線が走り、そこから血と内臓が零れ出た。

(;´∀`)「なッ――あァ!?」
いつやられた。
モナーが大きく狼狽する。

まさか、さっきか。
見切っていたと思っていたのに。
かわし切れていなかったのか……!

ミ,,゚(叉)「どこを見ている!」
(;´∀`)「!?」
モナーが驚愕している隙をついて、銀は一気に間合いを詰めていた。

ミ,,゚(叉)「るゥああ!!」
モナーが気付いて銀に向き直った時には既に遅く、
銀の拳がモナーの顔面を捉える。

(;´∀`)「がはァッ!!」
殴り飛ばされ、モナーがバウンドしながら地面を転がった。
が、即座に体勢を立て直し、片膝を付いた状態で銀に向き直る。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:40:31.01 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「どうした、魔弾。
     儂の動き、見切っているのではなかったのか」
銀はそれ以上追撃せず、距離を取った位置からモナーを見下ろす。

(;´∀`)「……チッ」
モナーは舌打ちをした。

予想外だった。
以前闘った時よりずっと、銀の動きが鋭くなっている。
それが、モナーの読みを少しだけ外したのだ。

先程銀が言った通り、モナーの千里眼は万能という訳ではない。
確定した未来が視える訳ではないし、
『視る』ことにある程度集中しなければ、その予測も曖昧になる。
加えて、例え予測出来たとしても、自身の反応速度を上回るスピードで来られてはどうしようもないのだ。

(;´∀`)「…………」
モナーはちらりと自分の腹の傷口を見た。
傷はそう深くはない筈だ。
とにかくこの傷をどうにかして――



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:42:42.26 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「――――!?」
モナーは目を見開いた。
さっき、確かに自分は腹を切り裂かれた筈。
内臓まで、出てきていた筈なのだ。
それが、もうすっかり傷口が塞がってしまっている。

そういえば、先程殴られた顔も、全然痛くない。
手で触れてみても、少しも腫れている様子も無かった。

もう、再生したというのか。
あれだけの傷が――

( ´∀`)「――フ、フハハ――」
モナーの口から笑い声が漏れた。

( ´∀`)「ハハハハハ! ハハッ!
      ハァーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハアァ!!」
やおら、モナーは大声で笑い出した。
まるで狂ったかのように。
いや、きっと彼は、とっくの昔に狂ってしまっていたのだろう。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:44:15.35 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「何だァ!? 何だよこの体は!?
      あんだけやられて、もう治ったっていうのか!
      予想以上だぜ! これが、人外の力ってやつなのか!!」
モナーが爪を立てて顔面を掻き毟る。
肉が削れて血が滲み出し、直後に薄く煙を上げながら傷口があっという間に再生していく。

( ´∀`)「これが! これが不老不死の肉体か!
      思ってた以上だぜ! これが! これが! こんなのが!!」
ガリガリと顔面の肉を削りながら、モナーが笑い続ける。
手と顔を血で真っ赤に染めながら笑うその姿は、
さながら鬼の様でもあった。

( ´∀`)「永遠の命―― ハッ! 人間だった時じゃ、勝てなかった訳だ!
      こんな反則な体を持ってたなんてなァ!!」
手を動かすのを止め、モナーが銀に視線を移した。

( ´∀`)「だが――今ならこっちも同じだぜ。
      さあ、続きだ銀獣!
      この体、どこまでやったらくたばれるのか、存分に試し合うとしようじゃねえか!!」
射抜く様な視線を銀に向けるモナー。
その目には最早人間性の欠片も残ってはおらず、
ただ、深く昏い闇だけがどこまでも広がっていた。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:45:00.56 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「――クッ」
銀はそんなモナーを嘲るかのように失笑した。

ミ,,゚(叉)「矢張りお主はただの餓鬼じゃな。
     その程度の不死性で、何を得意気に。
     そんなもの、人外にとっては当然のことに過ぎん」
からかうように、銀が言った。

( ´∀`)「ただの餓鬼――だと?」
モナーが銀を睨む。

ミ,,゚(叉)「ああ、餓鬼じゃ。
     お前は、何も判っていない。
     人外のことを、死なないということを、死ねないということを、まるで判っていない。
     そしてモナー。 だからこそ、お前は儂には勝てない」
( ´∀`)「ハッ! 大きく出たじゃねえか。
      俺がお前に勝てないだと!?」
モナーが今にも噛み付かんばかりの表情で、銀にそう言った。

が、銀はそれを軽く受け流すかのように、
ミ,,゚(叉)「ああ、そうじゃ。 お前は負ける、モナー。
     人外になって一年も経っていないような、尻の青い餓鬼が――
     本気で儂に勝てるとでも思っていたのか?
     舐めるなよ、小僧。 儂が、何百年人外をやってきたと思うておる」
そう、凄むように返した。

ミ,,゚(叉)「来るがいい、小僧。
     人外の闘いというもの、とくと教えてやろう」
言って、銀が日本刀を構え直した。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:47:36.79 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「クッ、クハハ。 クハハハハハハ――」
モナーが乾いた笑いを漏らし、天を仰ぎ見る。
そして再び銀に視線を戻すと――

(#´∀`)「舐めてんじゃねえぞ、銀獣!
      俺を――俺を誰だと思ってやがる!!」
神速の如き早業で矢筒から矢を抜き出し、弓に番え、
雨の様な魔弾を銀に向かって浴びせかけた。

ミ,,゚(叉)「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
矢の嵐に怯むことなく、銀が真正面からモナーの魔弾を迎え撃つ。

ミ,,゚(叉)「るうううううううああああああああああ!!」
矢が命中する寸前に、横に跳躍。
矢をかわしながらも、少しでもモナーに接近する為に斜め前に跳ぶ。

ミ,,゚(叉)「!!!」
その動きを見透かしていたかのように、銀が跳躍した場所に矢が飛んできていた。

すかさず、日本刀で打ち落とす。
が、打ち落とした次の瞬間、かわした筈の矢が軌道を変え、
銀の背後から襲い掛かる。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:48:07.45 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「ぬゥッ!!」
後ろ回し蹴りの要領で、背中まで接近していた魔弾を払い落とした。
が、そのうちの何本かは銀の蹴りをすり抜け、
数本の矢が深々と銀の体に突き刺さる。

ミ,,゚(叉)「ぐッ……!」
魔弾の直撃を受け、銀が空中で大きく体勢を崩した。
そのままぐらりと体を傾け、地面に墜落しそうになる。

( ´∀`)「貰ったァ!!」
その隙を逃さず、モナーが銀に向けて弓を構えた。
狙うは頭蓋。
いかに不死の肉体を持つ人外といえど、頭部を破壊されれば致命的なダメージとなる。

( ´∀`)「死ィ――」
モナーが魔弾を放とうとした瞬間――

( ´∀`)「――!!」
モナーの肩口に、一本の匕首が突き刺さった。
空中でバランスを崩しながらも、銀がモナーに向かって匕首を投げていたのだ。

ミ,,゚(叉)「何も、飛び道具はお主の専売特許という訳ではないぞ?」
受身を取りながら地面に落ちた銀が、にやりと笑った。
だが、その時――



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:50:53.02 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「『視えて』いたさ。 それ位はな……!」
ミ,,゚(叉)「!!?」
銀の右太腿を、モナーの魔弾が貫通した。

不意を討たれ、驚きながらモナーの方に向く銀。
見ると、モナーの手には、矢が握られていない。

撃ったというのか。
匕首が命中する寸前に、既に魔弾を……!

( ´∀`)「大口叩いた割にはこの程度かよ、銀獣。
      これで、俺に勝つつもりだったのかよ――」
ミ,,゚(叉)「…………」
モナーの問いに、銀は何も答えない。

( ´∀`)「判ってんだろ、銀獣。
      お前じゃ無理だってことが」
モナーが構えていた弓を下ろし、真っ直ぐに銀を見据えた。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:53:09.06 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「もう一度だけ聞くぜ、銀獣。
      俺のものになれ。 これから先の永遠の人生、俺と共に歩んでくれ。
      お前が必要なんだよ、銀獣!
      たった一人で、こんなふざけた体で生き続けるのは嫌なんだ!!」
モナーは叫んだ。
きっとそれが、モナーに残されていた最後の人間としての部分だったのだろう。
その人間としての心が、悲鳴を上げてたのだ。

拒否すれば、殺す。
それだけの決意を込めた懇願だった。

ミ,,゚(叉)「――断る」
だが、それでも銀は、きっぱりとそう言い放った。

ミ,,゚(叉)「何度も言わせるな、モナー。
     お前の様な糞餓鬼の相手をするなど、御免被る」
突き放すように、そう言い切った。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:56:06.24 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「……そうかよ」
モナーの顔から一切の表情が消える。
だがその能面の様な顔の下には、憤怒、狂気、絶望といった、
あらゆる負の感情が蠢いていた。

( ´∀`)「結局お前は、あの男の方を選ぶんだな。
      決して、その心を変えることは出来ないんだな――」
だったら。
モナーが銀の顔を見る。

(#´∀`)「だったら、やっぱりここでお前を殺すまでだ!!!」
モナーは己の『千里眼』に全神経を集中させた。

視ろ。
銀獣の全てを。
その肉を。
その呼吸を。
その心を。

奴が次にどう動くか、どう対応するのか、
それのみに己の全てをつぎ込め。

一手先の動きを、その先の動きを、その先の先の動きを、その先の先の先の動きを、
この眼にしっかりと焼き付けるのだ。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 09:58:18.20 ID:Txl/Fs0I0
(#´∀`)「――――!」
モナーの頭に、脳の神経回路が焼き切れるかのような痛みが走る。
だが、それでもモナーは『千里眼』を発動し続けた。

視ろ。
そして予測しろ。
奴の動きを。
未来の結果を。

(#´∀`)「――――!」
モナーの両目から血涙が流れた。
限界を超える千里眼の使用で視神経が悲鳴を上げ、
モナーの視界が紅く染まっていく。

視ろ。
もっと先を。
もっともっと先を……!



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 10:00:58.93 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「――視えた」
確信のこもった口調で、モナーが呟くように言った。

確かに、見た。
この闘いの結果を。
銀獣の、末路を。

( ´∀`)「…………」
一歩、モナーが銀に踏み出す。

ミ,,゚(叉)「…………!」
先程までと明らかに雰囲気の変わったモナーに、銀が身構える。

こいつ、何かが。
さっきとは何かが決定的に違う……!

( ´∀`)「……予言してやる、銀獣」
静かに、モナーが告げた。

( ´∀`)「今から85秒後、お前は両手両足をもがれて地面に磔になる。
      この勝負、俺の勝ちだ」
断言するように――否、モナーは断言した。
ボールを投げれば地面に落ちる、それぐらいに、当然のことのように。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 10:02:41.13 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「フッ。 それはまた随分と――」
( ´∀`)「…………!」
モナーは銀が言い終わるまで待たなかった。

一閃。
文字通り光が走るかの如き速さで、
魔弾が銀に向かって襲い来る。

ミ,,゚(叉)「くッ……!」
銀がその魔弾を振り払おうと、刀を翻した。
が、魔弾はまるで刀をすり抜けるかのように軌道を変えると、
銀の右腕に喰らいついた。

ミ,,゚(叉)「――――!!」
肉と骨が弾け飛び、刀を握っていた銀の右腕が銀の体から切り離された。

ミ,,゚(叉)「お――ぐあァッ!!」
痛みを気にしている暇は無かった。
その間にも次々と、魔弾は銀に向かって飛んできている。

ミ,,゚(叉)「くううッ!!」
地面を転がりながら、銀は魔弾をかわしていった。
銀が転がる後を追う様にして、魔弾が地面に突き刺さっていく。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 10:03:08.69 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「ちィッ!」
残った左腕を支えにして、銀が転がりながらも立ち上がった。
即座に、投擲する為に左手で懐に忍ばせておいた匕首を掴む。
そして匕首をモナーに投げようとした、その瞬間――

ミ,,゚(叉)「――――!?」
頭上から降り注いだ魔弾が、銀の左腕の肘から先を抉り落とした。
銀の足元に、その左腕が転がる。

ミ,,゚(叉)「な――あ!!」
銀の背筋に恐怖が走る。

何だ、これは。
避けることも出来ないまま、矢を喰らっていく。

どうしてなのか、何が原因なのかも判らない。
これが魔弾だと、これが千里眼だというのか――!



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 10:08:09.28 ID:Txl/Fs0I0
ミ,,゚(叉)「くッ……!」
だが、そのままじっとしている訳にはいかなかった。
止まっていれば、魔弾のいい標的だ。
両腕を失った状態にも関わらず、銀はモナーに向かって突進する。

( ´∀`)「――あと15秒」
ミ,,゚(叉)「!!!」
突撃する銀に、モナーが更なる魔弾を放った。
矢は大きく右なりに弧を描きながら、銀の足目掛けて襲い掛かる。

ミ,,゚(叉)「くッ!」
左後ろに跳んで、寸前の所でその魔弾をかわした。
脚を奪われるのは、まずい。
脚を封じられては、避けるどころの騒ぎではなくなるからだ。

ミ,,゚(叉)「!!」
今度は、左側から魔弾が飛んで来ていた。
まるで、銀がそこへ回避するのを最初から知っていたかのように。

ミ,,゚(叉)「ちィ!!」
銀がその場でばく転しながら、二の矢の魔弾を回避した。
魔弾が、先程まで銀の左足があった部分を高速で通り過ぎていく。
もし、喰らっていれば、間違いなく左脚がすっ飛んでいただろう。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 10:09:32.12 ID:Txl/Fs0I0
( ´∀`)「――あと10秒」
だが、それすらモナーが『視た』未来の展開通りであった。

ミ,,゚(叉)「!!」
二の矢の魔弾が、対象を失い中空を彷徨っていた一の矢の魔弾にぶつかり、
銀の予想を遥かに超えた軌道修正をして襲い掛かる。

まさか。
銀は戦慄した。

まさか、最初からこれが狙いだったのか。
わざと自分が二本の魔弾をかわすことが出来るように撃って、
そのかわした魔弾と魔弾がぶつかるように――

ミ,,゚(叉)「!!!!!」
直後、銀の右足が根元からごっそりと切り離された。
鮮血が撒き散り、銀がその余波で大きく吹き飛ぶ。



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