ドクオは正義のヒーローになれないようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:42:32.86 ID:LOFX/q7G0
- 最終話 『ドクオは正義のヒーローになれないようです』
〜前回までのあらすじ〜
途中で失速したり、
話終わらせたくない病が発症して逃亡しかけるといったようなこともありましたが、
この物語も何とか最終回までもっていくことができました。
これも偏に、読者の皆様方のおかげだと思います。
苦節一年以上の私の処女作にここまで応援して頂き、本当に有難うございました。
それでは、もう少しだけドクオ達の物語にお付き合い下さい。
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:44:21.50 ID:LOFX/q7G0
* 以下、何事も無かったかのように再開 *
「正義のヒーロー」と聞いて、あなた達は何を想像するだろうか。
それは仮面ライダーであったり、ゴレンジャーであったり、ウルトラマンであったり、
お巡りさんであったり、レスキュー隊であったり、近所のお兄さんであったり、
それぞれ人によって違うだろう。
テレビの中では、誰かがピンチの時、
正義のヒーローが颯爽と現れて、困っている人を助けてくれる。
悪は斃れ、人々は喜び、正義のヒーローは何処かへと去り、
ハッピーエンドで物語は終結する。
そう、正義のヒーローは助けを呼べば必ずやってくる。
だからこそ、人々はそんな彼らを「正義のヒーロー」と呼び、
それ故に正義のヒーローは正義のヒーローとして定義される。
……しかし、それはテレビの中だけの話だ。
現実には、正義のヒーローは困っている人の前には現れたりなんかしない。
正義のヒーローなんか世界の何時何処にも存在しない。
正義のヒーローは、誰も救ったりなんかしない。
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:45:02.33 ID:LOFX/q7G0
- ――それでも、
それでも正義のヒーローを信じ続けた一人の少年がいた。
傷ついて、傷ついて、傷ついて、
それでも、いつか、いつの日か、
正義のヒーローが助けに来てくれると、
心の底から信じ続けた。
……当然のように、正義のヒーローはやって来なかった。
そもそも、居もしないものが現れるなんて、有り得ないことだった。
それでも、少年は信じて、待ち続けた。
いつか、いつか、いつか、いつか、いつか、正義のヒーローが――
――時間だけが過ぎ、少年は青年になり、希望はは歪に捻れ、
それでも少年は裏切られた事に気付かず、気付こうとせず、
ただ、純粋な想いだけが、風化しないまま積もっていった。
正義のヒーローは、誰も救ったりなんかしない。
――正義のヒーローは、いない。
そう、困った時にどこからともなく颯爽と現れ、
人々を助けて風と共に去っていく、
そんな都合の良い存在なんてこの世に在りはしないのだ。
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:45:43.55 ID:LOFX/q7G0
- どころか正義のヒーローなんて、
恐らくきっと、この世には全然必要ではない。
正義のヒーローなんかいなくても、世界はどうにか回っているし、
本来そもそもこの世にある問題の多くは、
正義と悪の単純な二分構造なんかで測れるようなものなどではない。
だから、多分正義のヒーローなんてものは、
結局は何も出来ない役立たずの邪魔者でしかないのだろう。
それでも、
それでも少年は正義のヒーローを信じ続けたのだ。
信じて、憧れ、助けを乞い続けたのだ。
これはそんな、哀れで愚かな少年だった男の物語。
そして、その物語は――
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:46:33.94 ID:LOFX/q7G0
* * *
オレは秘密基地の最奥の、一際大きな扉の前で立ち止まっていた。
この中に、あいつが居る。
今までの厄災の、全ての元凶であるあの男が。
そう、はっきりと感じ取ることが出来た。
( 《;;;||;;》)「…………」
深呼吸をして、息を整える。
いよいよだ。
いよいよ、全てに決着がつく。
ロマネスクも、ドス女も、今頃必死で闘って、
そして必ず勝っている筈だ。
後は俺が、フォックスを倒せば万事解決だ。
ああ、そうか。
今頃気がついたが、世界の命運は俺にかかってしまっているのか。
冗談にもならない話だ。
正義のヒーローでも何でもない只のつまらない人間だった俺が、
世界の趨勢を左右することになるなんて。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:47:20.52 ID:LOFX/q7G0
- もし、俺が負けてしまったら――
……いや、負けた時のことなんか考えてどうする。
勝つ。
それしかない。
これまで俺を支えてきてくれた者達の為に。
俺が犠牲にしてきてしまった者達の為に。
ここで、俺は、必ず勝たねばならない。
だからこそ、ロマネスクも、ドス女も、
俺に任せてくれたのだ。
その信頼を、裏切る訳にはいかない……!
( 《;;;||;;》)「フォーーーーーーーーーーックス!!」
思い切り、扉を蹴破った。
野球場くらいの広さのある、無機質で広大な部屋。
部屋の奥には何やら大仰なコンピューターやモニターが設置され、
そしてそこには――
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:48:36.12 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「――やあ」
そこには、あの男が立っていた。
( 《;;;||;;》)「やっと追い詰めたぞ、フォックス!!」
フォックス。
ただ自分が『正義』である為だけに、
世界の全てを犠牲にしようとした男。
絶対に許してはいけない、
絶対に止めなければいけない狂人。
爪'ー`)「やれやれ、ついにここまで来てしまったか」
フォックスが嘆息しながら肩を竦める。
爪'ー`)「全く――よくもまあ酷くやってくれたものだ。
しぃ、オサム、モナー、ブーン、裏切り者のセントジョーンズ――
君達のおかげで、私の組織はガタガタだよ」
( 《;;;||;;》)「ざまあ見ろ、だ!」
精一杯皮肉っぽい声で言ってやった。
そうか――
ドス女やロマネスク達は、勝ったんだな。
本当に、良かった。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:49:39.91 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「――が、計画には何の支障も無い。
ここで君を殺し、その後で弱った君の仲間達を殺した後で、
世界を核の炎で焼き尽くせば、全ては予定通りだ。
それで私の正義を認めない者は、この世界から完全に消え去る」
事も無げにフォックスは言った。
こいつ――
こいつはまだ、諦めていないのか。
正義の為なら何でもやっていいと――
本気で、そう信じ込んでいるのか。
( 《;;;||;;》)「ふざけるな!
そんなことさせるか!!
お前は今ここで、俺が倒す!!
お前の思い通りになんか、させやしない!!!」
はっきりと言える。
フォックスの実現しようとしている正義は、間違っていると。
確かに、自分を否定する者全てを消せば、
完全なる正義がそこには完成するのだろう。
だけど、そんなのは違う。
そんな方法でしか実現出来ない正義なんて、
絶対に間違っている……!
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:51:01.93 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「間違っている――か。
随分とまあ、嫌われたものだ。
では逆に私からも問おう。
君の考える『正義』とやらは、本当に価値のあるものなのかな?」
( 《;;;||;;》)「!?」
何だこいつは。
いきなり、何を言っている。
爪'ー`)「判り難いか。 ならば言い方を変えよう。
君の『正義』で人を救えると――本当に思っているのかね?」
フォックスが嫌らしい笑みを浮かべながら続ける。
爪'ー`)「仮に君が私を倒せたとしよう。
が、それでどうなるというのだ?
核ミサイルの爪痕は、既に地球に致命的なダメージを与えてしまっている。
ここで私を止めたところで、それだけはもうどうにもならない」
フォックスが両手を掲げながら俺を見据える。
爪'ー`)「汚された空気は人々を蝕み、汚された大地は草木を枯らし、汚された水は命を奪うだろう。
世界中で大規模な疫病と飢饉が発生し、
辛うじて生き残った者達の間で、残された資源を巡って争いが起きるだろう。
さあ、どうするのだ? 君の正義は、そんな人達をどうやって救う?」
( 《;;;||;;》)「…………」
俺は何も答えられなかった。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:52:02.49 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「出来る訳が無いな!
そんな荒廃した世界で、君の言う正義が通用する筈が無い
君の正義などより、パンの一切れ、米の一粒の方が遥かに価値があるのだ。!
つまりはそういうことだ!
君の正義など所詮その程度――
そんな脆弱なものが、私に敵うとでも思っているのか!」
フォックスが勝ち誇った様な声で言った。
こいつの言う通りだった。
俺の正義は、決して万能なんかではない。
今までにも、俺の正義では救えなかった人達が大勢居た。
ギコさんに、トラギコに、渡辺のお婆ちゃんに、原子力発電所の人達に。
皆、救うことが出来なかった。
フォックスが言ったことは正しい。
俺の正義なんかじゃ、人々の餓えや病を助けることなど出来ない。
ましてや、それを原因とする争いを止める権利など有りはしない。
俺の正義は、そんなちっぽけで、安っぽいものでしかなかった。
だけど、それでも――
( 《;;;||;;》)「――それでも、お前は間違ってる……!」
それだけは、はっきりと言うことが出来た。
フォックス、お前は間違っている。
そして俺は、そんなお前を絶対に許しはしない……!
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:53:38.83 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「……あくまで私を否定するか。
そうやって、最後まで正義のヒーローを気取るつもりかね?」
フォックスが呆れた様に溜息をついた。
いいや、フォックス。
それは違う。
それは違うぞ。
( 《;;;||;;》)「……お前は一つ勘違いをしている。
俺は、正義のヒーローなんかじゃない。
ちっぽけで、弱っちい、只の人間だ」
そう、俺は正義のヒーローなんかじゃない。
決して、正義のヒーローなんかになれはしない。
爪'ー`)「ならば何故抗う?
単なる人間が、ここまで私にたてつく理由は何だ?
世界平和の為か?
牙持たぬ人々の為か?
それとも、君の無力な正義の為か?」
フォックスはそう問いかけた。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:55:46.69 ID:LOFX/q7G0
- ( 《;;;||;;》)「……いいや、そんなんじゃない。
平和の為だとか、みんなの為だとか、正義の為だとか――
そんな大層過ぎて訳の判らないものなんかの為になど、闘っちゃいない。
俺が闘うのは、俺個人の、大切なものの為だ」
大切だった。
ドス女が。
ロマネスクが。
渡辺のおばあちゃんが。
そんな人達と一緒に生きることの出来る日々が、
何より大事だった。
もし、それを傷つけるような奴がいたらただじゃおかない。
俺の周りの、小さな日常を護る為。
それが、俺の闘う理由だった。
だから、俺は正義のヒーローにはなれない。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:56:24.13 ID:LOFX/q7G0
- きっと、正義のヒーローは、
もっと広い範囲のものを護れる者の事を言うのだろう。
不変不朽の正義の為に、
命を懸けて闘う者のことを言うのだろう。
俺には、それが出来ない。
世界の人々全てを護る力も無いし、
正義に命を懸けるくらいなら、俺の大切な人達の為に命を懸ける。
ブーンやフォックスの様に、
自分の正義を認めない者を全て消し去ろうとするような強烈な自我も無い。
だから、俺は正義のヒーローなんかになれはしない。
だけど、それでもいい。
どんなに醜くとも、どんなにちっぽけでも、どんなに不様でも、
自分の大切なものさえ護れれば、それだけでいい。
フォックス、お前にはあるか。
自分の正義以外に、身命を投げ出せるようなものが。
俺には、ある。
確かに、俺にはお前のような確固たる正義は無い。
だけど、俺にはそれにも負けないようなものを、
この胸に持っている……!
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:57:48.90 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「……どうやら、これ以上の問答は無意味のようだ。
御託の続きは、あの世でやり給え」
斬り捨てる様に言って、フォックスが俺をキッと見据えた。
( 《;;;||;;》)「!!!!!」
直後、ダンプカーに激突されたような衝撃を受けて、
俺の体は後ろの壁に激突した。
今のは!?
奴は、指一本動かしていない筈だ。
爪'ー`)「ツンの念動力は、君も知っているだろう。
あれの力は、クローン技術によって私の力を移植したものでね。
もっとも、私を力をあの出来損ないなんかと同レベルと思ってもらっては困るが」
フォックスが口の端を吊り上げながら言った。
( 《;;;||;;》)「……ふ――ざけるな!!!」
お前はそんな――
そんな非道なことまでやっていたのか。
やっていて――
何も良心の呵責を感じないのか。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:58:28.51 ID:LOFX/q7G0
- ( 《;;;||;;》)「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
フォックスに突っ掛けた。
一切の戦略も戦術も無く、ただ、一直線に駆け抜ける。
爪'ー`)「ふん、無駄なことを」
フォックスがそう言うが早いか、
再び俺の体に見えない衝撃波が襲い掛かる。
( 《;;;||;;》)「ぐぅ――!」
両足に渾身の力を込めて、吹き飛ばされるのをこらえた。
しかしなおも不可視の力は俺を抑え込み、
その圧力で両足が地面に埋まる。
爪'ー`)「さて、いつまで持つのかな?」
( 《;;;||;;》)「ぐぅ――ぐ……!」
あまりの力に、膝が折れ、倒れそうになる。
だが、倒れない。
倒れる訳にはいかない。
こんなことで――これしきのことで倒れる訳には、いかないんだ……!
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 21:59:40.56 ID:LOFX/q7G0
- ( 《;;;||;;》)「ぐう――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
渾身の力を両足に込めて踏み止まり、
蓄えた力を一気に解放させ、不可視の衝撃を真正面から押し返す。
衝撃を力ずくで押さえ込みながら
前へと進む。
前へ。
少しでも前へ。
あの糞野朗に、最高の一撃を叩き込む為に……!
( 《;;;||;;》)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
爪'ー`)「!?」
充分に加速がついたところで、俺は跳んだ。
そのまま右足を突き出し、
体全体を槍と化してフォックス目掛けて直進する。
( 《;;;||;;》)「おおおおおおおおりゃあああああああああああああああああ!!!」
爪'ー`)「!!!!!」
会心のドロップキックが、フォックスの胸板に炸裂した。
手応えは、充分。
今度はフォックスが俺の蹴りの衝撃で吹き飛ばされ、
勢い良く壁に叩きつけられる。
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 22:01:37.39 ID:LOFX/q7G0
- ( 《;;;||;;》)「……どうだ!」
壁に激突し、倒れたフォックスを見やりながら俺は言った。
あれだけの蹴りをまともに受ければ、
いくら何でも無事では済まない筈だ。
が――
爪'ー`)「――ふむ」
フォックスはいささかも表情を崩すことなく立ち上がった。
馬鹿な。
効いていないのか!?
いや、そんな筈はない。
涼しい顔こそしてはいるが、痛みのせいかフォックスの呼吸は少し荒くなっている。
それに、今のでフォックスにも判った筈だ。
あいつの力では、俺には及ばないことは。
だが、何だ。
フォックスの、この余裕は何なのだ。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 22:02:18.45 ID:LOFX/q7G0
- 爪'ー`)「予想以上に素晴らしい力だ。
ブーンを斃したのも伊達ではないということか」
服についた埃を払いながら、フォックスが俺を見た。
爪'ー`)「どうだね? ドクオ君。
今からでも遅くない。 私と共に私の正義を実現させないか?
役立たずのブーンとは違う、君なら真の正義のヒーローになれる筈だ」
( 《;;;||;;》)「な――――!」
フォックスの口から発せられた言葉は、
あまりに予想外のものだった。
( 《;;;||;;》)「ふざけるな!!
今更よくもそんなことが言えたもんだな!!!」
冗談じゃない。
そんな口車に乗るくらいなら、死んだ方がマシだ。
爪'ー`)「君にとっても悪い話ではない筈なんだがね?
君だって、君の正義の限界は感じている筈だ。
だが、私と共に来れば、絶対に揺るぐことの無い正義を約束しよう。
何、仲間を裏切ることなんか気にすることはない。
そんなもの、真の正義の前ではゴミカス同然だ。
迷うことなど何も無い。
完全無欠の正義のヒーローに、なれるのだぞ?」
ともすれば甘美にさえ聞こえる耳当たりの良い声で、
フォックスが俺に語りかけた。
だが、そんなもので俺の信念は揺るがない。
揺るぐ筈がない。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/17(土) 22:03:04.19 ID:LOFX/q7G0
- ( 《;;;||;;》)「……そうやって、ブーンも絡め堕としたのか」
爪'ー`)「そうだよ。
いや、彼は実に操縦し易かった。
盲目的に正義のヒーローに心酔していたからね。
そういう意味では実に有用だったが……
最後の最後でしくじるようでは底も知れたというもの。
全く、とことん期待外れな奴だったよ、ブーンは。
あれだけ莫大な費用をかけて強化改造施術を施してやったというのに」
心底落胆した風にフォックスは溜息をついた。
( 《;;;||;;》)「ざけんじゃねえ!!
あいつは――ブーンは、正義のヒーローを心の底から信じきってたんだぞ!!
その想いを利用するだけ利用して――
そんなブーンにかける言葉がそれだってのか!?」
俺には、最後までブーンの考え方を理解することは出来なかった。
だが、これだけははっきりと判る。
あいつも、正義のヒーローを信じていたのだと。
やり方は間違っていたのかもしれないが、
その想いだけは本物だったのだと。
それを――
その想いに付け込んで、道を踏み外させるなんて――
絶対に許せる筈があるものか……!
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