( ^ω^)ブーン達の冒険はまだ始まったばかりのようです
- 2: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:28:59.00 ID:9Q3rop6R0
- 第5話
空気が重い。
沈黙がその場を制する。
自ら言葉を発しようとする者はいない。
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
(;'A`)「……(この沈黙って俺のせいなのか)」
前回のドクオの提案以来、皆の気持ちが更に沈んでしまっていた。
特に主役のブーンに至っては諦めの域にまで達していたのだ。
- 3: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:30:03.04 ID:9Q3rop6R0
- どれくらい経ったであろうか。
時間がとても遅く流れている。
ドクオにとって過ごしづらい空気の中で、時間の流れはまるで止まっているようにも感じられた。
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
(;'A`)「……(とりあえず何か皆を活気づけることしなくちゃ)」
「とにかくこの場の空気を和ませたい」
そんな思いからドクオはひたすら試行錯誤を続ける。
- 6: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:31:14.48 ID:9Q3rop6R0
- (;'A`)「とっ、とりあえず皆聞け!」
静かな空間には声がやたらに響く。
皆が一斉にドクオへ目を向けたのを確認すると、彼は続けて声を出した。
('A`)「よく聞け。この世界で一番えらいのは作者様で次に偉いのは……」
('A`)「このドクオ様さ!」
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
- 8: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:32:17.19 ID:9Q3rop6R0
- またしてもやたら声が響く。
そしてその後に待つのは先程より更に深い沈黙。
(;'A`)(あれ? あのスレではこの発言がうけてたのにな)
ドクオは暫くの間、後悔の念に呵まされることとなった。
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
- 9: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:33:17.33 ID:9Q3rop6R0
- ブーンはともかく、なんでツンとブーンまで黙ってんだよ。
お前らは前の話の時点では生き生きと発言してたじゃないか。
あー、本当に鬱だ。
('A`)「もうだめぽ」
ドクオが様々な思考を駆け巡らせて最終結論に達した時、城のドアが開く音が皆の耳に届いた。
一同が一斉に音の元へ視線を向けると、そこには2人のそっくりな兄弟が立っていたのである。
(メメ´_ゝ`)「ん? なんでこんなに静かなんだ?」
(´<_` )「なんかお前らふいんき(ry暗くね?」
ゲームの方向性に語る為に一時離脱した流石兄弟だ。
兄の方は何故か傷だらけだが何があったのであろうか。
- 10: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:34:01.60 ID:9Q3rop6R0
- とにかく重すぎる空気に耐えられず窒息死しそうだったドクオにとって、流石兄弟の帰還はまさに天のお助けであった。
(;A;)「お前ら…… やっと帰ってきてくれたか。お前らがいなかったら俺どうしようかと……ふえぇぇぇえええん」
(メメ´_ゝ`)「弟者、なんかこいつキモいんだけど」
(´<_` )「そんなやつ放っておけ。とにかく皆、俺らがこの状況を打破できる方法を思い付いたぞ」
弟者から皆へ城での収穫を報告される。
これで新しい展開に持ち込める。
皆は喜び、俺らは褒め称えられるであろう。
そんな兄弟の思惑とは裏腹に、待ち受けていたリアクションはとても淡泊な物であった。
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
沈黙である。
- 12: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:34:57.08 ID:9Q3rop6R0
- (´<_`;)「えっと…… 僕らが新しい方法を思い付いたんですけど」
思わず2度目の報告を行う弟者。
あまりにも反応が薄い為、不安になったのであろう。
( ´ω`)「どうせ無駄に決まってるお」
ξ゚听)ξ「あ、ブーンが喋ったわね」
( ^ω^)「じゃあ僕達も喋ることにするお」
(;'A`)「あれ? お前ら別に普通だったの?」
ξ゚听)ξ「なんか暇だったからブーンが喋るまで黙ってみるってゲームやってたのよ」
(;'A`)「そのゲーム全く楽しそうじゃないんですけど」
弟者の提案には見向きもしない一同。
- 14: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:35:59.18 ID:9Q3rop6R0
- (´<_`;)「新しい方法……見つけた……」
3度目の報告を行う弟者。
目にはうっすらと涙を浮かべている。
どうやらシカトされるのは彼にとって相当辛いらしい。
ξ゚听)ξ「どうせまた無駄な方法なんでしょ」
( ^ω^)「毎回同じ展開だからオチが見えてきてるんだお」
( ´ω`)「僕はもうこのままで良いお」
今までの経験から即座に否定する。
そんな彼らに対して、先程から発言の機会の無かった兄者が口を開く。
(メメ´_ゝ`)「いや、今回は絶対に成功する」
- 15: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:36:55.77 ID:9Q3rop6R0
- 兄者の自信に満ち溢れた視線を向けられた一行は、とりあえずその方法を聞くだけ聞いてみることにした。
( ^ω^)「そんなに自信があるなら一応聞かせてくれお」
ξ゚听)ξ「無駄だったらまたメメタァするからね」
(メメ´_ゝ`)b「まぁ任しとけ。その方法ってのはな、この話の第2話を読んでもらうとわかると思う」
('A`)「説明するのが面倒だからって適当に省くなよ」
(´<_` )「そこら辺は気にしたら負けだ。とにかく、第2話はどんな話の内容だったか覚えているか」
いつの間に泣きやんだのであろうか。
少し目を赤くしたドクオが発言した。
その発言を受け流して弟者が問う。
- 16: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:38:20.05 ID:9Q3rop6R0
- ξ゚听)ξ「私が魔法を使う話よね」
弟者の問いにはツンが答えた。
答えを聞いた弟者は満足げに頷き、話を続ける。
(´<_` )「そうだ。それで兄者が閃いたんだがな」
(メメ´_ゝ`)「あの魔法使い続けて作者にどんどん話を描かせれば良くね?」
彼らの発言を聞いた瞬間、皆の口から漏れる溜息の音。
それぞれが落胆の色を出している。
('A`)「第2話知ってるなら結論覚えておけよ」
( ´ω`)「結局あれは打ち切られているから意味が無かったんだお」
ξ゚听)ξ「どうせこんなとこだろうと思ったけどね」
( ^ω^)「先を描き続けたとしても、この場でひっそりと最終回迎えちゃうだけだお」
- 18: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:39:07.73 ID:9Q3rop6R0
- (メメ´_ゝ`)「だから魔法を掛け続けるんだ」
(´<_` )「作者が新作を書きたくなると思うほどにまでな」
皆の反応を予想していたかのように、批判の声に順応する兄弟。
彼らは最初にフェイントとしての前置きを提案し、その後訂正を加えたことは言うまでも無い。
そう──いうまでもないのだ──。
( ^ω^)「いや、ここで別にパクらなくても良いと思うお」
- 19: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:40:04.74 ID:9Q3rop6R0
- ('A`)「とにかく、だ。その提案が上手くいくとどうなるんだ」
(メメ´_ゝ`)「魔法掛けまくる→作者新作を書きたくなる→その新作に俺らも登場する→全てがおk」
ξ゚听)ξ「なんか案外いけそうな方法ね」
( ^ω^)「これなら僕も再登場できるはずだお」
(メメ*´_ゝ`)「別に褒めてもらっても嬉しくないんだから!」
思った以上に好評でツンデレ気味に嬉しさを隠しきれない兄者。
それとは間逆に、先程までとは違い少々浮かない表情に変わる弟者。
(´<_`;)「ただ、これには1つ残念なことがあってな」
- 20: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:40:54.47 ID:9Q3rop6R0
- 弟者の言葉に嫌な予感を感じる一同。
(;'A`)「残念な事ってなんだよ?」
ξ;゚听)ξ「もしかして新作に私たちが出ない可能性もあるとか?」
(メメ´_ゝ`)「そこらへんはお前の魔法次第で何とでもなるだろ。まぁ登場することはできるだろうけど……」
(´<_`;)「推測だけどな、新作に登場する俺らはたぶん今までの記憶を持っていないと思うんだ」
遂に弟者の口から一番の問題点が発せられる。
( ^ω^)「それって一体どういうことだお?」
(メメ´_ゝ`)「つまりな、新作に登場する俺らは俺らであって俺らじゃないんだよ」
(;^ω^)「お?」
ブーンの咄嗟の問いに即座に解答する兄者。
だが、その答えのせいでブーンは更に混乱させられることとなった。
- 22: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:41:45.84 ID:9Q3rop6R0
- ちゃんと理解できていないブーンを見て弟者が口を開く。
(´<_` )「俺らが出るのは新作であってこの話じゃないからな。考え方によっては全くの別人なんだ」
続いて兄者。
(メメ´_ゝ`)「設定も人格も何もかもが変わってるかもしれない。それでも新展開を望むなら挑戦してみないか?」
この兄弟の息の合った説明が終わり、それぞれに決断が迫られる。
記憶をそのままに進展も何もない世界でずっと生きていくか。
記憶を失って新しい世界でまた歩み出すのか。
皆にとっては、とても大切な二択であった。
- 23: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:42:32.56 ID:9Q3rop6R0
- 兄弟の提案から数分後、それぞれがそれぞれなりの答えを導き出せたようである。
( ^ω^)「僕はそれが一番の方法だと思うお」
('A`)「俺もこの方法以外はもう思い浮かばないな」
ξ゚听)ξ「もうこれに賭けてみるしかないわね。さっきから黙ってるけど、ブーンはどうなの?」
ツンが先程から全く発言のないブーンを気にして話を振ってみる。
そして開かれるブーンの口。
( ´ω`)「僕は反対だお」
彼の意見は否定的であった。
(;'A`)「え? なんでだよ?」
ξ;゚听)ξ「あれほど連載目指してたのに今になって反対ってどういうことよ」
当然の如く涌き出る疑問がブーンに向けられる。
- 24: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:43:16.96 ID:9Q3rop6R0
- ( ´ω`)「確かに僕はまた連載されるのを望んでいたお。だけど皆との思い出が消えちゃうのは絶対に嫌なんだお」
反対の理由を述べるブーン。
それに……と付け足して彼はまた話を続ける。
( ´ω`)「ここはもう既に終わった世界だお……」
( ´ω`)「でも、ここには皆との思い出がしっかりと残ってるんだお」
( ´ω`)「僕にとっては皆との思い出が一番の宝物なんだお」
ブーンはしっかりと自分の持つ考えを皆に伝える。
その考えを踏まえた上で、ツンは落ち着いた様子で口を開いた。
ξ゚听)ξ「ブーン、あんたのその気持ちはわかるわ。私だって皆との思い出が消えるのはいやだもの。でもね……」
一瞬の間を開けて更に言葉を紡ぐ。
ξ゚听)ξ「私たちは夢を与える為に生まれたキャラなのに、終わった世界にいたままで良いわけがないじゃない」
ポトリ、ポトリと何かが地に落ちる音が聞こえる。
ξ;凵G)ξ「本当は私だって記憶を失いたくなんか無いわよ! でも、私達の本来の役目を考えなさいよ!」
ツンは涙ながらにブーンの説得を試みていた。
- 26: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:44:18.25 ID:9Q3rop6R0
- ( ´ω`)「ツン……」
ξ;凵G)ξ「ブーン……」
('A`)(空気重いな)
( ^ω^)(なんかこの展開は何とも言えないお)
(´<_` )(俺の発言がまた減ってきたな)
(メメ´_ゝ`)(……)
その場に居づらい空気が支配する空間の中、取り残された4人はただ新たな展開を待つしかなかった。
そしてブーンが口を開く。
( ´ω`)「ツン……、わかったお」
( ^ω^)「僕はまた新作に登場して皆に夢を届けてやるんだお!」
どうやら決心したようだ。
ブーンの言葉を聞いて、ツンは涙を拭い小さく微笑んだ。
ξぅ凵G)ξ「ブーン……」
ξ゚ー゚)ξ「それでこそ主役よ。よく決意してくれたわ」
- 27: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:45:14.92 ID:9Q3rop6R0
- (メメ´_ゝ`)「それじゃあ満場一致って事でツン、作者に魔法を掛けてくれ」
(´<_` )「前に使った魔法を大量にな」
兄弟の言葉を受けてツンは確固とした意志を込めて頷く。
ξ゚听)ξ「わかったわ」
その言葉を最後に黙り込むツン。
作者に物凄い量の魔法を掛けているのであろう。
再度その場を沈黙が支配した。
- 28: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:46:06.31 ID:9Q3rop6R0
- ――渡辺サイド――
机には描きかけの原稿。
少し前に渡辺が描きたい衝動を受けて描いた物だ。
ただ、その話は既に打ち切られていて彼女の行為は無意味となっていたが。
从'ー'从「う〜ん…… おはよう〜」
布団にくるまっていた部屋の所有者が誰に言うでもなく朝の挨拶をしている。
きっと彼女にとっては習慣のようなものなのであろう。
そんな目覚めたばかりの彼女に再び押しかける新たな衝動。
その衝動は以前のような続編を描くというレベルを遙かに凌駕し、彼女の創作意欲を大いに刺激していた。
从'ー'从「あれれ〜? なんかまた新しい話描きたくなってきたよ〜?」
从'ー'从「よ〜し! 今度はもっと面白い話を描くぞ〜!」
彼女もまた、新たな展開への第一歩を踏み出したのであった。
- 29: 踊り隊(catv?) :2007/04/14(土) 19:46:57.12 ID:9Q3rop6R0
- ξ゚听)ξ「どうやら……成功したみたいね」
しばらく黙々と魔法を掛け続けていたツンが静寂を破る。
彼らの視界には段々と白くぼやけていく普段の世界が映っていた。
白黒の世界から白だけの世界に。
その移り変わりを真摯と受け止める一同。
(メメ´_ゝ`)「新作を描き始めたようだな。それでは新作でも兄者の活躍にご期待ください☆」
(´<_` )「死ね」
( ^ω^)「次こそは絶対登場したいお」
('A`)「次はもっと人気出ると良いなぁ」
ξ゚听)ξ「次に会う時はもう記憶は無いでしょうけど、またよろしく頼むわね」
皆がそれぞれの言葉なりに別れを告げる。
そして……
( ^ω^)「もうこの世界は終わったお。でも、僕達はまだ終わってないお」
( ^ω^)「僕達の冒険はまだ始まったばかりなんだお! 次の話でもきっと素敵な話にするんだお!」
( ;ω;)「それじゃあ皆…… 一旦バイバイだお!」
ブーンの言葉を最後に彼らのいた世界は全て白くなり、何もかもが消えて無くなってしまった。
皆と過ごした空間も、笑って泣いて流れた時間も、彼らの思い出も全て真っ白に――
戻る/エピローグ