( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです

  
282:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 00:43:53.13 ID:G9MWWfZO0
  

( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです

第9話「二人のクリスマス・中編」


ブーンの思い出が、温泉が沸くごとく甦ってくる。

――そうだった。


僕は小さな頃に、しいと会ってた。

でも、なんでそのことを忘れていたんだろう?


幼稚園に入るころの記憶。
小学校に入るころの記憶。

全部あるのに、しいの記憶だけなかった。
しいの記憶を失ってたのに疑問を抱くのは止めよう。

今、しいがいるからいいや。



  
283:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 00:47:05.00 ID:G9MWWfZO0
  
(*゚ー゚)「ブーンったら、ハンバーグ食べてたらいきなり泣いちゃってびっくりしちゃったよw」
( ^ω^)「いや、ホント感動しちゃったおww」

( ^ω^)「あの荒巻さん……一体何者なんだお…?」
(*゚ー゚)「荒巻さんは、昔どこかの国の王宮シェフかなんかだった、ってお父さんに聞いたよ。」

( ^ω^)「なんか激しい経歴だおwww」
(*゚ー゚)「あたしも聞いたときはびっくりしたな…。洋食屋のおじさんが王宮のシェフだなんてw」

ブーンはふと腕時計を見る。

午後2時半。

( ^ω^)「もう2時半かお。」
(*゚ー゚)「え?もうそんな時間なんだ。時間は楽しいと経つの早いね。」
( ^ω^)「朝起きてからあんまり時間がたったって記憶がないおww」
(*゚ー゚)「ダメだよブーン。時間をかみ締めて生きなきゃ。」

( ^ω^)「時間をかみ締める?」

(*゚ー゚)「うん。時の経過が早く感じる場合でも、時間をかみ締めることを忘れちゃいけないの。今を楽しむって言葉と一緒かな♪」

( ^ω^)「なんか……しいかっこいいおw」



  
284:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 00:49:20.87 ID:G9MWWfZO0
  
(*゚ー゚)「誰かの受け売りの言葉なだけだよw あたしは現に、ブーンとの時間を1秒1秒、大事にしてるよ?」
( ^ω^)「ありがとうだお!ブーンはそこまで意識できてなかったみたいだお!」

(*゚ー゚)「えへへw ブーンもあたしとの時間、大切にしてくれたらうれしいな♪」
( ^ω^)「もちろん!今まで以上に大事にするお!」

二人はクリスマスで人の多い路地を引き続き歩く。
すると、しいの目にふとついた店があった。

(*゚ー゚)「あ!ブーン!あれみて!」
( ^ω^)「お?なんだお?」

しいが指差す先には「MRN」というお店があった。
( ^ω^)「アクセサリーショップかお?」

(*゚ー゚)「うん!おそろいの何か、つけたいなーって思ったの。」
( ^ω^)「!!!!!」


おそろい。

あなたはこの響きに耐えられることがあっただろうか。
私は、今までおそろいというものをつけたことが無かった。



  
287:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 00:54:13.52 ID:G9MWWfZO0
  
そう。

そこのあなた。
おそろいをつけてみたいとは思わないだろうか?
正直に言おう。

私はつけたい。
今、私は人生ではじめておそろいのものを買おうとしている。
これは何事にもかえることのできないことであり。

忘れることのできないことなのだ。

――脳内ブーンは語る。


( ^ω^)「ぶぶぶブーンとしいがおそろいかお!!!!?」
(*゚ー゚)「ちょwwテンパりすぎだってww」

( ^ω^)「そうかお…。おそろいだなんて、生まれてこの方つけたことないお…。」
(*゚ー゚)「じゃあ、あたしがはじめてってことか♪」



  
288:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 00:55:05.01 ID:G9MWWfZO0
  
(*゚ー゚)「じゃあ、いこっ?ブーン!」
手を引っ張られ、ブーンとしいは『MRN』というお店に入った。

こぎれいなお店の中には、アクセサリーが所狭しと並べられており、カップルがたくさんいた。
みんな幸せそうな顔で、目を輝かせながら選んでいた。

( ^ω^)「すっごいおー。キラキラしててまぶしいおw」
(*゚ー゚)「だねー!あたしもここにはいるのは初めてだからワクワクするよ♪」

( ゚д゚ ) 「やあ。アクセサリーショップ『MRN』へようこそ。僕はこの店のオーナーのミルナです。」
( ^ω^)(*゚ー゚)「こっちみんなwwww」

( ゚д゚ ) 「やっぱりいわれてしまった……。」
( ^ω^)「す、すいませんお!ついつい!!」
( ゚д゚ ) 「いや、言われなれてるからいいんです。あなたたちは『MRN』に初めていらっしゃったお客様ですよね?」

(*゚ー゚)「はい!なんでわかったんですか?」
( ゚д゚ ) 「僕は、来たお客様の顔を覚えることにしているんです。」
( ^ω^)「すごい特技だお!」
( ゚д゚ ) 「いえいえ、たいしたことはないですよ。ただ、次にいらっしゃったときに、その方のイメージにあったアクセサリーを提供する。ただそれだ
です。」



  
289:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 00:55:35.72 ID:G9MWWfZO0
  
(*゚ー゚)「かっこいいですね、ミルナさん。」
( ^ω^)「男も惚れる男だお!」

(´・ω・`)「うほっ。」

(;゚д゚ )「あ、あれっ!?い、今すごく嫌な予感がしました……。き、きのせいですよね。」
( ^ω^)「お?」

( ゚д゚ ) 「そ、それはともかく、お客様お二人は恋人同士のようですね。よければアクセサリーの方、提供させていただきますがどうでしょうか?」
( ^ω^)「ミルナさんが僕らにあったアクセサリーを選んでくれるのかお?」

( ゚д゚ ) 「そうです。あくまでも推薦なので、お気になされなかったらお断りください。」
(*゚ー゚)「たのんじゃおうよブーン!」
( ^ω^)「お!ミルナさんのセンスにゆだねるお!」

( ゚д゚ ) 「かしこまりました。では、そこのカウンターに座ってお待ちください。」

そういうと、ミルナはアクセサリーがたくさんおいてあるショーウィンドウの方へ向かっていった。

( ^ω^)「あのミルナさんも、どこか不思議な人だお。」
(*゚ー゚)「だね。なんか全部見透かされちゃう感じ。」

5分ほど経った後、ミルナが小さな箱を二つ持ってやってきた。
( ゚д゚ ) 「お待たせいたしました。私のほうといたしましては、こういうのが似合うかと――。」



  
291:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 01:01:55.94 ID:G9MWWfZO0
  
そういって、箱を開くミルナ。
中には、シルバーでできた月のかたちをしたネックレス。
もう一つの箱には、少し金色をした、同じくシルバーでできた太陽を模したネックレスが入っていた。

(*゚ー゚)「うわぁ!素敵!!」
( ^ω^)「かわいいお!」

( ゚д゚ ) 「はい。この二つは、見てのとおり、『太陽』と『月』を模しています。」

( ゚д゚ ) 「あくまでも、このネックレスは、二つで一つです。」
そういうと、ミルナは月のネックレスを、太陽のネックレスに近づけた。

ブーンとしいは、驚いた。

月と太陽を近づけると、二つのネックレスが虹色に輝きだしたのだ。

( ゚д゚ ) 「この金属は、うちの店『MRN』で、特別調合した金属です。
メインは銀なのですが、調合の具合によって、近づけることにより変色をすることができるようになりました。
『太陽』と『月』は一対のものです。そこにひっかけた、というわけではないですが、ペアネックレスにしておきたかったのです。」

説明を続けるミルナ。



  
292:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 01:02:47.80 ID:G9MWWfZO0
  
すると、カウンターの下から霧吹きをとりだした。
( ゚д゚ ) 「少しアクセサリーの方を見ていてください。」


ミルナはアクセサリーに少し霧吹きで水を塗布する。
すると、虹色に輝いていた二つのアクセサリーが、緑色を帯びた紫に輝きだした。


( ゚д゚ ) 「もう一つの特徴として、この金属は、湿度により輝く色を変えるということです。基本的に、色は虹にある色だけですが、微妙な湿度による変化にも反応するようです。」


( ゚д゚ ) 「少し長ったらしくなりましたが、一応説明は終わりです。」

( ^ω^)「……すごいお。こんなものがあるだなんて知らなかったお。」
(*゚ー゚)「だね…。でも、素敵……。」

( ^ω^)「素敵だけど、やっぱり何百万もするのかお?」
( ゚д゚ ) 「いえ、こちらは、二つで12800円です。」
(*゚ー゚)「ええ!?こんなに素敵なのに、そんなに安いんですか?」

( ゚д゚ ) 「お安いと感じていただけてうれしいです。
金属自体は、私どもが作った合金ですし、デザインも『MRN』で担当しましたので。」



  
293:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 01:05:23.67 ID:G9MWWfZO0
  
( ゚д゚ ) 「それに、これを進める理由の主な一つに、あなたたちのイメージにぴったりだったからです。」

( ^ω^)「ブーンたちの?」
(*゚ー゚)「イメージ……ですか?」

( ゚д゚ ) 「はい。私の見たところ、あなたたちはすごく仲がいい。そして、支えあって生きているようにみえます。
なので、『太陽』と『月』というものは、『太陽』がないと『月』は輝かない。『月』がないと、『太陽』は朝の実感というものをわかってもらえない。」


( ゚д゚ ) 「そういうところが、支えあっているあなたたちと似ている、そう考えたんです。」

( ^ω^)「支えあってる……。」

(*゚ー゚)「ブーン。」

( ^ω^)「しいの言いたいことがわかるお!」



  
294:県議(大阪府) :2007/04/23(月) 01:06:34.52 ID:G9MWWfZO0
  
( ^ω^)「これが気に入ったんだお?」
(*゚ー゚)「……うん!」

( ^ω^)「これを…くださいお!」

( ゚д゚ ) 「ありがとうございます。」

( ゚д゚ ) 「ここでお付けになられて、クリスマスを過ごされてはどうでしょうか?
お互いが、お互いにネックレスをかけてあげる――これも、また一つの愛ですよ。」

ブーンとしいは、お互いにネックレスをかけあう。
二人で一つ――二つで一つ。


輝きを失わないネックレスのように、僕たちもずっと一緒にいたい。
二人はそう考えていた。


( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです

第9話「二人のクリスマス・中編」 完



戻る第10話