( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです

  
34: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:26:00.64 ID:jAE4ajhu0
  
ミ,,゚Д゚彡「俺は、暴力団の一員だったんだ――。」

――当時、俺は20歳で上京して、ここより少しはなれた都市、テンゴクへ来た。
まあ、田舎でもはねかえり者だった俺は、半ば逃げるようにして上京したんだ。
もちろん、頼るアテもなにもなかった。

そうなってくると、頼れるのは、自分の喧嘩の腕。
俺は自然とテンゴクの裏の方へ手を出し始めていたんだ。


いろんな悪事をした。
脱法ドラッグの販売。
密入国者の斡旋。
人殺し。



俺は黒く染まっていった。



  
35: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:26:25.35 ID:jAE4ajhu0
  
そのころに入っていたのが、今俺を追っている暴力団『Pizzicato』だ。

もともと、本部は海外にあるのだそうだが、その日本支部の幹部までになっていた。



その日はほかの組へ襲撃に行く予定だった。
そこで――、おれはアイツとであった。



( ゚д゚ )「そのアイツというのが――。」
ミ,,゚Д゚彡「そうだ。今の俺の嫁、ワタナベだ。」



  
36: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:30:30.31 ID:jAE4ajhu0
  

――話を続けよう。


俺は、いつものように、子分を何人かつれて、襲撃予定の組事務所の前に潜んでいた。
そして、予定時刻。


銃をポン刀を持って殴りこみ、事務所を一つ壊滅にまで追い込んだ。
なんてことはなかった。



俺はそのころ、何も考えずに動く機械のようなもんだったんだ。
そして、その帰りに、ワタナベとであった。



  
37: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:32:02.98 ID:jAE4ajhu0
  

(,,゚Д゚)「おし。おまえらみんな今から2週間ほどどこかへ身を潜めろ。わかったか?」
子分「押忍!!」


(,,゚Д゚)「では、二週間後、いつもの倉庫で待ち合わせる。」

――俺は追っ手がいつくるかもわからないテンゴクをさまよった。



(,,゚Д゚)「はぁ……はぁ……。足がついちまうなぁこりゃぁ……。」
ヤクザ「おい!!!見つけたぞ!!!!」
(,,゚Д゚)「ちいぃぃぃっ!!!!」



テンゴクじゃあ、もう場所はないのかもしれねぇ。
『Pizzicato』には迷惑をかけずに事を終える。これが俺の理念だった。


ヤクザ「まてやおらぁぁぁ!!!!」
(,,゚Д゚)「はっ……はっ……!!!」



  
38: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:32:26.28 ID:jAE4ajhu0
  


――追っ手は何人だ?
3人くらいなら、殺れる――!!!



路地裏に差し掛かったところで、俺は誰かに手を引かれた。



(,,゚Д゚)「……な!!」




从'ー'从「あなた、追われてるんでしょ?」


これが、出会い。
暴力団幹部と、居酒屋の娘の――。



  
39: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:33:37.05 ID:jAE4ajhu0
  

从'ー'从「ほら、追ってきてるやつ、みんな向こうにいっちまったよ。」
(,,゚Д゚)「……。」



バシッ
ほほをうたれた。
(,,゚Д゚)「……なにしやがる。」
从'ー'从「あんたねぇ、礼の一つも言えないような男なのかい?」


――最初の印象は『肝の据わった女』。



そして

『頼りなさそうな男』

だそうだ。



  
40: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:34:25.75 ID:jAE4ajhu0
  
从'ー'从「あたしワタナベ。ここの居酒屋の娘さ。」
(,,゚Д゚)「……ちょっと待ってくれ。なぜ俺を助けた?」

ほほがまだヒリヒリ痛む。
どれだけ強い力で張ってくれたんだ。


从'ー'从「あんた――男前でしょ?だからよ。」
(,,゚Д゚)「そ、そんなことで助けたのか?お前は、そんなことで命を危険に曝したのか?」


从'ー'从「あら?ダメかい?ブサイクならそのまま見殺しにしてたよ。」

――どんな女だコイツ。


今までみたことねぇ。



  
41: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:35:13.10 ID:jAE4ajhu0
  

(,,゚Д゚)「……。そうか……。すまなかったな。」
从'ー'从「いや、気にしないでくれよ。ただの気まぐれよ。」



そうして、俺たちは出会い、必然的かのように、親しくなった。




――そこから、俺は、この世界から足を洗おうと決めていた。





( ゚д゚ )「やはり……奥様――、ワタナベ様はあなたにとっての光――。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。光かもしれないな……。」



  
42: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:36:44.04 ID:jAE4ajhu0
  

そして、俺は組を辞める、と告げた。



(・∀ ・)「……。辞める、だと?」
当時の組長、またんき。


(,,゚Д゚)「はい。もうこの世界からは、足を洗おうかと思っています。」
事務所の空気が凍りついた。



(・∀ ・)「そうか……。お前のようなテッポウダマは失うのに惜しい存在だ。」
またんきが椅子から腰を上げた。


(・∀ ・)「お前は、この世界から本当に足を洗えると思っているのか?」



  
43: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:37:21.70 ID:jAE4ajhu0
  

(・∀ ・)「搾取する側から、搾取される側へとなれると思っているのか?」


(,,゚Д゚)「――はい。」
( ´∀`)「……。」


(,,゚Д゚)「私には、大切なものができました。」
(・∀ ・)「――言ってみろ。」




(,,゚Д゚)「守りたい……人です。」


(・∀ ・)「……。可笑しいことをいってくれるじゃないか、ギコ。」
(・∀ ・)「よし。もういい。消えろ。」



  
44: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:37:57.15 ID:jAE4ajhu0
  
(,,゚Д゚)「――はい。お世話になりました。」

(・∀ ・)「その消えろではない……。」


またんきが手を上にあげる。
すると、子分たちが俺にいっせいに銃を向けた。


子分A「……。ギコさん……。」
子分B「やめたりなんかしないでください……。こんなことしたくないですよ……。」


(,,゚Д゚)「すまない……お前ら。でも、決めたことだ。」

(#・∀ ・)「まだいいよるかぁ!!!ぎこぉぉぉぉ!!!!!!」


またんきがポン刀を持ってこっちへくる――。

俺は――




またんきを撃った。



  
45: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:38:48.05 ID:jAE4ajhu0
  

子分「!!!!!!」
(;´∀`)「組長!!!!!!」


(,,゚Д゚)「……。くっ……!!!!!」
(;´∀`)「おどれら!!!はよ医者よばんかい!!!!」
子分「はっ!!はい!!!!!」


(;´∀`)「ギコぉ……。待たんかい!!!」


――俺を止めようとした子分を、4人殺してしまった。

何人俺は殺めたか覚えていない。しかし、この4人と、またんきを撃ったときの感触は、たとえ拳銃であったとしても忘れられなかった。



  
46: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:39:56.56 ID:jAE4ajhu0
  


俺は走った。



ワタナベに、会いたかった。



いつもの路地裏から入る。
从'ー'从「……ギコ。今日はどうしたんだ?そんなに急いで――」


有無を言わさず、抱きしめてしまった。
(,,゚Д゚)「……。すまない……。」
从'ー'从「ど……どうしたんだ?」




簡潔にだが、事の顛末をワタナベに説明した。



  
47: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:40:40.68 ID:jAE4ajhu0
  


すると、ワタナベは、笑ってくれた。
軽蔑して、すぐにこの手から離れてしまう。



そう思って、抱きしめたのに――。


从'ー'从「……そうか。よくやったじゃないか!ギコ!!」
(,,゚Д゚)「……。俺を……軽蔑しないのか?」


从'ー'从「そんなことしてなんになるんだい?
うじうじしてる頼りない男なんかより、数倍、いや、数百倍いいじゃないか。」



――あまりにも、あっさり人殺しを肯定されてしまって、俺が可笑しくなってしまった。



  
50: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:45:34.41 ID:jAE4ajhu0
  

(,,゚Д゚)「そ、そうか……。」

(,,゚Д゚)「……。な、なぁ……。」



从'ー'从「……。なんだ……?」

(,,゚Д゚)「俺はよ、今までなーんにも頼れるもの、守りたいものなんてものがなかったんだ。
ずっと。ずっとだ。」

少し強く抱きしめるギコ。



(,,゚Д゚)「そんな俺にも……守りたいものができたんだよ……。」



从'ー'从「……それは、なんだい?」



  
53: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:47:14.24 ID:jAE4ajhu0
  

(,,゚Д゚)「……。お前だ……ワタナベ……。」
(,,゚Д゚)「お前と一緒にいたい……守りたい……そう思ったんだ……。」



俺は、柄にもないことをペラペラといっていた――。
組に入ってからは、そこいらの女を適当に捕まえて心のスキマをごまかしていた。


ごまかそうと考えて、ごまかしていた。


ワタナベは違っていたんだ。
俺の心を――、埋めてくれた。



少しずつ、ゆっくりとワタナベに思いの丈を伝える。



そして――



(,,゚Д゚)「ワタナベ……結婚しないか?」



  
54: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:47:54.05 ID:jAE4ajhu0
  



从'ー'从「……いろいろ順番飛ばしてるけど……あんたらしいね。」


そういって、俺たちは結婚を決めた。


( ゚д゚ )「……。」
ミ,,゚Д゚彡「そこからだ――。」



テンゴクから逃げるように結婚して、15年――。



その間に、ワタナベが、病にかかっていることが判明した。
そして、今も組が俺を探していることも――。



  
55: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:48:35.33 ID:jAE4ajhu0
  

( ゚д゚ )「あのモナーという男……。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ……。俺の子分だった男だ。」


ミ,,゚Д゚彡「俺は……あいつにいいことを一つもしてやれていない。今も一人、病気と闘っているのに、泣いているのに……。」



ミ,,;Д;彡「だから……だから一つでも……、俺と結婚した意味を……証を……残したいんだ……。」


――この方のオーラが……白く、まぶしく輝いている。
犯罪をした人間ということに間違いは無い。




しかし、今、この方の幸せを奪うのは、あまりにも不幸、かつ理不尽だ。
私は、この方の幸せを見届けたい、そう思った。



  
56: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:49:41.74 ID:jAE4ajhu0
  

( ゚д゚ )「お客様、ハンカチを――。」


ミ,,゚Д゚彡「すまない……。」
( ゚д゚ )「それで……奥様は今どちらの病院へ?」


ミ,,゚Д゚彡「VIP市立総合病院だ。俺が追われていることもあって、なかなか会えないんだ。」
( ゚д゚ )「そうですか――。お客様を追っているのは、あのモナーという男だけですか?」


ミ,,゚Д゚彡「ああそうだ。あいつは執念深くてな……。」


( ゚д゚ )「私、モナーの電話番号を預かっています。ここに呼び出しますので、その隙に病院へ――。」



ミ,,゚Д゚彡「なにをいってるんだ。そんなことをしたら、あんたが危ない!!」
( ゚д゚ )「嘘がバレたら、もちろんそうでしょう。ですが、あなたの幸せを見届けたいのです。」



  
57: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:50:13.66 ID:jAE4ajhu0
  

ミ,,゚Д゚彡「……。」


ミ,,゚Д゚彡「……頼んで……いいのか……?」

( ゚д゚ )「もちろんです。」


そういうと、ミルナは携帯電話を取り出した。
( ゚д゚ )「では、この指輪を持って、行って下さい!」



ミ,,゚Д゚彡「……。すまない……!!!」
ギコはコートの内ポケットに指輪の箱を二ついれ、走っていった。



  
58: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 20:50:33.97 ID:jAE4ajhu0
  

( ゚д゚ )「もしもし――。」
( ´∀`)「もしもしですモナ。」





( ゚д゚ )「この前お電話番号をいただいたミルナともうしますが――。」



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