( ^ω^)ブーンと('A`)ドクオがうたかたの唄のようです

  
29: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:22:07.12 ID:7oGIcQ8N0
  

 (´・ω・`)「おーい、ちょっと待ってくれよ。」

ショボンが走ってブーンたちのほうへ行く。
ゆっくり歩いている二人に追いつくのはわけがない。
すぐに追い抜かし二人の前へと回り込んだ。

( ^ω^)「なんですかお。」

 (´・ω・`)「いやね、君たち今日の昼にあの子助けてくれただろ。
        あの子の姐気分である素直太夫がお礼をしたいって言ってるんだよ。
        それで、自分は三味線や踊りしかできないけどそれでもいいならお礼としたいって。」

 ('A`)「それなら御呼ばれしますかね。なっブーン。」

( ^ω^)「たいしたことしてないのに悪い気がしますお。
       でもそれで向こうさんの気がすむっていうならしょうがないですお。」

 (´・ω・`)「よかった、線香代はいらないからね。
        普通なら一見さんはお断りなんだけど今日は特別だよ。」



  
30: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:22:56.68 ID:7oGIcQ8N0
  

話がまとまって二人を案内するショボン。
二人は周りの視線に少し誇らしげなものを感じながら歩く。
嬉しさを隠し切れないらしくお互いを肘でこ付き合う。

VIPに入り素直太夫の部屋へと案内された。
障子を開けるとそこには派手ではないが高価だとわかる着物を着た女が顔を伏せていた。

 (´・ω・`)「この子が素直太夫だよ。じゃ私は行くから楽しんでってね。」

ショボンが立ち去り、部屋には素直太夫と、その付き人である女が二人そして
ブーンとドクオだった。



  
32: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:24:17.15 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「はじめましてお。ブーンですお。」

 ('A`)「ドクオです。」

二人が挨拶をすると、素直太夫が顔を上げた。
どうりで、地味目の着物を着ているわけだ。
なまじ派手な柄だとその着物が逆にみずぼらしく見えてしまう。
そんなことを思いながら二人は素直太夫の顔に見入った。

 川 ゚ -゚)「はじめまして、今日は妹分であるペニサスを助けていただきありがとうございます。
      お礼と言えども三味線や舞ぐらいしかできませんが精一杯努めさせていただきます。」

(;^ω^)「ちょ、綺麗すぎるお。」

(;'A`)「これは素晴らしい。」



  
33: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:26:14.33 ID:7oGIcQ8N0
  

二人は呆然と素直太夫の顔を見続ける。
自分の顔がもつ効果を知ってか知らずか素直太夫は交互にブーンとドクオの顔を見つめた。

 川 ゚ -゚)「とりあえず、お座りください。」

(;^ω^)「はいですお。」

(;'A`)「おう。」

その後二人は素直太夫の舞や三味線を楽しんだ。
素直太夫の弾く三味線はまるで天女が降臨したかのような神々しさを持ち
舞は竜宮城の乙姫を連想させた。
今まで遊郭遊びをしてきた中で頂点に立つ存在だと感じた。



  
34: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:27:07.19 ID:7oGIcQ8N0
  

しかし、二人が楽しんだのはおしゃべりだった。
酒が入り少し馴染んだところで面白おかしく城内の様子を話したのだ。

( ^ω^)「でさでさ、その時ドクオが殿様の前で失禁したんだお。」

('A`)「おう。そん時はまだ4、5歳のガキだったけどな。
    親から、夜で出歩くと殿様に食べられちゃぞなんて言われて信じてたんだよ。
    そしたら、殿様が急に町にやってきてな、こいつと遊んでるところにきたんだよ。
    話しかけてきたんだけどさ、俺食べられちまうと思って漏らしちまったんだよ。」

 川 ゚ ー゚)「そうですか、ひどい親ですね。殿様を出汁に子供を躾けるなんて。」

('A`)「そんでさ、お漏らししたわけ聞いてさ、殿様俺んちに走っていって親父をぶん殴りやがんの。
   そらそうだろ、仕えてたヤツが子供にそんなこと言ってるんだからな。」

( ^ω^)「まじワロスだお。しかも今だに殿様からお漏らしの話されるんだお。」



  
35: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:28:04.07 ID:7oGIcQ8N0
  

一通りいつも話すネタを喋った後、話が素直太夫に移る。

('A`)「ところで素直太夫はどんな男が好きなの。」

 川 ゚ ー゚)「そうですね、私は強い男が好きですね。
       特に決闘している姿なんか見ると惚れちまいそうですね。」

( ^ω^)「おっおっ。素直太夫のためならいくらでも決闘するお。」

('A`)「間違いねぇ。もし俺とブーンだったらどっちとる。」

 川 ゚ ー゚)「やっぱり決闘してもらいますかね。」

こんな話をしているとすぐに時間がたち、ショボンが二人を呼びに来た。

 (´・ω・`)「お二人さん、悪いけどそろそろ時間なんだ。
        お引取り願ってもいいかな。」



  
36: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:30:45.46 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「もうそんな時間かお。今日は楽しかったお。」

('A`)「またきたいな。」

 川 ゚ ー゚)「いいですよ、今度来るときは安くしときますよ。」

 (´・ω・`)「ちょっと勝手なことされちゃ困るよ。それじゃ他のお客さんに申し訳が立たないよ。」

 川 ゚ ー゚)「お願いしますよショボンさん。
今だって線香代が高すぎて新しいお客さん来ないじゃないですか。 
言い訳ならありますし、私も少し息抜きが欲しいんですよ。
お二人さん面白いですし。」

 (´・ω・`)「そうかい、馴染みは越後やさんと呉服屋さんだけだしねぇ。
        まあ息抜きになるって言うんならしょうがないけどね。
        お前さんはよく働いてくれたしね。」

 川 ゚ ー゚)「ありがとうございます。」

(*^ω^)「じゃあ、またこれるのかお。」

(*'A`)「やったなブーン、これで堂々と遊べるぜ。」

素直太夫の気まぐれか、それとも二人の魅力か、
とりあえずブーンとドクオの名が遊郭一体に知れ渡った。



  
37: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:32:16.17 ID:7oGIcQ8N0
  

二人が美婦屋で団子を食べているとツンが声をかけてきた。

ξ゚听)ξ「あんた達最近妙にそわそわしてるわね。何かあったの?」

(;^ω^)「そんなことないし別に何もないお、それより団子もう一皿プリーズだお」

(;'A`)「あっ、俺も頼む。」

はいはいと言ってツンが店の奥に行く。
あの日以来二人はどこか落ち着きをなくしていた。
遊郭内では立派なステータスなのだが、外に出てしまえばただの遊び好きだ。
しかも二人は城内に勤める、一応は侍。
遊郭遊びが激しいと知られては世間体が悪い。



  
38: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:32:37.40 ID:7oGIcQ8N0
  

(;^ω^)「ツンは鋭いお。」

(;'A`)「ああ、殿の耳に入っちゃ確実に説教くらっちまうからな。」

とは言えども最近の二人には目に余る行動が多かった。
しかし、答えは簡単、素直太夫の一言によって二人は行動していたからだ。



  
39: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:34:03.26 ID:7oGIcQ8N0
  

 川 ゚ ー゚)「私は、町を守るものが好きだな。」

そう聞けばほんの少しでも規律に反することがあれば取り立てた。

(♯^ω^)「おうおう、なにやってんだお。
      馬は右端を歩くって決まってんだろうがお。
      ふざけるなお。ちょっと来い引っ立ててやるお。」

 ( ´_ゝ`)「いやいや、曲がるために寄ったんじゃないですか。
       そんなこといったら真っ直ぐにしかいけませんよ。」

(♯^ω^)「おうおうおう、ふざけてんのか。
      だったら屋根にでも上って真っ直ぐいけお。」

 (;´_ゝ`)「そんな無茶な。」

(♯^ω^)「おうおうおうおうおう。無茶だって。だったらやったことあんのかお。
       やってみなくちゃわかんないお。馬は早く行くためにあるんだお。
       屋根上れたらもっと早くいけるじゃねぇかお。
       ほらいけお、死ぬ気になればなんでもできるお。」



  
40: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:34:49.84 ID:7oGIcQ8N0
  

また
 川 ゚ ー゚)「私は、綺麗好きで町を汚すものは好かんな。」

そう聞けば、落し物をしただけでしつこく問いただしたりもした。

(♯'A`)「なにやってんだよ。お前今この財布要らないからって捨てただろ。」

 (´<_` )「そんなことしてないですよ。拾ってくれてありがとう。」

(♯'A`)「あああん。なに言ってんだよ。お前これ捨てただろ。
     ちゃあんと見てたんだよ。こういうことするから町の外観が損なわれるんだよ
     そのことちゃんとわかってんのかよ。」

 (´<_`;)「いや、だから落としただけだって。」

(♯'A`)「ああああああん。どこの世界に財布落っことす馬鹿がいるんだよ。
     さてはお前何かたくらんでやがんな、ちょっと引っ立ててやる。」

 (´<_`;)「ひぃー、お助けー。」

(♯'A`)「なにがお助けだ、この大悪党が。血反吐吐くまで拷問してやっからな。」



  
41: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:36:01.42 ID:7oGIcQ8N0
  

二人の悪行は留まることをしらなかった。
こんなことばかりが続き、町は少し活気がなくなっていった。

( ゚∀゚)「なんか最近お前ら仲悪いけどなんかあったのか。」

( ^ω^)「別に何にもないお。」

('A`)「おう、むしろ張り切って仕事したいくらいだぜ。」

素直太夫と遊んでから1ヶ月が過ぎた。
二人は週1ペースで通っていた。
始めはただ純粋に楽しかったのだが徐々にお互いが疎ましくなってきた。
そう、素直太夫は自分に惚れている。だから特別に遊べるんだと。
二人はそれぞれそう信じて疑わなかった。



  
42: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:37:52.65 ID:7oGIcQ8N0
  

そして一人の女に二人の男。行き着く先は当然のごとく決闘だ。
なにより、素直太夫が強い男が好きだと言ったためはっきりと白黒つけようというのだ。

(;゚∀゚)「お前らマジか?」

決闘をする立会人になってくれと言われたジョルジュが尋ねる。

( ^ω^)「まじだお。もうこの方法しかないんだお。」

('A`)「ああ、けど遊女のためだからな。
    殿に立ち会ってもらうわけにもいかん。
    そこで遊郭VIPの前で決闘することにした。」



  
43: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:38:21.21 ID:7oGIcQ8N0
  

二人の目には固い決意があった。
男のそんな目を見てしまっては断るわけにはいかない。
それこそ侍の名折れだ。ジョルジュは黙って頷いた。

そして決闘当日。
遊郭VIPの前でブーンとドクオが刀を構えている。
そして素直太夫が簡単な舞台に座り二人を見下ろしている。
周りには明かりのため火が焚かれゆらゆらと辺りの景色を映し出していた。

( ^ω^)「じゃあドクオ恨みっこなしだお。」

('A`)「ああ、お前こそな。」

 川 ゚ ー゚)「……」

素直太夫は微笑を浮かべて二人を見ている。
自分のために戦うのが嬉しいのか別な理由か
素直太夫を見た二人はその判断がつかない。



  
44: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:40:12.06 ID:7oGIcQ8N0
  

(;゚∀゚)「じゃあいくぞ。」

ジョルジュが開始の鐘を鳴らす。
辺りに空気の振動が伝わり遊郭から客が何事かと乗り出してくる。

(♯^ω^)「チェストー!」

上段に構えたブーンの刀が弧を描く。
刀を振り上げてそれを防ぐドクオ。

('A`)「やるじゃねぇかブーン、その調子だぜ。」

(♯^ω^)「ごたごたうるさいお。」

(♯'A`)「でぃやー!」

また刀を振り上げるドクオ。
今度はブーンがそれを防ぐ。金属と金属がぶつかり合いその音が耳に響く。



  
46: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:41:45.61 ID:7oGIcQ8N0
  

振っては防ぎ、突いては弾く。
鈍色の刀が周りの炎に照らされて、生きているかのごとく揺らめく。

お互いが刀を横に振るい、せば釣り合いの格好となった。
ドクオの刀の向こうにはブーンが見える。
しかしブーンの刀の向こうには素直太夫が見える。

 川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)(うは、見てるお。)

 川 ゚ ー゚)「……」

(*^ω^)(僕を見て笑ったお、これは負けられないお。)

確かにブーンを見て笑った。
だがそれを見たブーンは笑い返してしまい、そしてせば釣り合いに押された。



  
47: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:42:31.60 ID:7oGIcQ8N0
  

ブーンの刀が宙を舞い音を立てて地面に転がる。
慌てて四つんばいのまま刀を取りに行くが当然その先にはドクオがいる。
刀を握り立ち上がろうとした瞬間、ドクオの足がブーンの右手に乗る。

('A`)「…」

見上げるとドクオが勝利を確信した顔になっていた。

('∀`)「……」

ドクオが刀を振り上げブーンに向けて構える。
そのとき、その気迫に押されてジョルジュが一歩後ろに下がった。
そしてそこには開始を知らせた鐘があり、引っ掛けてあった部分が外れた。



  
48: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:43:03.83 ID:7oGIcQ8N0
  

辺りにもう一度鐘の音が鳴り響く。
ドクオは音の意味を知ろうと振り向いた。
だが、振り向いたということは重心の移動を伴なう。
そして、ブーンはその体重の移動した瞬間を逃さず腕を引いた。

またしても、構えあう二人、今度は刀を大きく振るい合う。
だが、そんな奮闘もむなしく素直太夫が立ち上がり遊郭VIPに戻ろうとしている。

('A`)( ^ω^)「えっ。」



  
49: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:43:40.35 ID:7oGIcQ8N0
  

 (  川「……」

素直太夫が店に入ろうとしたとき、ブーンとドクオの方を振り向いた。

 川 ゚ ー゚)「………」

そしてなにやら口を動かし声を出さずに二人に伝えた。

 川 ゚ ー゚)「…………」

二人はそれを見て卒倒した。
手抜かりなどないはずの計画が破綻した。
失意のあまり、血の気が引き、ついでに脳みその血も引いてしまったのだ。

(;゚∀゚)「あれ、倒れちまったよ。」



  
50: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:45:00.35 ID:7oGIcQ8N0
  

決闘をしていた二人が崩れ落ちた。
ジョルジュが駆け寄り様子を見るが二人とも目を開いたままだ。

(゚A゚)( ゚ω゚)「……」

見ていた観客はあーあ、などといって遊郭に戻っていった。
ジョルジュはしょうがないので二人を適当なとこに寝かせて、その場を後にした。


ブーンとドクオが目覚めて人もまばらになった遊郭地域を出て行く。
一言も喋らないまま川沿いの道を歩いていたのだがドクオが呟くように言った。

('A`)「まさかばれてたとはな。」



  
51: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:46:08.94 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「やっぱりそうかお。」

('A`)「お前も見ていただろ。」

( ^ω^)「うん、多分『うそばっか。けどたのしかったぞ』って言ったお。」

実はこの二人、決闘をするといったものの腰が引けたのだ。
そして偽者の刀で打ち合い負けそうになった方が降参する、
もしくは素直太夫が

 川 ;-;)「もうやめて、あたしはブーン(ドクオ)さんのことが好きなんです。」

と言ってくることを期待していたのだ。
だが実際はすべてお見通しだったらしく、素直太夫にとってのほんの余興だったのだろう。
二人はそれに気付き肩を落として歩いている。



  
52: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:46:56.64 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「結局、素直太夫にもてあそばれたんだお。」

('A`)「くそ、お前があんとき降参してればよかったんだよ。」

ドクオがそう言ってブーンの尻をける。

( ^ω^)「なに言ってんだお、ドクオが真面目にやらないからばれたんだお。」

今度はブーンが両手でドクオを押す。

(♯'A`)「うっせ、お前がへらへらしてんのがだめなんだよ。」

ドクオが頭をはたく。

(♯^ω^)「いたいお、大体ドクオがやろうって言ったんだお。」

ブーンがドクオを殴ろうとするが、それはできなかった。
ドクオが仕返しを予想して走って逃げたからだ。

(♯'A`)「ばーかばーか。お前のパンチなんかあたるか。」

走りながら罵倒するドクオ。
ブーンも負けじと走り出す。
そのまま二人は朝日が出てくるまで走り続け充血した目のまま城に入っていった。



  
53: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:47:35.69 ID:7oGIcQ8N0
  












( ^ω^)ブーンと('A`)ドクオがうたかたの唄のようです 〜終わり〜



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