(`・ω・´)シャキンはNEOが使えるようです

  
1: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 10:50:13.99 ID:22cydObJ0
  

どこまでも続くような青空。
白い雲がゆっくりと流れている。

(`・ω・´)「ちっ……」

俺は、そんな平和そうな世界に、意味も無く舌打ちをした。
前方では禿げた教師が退屈な授業をしている。

何事も無い日々を、平穏とでも言うのだろうか。

だが、そんな日常の中でも、俺の『右手』だけは非日常だった。


――(`・ω・´)シャキンはNEOが使えるようです



  
3: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 10:51:46.13 ID:22cydObJ0
  

/ ,' 3「それじゃ、今日の授業はここまでじゃ」

チャイムと共に、教室中を雑談が占める。
俺はというと、ただぼんやりと窓の外を眺めていた。

ξ゚听)ξ「何ボーっとしてるのよ」

声の方を見る。
その人物を見るなり、俺は深くため息を吐いた。

(`・ω・´)「ツン、何の用だ」

ξ゚听)ξ「別に。ただ、暇だったから話しかけただけよ」

(`・ω・´)「そうか」

彼女の名はツン。
何かと俺に構ってくる変わり者だ。



  
4: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 10:53:45.45 ID:22cydObJ0
  

ξ゚听)ξ「そうか、ってそれだけ? 相変わらず暗いのね」

(`・ω・´)「何とでも言え。話すことなど無い」

ξ゚听)ξ「ふーん……あっそ」

これで何処かへ行ってくれると思ったが、ツンは相変わらず俺の前に佇んでいる。
どうして、頑なに俺と一緒に居るのかは知らん。

だが、俺も悪い気はしなかった。

ただ、一緒に外をぼんやりと眺めているだけでも、寂しさが和らいだ。



  
6: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 10:55:05.56 ID:22cydObJ0
  

ξ゚听)ξ「そういえば、シャキンさぁ……」

(`・ω・´)「何だ?」

ξ゚听)ξ「どうして、いつも右手だけに手袋してるの?」

ツンは俺の右手を見て、問う。
当然の疑問だ。
だが、たとえ口が裂けても、真実を話す訳にはいかない。

(`・ω・´)「ああ、昔の傷が残っててな」

いつものように嘘をつく。
大抵は、その言葉で興味を失ってくれるのだが

ξ゚听)ξ「あ、ごめん……」

ツンは涙を目頭に浮かべていた。



  
8: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 10:57:36.53 ID:22cydObJ0
  

(`・ω・´)「お、おい。どうした? すまん、何か癪に障るような事を……」

突然の涙に、俺は慌てふためいた。
周りからの視線が痛い。
当然だ。目の前には涙を浮かべた美少女。

どう見ても俺が悪者にしか見えん。

ξ゚听)ξ「ごめん、ごめんね。変なこと聞いちゃって」

涙を拭いながら、ツンは言う。

(`・ω・´)「俺は気にしてない。だから、そう泣くな」

ξ゚听)ξ「あ……」

俺はツンの頭の上に手をおき、ゆっくりと撫でた。

(`・ω・´)「ほら、笑え。俺は、お前の笑っている顔が一番好きだ」

ξ゚听)ξ「……うん。ありがとう」



  
11: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 10:59:00.72 ID:22cydObJ0
  

ツンが俺の顔を見上げる。
その顔は妙に色っぽく、つい見とれてしまった。

(`・ω・´)「っ!」

落ち着け、俺。
そう自分に言い聞かせ、ツンから離れる。

まったく、何をやっているんだか……。

(`・ω・´)「さ、次の授業が始まるぞ。そろそろ席に戻れ」

ξ゚听)ξ「うん!」

と、ツンが廊下側にある自分の席に向かう途中。

――――不意に、廊下から力の圧縮音が聞こえた。

(`・ω・´)「ツン、伏せろ――!!」

ξ゚听)ξ「え?」



  
12: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:01:08.28 ID:22cydObJ0
  

ツンを庇うように抱きかかえ、地面に伏せる。
瞬間、鼓膜を破壊するほどの轟音。

悲鳴が教室中を木霊した後、損傷を受けた生徒達の苦しむ声。

ξ゚听)ξ「痛……な、何が起こったの?」

ツンは無事だ。
あのまま席に戻っていたら、間違いなく爆撃の餌食となっていただろう。

「さて、何人死んだかなぁ」

塵が舞う中、人影が破壊された教室へと入ってくる。
足音を立て、近づいてくるソレはゆっくりと姿を現した。

('A`)「グットモーニン。突然だけど、全員死んでもらうね」

現れたのは、学生服を着た男。
小柄な体で、何より恐ろしいのは目が死んでいることだ。

(`・ω・´)「お前はドクオ……?」



  
13: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:02:29.37 ID:22cydObJ0
  

('A`)「ああ、君は……思い出した。いつもツンと話してるシャキン君かぁ」

ドクオは不気味に微笑む。
この惨劇の原因は奴だと、直感がそう呟いた。

(`・ω・´)「これは貴様の仕業か?」

('A`)「そうだよ。これが僕の新たな力……爆撃のNEO、バーストスキルさ」

自慢げに、ドクオは自身の右腕を見せる。
そこにはNEOと刻まれた刻印。

ξ゚听)ξ「な、何なのよ……ドクオ、あんた一体……」

('A`)「はははっ。僕はね、祈ってたんだよ。弱者だった自分が変われるほどの力が欲しいって。
    そしたらさぁ、見てくれよ! 神は僕を見捨てなかった! NEOという力を僕にくれたんだ!」

ドクオは右腕を横に振るう。
直後、爆発音と共に黒板が消し飛んだ。



  
15: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:04:26.17 ID:22cydObJ0
  

(`・ω・´)「爆発の力――それがお前のNEOか!」

('A`)「そうだよ。ま、もうそろそろいいでしょ? それじゃ……


('A`)「死んでくれ」


ツンを抱え、跳躍――――
自分達の居た場所に爆撃が放たれる。

俺はツンを離し、右手の手袋を外す。

(`・ω・´)「ツン、そこでおとなしくしていろよ」

ξ゚听)ξ「シャキン……?」

右手に意識を集中する。
能力の開放、潜在意識の覚醒、制限の解除。

(`・ω・´)「おぉぉぉぉ――――!!」

全てを解き放ち、拳に力を注ぐ。
瞬間、右手にNEOという刻印が光り輝いた。



  
17: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:06:09.24 ID:22cydObJ0
  

('A`)「死ねぇぇぇぇぇ!!」

爆撃が迫る。
だが、俺は右腕を前に伸ばし、光壁でそれを防いだ。

(`・ω・´)「ガゼットブラスト……チャージ!!」

疾風が体を包む。
それは自然の物ではない。
人為的に編み出した力そのものだ。

('A`)「な、何だよ。さっさと死ねよぉぉ!!」

ドクオはバーストスキルを多用し、爆撃を連発。
無駄な試みだ。
自分のNEO――――ガゼットブラストは発動すれば自身でも止めることは出来ない。

(`・ω・´)「ホーミング、オン……! エネルギー上昇……!」

風が一層激しくなる。
机は吹き飛び、あまりの風力に自身の体も宙に浮く。



  
19: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:08:05.92 ID:22cydObJ0
  

そして、一瞬風が止み――――

(`・ω・´)「ブラスタ――インパクトォォォ!!」

('A`)「う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

高速、いや光速の速さで一直線にドクオへと飛ぶ。
その姿は弾丸、――否、流星の姿に似ている。

次の瞬間にはもう、シャキンの拳がドクオの体を打ち抜いていた。

('A`)「あ……ギ……」

息を漏らし、ドクオはゆっくりと倒れこんだ。
右手に輝くNEOの刻印がゆっくりと消えていく。

(`・ω・´)「こんな力を持っていても、何も変わらない。お前自身が強くなった時
      本当の意味で救われるのかもな……」

倒れているドクオに向かい、そう呟く。
それは、自分自身にも言い聞かせるような言葉だった。



  
21: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:09:17.48 ID:22cydObJ0
  

――…




ξ゚听)ξ「シャキン……」

(`・ω・´)「ツン」

蹲っていたツンが顔を上げる。
その表情には、恐怖が浮かんでいる。

(`・ω・´)「すまない。俺は……こういう人間なんだ」

自身の右手を見せる。
そこには、NEOの文字。

通常の人間とは違う、力を持つ者。

それは概して、不幸を呼び寄せる者。



  
22: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:10:17.20 ID:22cydObJ0
  

(`・ω・´)「ここでの学生生活も終わりだ。正体がばれる前に、どこか別のところへ……」

不意に、ツンが俺の手を握った。

ξ゚听)ξ「シャキン……あなたを一人にしておけないわ。私、あなたのこと好き……!」

(`・ω・´)「ツン」

ツンの目を見る。
その目は、しっかりと俺を見据えて離さない。

(`・ω・´)「これから、どんな危険があるかもわからんのだ。それでも、俺と一緒にいるというのなら――


覚悟を決めろ、と。

そう言った直後に、俺の唇はツンに奪われた。



  
24: F-15K(神奈川県) :2007/04/27(金) 11:11:14.10 ID:22cydObJ0
  

ξ゚听)ξ「これで、私の覚悟の深さがわかった?」

(`・ω・´)「……まったく、とんだ女に惚れられたものだ」

二人は笑う。
そして、手を繋いで外へと走っていった。

この先、どんな強敵が現れようとも、彼女だけは守ろう。


――――それが、俺の生きる目的となったのだから――――





fin



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