( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです

165: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:06:52.69 ID:EeHsjyxJ0
  



"心の主"。

それはこの世界を司る者。

それはこの世における最高峰の武器。



"心の主"という武器を使いこなせる人間こそがこの世では最強になりえるのだ。

今までがそうであったように。


そして"心の主"を扱えるのは自分なのだ。

そう、だから他など自分にとっては不必要なのだ。

要らないものなのだ。



166: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:07:45.77 ID:EeHsjyxJ0
  









     ( ^ω^)エアーがクオリティを育てたようです

       『 ブーンの心が世界を左右するようです( ^ω^) 外伝 前編 』

              〜 違乱者 〜











169: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:09:38.63 ID:EeHsjyxJ0
  


暖かい風が、柱組みの簡素な家を通り抜けていった。
界隈に広がる草木、野太い木竹を軸として組まれた藁葺きの小屋。

発展とは無縁の集落がそこにはあった。

ξ゚听)ξ「……」

テレビや遊具といった娯楽道具も何一つとない、少女は一人何をするでもなくため息と共に座り込んでいた。
家中だというのに感じる風は、時たま肌寒さすら感じる。


ラウンジという地域へと移動してきた一行は、一部地域を使い集落を開拓した。
そしてここ数日を使い"心の主"を迎える大まかな手筈を整えると、
今はもう特に行うべきことを見失い、ため息と遊ぶばかりだった。


ξ゚听)ξ「……まったく、面白くないわ」


ここでも二つの国が意地を張り合い、くだらない喧嘩をしていた。
まったく、挙句に双方共に滅亡へ帰結するのだから本当につまらない。
子供同士ではないのだ、争う意外に解決策を見出せないのだろうか?


小屋の隙間から急ぎ足でこちらに向かって来る男の影が見えた。
随分と待ち侘びたが、ようやく破滅へのカウントダウンを始められそうだ。



172: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:11:49.39 ID:EeHsjyxJ0
  


( ゚∀゚)「ちゃーす……ってツン、何て顔してんだオマエ」

ξ゚听)ξ「第一声がそれ? 余計なお世話よ五月蠅いわね」

彼はジョルジュ、チェスで言うならポーンといった所か、単調な動きしか出来ないが、使いようによっては十分盾にも武器にもなる。
私は当然クイーンだろう、"心の主"ことキングを守る存在、そしてその他の駒は私を護る存在。
私を取られる、それはキングを取られるも同然と思え、私がキングを手中に納めるから。

つまり彼の価値は私の頭次第と言っても良い、価値を引き出すのも犬死するのも私次第だ。

( ゚∀゚)「新しい主が来るみたいだぜ? どうする?」

ξ゚听)ξ「私今回はパス、この前のデブでもう疲れたわ」

( ゚∀゚)「はいはい、それじゃオレがお出迎えに行って参りますよ」

面倒を見てやっていると言わんばかりの皮肉を含み、男はへらへらと小屋を後にした。
まったく、自覚の無い駄馬はこれだから話をするだけでストレスが溜まる。

/ ,' 3「ツン、出迎えの準備をするぞ」

ξ゚听)ξ「はあいー」

面倒そうに怒気を含んで答えたが、相手はいつもの事と我かんせずの顔だ、憎たらしい。

そういえば最近ようやく『ツン』という呼び名に慣れた。
以前の"心の主"であるデブにそんなあだ名を付けられて以来、おチャラけて周りにそう呼ばれた。
本名である『ツンデレ』とは今や誰一人からも呼ばれることはない、バカにされているようで酷く胸糞が悪い。



175: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:13:46.74 ID:EeHsjyxJ0
  
"心の主"を出迎えると言っても、準備できる事など高が知れていた。

この世界は"心の主"の心がその国を発展させる。
だからこそ、今はまっさらな状態なのだ。

生憎自然なら沢山ある、自然しか無いともいえるが、新鮮な空気と泥ダンゴくらいなら用意できることだろう。

ξ゚听)ξ「はぁ……くだらない」

重い腰を上げると、先ほどの初老の男は雑葉を磨り潰していた。
独特の温いねっとりとした匂いに鼻を曲げ、眉を動かしあからさまな嫌悪顔を作った。

ξ゚听)ξ「そんな苦労してまでわざわざ不味いお茶出さなくて良いと思うけどね」

/ ,' 3「味よりも礼儀が大切じゃろて」

ξ゚听)ξ「そう思うなら茶道でも練習したら?」

/ ,' 3「茶道はおなごがやってこそ味が出るんじゃがな」

そう言って、擦り石ばかり見ていたその顔を向けられた。
思わぬしっぺ返しだ。
まったく歳を取ると減らず口ばかりが饒舌になって困る、さっさと布団での御隠居生活を謳歌して頂きたいものだ。

不機嫌を露にして小屋から出ると、そこで見知った顔に出会った。



178: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:15:40.94 ID:EeHsjyxJ0
  
川 ゚ -゚)「ツン、新しい主が来たそうだな」

ξ゚听)ξ「みたいね」

川 ゚ -゚)「準備を手伝おう、荒巻さんは奥にいるか?
   この小屋に呼び出そうと思うから、軽く掃除をしておこうか」

新顔はでしゃばらない方が可愛いものだというのに。
この女は私の心配などどこ吹く風で、勝手に人の小屋へ上がると掃除を始めた。
時折楽しそうにジジイと話を交わす、仲間に入ってからたった数日というのにあっという間に打ち解け合っていた。

軽い嫉妬が不機嫌を一気に膨張させる。
意味も無く舌打ちをすると、軽く髪をかきむしった。


ξ゚听)ξ「あー、なんか色々と腹立つわ」


そう言って小屋の前で腰を下ろすと、小屋を支えている細い柱を軽く殴りつけた。

全然痛く無い、思いっきり殴る勇気も自分は無いのか?

ξ゚听)ξ「別に……ただ柱が折れちゃいけないでしょ」

誰にでもなく呟いて、また勝手にイライラを募らせた。



181: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:17:58.10 ID:EeHsjyxJ0
  

( ゚∀゚)「主を呼んできたぞー」

しばらくすると、男の大きな声が聞こえた。
反応して私も声のほうへ歩くと、正面に向き合った。


  从 ゚∀从


ξ゚听)ξ「はじめまして」

辞儀もせずに、乾いた挨拶だけした。
相手は無言だ、随分と礼儀知らずの嫌なお客様ですこと。

ξ゚听)ξ「現状が分からないでしょう?
   とりあえずこの小屋でゆっくりしていって」

从 ゚∀从「なんか、いけ好かねえ女だな」

カチンときた、もしかすると表情に出てしまったかも知れないが、知った事ではない。

私の『役割』はこれなのだ。
優しいだけの人間は逆に疑われる、"心の主"に私達の国がゴマをすっていると気付かせないためにも、こういう素振りは必要なのだ。
本人が無意識に自国に傾けば万々歳だし、望んで心を傾倒してくれるならパーフェクトだ。

ξ゚听)ξ「お生憎様、ちょうど私もそう思ったところよ。
   気が合いそうで嬉しいわ」

それにしても挑発を挑発で返したのはまずかったか、握手の手を取ることなく睨みが帰ってきた。



184: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:19:52.60 ID:EeHsjyxJ0
  
从 ゚∀从「それで、質素な場所だな、私が"心の主"とかいう奴なんだろ?
   もっと豪勢に祝おうなんて思えないのか?」

ξ゚听)ξ「これが精一杯でございますが?」

わざと丁寧な言葉遣いで相手を刺激しながら、ジョルジュの方を睨んだ。
自分たちが"心の主"についてを話しないことは既に暗黙の了解となっていた。
自分たちが話し出せば否応にも質問は自分たちへ来る、下手すれば"心の主"の頭で自国と発展が結びついてしまう。

だからこそその辺りについては全て放棄するべきであったのだ。
自分達は主の心の拠り所であり、"心の主"から解放され心を安らげられる唯一の場所でなくてはいけなかったのだ。

(;゚∀゚)「……」

動作で「悪かった」と示しているが、そんな態度が余計に頭にきた。
これだから困る、やっぱり私が行ったほうが良かった、目を離せば余計な事しかしない。


从#゚∀从「んだよコイツ、バカにしてね?
   いいよ、とっとと他の奴で歓迎してくれってんだ」

川;゚ -゚)「はい、どうぞこちらへ」

/ ,' 3「粗茶を用意してありますので……」

私を無視して家の中へと送られていった。
新人と老人が「余計な事を」と睨んできたので、不敵に微笑み返してやった。



187: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:21:54.03 ID:EeHsjyxJ0
  


ξ#゚听)ξ「……さてと、それでアンタ何勝手なこと喋っているのよ?」

(;゚∀゚)「スマン、結構きつく聞いてくるもんだからさ、ついつい。
   でも"心の主"が何かとかそういう詳しい部分までは話していないから大丈夫だって」

ξ#゚听)ξ「勝手に大丈夫だなんて決め付けないで!
   あんたがそれを言った事で私達の国も少なからず主の心に意識されるわ。
   あんたが失敗して死ぬのは勝手だけど、その失敗のせいで私にまで被害を被るのはやめて頂戴」

(;゚∀゚)「だからすまないって、第一オマエが行かないって言ったから代わりにオレが行ってきたんじゃないか。
   悪いとは思っているが、俺は俺なりに頑張ったんだよ」

ξ゚听)ξ「あっそ、頑張って私達の足を引っ張って私たちと心中しようだなんて随分勝手に思えるけどね」

(#゚∀゚)「……なあ、どうしてお前はそういう棘のある言い方しか出来ないんだ?
   オレが悪かったのは承知しているし、俺はオマエほど頭も回らない。
   でもオマエのためもあって頑張っているんだぜ?」

ξ゚听)ξ「お生憎様、私はまだ死にたくないからね」

言い合っていると、小屋から傍迷惑だと言わんばかりの顔をした数人が出てくる。

川 ゚ -゚)「オマエ達止めないか」

ξ゚听)ξ「ほら、あんたが大声出すから迷惑がってるじゃない」

/ ,' 3「止めんか!」



189: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:23:47.36 ID:EeHsjyxJ0
  
ξ゚听)ξ「はいはい、悪いのは私ですともゴメンなさいね」

適当な返事をすると、流石にこのまま見過ごせないとみたか、二人とも自分を睨んで止めない。
と、そこに拍子抜けした声が響いた。

从 ゚∀从「ああ、またオマエか」


"心の主"は小屋から出てくるやふざけた笑いで挑発してくる。
ムカついたから目線を逸らし、ジョルジュに向いた。

ξ゚听)ξ「とりあえずアンタのせいで随分な事になっちゃったじゃないのよ」

(;゚∀゚)「だから悪かったって、主様もいるし、今は目を瞑ってくれないか?」

ξ゚听)ξ「ずいぶんな逃げ方だコト」


从 ゚∀从「まーまー、そいつにゃ案内してもらって世話になったんだ、勘弁してやってくれないか?」

肩に手を置いて馴れ馴れしく話しかけてくるものだから、振り払って顔を向けた。

ξ#゚听)ξ「うるさ――」


瞬間、頬に相手の拳がクリーンヒットした。
目の前で星が弾け、そして――私は意識を失った。



190: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:25:40.90 ID:EeHsjyxJ0
  



ξ゚听)ξ「……」

( ゚∀゚)「お、気付いたか?」

気付くと自分は横になっていた。
すぐに駆け寄るジョルジュに向かい、寝転んだままおでこに載せられたタオルを投げつける。

ξ#゚听)ξ「……なんなのよ。
   なんなのよアイツは一体バカにしないで!!」

ああ、まだ頭がグラグラする、起き上がることは出来なさそうだ。
頭を動かすと、首にも強烈な痛みが走った。

(;゚∀゚)「なんにしてもツン、平気でよかったよ」

ξ#゚听)ξ「平気なんかじゃないわよ、そもそも何アイツふざけないでよ!
   第一アンタがしっかりと"心の主"を自粛させるべきだったのよ!
   この世界がどこで、自分が何か……それを黙る事で、主の心に不安を煽る必要があるの、分かる!?」

自分たちが"心の主"とは何たるかを話さ無い事で、主は焦り、不安を覚える。
そうすることで主を間接的に抑圧し萎縮させる必要があったのだ。

そう、先に不安を植えつけなければ今回のように自分勝手に振舞う可能性が出てくることはあえて言うまでも無いことだろう。
まったくたまったものではない、どうして勝手に失敗したコイツのせいで自分までが被害を被られなくてはならないのか?



196: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:27:33.73 ID:EeHsjyxJ0
  
(;゚∀゚)「だからスマンって、本当に悪かったと思っている、反省している」

ξ#゚听)ξ「謝ってすめば警察はいりませんよ、バカじゃない?
   どうよ、今は主がいないから『"心の主"の前で止めろ』なんて言えないでしょう。
   今度はどんな言い訳して逃げる気かしら?」

ひたすらに言葉ををぶつけたが、ジョルジュは特に反応を見せずに桶に入っている水でタオルを再び濡らす。

( ゚∀゚)「だから、別に言い訳するつもりも無いって。
   俺は自分のミスだって認めているし、悪かったと本気で思っている。
   どうにかしてこの罪が償えるなら償いたいさ、ツンに迷惑をかけてしまって本当に反省している」

奇麗事ばかり、心の中ではきっと罪を認めた自分は偉いとでも思っているのだろう。
素直に非を認められる自分は素晴らしいなどと考えているのだろう。
きっと素直に反省している自分を攻め立てる私が悪者に映っているのだろう。

それがムカつく、気に触る。
何も出来ない奴に限ってこう自分を良い奴にしたがるから世話におけない。


ξ><)ξ「……ッ!!」


頭に血が相当昇ったのか、突然強くなる頭痛。
何この激しい頭痛は、万力で締め付けられているように強烈だ。

痛い、痛い、痛い、頭が割れる、粉々に砕け散りそうなほどだ……!!



198: キンキキッズ(三重県) :2007/04/10(火) 22:29:24.18 ID:EeHsjyxJ0
  



( ゚∀゚)「ツン、でも俺はバカだからどうすれば良いか分からないんだ。
   許されるなら、俺を使ってくれ、そして汚名返上を……あれ?」

タオルを濡らし、絞りながら振り返るジョルジュの前にツンはいなかった。
おかしい、今さっきまで話をしていたはずなのに……影も形も見当たらなかった。



(;゚∀゚)「どういう事だ……?」


静寂だけが、その場を包み込んでいた……。




          ブーンの心が世界を左右するようです( ^ω^) 外伝前編  終



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