( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです
- 375: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 19:53:49.88 ID:JxlIAxi70
☆★☆★Aパート異世界編についての注意事項☆★☆★
1.この作品を見るときはディスプレイから離れ、必ず一人っきりでご覧下さい。
2.この作品には白ける場面が多数存在します、翌日に他人と会う予定のある方は閲覧をお控え下さい。
3.この作品は犯罪を助長するものではありません、あしからずお願いします。
4.この作品の登場人物、団体及び事件は実際のものとは一切関係ありません。
5.この作品は「ブーンの心が世界を左右するようです( ^ω^)」本編とは直接関連しておりません。
6.コピペミス、あるあるwww
7.ツッコミなくても負けないもん。
8.今作品は一世一代の大冒険のため、既にいつものテンションを捨てております、生温かい目で見守って下さい。
(*ノωノ)「以上、約束は絶対でお願いしますあぷー」
- 378: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 19:55:54.23 ID:JxlIAxi70
( ^ω^)エアーがクオリティを育てたようです
『 Aパート : 不信な心が葛藤する小説なようです 』
- 381: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 19:56:15.13 ID:JxlIAxi70
〜〜 ごめんなさい>>375自体がコピペミスです 〜〜
- 385: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 19:58:18.43 ID:JxlIAxi70
ちょうど良い、どこかへバカンスに行きたいと思っていたところだった。
今の季節は冬、だからこそ暖かい所が良いと思っていた、まさに望み通りじゃないか。
(;・∀・)「……いや、でもこれはおかしいな」
せっかくだし南半球にまで足を伸ばして、ギラギラの太陽の下、ビーチで日光浴をしながら水着の女性を追うくらいを考えていた。
猫の手がいくつあろうと足りない忙しい時期だ、そんな夢くらい見てもバチは当たるまい。
しかし冬に白昼夢を見るハメになるとは思わなかった。
(;・∀・)「……ビーチってレベルじゃないね」
顔を右に向けると、そこには一面に砂丘が広がっていた。
砂浜なんて温い表現ではなく、見渡す限りが砂なのだ。
地平線が見えるまでに広がったそれは、砂漠そのものだ。
(;・∀・)「砂で泳げとでも言うのかねぇ」
サラサラの砂は、一歩踏み入れれば足を掴むように纏わり着いた。
一歩が重い、どれだけ粒が細かく乾燥しているんだ。
とても十数分と歩ける気はせず、クルリとその砂漠に背を向けた。
- 387: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:00:51.87 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「つまるところ、これはオアシスか」
向いた先には背後の光景が嘘のように木々が生い茂っていた。
ツタがこれでもかと巻きつき、野太い幹を剥き出しにした大木が凛然と立ち並んでる。
規模が違う、上に行くほど幾重にも枝分かれし、空が見えないほどにまで生い茂っていた。
こちらは一歩足を踏み入れると地面が湿っているのが分かる。
もう三歩でも進めば真っ暗で太陽も見えなくなるのだろう、雑草の一つ一つをとっても自分の背丈ほどまで力強く生えている。
(;・∀・)「これは迂闊に動けないね、迷子になるのは必至だ」
オアシスといっても桃源郷のような素晴らしいものとは程遠く、
踏み込んでしまっては二度と帰って来れそうにない、終着駅ともいえる。
蛇やトカゲならまだしも、肉食の生き物だって普通に生息していそうだ。
嫌になりクルリと反転すれば、やはり一面の砂。
発ち上がる陽炎から、ムワッと不快な空気が流れてきたので顔を顰めた。
自分がどうしてここにいるのだろうかと疑問に思ったことだろう。
むしろ、誰か知っていたら教えて欲しい、どうして自分がこんな辺ぴな地ににいるのかを。
- 389: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:02:55.72 ID:JxlIAxi70
- 砂漠で干からびて死ぬか、密林で人知れず虚しく死ぬか。
いずれにしても悲惨な犬死にだろう、そんな二者択一に迫られようという時、砂漠にポツンと黒い影があった。
うん、どう見ても黒い。
無意識に胸元をまさぐって拳銃を探す自分がいた。
公安の時代だったなら既に発砲まで行っていたかもしれない、拳銃を持っていなかったのは不幸中の幸いだろう、
己の手で他人を殺さずに済んだのだから。
(;´_ゝ`)「おお、ようやく人がいた!」
黒い帽子に黒パーカー黒ズボン黒靴、二枚目とも三枚目ともつかない微妙な顔がなお、その男の不審さに拍車をかけていた。
気付いたら手錠を探している自分がいた。
(;´_ゝ`)「扉を抜けるとそこは砂漠だった……どこでもドアもビックリです四次元世界ウマー。
それにしても一体何なんだ何処なんだこの砂漠は、全然歩けなくて疲れた疲れた……」
妙にフレンドリーなのが不審だ、疲れた素振りが不審だ、息をしている事が不審だ、生きている事自体が不審なのだこの男は。
公安を辞めてからも内閣調査室で様々な厄介ごとに首を突っ込んできたからこそ培われた本能が、危険を察知していた。
声を出せずに固まる自分の目線が気になったか、男は一歩引いて声を張り上げた。
(;´_ゝ`)「いや、俺は怪しいもんじゃないよ!?」
自覚していたのかと、少し安堵した。
- 391: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:04:49.66 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「……なるほどね、つまり僕と一緒で気付いたらこの場に……か」
( ´_ゝ`)「気付いたらって言うか、あからさまに怪しい扉に押し込められましたが。
ロッカーに押し込められたいじめられっ子の気分を直に味わったぜ。
いやぁそれにしても砂漠の真ん中で太陽光を吸収しすぎて死ぬかと思った」
そんな黒い恰好しているからだ、あえて突っ込むほど野暮な事もない。
( ´_ゝ`)「まだ名を名乗っていなかったな、俺は兄者だ」
( ・∀・)「僕はモララー、よろしく」
モララーは軽く言うと、また頭を働かせ現状把握に努めた。
これほど非現実な出来事が起きたのだ、口を尖らせて不可解さを露にする。
(;´_ゝ`)「えっと、俺手を差し出しているんだけど……握手……」
( ・∀・)「そうか、違いはあれど気付けばここにいた……何か法則性でもあるのだろうか、そもそもここは一体?」
(;´_ゝ`)「あの、どうして半歩距離をとるんですか正直ちょっと傷付いてるんですが。
もしかして無視ですか違いますよね考えに集中しているんですよね?」
( ・∀・)「!! ちょっと黙ってくれ」
(;´_ゝ`)「……はい」
(#・∀・)「うるさい!」
一寸先は闇というコトワザそのものだろう、深淵の暗澹が広がる密林の奥から人の話し声がする。
耳を済ませると鮮明に聞こえる、間違いなく人間の声だ。
- 394: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:06:52.13 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「どうやら僕ら以外にも人がいるようだね、兄者ちょっといいかい?」
返事を待つ事無く、モララーは背負ったリュックを下ろすと、中から丈夫な紐を取り出した。
その片端を自分の腰に巻き付ける。
そしてもう一端を兄者に差し出した。
( ・∀・)「ちょっとこの森の中に入ってくるよ。
ただあまりに暗すぎる、十歩も進めば出口がどこか分からなくなるだろう。
僕とて命知らずじゃないからね、命綱、君に任せるよ」
(;´_ゝ`)「え、えっとこの端をどうすれば……」
( ・∀・)「それじゃあ行って来る、不審だけど君の事を信用するよ、頼んだ」
(;´_ゝ`)「あ、どうすれば……ってか俺は不審じゃなぃ……」
モララーは兄者の言葉に耳を貸す事もなく、一人密林へと足を進めていった。
少し経てばもう姿は見えない、草木を分けて歩く音だけが暗闇から響いた。
(;´_ゝ`)「……オレの甲斐性ってなんだろう」
兄者は一人、涙目で呟いた。
- 398: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:10:54.81 ID:JxlIAxi70
見渡す限りの森林が行く手を遮った。
頭上を見上げた所で幾重にも重なった小枝と葉に妨害され、太陽の光が僅かに覗けるだけだ。
今時これほど暗い場所などそうは存在しない。
田舎の夜でも月が輝き、まだ周囲の状況をいくらか把握できるだろう。
(´・ω・`)「やれやれ、先客がいるとは意外だったよ」
暗闇の中を掻き分け進み、目ざとく光の差し込む広地を探り当て、到着したと思えばそこには人がいた。
呟く男の前で、眉間に皺を寄せ、泣きそうな表情の少女は顔を上げて問うた。
ξ゚听)ξ「……アンタ、人?」
(´・ω・`)「見ての通りさ、人道は外れているかもしれないけどね」
そんな皮肉を耳に入れる事無く、他人と会った途端少女は立ち上がると表情を強がって見せた。
頭上からの僅かな光が眩しい、木の葉の茂りが薄い部分からは、緑がかった光が針の様に小さく鋭く地へと降り注いでいた。
まぶたにチリチリと痛みを感じながら、男は質問を返す。
(´・ω・`)「ククク……君も人だね、人道を外れている」
ξ゚听)ξ「失礼な人がいたものね、初対面でそんな事を言うなんて気が知れないわ」
(´・ω・`)「否定はしないのかい?」
得意気に笑って見せる男に、少女は目を尖らせた。
- 401: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:12:59.30 ID:JxlIAxi70
- ξ゚听)ξ「どうでもいいわ、それよりもここはどこよ?
気付いたらこんなところにいてワケわかんないんだけど」
(´・ω・`)「さぁね、罰が当たったんじゃないかい?
他人を犠牲に自分を生かしてきた人間の末路かもね、地獄というやつか、クックック」
何が面白いのか、と少女が不機嫌を露にした。
どうしてこうも自分が見透かされているのだろう、その洞察力が気に入らなかった。
とりあえず話をして分かった、男もここがどこかを知らない。
だったらもう用はない、使えない不愉快な人間と係わるほど無駄な事はない。
ξ゚听)ξ「地獄なら一人でご自由にどうぞ、生憎私にはアナタと違って将来があるからまだ死ねないわ。
あなたは勝手に三途の川なりどこへでも行って頂戴」
(´・ω・`)「将来か、一体君はどれだけの人間を騙して過ごしていくんだろうねこの先」
ξ#゚听)ξ「……ッ!!」
怒って掴み掛かろうとする少女の手を振り払い、男は逆に首を掴み返した。
片手でその体を持ち上げると、顔を近づける。
ξ;゚听)ξ「くぅッ!!」
(´・ω・`)「自分以上の悪党を見るのは久しぶりだ、気に入らない事があればすぐに掴みかかる辺り小者だな、ククク」
手に力を込め、男は笑いを止めた。
(´・ω・`)「いけ好かないガキだ」
- 405: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:15:02.68 ID:JxlIAxi70
- そのまま一気に地面へと叩きつける。
強く鈍く頭を打つ音が響いた。
ξ ))ξ「ぅッ……!!」
(´・ω・`)「自分を信じて止まない、罪悪感もなく他人を使い犠牲にし、自分本位の行動。
君の罪の美学は理解出来そうにない」
ξ;凵G)ξ「うぇ、え……!」
少し覇気を込めると、すぐにも相手は折れた。
やはりそうだ、罪の意識なく自分のために周りは犠牲になるべきだと信じて疑わないタイプの悪だ。
最も興味の沸かない、下劣で愚鈍な犯罪者だ。
男は数言交わしただけでそれを見抜くと、ヤレヤレと首にあてがった手を離した。
(´・ω・`)「下衆が、己の罪も理解できない猪口才な人間が粋がるな」
言うと口元を綻ばせた。
説教して良い気分に浸ったというわけでない、勝ち誇ったわけではない。
惨めな相手に少し同情してしまった自分に対し、柄でもないなと期せずして笑みがこぼれたまでだ。
ξ;凵G)ξ「うええぇ、ええん!!」
(´・ω・`)「ほらみろ、煩く泣き喚くものだから誰か来たじゃないか」
男がそう言って振り向いた先で、背の高い草が僅かに動いた。
そして次の瞬間、腰に紐を巻いた人間が飛び出してきた。
- 406: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:17:01.41 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「……本当に人がいるとは驚いたな、そっちの女の子は怪我しちゃったのかな?」
(´・ω・`)「ああ、転んで泣いているだけだよ」
平然と言う男に、すぐさまモララーは怪訝な目を向けた。
当然だ、子供がすぐ横で泣いているのにそれを気にも留めずにいるのはどうかしている。
「転んだ」というのも方便にしか聞こえない。
( ・∀・)「さてと、とりあえずここがどこかについて理解できる人は……いないよね?」
(´・ω・`)「地獄でなければ心当たりはないね、ククク。
そちらのお二人さんもかい?」
( ・∀・)「お二人?」
モララーが振り向いた先には、腰に巻いた紐の一端を持った兄者が立ち尽くしていた。
( ・∀・)「……」
(;´_ゝ`)「あれ? 何これ、まるでオレがいちゃいけないみたいなふいんき何これ?
いや、ちゃんと手渡された紐は持ってきたよ、ほら」
その場は一気に静寂と化した。
- 410: すずめ(dion軍) [BGMお願いします] :2007/04/11(水) 20:20:27.97 ID:JxlIAxi70
空からの僅かな光が差し込むそこで、4人は向かって座り込んでいた。
無言の嫌な空気が漂う、言わずもがな互いへの疑心と不安が交錯していた。
( ・∀・)「とりあえず、自己紹介をしようか?」
( ´_ゝ`)「いえーい! ドンドンパフパフ!」
えてしてどの世界にも空気を読めない男と言うのはいるものだ。
(;´_ゝ`)「なんていうかゴメンなさい」
( ・∀・)「僕からいこうか、モララーと言うんだ、よろしく」
(;´_ゝ`)(むしろ俺空気!?)
( ・∀・)「以前は公安だったけど、ワケあって辞めて今は内閣調査室と言う場所で地味な作業をこなす毎日だよ」
(´・ω・`)「ほう、公安か……」
( ・∀・)「元だけどね、まぁ紆余曲折あったんだ。
さあ、次はあなたにお願いできますか?」
「公安」というワードに食いついた事を理由にパスを出され、男は「ククク……」と笑って口を開いた。
(´・ω・`)「ショボンと言うよ、よろしくしなくても良いけどね。
警視庁爆発事件を知っているかな?」
ショボンと言う名前はどこかで聞き覚えがあった、そう思った矢先の質問に絶句した。
事件と名前が繋がり、その場は一瞬で空気が張り詰める。息苦しさすら感じた。
- 412: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:22:22.15 ID:JxlIAxi70
(;・∀・)(なるほどね……どうりで初見から嫌な感じがしたわけだよ)
(;´_ゝ`)「えっと、ショボンさん、そのもしかして……」
(´・ω・`)「疎いね、あえて言うまでも無いだろうこれ以上。
ちなみにもう僕は捕まった身だよ、元公安さんも安心してくれ」
ξ゚听)ξ「随分たいそうな過去をお持ちのようで。
そのくせよく私のほうが悪党だなんて言えたものね、尊敬のあまり開いた口が塞がらないわ」
(´・ω・`)「逆に口を閉じておいて貰いたいね、ガキの戯言は不快だ。
次はそっちのアンタにお願いしたいね」
ξ#゚听)ξ「……ッ!」
ショボンの言葉を受けて、兄者が頷く。
(;´_ゝ`)(大量殺人犯と一緒か……下手な事言えないな、ここは無難に自己紹介して係わらないようにしよう)
( ´_ゝ`)「俺は兄者、ごく普通の25歳ニート独身童貞、好きな色は黒です」
(´・ω・`)「ほう、黒が好きだからそんなに不審ななりをしているのかい?」
(;´_ゝ`)(フィーーーッシュ!! マジ喰いついてくんなって勘弁してくれって!!)
兄者は今まで様々なタイプの人間と接してきた。
マシンガントーク変態の店長、虹色変態で今は亡き会長、人として堕落した変態弟、バックの処女を奪い奪われた変態恋人つとむちゃん。
……あれ、ろくなヤツいなくね? オレの人生かなり間違ってね?
- 414: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:24:17.43 ID:JxlIAxi70
- そうそう、その前述の会長が幾度と警官に捕まっていた。
いやしかし、自分が会ってきた犯罪者は猥褻物陳列罪とかそういうちょっと茶目っ気のある奴らばかりだった、
モノホンの犯罪者は勘弁して下さい、何ですかこのオーラはいやほんと。
( ´_ゝ`)「はい、黒は大好きでついつい着るもの全て統一しちゃうんですよねHAHAHA」
(´・ω・`)「君は……僕と同じ匂いがするよ、人を殺した事もあるくちだろう?」
(;´_ゝ`)(え゙え゙え゙ーーー係わらないとかいうレヴェルじゃねーぞオイ!!
気に入られているどころかメッチャ親近感沸かれているんですが何このドッキリ!?)
(;´_ゝ`)「いや、その別に俺は……」
(´・ω・`)「警察にお世話になったことも幾度とあるんだろう?」
(;´_ゝ`)「確かに何度とありますが、それはその一方的というか……」
否定しきれない自分が悲しかった。
暗闇を歩いていて不審だったから補導されたとか、本当に「お世話」になったものだから言葉遊びにしては笑えない。
(´・ω・`)「やっぱりね、洞察力には少々自信があってね、そんな気がしたんだ。
詳しくは聞かないよ、話したくないなら無理強いはしないさ」
(;´_ゝ`)「え、いやその……」
(;・∀・)「なるほどね、君からも不審な感じがしていたんだ……まったくとんだメンバーだよ」
モララーの溜息が一際大きく響き、兄者を逃げられない者と決定付ける事となった。
- 416: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:26:26.03 ID:JxlIAxi70
- ξ゚听)ξ「ホント、嫌なメンバーだコト」
少女は興味無さそうに、そっぽを向きながら話を聞いていた。
協力する気はないのだろう、跳ね除けようという様が見て取れた。
ξ゚听)ξ「最後は私かしら? 私はそうね、面倒だしツンでいいわよ。ただの一般人よ、よろしくね元公安さん」
( ・∀・)「……ああ、よろしく」
媚を売るような態度に、モララーはまた頭を抱えた。
どうしてこうも異色のメンバーが揃うものなのか、今は協力して現状を把握するべきだろうというのに……
さらさら協力できる気がしない。
ツンが手短に紹介を終わらせるものだから、その場一体がまた静かになった。
これは改めて確認できたと見て間違いないだろう、互いが互いを信用できないという事を。
(´・ω・`)「やれやれ、元公安に自分の事を語らない女とはおっかないね、兄者」
(;´_ゝ`)「あ、ああ、まったくだぜショボンさん」
兄者は出来る限り胸を張ってショボンに付和雷同した。
あまりナヨナヨしていてもいけないだろう、出来る限り相手を刺激しないように流れを読まねば。
( ・∀・)「そういえばショボン君、死刑が決まったといわれていたと思ったが……」
(´・ω・`)「どうだったかなぁ……クックック」
(;・∀・)(まったくこれは未曾有の事態だね、自分の遭遇してきたどの事件よりも殊更に厄介だよ……)
- 419: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:28:26.86 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「とりあえず自己紹介も終わったし、この4人で協力して現状の把握に努めようか!」
(;´_ゝ`)「おおーッ……てアレ!? 誰もノッてきてくれないの!? もしかして俺またういてる!?」
モララーが盛り上げようとするも、誰一人と便乗しなかった。
それぞれが険悪なムードを作る。
(;´_ゝ`)(地の文からも省かれると流石に淋しいな……)
ξ゚听)ξ「私は無理ね、どうしてこんな殺人者達といっしょにいなきゃいけないの?
元公安さん、ちょっと意見が安直過ぎじゃなくて?」
(´・ω・`)「信じる相手は選んだ方が良いよ、僕もそのガキと一緒はいただけないな」
ξ#゚听)ξ「相変わらずよくもそんな言葉が並べられたもので」
突っ掛かるツンだが、ショボンが目を鋭くすると逃げるようにモララーのそばへと寄った。
そして隠れるように後ろへ回る。
ξ;゚听)ξ「ちょっと、元公安でしょ、アイツをどうにかしてよ!」
( ・∀・)「どうにかって今は協力するべきだと思う」
ξ#゚听)ξ「だからふざけないでよ、何甘ったるい事言ってんのバカじゃない?
平和主義なんて今時耳障りったらありゃしない!
だから公安も辞めさせられるのよアンタは、さっさとアイツをどうにかしなさいよ!」
後ろで叫ぶツンに、モララーは顔を向けた。
そして表情を崩す事無く、冷静な声で言葉をかける。
- 421: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:30:30.60 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「公安は辞めさせられたんじゃない、辞めたんだ。
それに僕は君の勝手のほうが気になるな、僕は君にバカにされる筋合いはない」
ξ#゚听)ξ「はぁ? 一般人の意見を汲み取りも出来ないだなんてたいした公安さんだコト。
辞めただなんて随分と都合の良い言葉ね、この上なく胡散臭いわ。
大方仲間達から省かれて一人虚しくなって辞めたんでしょうね」
(;´_ゝ`)(アレ? それって今の俺の境遇と相似するんだけど気のせい?)
( ・∀・)「ちゃんと一般の方々の意見は聞いているさ。
ただ公安も一つ一つバカ正直に相手していられなくてね、特に最近多いんだよ、私事を公安に解決してもらおうという人がね」
ξ#゚听)ξ「あーあーなるほど、少しでもあんたを信用しようとした私こそバカだったって事が良く分かったわ。
この分じゃ元公安ってのも怪しいものね」
( ・∀・)「そうだね、信用出来ない相手に頼み事はするべきじゃないと僕も思うよ」
モララーはつい噛み付いてしまった。
彼は彼なりの理由で公安を辞めた、そしてその結論に自信を持っていたからついムキになってしまったのだ。
そう、仲間達から省かれたということが、なまじ正しかったからこそ余計に。
(´・ω・`)「まあまあ君達、協力するんじゃなかったのかい?
それともこれが君達流の友好なのかい? 随分荒々しい交流だね、この様子だと僕は仲良くできそうに無いよ」
ショボンは皮肉で笑い、お手上げだとポーズをとって見せた。
よくもまあこれほどいがみ合うメンバーが出揃ったものだ。
- 426: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:34:37.58 ID:JxlIAxi70
日が傾きはじめると、その場はすぐに辺り同様漆黒の世界が待っていた。
慌ててモララーが木々を集め、ショボンのライターで火を起こす。
意外に乾いた植物が多く、火は想像以上に楽についた。
( ・∀・)「さて、とりあえず陽が出るまでは危ないから、ここで休むこととしようか」
モララーが提案したが、やはりその意見に反する者がいた。
この四人の納得できるアイデアがあるなら誰かにご教授承りたいものだ、頭を抱えた。
( ・∀・)「それで、何が納得いかないんだい?」
ξ゚听)ξ「当たり前でしょ、殺人者と一緒に寝れる訳ないじゃない、私は自分の部屋へ行くわ!」
( ´_ゝ`)(なんという死亡フラグ……これでシャワー浴びたら間違いなくティウンティウン)
(´・ω・`)「おや、てっきり男の人と一緒に寝れないなんて御託を並べるのかと思ったが」
ξ゚听)ξ「勝手に言ってれば? 私は男の人と野宿だってするし、野外で排泄だってそれしか手段がないならするわよ。
アナタ達なんかとは温床が違うの、私はそういった経験をしながら育ってきたからね」
(;´_ゝ`)(そういう環境……野外プレイ!? ちょっと下半身が過敏だぜ!)
(´・ω・`)「ふしだらなものだね、そういった経験が君をそこまでダメにしたのか」
ξ゚听)ξ「同情……にしては随分と棘があるわね、本当ムカつくわ。
私はそうやって我慢する事を知っているのよ、一時の幸せのために発展を望んだりなんてしない。
アンタ達目先の利益に踊らされるような人間と一緒にしないで」
- 429: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:36:41.04 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「その年齢で人生の価値観を決めてしまうとは実に可哀そうだ」
ξ#゚听)ξ「だからその同情を止めろって言ってんのよ、アンタ本当に頭くるわ!」
どうしてこうもすぐに言い合いになってしまうのか。
ああ言えばこう言う、堂々巡りだ。
( ・∀・)「とりあえずツン君、今日はもう暗くて危ない。
また明日になったら色々と今後について考える事にして、今日の所は一緒に休まないかい?
これだけの暗闇だ、一度迷えばもう遭遇する事は不可能と言っても過言じゃないだろう」
ξ#゚听)ξ「いちいち説明しなくてもそれくらい分かってるわよ!」
だったら素直に従って頂きたいものだ。
なんにでも噛み付く姿は彼女自身今が理不尽で仕方ないからなのだろう、それは皆同じだというのに。
ξ#゚听)ξ「特にそっちのヤツ、不審ななりしているの、アンタよアンタ!」
(;´_ゝ`)「えっと、もしかしなくても俺ですよね」
ξ#゚听)ξ「他に誰がいるのよ、暗闇だと見難いのよアンタイライラするわね!
寝時を襲ったりなんかしたら承知しないからね、見た目そんな感じだから嫌だわ」
(;´_ゝ`)(ようやく話に入れたと思ったらこれかよ……俺って空気とかそういうレヴェルじゃなくない?
ああ、これが空気をも超えたメタンか、マジなんで俺ここにいるんだろ……。
メタン合作はこの際いいわ、18禁合作早く完成させろって……)
- 430: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:38:51.90 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「とりあえず今日は火を起こしたまま寝ることにしようか、獣の咆哮なんかは聞こえないけど、
何かあった時は明るい方が都合が良いしね。
一応火種をもう少し用意しておくよ、夜中に目が覚めた人がいたら、ついでに少し放り込んでおいて欲しいな」
このメンバーには生憎知恵の回る者が多かった(約一名を除いて)。
だからこそ「どうしてこんな異世界にいるのか」、そもそも「ここはどこなのか」をあえて話し合おうなどとしなかった。
各々様々な憶測を立ててはいたが、決してその内容を共有しようなどと考えなかった。
異世界、これほど非現実的な事を語るには非現実的な理論を振りかざすこととなる。
それを出来るほど大らかなプライドの持ち主がいなかったのだ。
そしてそれ以上に、協力をする気が欠片も無い事を互いに了承しきっていたのだ。
意見を提案しても、その考えを奪われるだけで相手からは何も引き出せない、それを無意識にも確信していたのだろう。
( ´_ゝ`)(そういえば、どうしてここにいるのかとか話し合ってなくないか?
コイツら色々と考えているようで意外にダメダメだな。
いや、オレがしっかりしすぎているのか参ったぜHAHAHA)
約一名を除いて。
- 435: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:42:50.21 ID:JxlIAxi70
月明かりすら届かないこの暗闇では、小さな光でも辺り一帯を照らすには十分だ。
暗順応した人間の目では、視界に入る範囲の状況であればある程度把握する事が出来る。
夜も更けただろう頃、ツンはパチリと目を覚ました。
ξ゚听)ξ「……」
のそりと起き上がり、溜息を一つ。
頭を掻きながら隣を見ると、焚き火が明々な世界で元公安が静かに寝息を立てていた。
服についた砂を静かに払うと、また溜息を一つ。
そう、抜け駆けとでも言おうか、この世界を他よりも早く掌握する事が必要だと踏み、夜中にも拘らず散策しようと試みたのだ。
夜中の山道だって、発展の無い世界では当然のように探検せざるを得なかった。
自分にはその経験が大いにある、獣がいないだろうだけよっぽどマシだ。
目印をつけるためのナイフを元公安のリュックから拝借すると、ついでにお菓子をポケットに詰めた。
そして「してやった」笑顔を残し、暗闇へと歩いた。
- 437: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:44:54.76 ID:JxlIAxi70
- 自分の背丈をゆうに超える雑草を踏み分けようとするが、これだけの密林だ、一つ一つの草の生命力は半端ない。
ξ;゚听)ξ「ちぃっ……!?」
眉間に皺を寄せて舌打ちする。
あまり大っぴらに草を踏み分けては、一人勝手な行動を取っていたと証拠を残すようなものだ。
それで翌朝に云々言われるのは勘弁願いたい。
少なくとも、元公安とはある程度の繋がりを維持しなければいけないから。
そう、あのショボンとかいう重罪者……アイツは危険だ。
アイツと向き合うためには、一人では分が悪い、だから勝手な行動を見抜かれて元公安の信用を失うのだけは極力避けなければ。
ξ#゚听)ξ(ああ、それにしても邪魔な雑草ね!!)
そして無理矢理雑草を掻き分けたその先に、まさかの光景があった。
( ´_ゝ`)
ξ゚听)ξ「……」
(;´_ゝ`)「あ、あれ?」
- 440: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:46:52.30 ID:JxlIAxi70
- 不覚も不覚、この男、空気が読めないにも程がある。
兄者は一人草陰に隠れて用を足していたのだ。
ジョロロロ......
(;´_ゝ`)「奇遇だな、アンタもおしっこか? それとも大きい方か?」
最低なヤツだ、同時にこんなヤツに自分の計画が台無しにされた事実に、これ以上ない蟠りが生まれた。
ξ#゚听)ξ「アンタ、レディーに向かってそんな事聞くのは野暮じゃなくて?」
( ´_ゝ`)「ということはやっぱりおしっこか、恥ずかしがる必要なんてないさ」
ξ#゚听)ξ「だから違うわよデリカシーの欠片も無い変態ねアンタ!
っていうかいい加減下半身にぶらついている粗末な物しまいなさいよ不快だわ!」
(;´_ゝ`)「そ、粗末だとおおおおおおお!!!」
兄者は叫び、すぐにもおおっぴろげていたプライバシーを保護した。
そして言葉攻めも意外に良いかもしれないなどと思い直した。
ξ#゚听)ξ(まったく、何でこんなに黒一色に統一してるのよ、目の前に来るまで気付かなかったわ……
少しおしっこがかかったかもしれないわね、あああもうイライラする事ばっかだわ!)
(;´_ゝ`)(ヤバイな、なかなか少女に辛辣な言葉をかけられるプレイも捨てたもんじゃないかも知れん。
ここでズボンをパンツごと下げたらもう一度変態と言って貰えるのだろうかハァハァ)
- 442: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:48:57.16 ID:JxlIAxi70
- 兄者は今すぐにでも自分の下半身を曝け出しあらん限りの罵声を浴びせて欲しい本能的な欲求に身を焦がされながらも、
彼の中に辛うじて存在していた理性が紙一重、その行為を抑制した。
本日最も輝かしい兄者の姿だった。
( ´_ゝ`)「それでどうした? 寝れなかったのか?」
ξ゚听)ξ「当然でしょ、アンタみたいな不審者と一緒で安眠しろという方が無茶だわ」
相手の意見に便乗しながらも、つっかかる言葉は止めにしない。
兄者もムッとして表情を歪ませた。
( ´_ゝ`)「俺だって自他共に認める不審者だが、生憎相手は選んでいるつもりだ」
そうだ、自分が恋をしたのは小学2年生の可愛かったあの幼女であり、下の毛も生え揃っているだろう女に用はない。
年齢が二桁にもなれば既に年増、あからさまなボール球だ、手を出したりなんてしないさ。
ただのロリコンとは違うのだよロリコンとは! いやいやそもそも俺はロリコンなんかじゃないぃッ!!
ξ゚听)ξ「相手を選ぶからでしょ、だからこそ私を目にかけるってもんじゃなくて?」
まったくどこまで図々しい女なんだ、話をしていると憤りばかりが募ってくる。
男と寝る事に何とも思わない、外で放尿する事に羞恥心も無い、男の下半身を目の当たりにしてもたじろぎもしない。
そんな初心さの欠片も無い女に自分がなびくわけないだろう?
件の幼女については本当の恋であり俺自身はもうロリコンから足を洗った身だ。
そもそも自信満々に言えるほどオマエは可愛いのかと……アレ?
よく見たら結構可愛くない?
- 448: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:51:08.90 ID:JxlIAxi70
- そうだよ、この子に俺の恥辱部位が見られたんだよな?
この子に散々罵られて、この子と寝て、この子が野外で放尿……これはヤバイ、児童法に引っ掛かるぜひゃほ〜い!!
(;´_ゝ`)(まったく俺はバカだ、大バカ野郎だ。
不審者とロリコンは切っても切れない仲だというのに、
不審者であることを薄々認めながらにロリコンを否定しようなど……まったく身の程知らずでおこがましい愚行だ!)
兄者はこの時、『失いかけていた大切な思い』を取り戻した。
(;´_ゝ`)(ああああ……体が芯から奮えやがるぜ……もっとだ、もっとオレを罵ってくれ
世界中にあらん限りの罵詈雑言でオレを髄から罵倒し尽くしてくれハァハァ)
兄者は果てしなく変態のようです。
ξ;゚听)ξ(え!? 何コイツ、いきなり震えだして……もしかして怒ってるの?
そういえばコイツも犯罪者よね……まさかここで襲ったりなんて……)
(;´_ゝ`)「ふうう、それで、ツンとかいったか?」
ξ;゚听)ξ「な、何よ……!」
(;´_ゝ`)「20……いや、10歳までなら歳の差なんて関係ないと思わないか?」
ξ;゚听)ξ「……はい?」
- 452: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:53:14.66 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)「ハァハァ」
ξ;゚听)ξ「……ッ!!!!!!」
そうだ、やっぱり怒らせたんだ、存在感が空気と等しく不審だからとバカにしていたが、内心ハラワタが煮えたぎってたんだ。
彼の堪忍袋を私が破いたんだ、殺される。
年齢を聞いたところからすると、犯されてから殺されるんだ、絶対に。
ξ;゚ー゚)ξ「アンタ、ここには元公安もいるのよ? なのに本気?」
(;´_ゝ`)「関係ない、(恋は)個人の自由さ」
ξ;凵G)ξ「んんーッ!!!」
犯罪者特有の一直線な感情が兄者から垣間見えた。
罪を犯す寸前の、己の行為に一筋の疑問も持たない、『キレた』瞬間。
殺される。
(;´_ゝ`)(好きだって言うぞ、付き合ってくれって言うぞ!)
真暗な世界で唯一目視できる兄者の表情が、我慢できないとばかりに、そして覚悟を決めた表情となった。
身の危険を感じたツンは目淵に涙を溜めながら、咄嗟に身体を反転させ、来た道を一気に駆け戻ろうとする。
- 456: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:55:11.57 ID:JxlIAxi70
(´・ω・`)「何かお困りかい?」
ツンは体が一瞬で硬直し、ヘナヘナとその場に座り込んだ。
『死』が見えた、突然の嗚咽に呼吸すらままならなくなり、勝手に涙は出た。
振り向いた先にいたこの男へ、今までとは比べ物にならないほど強烈な殺意が沸いた。
どうしてコイツが!?
目の前の男の顔を見れば分かる、楽しんでいる。
自分を卑下しながら愉快になっている。
悔しさなど一陣の風のように消えうせ、もう絶望感しか感じなかった。
私 は 死 ぬんだ 。
呼吸と心音が止まったのを感じた。
どれだけふっちゃな顔をしていたことだろう、どれだけクシャクシャに表情を潰していた事だろう。
(;・∀・)「ちょっと皆落ち着いて……。大丈夫だよ、ツン君」
焚き火の小灯と涙で混濁した世界の中、私は最後の希望を見つけ、なりふり構わずにすがった。
- 458: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 20:57:13.08 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「やれやれ、ちょっとおいたが過ぎたかな? 兄者も落ち着いて」
(;´_ゝ`)「あ、はい」
兄者は二人きりの良いムード(兄者主観)を壊され腑に落ちないも、ショボンの言葉に素直に従った。
反論するほど無謀な事も無い、これから先幾度とチャンスはあるだろうと思い。
そして兄者は次の瞬間、とんでもないものを目にした。
(;・∀・)「大丈夫かい、ツン君。もう安心して」
ξ;凵G)ξ「ふぇぇ〜、えッ、ッ!!」
泣きつくツンに、それをあやすモララー。
兄者の心に嫉妬という炎が静かに、それでいて力強く点火された。
絶対に許さない、人生で最も兄者が男らしい瞬間である。
(#´_ゝ`)(モララーとかいうヤロウ……俺ら二人の空間を邪魔するだけに留まらず抱きつかれるだとぉ!?
空気読めないなんてレヴェルじゃねぇ、絶対に許さねぇ!)
- 462: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:01:16.75 ID:JxlIAxi70
(´・ω・`)「ククク、それにしてもダメだね、抜け駆けならもっと周到にしなくちゃ」
( ・∀・)「まぁ僕もショボン君に突然起こされて何事かと思ったけどね……
とりあえずは皆で現状把握に努めようよ、誰かが一人躍起になっても進展は望めないよ」
ξ゚听)ξ「……」
モララーに言いきかされる様にして、ツンはムスッとしながらも渋々頷いた。
自分に非がある行動の後ではいささか分が悪いか、負い目のある手前頷くしかなかったともいえる。
(´・ω・`)「進展と言ってもねぇ……ここにあるのは植物に囲まれた暗闇だけだよ?
文字通り暗中模索したところで何か得られる物があるとは思い難いがね」
それは当然誰もが感じていた。
砂漠と茂みだけが存在するだろうこの世界をくまなく捜索したとして、果たして何が得られるだろうか?
「ふふふ……とうとう私の出番のようだね!」
(´・ω・`)「!!」
( ・∀・)「誰だ!?」
(;´_ゝ`)(あれ、なんかこの声聞き覚えあるような……)
困惑する四人の前に、一人の男が姿を表した。
- 468: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:03:18.25 ID:JxlIAxi70
- ('A`)「れでぃーすあんどじぇんとるめん!」
黒いシルクハットに皮靴、上裸にして黄色いブリーフ、その全てを包み込むような虹色マント。
不審という言葉では受け取る側にいくらかの差異が生じるものだろうが、
ことこの男に関しては言いきれる、不審という言葉ですら生温いと。
世間一般でいう不審者がゴミのようだ。
(;´_ゝ`)「会長ぉぉぉおぉぉぉおおぉぉぉ!!!!!11」
('A`)「HEY兄者、こうしてまた出会えたのも運命だと思わないか?
日本不審者協会の後を継げるのはYOUしかいないと確信しているんだが」
何コイツさも当然そうに出現してんの!?
何コイツさも当然そうに微妙な英語使ってんのマジムカつくんですが!?
つか馴れ馴れしく話しないでくれって、皆一歩引いちゃってるじゃん!
ξ;凵G)ξ「……!」
ほら一人なんてもう涙目だよやっぱりそうだよコイツ疫病神だよ俺コイツに出会ってからろくなことないもん!
恋愛に現を抜かしてはコイツ絡みで絶対破局しているもん本当止めてくれよ跡形もなく消えてくれよ!
(;´・ω・`)「……類は友を呼ぶ……らしいね」
(;・∀・)「まったく、こんな人達のいる町の公安だけはゴメン被りたいね」
なんか勝手に解釈して納得しちゃってるじゃん、違うって俺はこんなヤツと同一視されたくないよ!
てか俺でさえ浮き気味のふいんきだったのにオマエ出て来たら滅茶苦茶になるの目に見えてるじゃん!
- 476: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:05:25.57 ID:JxlIAxi70
- ( ´_ゝ`)「それでなんでいるのかとかそう言う事はこの際どうでもいいわ、何の用?
用済んだらとっとと帰ってくれる?」
('A`)「とある人物に頼まれてね、YOU達に言伝を預かってきたのさURYYYYY」
( ´_ゝ`)「いい加減アルファベット止めろよ。
アルファベットで戦うぞ、アルファベットで刺すぞ?」
ξ;凵G)ξ「そうよ、言伝って何よそれ伝えたら本当に帰るんでしょうね!」
(´・ω・`)「誰から何を頼まれたんだい?
さっさと話してさっさとおいとま願おうか」
( ・∀・)「思わぬ新情報の望みがあるね、それだけ手短に話してどこにでも行ってくれないか?」
('A`)「」
どうやら皆さん生粋のSのようです。
( ´_ゝ`)「で、一体どんな有益な話をしてくれるんだ?
どうでも良い話ならマジでドタマかち割るぞ」
('A`)「まーまー聞きたまえ諸君、まずはこの世界という物について少々話しようじゃないか」
まさか彼の口からこのような言葉が出てくるとは思いもせず、一同顔を見合わせた。
一抹の希望、強大な不安を抱えながら変態の話に耳を傾ける。
- 478: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:07:30.93 ID:JxlIAxi70
- ('A`)「元々この世界は一面砂漠だけが広がる漠然とした世界だった。
そして日々駄スレからのエネルギーを供給する事で、このように森が次第に広がっていったんだ」
(;´_ゝ`)(アレ? 何これ、真面目な感じ何これ?
全員仕掛け人とかそういうオチ? 何で真面目ムードなの俺だけやっぱりういちゃってない?)
('A`)「この世界は駄スレを糧として日々成長しているんだ。
ところが最近、駄スレになるべきでないだろうスレに駄スレの可能性を示唆するキャラクターが出現した。
……これ以上は言わずもがな、分かってもらえるか」
( ・∀・)「スレって言うのはなんだい?」
('A`)「ああ、説明が足りなかったか、つまるところパラレルワールドさ。
それぞれの世界において、キミ達が
ξ゚听)ξ「ゴメンなさいもうちょっと離れた所から話してもらえます?」
('A`)「……それぞれの世界において、キミ達がその世界を破綻させる可能性を示していたと。
それでこうやって集結させられたんだ」
変態は律儀に三歩ほど下がって説明を終わらせた。
世界の破綻、言われても今ひとつピンとくるものはなかった。
(´・ω・`)「それで、誰なんだいこうやって僕達をこの世界へ呼び寄せた人物というのは」
('A`)「全てのパラレルワールドを司る者、ひろゆk……神様といった所か」
- 480: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:09:35.71 ID:JxlIAxi70
- ( ´_ゝ`)「それで、どうやったらオレたちは現実世界へ帰る事が出来るんだ?」
('A`)「あーにじゃー、そんなに堅くなるなよぉ、俺たちの仲だろ?」
( ´_ゝ`)「オマエはそんなにオレを除け者にしたいのか?」
('A`)「あーはいはい、説明すれば良いんだろさせて頂きますよケッ」
(#´_ゝ`)(何で俺だけ省きにされるのだろうか、ってかコイツにやられると異常にムカつくわ)
('A`)「オマエさん達は大切な物が欠けた、だから現実世界から隔離されたんだ。
このままだとその世界である良スレが、駄スレとしてこの世界の栄養源にされてしまう可能性が現れたのだ。
だからそれぞれが忘れている大切な思い、『クオリティー』を手に入れなければ現実へは戻れない」
(#´_ゝ`)(ってかコイツが真面目に話しているだけで激ムカつくわ、何このやるせない気持ち!?
どこにぶつければいいの? 今にも殺意芽生えそうなんですが?
っていうか上裸ブリーフが真剣な表情をしてる時点でギャグだろ、誰か笑えよ笑い飛ばしてやれよ!!)
兄者が一人わだかまりに耐え切れず地団太を踏んでいるが、誰一人として目を向けない。
そう、その時彼はまさに空気だったのです。
真っ黒い彼よりも、虹色ブリーフの変態こそが今、脚光を浴びているのです。
(#´_ゝ`)(俺は同じ不審者としてこの上ない苦渋を味あわされた……。
『オマエに不審者を名乗る資格はない』、遠まわしにそう言われた気がしtって誰も不審者なんて名乗ってねーよ!)
それにしてもこの兄者、ノリノリである。
- 483: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:11:32.47 ID:JxlIAxi70
- ('A`)「そして兄者、貴様に足りない『クオリティー』とは日本不審者協会の後を継ぐことだ。
さあ今すぐ誓え、そして不審者の不審者による不審者のための自由を手にするのだ!!」
台詞を気持ちよく言い切った変態の顔面に、兄者の二重の極みが炸裂した。
彼の頭は粉々に砕け散布される。
「ははは兄者、今はまだそうやって抵抗するがいいさ!
ただお前はいつか絶対に不審者協会を再興する時が来るだろう!
おのが『クオリティー』を全員が発見した時、またオマエ達の前に姿を表すだろうアディオス!」
誰もが二度と会いたくないと思ったが帰るためならば仕方ない、喉まで出かかった台詞を必死に飲み込んだ。
気付けば変態の残り香はどこにもなく、そこには虹色マントと黄色いブリーフだけが残されていた。
(#´_ゝ`)「マントだけならまだしもブリーフってバカにしてんの!?
何このさっきまで人肌に触れていただろうこんもりとした温かみ!?
不快だよ、ああ不快だともさ不快の極みだよキング・オブ・FUKAIさッ!!」
(´・ω・`)「とりあえず落ち着いて現状把握に努めるべきじゃないか兄者?」
(;´_ゝ`)「あ、ホンマすんません調子乗ってました。
あまりの理不尽さにちょっと周りまで目配りする余裕なかったっす面目ねぇ」
- 487: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:15:37.70 ID:JxlIAxi70
( ・∀・)「さて、とりあえず脱出の方法は分かったね、それぞれの『クオリティー』を手に入れることだ」
ξ゚听)ξ「本当なら自分の『クオリティー』が何かまで聞けたら良かったんだけどねぇ……
誰かさんがせっかくのナビを完膚なきまでに粉砕するから……あーあ」
(;´_ゝ`)(え、俺か、俺のせいなのか!?)
兄者の しんらいが 320 さがった
兄者の ふしんどが 20 あがった
兄者は ちょっと ぼっき した
(;´_ゝ`)(快感だがこのままではまずいな、どこかで汚名返上を図らねば……!)
(´・ω・`)「過ぎた事は仕方ないさ、クヨクヨしていたって前へは進めない。
それで、その『クオリティー』とやらを探すのかい、これから?」
( ・∀・)「当面の目的はそれだろうね、忘れている大切な思い……か」
(´・ω・`)「つかぬことだが……」
ショボンが一度言葉を区切ると、一体なんだと皆の視線が集まった。
そこで改めて息を吸うと、言葉を紡ぐ。
(´・ω・`)「キミ達は……現実世界へ帰りたいのかい?」
その瞬間、愕然となって目が見開き、怒りとも絶望ともつかない感情がそれぞれを渦巻いた。
突然この男は何を言い出すのか、その真意を聞くのが一瞬躊躇われた。
- 490: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:17:45.47 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)(あれ、何この空気? いきなり張り詰めてきたんですがとても息苦しいのですが?)
ξ;゚听)ξ「アンタ……まさかね、下手な事言ったらぶっ殺すわよ?」
(;・∀・)「ショボン君、なんて言うかその、どういう意味か……聞いてもいいのかい?」
(´・ω・`)「自分が欠いているだろう大切な思いなんて心当たりがありすぎてね。
キミ達といても果たしてそれが補完されるかというと、とてもじゃないけど望めなさそうだ。
何よりも……ここは随分居心地がよくないかい? 街の下らない喧騒もなく自由だ」
どうだと言わんばかりに自論を奮ったショボンに、ツンはまた突っ掛かろうとする。
ショボンが睨みを利かせたことですぐにもモララーの陰へと逃げ戻ったが。
(#´_ゝ`)(モララーのヤロウ、また……ちくしょう羨ましいぜ!
それともまさか俺避けられてる?
違うよね、俺が暗闇に擬態して見えないだけだよねああそうかそのせいか!)
突如黒い服を脱ぎ出した兄者だが誰一人としてそれを気に留めない。
( ・∀・)「どうだろう、ここは協力してもらえないだろうか?
さっきの変態が言っていたけれど、全員がクオリティを発見しなければ僕らは一人の例外もなく現実には帰れない。
僕達のためにも、お願いできないかい?」
(´・ω・`)「人様のためなんて真っ平ゴメンだね、勝手にするがいいさ」
ξ#゚听)ξ「言うだけ無駄よ、コイツはこういうヤツなんだから!」
吠えるツンの横で兄者はズボンを脱ぎ終えていた。
下着のパンツもブラも例外なく黒色だ、大人の色香が漂う。
- 494: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:19:52.09 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「ククク、やっぱり君は育ってきた環境が随分と違うね、さっきまでと言っている事がまるで正反対じゃないか。
大方どんな都合の良いいい訳も通用するような環境で、さぞ甘やかされてきたんだろうね?」
ξ#゚听)ξ「そういうアンタこそ随分と他人が信じられないようでお気の毒なこと!
せっかく協力してやろうって気になったっていうのにさ!」
( ・∀・)「二人とも、とりあえず落ち着こうよ」
ξ#゚听)ξ「何よアンタこそ元公安だなんて言っておきながら相手が殺人者って分かった途端に萎縮しちゃってさ!
あーヤダヤダこういう自分の都合だけで権利を振りかざすヤツは本当嫌だわ!」
(´・ω・`)「随分と的確な自己分析が出来ているじゃないか、クックック」
この二人は二言目にはこうやって皮肉のぶつけ合いだ、モララーは一人頭を抱えた。
そもそもハナから協力できる気などしなかった。
何だこのメンバーは、どうして自分が一人躍起になって協力しようと努めなくてはならないのだ。
どうして自分が頑張れば頑張るほど空回りして、結果は望みから遠退いていくのだ。
モララーはこれでも多くの世間を揺るがすような事件を担当してきた。
しかしモララーに相応の実力が備わっていたかと言うと、正直な所疑わしい。
と言うのも、上司にその熱意がかわれ、現場に借り出される足の一本としてがほとんどだったのだ。
彼自身確かに目を見張る実力は無いが、他から頭一つ抜け出した熱意に行動力を持っていた。
熱意、正義感、それらがあれば対等に渡り合えると思っていた。
- 495: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:21:52.62 ID:JxlIAxi70
- だが、様々な事件を手がけるうちに大きく気付く事があった。
そう、熱意があって実力の無い人間は高が知れているのだ。
結局は熱意がなく実力だけある者のアゴで、都合の良いように使われるばかりなのだと。
局で「便利屋さん」と揶揄されているらしいがなるほど、上手く考えたものだ。
そして気付いたら自分は下からも良く思われていなかった。
当然だ、実力もなく熱意だけで上へ登った人間など下からは媚を売っているようにしか見えないに決まっている。
同じように実力がなく、その上熱意すら持たぬ者の僻みを常に背後に感じざるを得ないのだ。
上司のケツに、尻尾を振りながら付いて行くばかりの犬のように映っていたのだろう自分は。
まったく、世の中は実に理不尽なものだとヒシビシと感じた。
躍起に頑張る人間、愚直な人間、奇麗事だけをつらつらと並べる人間とはえてして嫌われるものなのだ。
(;-∀-)(まったく、嫌になってくるよ……いい加減にさ)
一際大きなため息をつく彼の横でツンとショボンは口喧嘩をし、兄者はいよいよパンツ一丁にまでなっていた。
モララーが黙った事を皮切りに不穏な空気が漂ったか、ショボンとツンも口喧嘩を収束させ、静寂がその場を包む。
(;´_ゝ`)(あれ、ヤダ何気付いたらこの空気?
オレのせいだよねそうだよ男のストリップなんて誰も見たくないに決まってるじゃないか俺のバカ、氏ね!)
大丈夫です誰もアナタの事なんて見ていませんから。
- 498: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:23:56.69 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)「あ、ハイ! 先生ッ!」
ξ#゚听)ξ「うん!?」
(;・∀・)「なんだい……」
咄嗟に挙手して意見を提示しようと試みるが、その不穏の空気では怪訝されただけだった。
存在をアピールしたいだけだったがまさかのしっぺ返しだ、ここで「言いたい事忘れました」などと言ったら殺される。
(;´_ゝ`)(ヤバイヤバイヤバイ、何でこんなに皆殺気立ってるの!?
ってか何か考えないと、このままだとあの世で死ぬようですだよマズイって!!」
兄者は蜘蛛の巣が張り巡らされているだろうその脳を力の限り活性化させ、
彼の出来るだろう最高のアイデアを捻出し、提案した。
(;´_ゝ`)「トマトを栽培しよう」
ξ゚听)ξ
( ・∀・)
(´・ω・`)
それまでとはまた違った、それでいてより緊迫した不穏な空気が漂った。
ヤルかヤラれるか、言葉など不要、殴って会話するしかないだろう空気が。
- 502: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:26:03.49 ID:JxlIAxi70
- 兄者の脳裏に走馬灯が駆け巡った。
遊女として名を馳せエロゲ町の女帝とまで謳われた父者、「引っ越し引っ越し」と叫びながらの布団叩きが日課だった母者。
変態へと開花した弟者に変態店長、変態会長に変態つとむちゃん。
(;´_ゝ`)(あれ、オレの人生マジでやばくない? 走馬灯っていうか地獄絵図じゃないコレ?
誰かいただろ、ほら、可愛い小学生で名前なんていったけ……つとむじゃなくて、えっと……)
走馬灯ですら変態の百鬼夜行となった兄者は、次こそは普通の人間になりたいと神に誓った。
(´・ω・`)「……うん、なるほどね、それはいいアイデアかもしれない」
( ・∀・)ξ゚听)ξ( ´_ゝ`)「……え?」
突如頷くショボンに、(兄者含め)三人は驚きの目を向ける。
トマトだぞ、あのスカトロの象徴ともいえるトマト神だぞ良いと思っているのか。
(´・ω・`)「さすが兄者だね、よく考えたものだ。
いやしかし他の二人には通じていないのか」
何か勝手に納得していらっしゃるようで。
兄者は既に聞き手に回っていた。
- 504: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:28:14.99 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「つまり兄者は、ここで共同生活をしようと提案したのさ。
ここに残るにしても、住処は必要だ。協力するとしても絶好の条件じゃないか」
( ・∀・)「なるほど、様々な事を協力して行っていくのか!
協力したい人間はそこで行動すれば良いし、そうでない人間にしてもそういった場が出来るのはありがたいと」
ξ゚听)ξ「鬼才ktkr!」
(;´_ゝ`)(なんかよく分からんけど汚名返上、俺GJ)
(´・ω・`)「いいよ、僕は兄者の考えに免じてその条件下なら乗ろうか、協力するしない関係なくだがね」
( ・∀・)「自分は当然おkだよ、いずれにしてもしばらくこの世界にいる必要はありそうだしね」
ξ゚听)ξ「私も帰れるのなら……仕方なくだけどね」
( ´_ゝ`)「俺は提案者として当然賛成だ」
互いに手を重ね、奇妙な団結の元、円陣でそれぞれがまばらに気合を上げた。
ξ--)ξ「それでなんでアンタパンツ一丁なのよ」
(;´_ゝ`)(ktkr! もっと罵って、もっともっと!!)
- 512 名前: すずめ(dion軍) [BGMチェンジ] 投稿日: 2007/04/11(水) 21:32:50.27 ID:JxlIAxi70
- (;´・ω・`)(;´_ゝ`)(;・∀・)「どおおおりゃあああああ!」
ドオォォン......
太陽が昇っても依然として暗みの残るそこで、男たち三人が一斉に力を込め、転がっていた大木を一気に立ち上げた。
モララーがすぐに紐を出して、近くの木々とそれを結び固定する。
そしてそれらの間にシートを被せ、小さく簡素ながらにも立派なテントを作り上げた。
ξ゚听)ξ「お疲れー」
テントを張る事でまた一段と空からの光は遮られた。
昼にも拘らず、ツンは昨晩に起こした焚き火をしっかりと燃やし続けていた。
(;´・ω・`)「やれやれ、慣れない事はするもんじゃないね」
(;´_ゝ`)(普段からもっと筋トレしとけばよかったぜ……絶対今のはオレ以外の二人の力だよな。
自慰行為だけでいい汗かいたなんて満足している毎日だったからな……)
(;・∀・)「まあまあ、ショボン君もここでやっていくなら住処はいずれ必要だろうし。
それよりも、次は役割分担して少しづつ必要な物を揃えていこう」
今までの確執はどこへやら、意外にもまとまり、協力できている自分たちにモララーは再び気持ちを持ち直した。
諦めてはいけない、自分こそが頑張って皆を協力へ導かないと。
( ・∀・)「それで、火の番を常に一人準備するとして残りでそれぞれ動いて……」
(´・ω・`)「その辺りは勝手にしてくれ、僕はそこまで手伝う義理はないね」
ああ、やっぱり協力できていると思ったのはまやかしか。
直後にこんな反応が出てくるものだから相変わらず分からないメンバーだ。
- 513: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:34:55.83 ID:JxlIAxi70
- ξ#゚听)ξ「アンタ、この期に及んでまた……本当一人だけ意地張っちゃってバカみたい」
(´・ω・`)「意地の一つも持たずに都合の良いほうへ靡いていく君なんかより、芯があってよっぽど良いだろう?」
(;-∀-)「あー、あー……」
言い合っていてもなんら進展など望めない、いい加減にしてもらいたいものだ。
とりあえず当面はこの二人を引き離し、どちらかと自分か行動するほうが良いだろう。
(´・ω・`)「ククク、僕はキミ達とあいあいと協力をするつもりなんてないね、一人散歩にでも行った方がマシだよ」
( ・∀・)「それじゃどうぞ」
モララーが長いリボンと小さなナイフを手渡す。
(´・ω・`)「?」
( ・∀・)「リボンは木にでも少し結びつければ良い目印になると思う、迷わなくて済むと思うよ。
ナイフはリボンを切るのに使ってもいいし、直接木を切って目印作るのにも使えると思う」
ξ#゚听)ξ「モララー、ちょっとアンタ何及び腰になってんのよ!」
(´・ω・`)「クックック、これは随分と利口で無い行為だね。
ナイフってのは近接戦に便利で、1動作で頚動脈を切ることだってできる。
この状況下では銃にも増して危険なんだ、それが分からないわけじゃないだろう?」
ショボンが実際にナイフをちらつかせると、背筋が一瞬で凍りついた。
ただその一動作で腰が抜けそうになる程異常に不穏な空気が漂う。
- 516: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:36:58.92 ID:JxlIAxi70
- やはり彼は殺人者なのだ。
彼を信頼してはいけないのだ、そう思わせるには十分だった。
(´・ω・`)「殺人者相手に、易々とこんなものを持たせていいと思っているのかい?
愚行甚だしい、今なら返すが……どうする?」
あえて質問する辺りショボンの意図は読めない。
どうすると聞かれても、返せと言ったら返すのだろうか?
ξ;゚听)ξ「ほほら、やっぱり何よ裏切る気でずっといたんでしょうずっとずっと!
私達今殺されるわよ今、殺されたら分かる、分かるわアンタのせいよ!
ふざけないでよ、どうして敵に塩を送るのよ、バカじゃない!?」
(;-∀-)「愉快犯じゃあるまいし、殺す気なら既に僕らは殺されているよ。
ナイフは別に今返してもらわなくても良いよ、自由に散策してきた後で良いや」
(´・ω・`)「まぁそうだが、いつでも殺せたよ冗談でなく……ククク」
そう言いながら、ちらつかせたナイフをクルクルと手馴れた様子で回す。
先ほどまでの殺意は一気に消え去った、これが『殺人者』の極意なのだろうか、大したものだ。
(´・ω・`)「それで好きにしてくれとは面白いじゃないか、僕に自由を与えて仲間意識を芽生えさせる気かい?
それとも僕の良心でも呼び覚まそうと企んでいるのかな?」
( ・∀・)「残念ながら僕はそんなに打算的に動ける人間じゃないよ。
ショボン君には、これから必要になるだろう水源の確保を頼みたい。
湧き水、川、湖……見つからなかったなら見つからなかったで良いよ」
言ったモララーに、ショボンは肩をすくめて見せた。
- 518: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:38:58.30 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「やれやれ、結局報告義務は僕の良心次第じゃ無いか、参ったね。
いいよ、だったらそれで手を打とうか、君の発想や言い回しに免じてね……クックック」
何がそんなに面白いのか、ショボンは笑いと供に一人暗闇へと足を進め、すぐにも見えなくなってしまった。
気難しい相手だと、モララーは大きくため息を吐いた。
そして、一応ツンを見張る意味でも一緒に行動をした方がいいかと頭を切り替える。
( ・∀・)「よし、それじゃとりあえず昨日からほとんど食事していないからね、僕の持っているお菓子だけじゃ辛いだろう。
果物なんて都合の良い物は無いだろうけど、なにか食料を探しに行く事にするか」
ξ゚听)ξ「だったら私付き合うわよ?
食用の草なんかの知識なら若干あるし、実際調理して食べた事もあるから」
ツンの方から声をかけられ、願ったり叶ったりだ。
それよりも思わぬサバイバル魂に驚かされる、どういった人生を歩んでいるのか知らないが、かなり波乱万丈なのだろう。
( ・∀・)「それじゃ兄者君、ツン君と一緒に食料探しに行って来るよ、火の番を頼めるかい?」
(#´_ゝ`)(何いいぃぃ二人でお出かけだとおおぉぉ!!!1 許すわけ無いだろうこのヤロウ!)
ξ゚听)ξ「兄者、ちゃんと消えないように気をつけておいてよ?」
(*´_ゝ`)「はい」
(#´_ゝ`)(ちくしょう、あのモララーとかいうヤツ……許すまじき!!)
- 526: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:43:30.62 ID:JxlIAxi70
予てから承知していたとはいえ、森の中に入り込むと想像を遥かに絶する闇が待っていた。
改めてこの森の深さを感じる、ぬかるむ足元は太陽を知らない地面なのだろう。
草木が生い茂っている事は分かるも、その一つ一つをしっかりと見分ける事は困難だった。
( ・∀・)「うーん、参ったねこれは。中々難易度が高そうだ」
ξ#゚听)ξ「ちょっと、待ってよ足元滑るから全然進めないじゃない、置いてかないでよ!」
( -∀-)「はいはい」
モララーは返事をしながら、木々に目印となるリボンをくくりつけていく。
この暗闇ではカラフルなそれも、マーキングの意味をほとんどなさない。
木の枝を切っては、それを進行方向に沿って地面へと突き立て目印にしておく。
リボンと木枝、こうまですれば流石に大丈夫だろう。
(;・∀・)(それにしても、こうまで暗いと探し物もおちおちしてらんないよ……)
足場が悪くなり、離れないようにツンの手を取って先へ先へと誘導していく。
しばらく歩くと、とうとう光が差し込む空間が見えた。
( ・∀・)「お、運が良いね、あそこで一息ついて、食用の植物を探そうか」
ξ゚听)ξ「うん、賛成」
- 527: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:45:26.86 ID:JxlIAxi70
- 上からの少しの光が降り注ぐそこは、辺りよりも草木の育ちが良いようで背丈を越える無数の雑草が行く手を遮った。
来た道の印も兼ねて草を踏み分け、簡易な獣道を作り上げる。
そして二人して周囲にある様々な雑草を調べだした。
(;・∀・)「……うーん、やっぱりよく分からないや僕には」
ξ゚听)ξ「いいわよ、大体私が分かるし」
ツンはそう言いながら、葉っぱを千切っては噛んで顔をしかめる事を繰り返していた。
そんなに分かるものなのだろうか、モララーも試しに雑草の一つを噛んでみたが、植物独特の重い苦味に吐き気がした。
ξ゚听)ξ「いいから、私に任せておいて。
多分これは食べられると思う、見た目もそうだし、噛んだ感じ大丈夫そうだった」
(;・∀・)「あー、これかい?」
言われた形状の葉っぱを目印に、雑草をかき分け調べる。
草などでお腹が膨れると思えない、油でもあれば揚げるところだがそれも無い。
ついでにキノコなども探してみたが、とうとう見つからなかった。
それらしい雑草はまずまずの量を手に入れたが、ずっとこれだけ食べ続けていくなんて考えると発狂しそうだ。
ツンはツンで何か別の木の葉を集めていたようだが、モララーは口よりも手を動かすほうに集中した。
帰りは思ったよりも目印が上手く働き、一度も迷う事無く帰る事が出来た。
- 530: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:47:30.50 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「ただいま兄者君、火の番ありがとう」
( ´_ゝ`)「まぁちょろいもんよ、かなり暇だったが」
ξ゚听)ξ「でももうちょっと頼めるかしら?
モララー、ちょっと手伝ってくれる?」
( ・∀・)「うん、なんだい?」
(;´_ゝ`)(あれ、俺会話に入り込めて一言だけ?
ちょっと扱いぞんざい過ぎないかな、被害妄想とかそういう次元じゃなく無い?
いや、きっとこういうプレイなんだな放置プレイってやつか中々キツイな……)
ツンは大きくて平らな石の上に自分の集めた葉っぱを置くと、ナイフを用意した。
そして葉っぱを切断していく。
( ・∀・)「……」
ある程度切断が終わると、次は簡単に擦る。
大雑把に終わらせると、ツンはモララーにナイフを預けた。
ξ゚听)ξ「こんな感じでよろしく」
(;・∀・)「あ、うん……」
言われるがまま、モララーはツン監視の下一つ一つ気長い作業を繰り返した。
- 532: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:49:24.76 ID:JxlIAxi70
- しばらくすると、ツンはモララーの鞄から小さなアルミカップを出してその中に細切れにされた葉っぱを入れる。
そして焚き火にまで持っていくと、火に当ててあぶる。
ξ゚听)ξ「兄者」
(*´_ゝ`)「はい」
ξ゚听)ξ「火種足りないから取ってきて」
(*´_ゝ`)「把握しました!」
腰に命綱を巻いて、すぐにも兄者は駆け出した。
暗闇と一体化してすぐに彼の姿は目視できなくなる。
そしてしばらく無言の空間が漂った。
( ・∀・)「……あの」
ξ゚听)ξ「ん?」
( ・∀・)「もしかしてこれ、お茶?」
ξ゚听)ξ「そんな感じ、あまり美味しく無いだろうけどね」
互いに手を止めることなく話し合う。
- 535: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:51:19.58 ID:JxlIAxi70
- ξ゚听)ξ「私が作るのは久しぶりだしね、大抵任せっきりだったし」
( ・∀・)「ああ、元の世界での話か……良い仲間がいたんだね」
ξ゚听)ξ「冗談よして、あいつ等なんて駒としても立派に使えないわよ。
あいつ等が必死で何かやろうとしても、私が適当にやったほうがよっぽど出来るんだから」
( ・∀・)「……」
ξ゚听)ξ「手、止めないで」
ツンが注意したが、モララーはその手を動かさずに考え込む顔を止めない。
そしてツンの方をバッと向いた。
ξ゚听)ξ「手、止めないでよ」
( ・∀・)「そうじゃないよ、どうして君は仲間にそんな事を言えるんだい?」
ξ゚听)ξ「仲間……本当冗談きついわね、物事一つろくに出来ないアレが仲間だなんて」
( ・∀・)「別に僕は自分たちを信じろと言っているわけじゃ無い、自分のために何かやってくれる人になんて口をきくんだ。
だったらどうして君は現実に帰りたいだなんて言うんだ?」
ξ;゚听)ξ「え……」
ツンの言葉が止まり、表情が固まった。
彼女自身しっかりとそれを考えたりしなかったのだろう、ただよく分からないここから逃げたいというだけで。
そうだ、仮に帰ったとしてその世界は自分を求めているのだろうか?
今まで自分が周りを跳ね除け、必要としなかったから思わなかったが、そもそも自分が周りに必要とされているのだろうか?
- 539: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:53:14.24 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「懐かしく思っていないのかい?
自分に気を使ってくれる人、自分のために何かをしてくれる人を懐かしく思わないのかい?
それとも、本当にいなくて清々するなどと思っているのかい?」
ξ;゚听)ξ「私は別に、……!」
( ・∀・)「だったらここに残ればいいじゃないか、違うかい?
分かっているだろう、その仲間達がどれだけ君にとって大切な人達かという事くらい。
いつまで子供のように駄々をこねてわがままを言っていれば気が済むんだ?」
ξ )ξ「……」
まくし立てたモララーに、無言となったツン。
どれだけ自分が我が侭で生きてきたのか、自分勝手気にやってきたのか。
相手を怒りたいがために粗探しばかりしていた現実、それを突きつけられた。
ξ )ξ「……もう、遅いわよどうせ。
現実に戻ったって私なんて必要とされていないわよ。
そうね、私もここでずっと過ごした方が幸せなのかもしれないわね……」
( ・∀・)「大丈夫さ、気にしなくても良いよ、みんな君を待ってくれている」
ξ#゚听)ξ「何も知らないくせに勝手な事を言わないで、何様よアンタ!?
私の事も知らずにさ、私は不必要よ、要らない人間なのよ!」
ヒステリックに自分を不必要な存在としたがる人間は多い。
そういった傾向は、人生において他人を信じられない人間によく見られる。
自分が他人を欺いてきたからこそ、他人が信じられない人間。
- 544: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:55:08.82 ID:JxlIAxi70
- そうだ、結局は誰も信じられやしない。
そして誰から信じられる事も無いのだ自分は。
ξ;凵G)ξ「私なんていなくていいのよ、きっとせいせいしているわ!
何も知らないくせに上辺だけの言葉をつらつら並べてカッコつけないで!」
( ・∀・)「だったらどうして君は……泣いているんだい?」
モララーの言葉にツンは押し黙った。
静かに鼻を啜る音だけがその場に響く。
そうだ、寂しいのだ自分は。
それが悔しいのだ。
今やどんな我が侭を言おうと誰にも相手にされず、怒られる事も無くなってしまった。
いつからだろうこんなに孤立してしまったのは、いつからこんなに寂しくなってしまったのだろう?
ただ自分は怒って欲しかっただけなのかもしれない、随分幼稚な話だけれど。
( ・∀・)「戻ってからは、しっかりと皆の事を労わってあげないといけないね、これまでの分も込めて」
ξ;凵G)ξ「もう……手遅れよ」
( ・∀・)「手遅れなんかじゃないさ、君のどんな我が侭も許してくれた人達なんだろう?
何よりも君がこんなに仲間達の事を思えているじゃないか」
そう言って宥めるモララーの気持ちが通じたか、ようやくツンは涙を止めた。
( ・∀・)「君はこれからがある年齢だ、まだまだ余裕でやり直せるさ」
- 549: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:57:03.18 ID:JxlIAxi70
- モララーの見せる優しい笑顔に気持ちを落ち着け、ツンは涙をふいてその目を向け返した。
目つきが鋭いのはどうやら元来のようだ。
ξ゚ー゚)ξ「アンタ……結構良い男じゃない」
( ・∀・)「不思議なもので、よくそう言われるんだけどね。
そのくせここ数年は女ッ気の無い人生だよ、まったくおかしな話だと思わないかい?
気付けばもうすぐ三十路さ、人生は早いものだよ」
ξ゚ー゚)ξ「私が貰ってあげても良いわよ?」
不敵に微笑んだツンに、モララーは頬を引き攣らせて答えた。
(;・∀・)「そうだね、二十歳になったら迎えに来てくれるかい?」
ξ゚ー゚)ξ「そうするわ。"心の主"として迎えに行くから、私のこと忘れたら承知しないわよ?」
どうして女性とは心を許した相手にはこうもすぐ強気になれるのか。
そんなどうでも良い事を考えながら、モララーは作り笑いをより深く刻んだ。
(;・∀・)「なんだかよく分からないが、忘れないようにだけは努めておくよ」
ξ゚听)ξ「あーあー、やっぱり適当な返事しかしないんだから。これだから男って嫌だわ」
まったく、随分な立ち直りようだ。
意外にこの子は強い心の持ち主なんだろう、そう思いながらモララーはずっと苦笑を続けていた。
- 559: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:01:01.38 ID:JxlIAxi70
日が沈む頃、兄者とショボンは帰ってきた。
(´・ω・`)「おやおや、随分とご機嫌そうじゃないか」
ξ゚听)ξ「別に、アンタの顔見たらそんな気分も一気に吹っ飛ばざるを得ないわね」
(´・ω・`)「僕が君に言おうと思っていた台詞まんま言われたね、予知能力かい?」
ξ゚听)ξ「あー、面倒なヤツね本当アンタって。
それよりも水は?」
(´・ω・`)「心配しなくてもどうぞ」
ショボンが掲げた袋には、一杯の水が入っていた。
( ・∀・)「おお、それだけあれば十分だね」
(;´_ゝ`)「俺も火を焚きすぎてカラカラだった」
(´・ω・`)「場所は大体覚えているから水の心配はもう要らないと思う。
それよりも食料の方が心配だね、草食動物じゃあるまいしこの調子なら誰かしら不調をきたすだろう。
お腹をこわすような些細な所から、次第に体調を崩していくことはままあることだ」
( ´_ゝ`)「正直俺限界だな……」
( ・∀・)「とりあえず当面の問題は食料か……打開策があれば良いけどねぇ」
- 563: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:03:00.80 ID:JxlIAxi70
次の日、食料の確保がメイン課題となった。
森を歩き、その全貌を掴み、木の実など栄養価の高い食料を見つけるのが最重要課題だ。
( ・∀・)「それぞれで今日も動こうか、今はそれが重要だと思う。
兄者、また火の番を頼めるかい?」
(;´_ゝ`)「別に良いが……」
(#´_ゝ`)(ち、またかよ……それでオマエは幼女と散策かおめでてーな)
ξ゚听)ξ「あ、じゃあ今日は私もここに残るわ」
(*´_ゝ`)「ktkr!」
( ・∀・)「そうかい、それじゃあショボン君と自分だけで動く事にするよ」
(´・ω・`)「そうするかい」
( ・∀・)「それじゃあとりあえず、水源の位置を教えてもらえるかい?
川があったのかい? それとも湖が?」
二人が話をしながら歩いて行くと、残った二人はのんびりと火を眺めていた。
そしてツンは昨日燻ったお茶葉を取り出すと、水に浸し、また熱する。
( ´_ゝ`)「お茶作りか?」
ξ゚听)ξ「うん、兄者も試しに飲んでね」
(*´_ゝ`)(一番!? まさかオレに一番に飲ませたいがために……いや、絶対そうだ!)
- 567: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:05:04.14 ID:JxlIAxi70
- しばらく熱していると、ようやく水の色が少し緑味がかってきた。
緑も緑、薄緑。
濁ったような印象を受け、パッと見はとてもではないが美味しそうには見えない。
(;´_ゝ`)(……何この魔女の儀式?)
兄者の懸念を他所に、ツンは満足した表情をしながら熱するのを止めた。
そして出来上がったお茶を軽く口に含む。
ξ゚听)ξ「……まぁこんなものね、私が作るの久々だし」
そう言いながら兄者にお茶を渡す。
(;´_ゝ`)「……」
ここで「関節キスktkr!!」とでも叫べればいいのだが、そのお茶の濁り具合に心配が先走った。
眉間に皺を寄せ、おずおずと確認を取る。
(;´_ゝ`)「……飲めと?」
ξ゚听)ξ「うん、良いわよ飲んで」
(;´_ゝ`)「……はい」
覚悟を決めてツンの口跡が残る場所からお茶を含む。
男らしくグイと含んだ。
ξ゚听)ξ「……どうかな?」
- 570: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:07:17.02 ID:JxlIAxi70
- ツンが聞いたが、兄者は眉間に寄せた皺を解こうとしなかった。
そうだ、お世辞でも美味しいとは言えない。
ぶっちゃけ不味い、どうしてこんな飲み物が当然のように飲めるのか、草の味しかしない。
草を飲んで「美味しいです」と言える現代人にお会いできるものなら今すぐにでもご対面したいものだ。
むしろ呼んで来い、いっこく堂呼んで来い。
(;´_ゝ`)(何この罰ゲーム、「美味しい」と言わなきゃいけないの自分!?)
悩んだ挙句、とうとう兄者は最高の作り笑顔をツンへ向けた。
そして一言、「いと美味し」と返す。
兄者が遂に空気を読んだ貴重な瞬間だった。
一瞬にしてパッと広がるツンの笑顔、後ろめたい兄者は苦笑い。
ξ*゚听)ξ「よね、ちょっと生臭いけど十分許容範囲よね。
私も久しぶりで心配だったけど良かった、自信になったありがとう兄者!
よし、モララーたちにも飲ませてあげよ!」
すぐに気合を入れて2杯目を作り出したツンを傍目に、罪悪感に駆られた。
ああ、やはり空気を読み切れなかったのだろうかと。
(;´_ゝ`)(人付き合いって難しいな、俺自信失ってきたわどんどんと)
鼻歌を歌うツンの横で、兄者の苦悩は絶える事なかった。
- 571: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:09:15.61 ID:JxlIAxi70
- 太陽が大きく上に登りきった頃、モララーとショボンが二人の元へ帰ってきた。
水の位置をちゃんと確認できたようで満足そうだ、しっかりと前進していると感じさせてくれた。
そんな二人にお疲れ様と、ツンはお茶を差し出した。
ξ*゚听)ξ「どうぞ、ショボンはついでだからね」
(´・ω・`)「女性らしい気遣いが出来る事実に驚いたよ」
ξ゚听)ξ「減らず口ね相変わらず」
そう言いながらもツンは嬉しそうにし、モララーに顔を近づけた。
彼はゆっくりとお茶を口に含む。
( ・∀・)「……」
ξ*゚听)ξ「どうかな?」
( ・∀・)「……」
ああ、口に含んだが体が摂取を拒絶している。
飲み込もうとしても喉が受け付けない、モララーは口中でお茶を味わうふりして飲み込むのを渋っている自分を誤魔化していた。
思わず出た苦笑いを良い返事と受け取ったのだろう、ツンは笑顔をより一層強めた。
ξ*゚ー゚)ξ「素直に褒めてもいいのよ?」
(;・∀・)「……そうだね、美味しいよ」
覚悟を決めて飲み込み、表情を崩さずに褒め言葉を送った。
頭の中は裏腹に、お腹を下さないかという心配でいっぱいだったが。
- 574: すずめ(dion軍) [BGM初めのものにチェンジ] :2007/04/11(水) 22:11:24.72 ID:JxlIAxi70
- この少女は本当にどんな生活を送ってきたのか、それを改めて感じた。
味覚から根本的に違うのだ、現代人と。
バシャッ
そんなモララーの隣で、ショボンは茶をおもむろに地面へとぶちまけた。
ツンがそれに気付くと、すぐにも掴み掛かろうとする。
その手はショボンに簡単にいなされるが、叫びは収まらない。
ξ#゚听)ξ「ちょっとアンタ何やってんのよ、勿体無い、バカじゃない!?」
(´・ω・`)「バカはどっちだ、正常な神経であんな物飲めるわけ無いだろう。
学生時代に薬品の類には多く接していてね、これは毒だな」
ξ#゚听)ξ「どっちの神経がおかしいのよ、他の二人を見て御覧なさいよ!」
そう言ってモララーのほうを向いたツンだったが、モララーは思うような表情を戻してくれなかった。
後ろめたい表情が言わんとしている事を物語っていた。
(´・ω・`)「味覚障害者はどっちだい、よくも自信満々にこんな泥水を出せたもんだ、神経の図太さに頭が上がらないよ」
ξ#;−;)ξ「――ッ!!」
顔を赤らめ、怒りで目を見開いた。
言葉が出せない、堪忍袋はもうパンパンだ。
- 577: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:13:21.56 ID:JxlIAxi70
- ξ;凵G)ξ「ボケ、バカ、アホ、死ね!!
ふざけるな、バカにするな死ね、大バカッ!」
(´・ω・`)「こんなを飲ませるなんてどんな新手の拷問だい、本当に死ねと言われている気分だよ。
牢で出された飯のほうがまだ食べられたね」
ξ;凵G)ξ「このっ!!」
(;・∀・)「おっと、落ち着いて!」
無謀にもまた掴みかかろうとしたツンを、モララーは慌てて止める。
ξ;凵G)ξ「止めてよ、アイツは……アイツは……ッ!!
アンタもアンタよ、不味いなら不味いって言ってよ、私を馬鹿にして……バカ、バカバカッ!!」
(;・∀・)「……」
言えるわけ無いだろう、言葉を飲み込んで無言となった。
その場は一瞬で静寂の支配する空間と化した。
モララーは泣き続けるツンを抱きながら、ショボンをしっかりと見据えていた。
ショボンもモララーをしっかりと見ている。
(#´_ゝ`)(モララーのヤツ、ツンを抱きやがってテラウラヤマシス、許せねぇ!!)
兄者もショボンの隣からモララーにしかと向いた。
- 583: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:15:22.15 ID:JxlIAxi70
- (;・∀・)「まあまあとりあえず落ち着いて」
(´・ω・`)「そこのお嬢ちゃんが勝手に暴れくさっているだけさ、自分は落ち着いているよ。
それよりも元公安、そちらこそ親切と偽善を履き違えてもらっては困るな」
(#´_ゝ`)「まったくだ、元公安だからとこの場が自分で仕切れると思われては迷惑だ」
(;・∀・)「……」
二人に強く言い寄られ、思うように台詞を返せぬモララーは俯いた。
何も自分はこの場を仕切ろうとはしていない、このメンバーで上手くやっていけるように率先して動いたが、
それでこのように全ての責任から何まで自分に矛先を向けられては理不尽だ。
そうだ、真面目な者はえてして痛い目を見る事となるのだ。
人生で自分はそれを学んだ、真面目ならば良いわけではない、誠意を持って他人と接すれば、付け込まれるだけだ。
( ・∀・)「僕が、悪いのかい?」
語調が暗く、強くなった。
不機嫌が目に見えたが、だからこそとショボンは笑みを強くした。
(´・ω・`)「君は悪くないといって欲しいのかい? 狡い真似を、責任転嫁かい?」
別にモララーだけが悪いとはショボンも思っていない、ただ語調を荒げたのが彼の運の尽きだ。
ショボンが挑発すると、モララーは買って出た。
( ・∀・)「なんとでも取ってくれ、純粋に僕は自分だけが悪いとは思えない。
自分の行為に責任は持つつもりだが、その他の責任まで背負うつもりなんて毛頭無い」
(´・ω・`)「クックック、とうとう化けの皮が剥がれてきたね」
- 588: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:18:16.07 ID:JxlIAxi70
- おどけるショボンに便乗し、ここぞとばかりに兄者が言葉を重ねる。
( ´_ゝ`)「もしかしてモララー、アンタは自分が元公安だから優位な位置にいると思っていないか?
オレら犯罪者を見下し、自分こそが法だなんて思っているのじゃないか?
笑わせる……いや、笑えないな、反吐が出る行為だ」
少なくとも兄者、アナタは犯罪者というほど大層な人間ではありません空気嫁。
(#・∀・)「ふざけた事言うなッ!」
(´・ω・`)「叫んで威嚇しないでくれ、怖いじゃないか」
( ´_ゝ`)「嫌だ嫌だ、肩書きで自分が強くなったと勘違いするなんて下劣な公安が最近は多いからな。
公安を辞めさせられて良かったんじゃないか? ああ、辞めさせられたんじゃなくて辞めたんだったか、物は言いようだが」
モララーの拳がプルプルと震えた。
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。
どうしてここまで自分が否定されなくてはならないのだ、自分の生涯がこうもバカにされなくてはいけないのだ。
公安なんて肩書きには未練も無い、だというのにどうしてこうも重荷になるんだ。
自分の思い通りになると履き違えている公安が嫌になったというのに、どうして自分がその扱いを受けなくてはいけないのだ。
兄者に咄嗟に掴みかかった。
(;´_ゝ`)「うおおおぉッ!?」
(#・∀・)「何も知らないくせに、ふざけるな!!!」
が、モララーの拳が兄者へ直撃するよりも早くショボンの拳がモララーの鳩尾へと打ち込まれた。
激しい嘔吐の気と共に、力の入らぬ体で地面へと倒れこむ。
- 592: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:20:25.87 ID:JxlIAxi70
- (; ∀ )「がはっ、……ハッ、あ゙あ゙……ッ!!」
胃液が口の中に居座り、異様な吐き気に拍車をかける。
公安から内閣調査室へと異動し、運動不足の日々をこんな形で実感するとは思わなかった。
一撃で脆くも崩れ去った情けない自分に対し、同情など微塵も沸かなかった。
(; ∀ )「くあ、はぁッ! ……ガァッはッ!」
ξ;゚听)ξ「モララー、え、ちょっと大丈夫!?」
モララーは口をあらん限り開き、毛の生えたような低音を喉の奥底からうねり出す。
耳に纏わりつく声が、ツンの心配をひたすらに煽った。
自分が原因で……どうして他の人間がこうして傷付かなくてはならないのか?
ξ;凵G)ξ「ごめんなさい、ごめんなさい!!
私が悪かったから、お茶なんてどうでもいいからもう止めて!!
なんでよ、どうして……やるなら私を殴りなさいよバカッ!!」
自分が殴られるよりも、よっぽど辛い出来事だった。
心がこれでもかと踏み潰されたような、キリキリと胸が締め付けられた。
謝する気持ち、悲しさ、同情、悔しさ……全てが混沌とした混ぜこぜの感情。
……ああ、そういえば現実世界でも同じ場面に遭遇した。
もっとも自分の位置は殴られる側であり、そして相手を責め苛み尽くしていたが。
こんなに苦しんでいる相手を……更に自分は追い詰めていたのだ、その立場に立ってようやく苦しみが分かるなど遅過ぎだ。
- 598: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:22:31.84 ID:JxlIAxi70
- ツンが思いの限りを叫んだが、それはこの場では誰に届くことも無かった。
(#´_ゝ`)(……む! ここでも心配されるとはモララー許すまじき!!)
突然掴みかかられた時に少しちびったが、今やボロボロに崩れたモララーを見て再び彼の心に火が灯る。
兄者はこの世に生を授かって以来、いまだかつて無い程にまっすぐな目をしていた。
(;´_ゝ`)「ショボンさん、ありがとう」
(´・ω・`)「いいや、礼には及ばないさ、軽い一撃のつもりだったが想像以上に脆かったしね。
市民の安全を守る立場の人間が随分と華奢なものだね」
( ´_ゝ`)「元公安というのも怪しいものかもな。
というか公安って何ですか? いやマジでさ」
兄者の薄ら笑いが気に触り、モララーは唇を噛んだ。
何も出来ない無力な自分、これではバカにされても仕方ない、公安を辞めさせられたと言われても仕方ないだろう。
体がボロボロなのは当然、心も悔しさでいっぱいいっぱいだった。
強く噛み締めた唇から血が流れ、目からは小さな水滴が道筋を作った。
兄者はここぞとばかりに言葉を繋げる、繋げる。
( ´_ゝ`)「悪いが犯罪者相手だからと図に乗られても困るな。
そもそもここではオレたちは犯罪者ですら無い。
この世界にはオレ達の犯罪が存在しないのだから」
- 602: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:24:37.42 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「……」
兄者の言葉を聞いた瞬間、ショボンの心音が大きく一度、鳴った。
体が脈動するくらい大きく一度、鳴った。
何だこの違和感は?
兄者の言葉に酷く違和感を感じ、何故か自分を否定されたような錯覚に陥った。
( ´_ゝ`)「この世界ではオレらは罪がない、アンタが公安でもないようにな。
現実では追い追われる者同士かもしれんが、今はまったく関係の無い話だ」
兄者の言葉の一つ一つが、確実にショボンの心を突き刺した。
そうだ、この世界では自分の罪はどこにも無いのだ。
この世界で自分は何をしようと言うのだ、どんなぬるま湯に浸かろうと言うのだ。
ここには『あの人』がいない、彼のために行った自分の罪が無い。
そんな場所で、一体自分は何をしようと言うのだ。
(´・ω・`)(……自分の考えが今ひとつ理解し難いな。
この世界にいて何をしようと言うのか、そしてそれ以上に現実世界に帰ったとして何をしようと言うのか?)
そして今、どうして自分はこのように集団を乱そうとしているのか。
- 606: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:26:43.76 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)(功利主義じゃなかったのか?
もしかして僕は反省し切れていないのだろうか、
まだ……自分の利益だけを考え、勝手になっているのだろうか?)
いや、今の自分ならそうだと言われてなんら仕方の無い話だ。
罪を忘れ、自分勝手に振舞えるこの世界の居心地の良さに酔いしれ、夜郎自大に振舞う大馬鹿者だ。
自分の行った警視庁爆破テロは、にべも無い残酷な行為だ。
とはいえ当時の自分には仕方の無い行為でもあった。
それでいて、しっかりと自分は間違いに気付いたのではなかったのか。
自分の行為に責任も持てないほど、自分は堕落してしまったのか。
自分の考えに責任を持てないほど、自分は堕落してしまったのか。
(´・ω・`)(僕は罪を認めている、そして過去の罪は消し去れない……
この世界に存在するのは僕の罪意識だけであり、罪自体が存在し無ければその清算方法も無い……のか)
ああ、違和感の正体が分かった、そういう事だ。
ここにいては罪の意識に縛られ続けるだけであり、それを脱ぎ捨てる手段が存在しないのだ。
反省をしているからこそ、この世界にいては自分を苦しめ続けるだけなのだ。
ここにいては一生罪の重みから解き放たれる事は無いのだ。
そして反省していることを証明する手立ても存在しないのだ、ただの自己満足に終わるだけなのだくだらない。
- 609: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:28:49.47 ID:JxlIAxi70
- 自分を十字架に括りつけて、一体どうやって罪を贖おうと言うのか?
どれだけもどかしい事だろう、反省しながらに償えない罪という物は。
――償いたい自分、償えない罪――
――囚人のジレンマ――
まったくつまらない冗談だ。
笑えない言葉遊びだ。
- 613: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:30:54.26 ID:JxlIAxi70
- ( ´_ゝ`)「分かるか元公安、俺とショボンさんはここにいる以上、それぞれが罪とは乖離されて……」
(´・ω・`)「クックック、もういいよ兄者」
(;´_ゝ`)「ですよね、ちょっと言い過ぎですよね一不審者が調子乗ってますよね。
何だか途中からそんな気がしたんです本当空気読めない人間で自分マジ死ねって感じですよね。
いえだからって殺されたいわけじゃなくもしも生まれ変わるならまた私に生まれたくは無い……ショボンさん?」
(´・ω・`)「……ククク」
(;´_ゝ`)(良かった、失言したかと思ったが杞憂のようだ。
イッツソーデンジャラス、ソーデンジャラスッ! って変態のノリが移ったか!?)
ショボンは兄者に言葉を返す事もせず、ずっと小さく笑い続けていた。
恐怖とはまた違う異質な空気が漂った。
理解できない、彼特有の空気が。
そしてショボンは不敵に微笑みながら全員を一瞥すると、大きなため息をついた。
(´・ω・`)「あーあ、気が削がれたよ嫌になっちまうな」
大きな声でそう言うと、ドシンと思い腰を地面へと下ろす。
ξ;凵G)ξ「……?」
- 616: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:32:59.83 ID:JxlIAxi70
- 何事かと兄者も驚き言葉を止める。
モララーも思考が止まり、悔しさが煙に撒かれた。
ツンもビクッと体を揺らし、視線はショボンへと集まる。
(´・ω・`)「クックック……何だよこれは……くだらない世界だ、ああ悔しいな……」
頭を抑え一人悔しさに舌打ちするショボンを皆見ていた。
何を突然?
何を思いたったんだ?
(´・ω・`)「兄者……まさか君に教えられるとは思っていなかったよ。
さすが僕が目を掛けただけはあるね、やはり君は大した男だ」
(;´_ゝ`)(え!? 何それ俺モララーに喧嘩うっていただけなんですが何このドッキリ? カメラどこ!?
っていうか大量殺人者と変態にしか認められないオレって人としてどうなんですか!?)
心当たりのまったく無い感謝にうろたえる事しかできない兄者。
ショボンはそんな彼を見てふっと笑う。
(´・ω・`)「とぼけるならいいさ、まったく掴みきれない男だよアンタは……。
同じ臭いは初めから感じていたんだ、さぞ君も大切な人を亡くしたんだろうね」
- 622: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:35:05.79 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)(ええええええええええ別に誰も大切な人とか亡くしてないし!
ヤメテ、パッと思いついたのが変態会長だから、別に大切でもなんでもないからあんなヤツッ!!)
兄者の困惑などどこ吹く風で、ショボンはもう一度大きくため息を吐いた。
そしてモララーに向かって表情を崩さずに言った。
(´・ω・`)「元公安、現実世界に帰るか」
(;・∀・)「……だから初めから僕はそう言っているじゃないですか」
まだ口元には胃液が残っているのか、辛そうな表情を依然残しながらも、口元を緩めてモララーは答えた。
素直に嬉しさを出せない辺り、彼も何だかんだで堅物だ。
ξ゚听)ξ「あ、あらあら何よ……アンタがそんな事言い出すなんて一体どんな風の吹き回しかしら?
明日の天気は槍が降るかもね」
(´・ω・`)「それは参ったね、だったら明日までに帰らないといけないな」
ツンは涙を拭いながら突っ掛かったが、口の減らないショボンにいい加減呆れ、大きなため息をつき返した。
ショボン自身にも突然の心境の変化があったのだろう、彼を見ているとさっきまでの怒りも風化してしまった。
ξ゚听)ξ「それで兄者」
(;´_ゝ`)「はいぃっ!」
ξ゚听)ξ「何で皆現実世界へ帰ろうで一致団結したのにあの変態が現れないわけ?
クオリティとか言うのを満たしたら現れるんじゃないの?」
- 627: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:37:10.49 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)(え、何これなにこのオレが全部知っていて当然だろう的な流れ何これ?
知らないって、あの変態会長なんてどうでもいいし俺何にも聞かされてないし!)
(´・ω・`)「つまり、まだ誰かのクオリティが足りないんだろうね。
大切な心の強さか……まぁ気軽に考えて良いんじゃ無いかい?
今すぐ帰る必要なんて無いだろう、僕も最終的に帰れさえすれば良いと思っているしね」
ξ゚听)ξ「そんな事言って、明日槍が降ったらどうするのよ!」
(´・ω・`)「降るわけ無いだろう、バカか? これだからゆとりは困る」
またすぐにもいがみ合っている二人を傍目に、少し気分を落ち着けたモララーがいた。
( ・∀・)(何だかんだで、うまくいったのかな……このメンバーも)
そう感じながらもしっくりきていない自分に気付いた。
おそらくクオリティが足りないのは自分なのだろう、そう思っていた。
今回だって結局自分は何も出来ていない、しこりばかりが残っていた。
( ・∀・)(悔しいな、結局自分だけが除け者か……。
現実世界に戻っても、帰結する先は何も無いんだろうな……)
モララーは根が真面目過ぎるのだろう、反動といわんばかりに今の彼は無気力になっていた。
自分がどれだけ邁進したところで不和だったにも拘らず、自分とは無関係に関係が一歩進展した。
何も出来ない自分に愕然とし、息を合わせかけたこのメンバーが違う世界の人間にすら思えていた。
- 634: すずめ(dion軍) [BGM最後のものへ] :2007/04/11(水) 22:41:07.50 ID:JxlIAxi70
- 次の日、懸念していた槍が降ることは無く、鋭い太陽の光が木々をすり抜け地へと降り注いでいた。
朝から己が行動に精を出す。
ξ゚听)ξ「兄者ー、ちょっとこの柱ガタついてない?」
(;´_ゝ`)「はいはいはい!」
(´・ω・`)「だから前から言っていうだろう、その柱が安定しないのは組み方上仕方ないって……何を聞いていたんだ君は?」
ξ゚听)ξ「だからガタつきが強くなっていないかって言ってんのよ!」
(;´_ゝ`)「いや、変わって無いようだけど……」
(´・ω・`)「ほら見たことか、君は黙って食事を用意してくれ」
口喧嘩は相変わらず絶えないが、それでも結束は強まったように感じる。
そう、当初は共同作業など無理と思われていたにも拘らず、今ではこうしてそれぞれが役割に徹しているのだ。
とても大きな一歩をメンバーは跨いだ。
ξ#゚听)ξ「あー、ムカつくわねアンタには食事あげない」
(´・ω・`)「そんな事言っていると、飲み水がなくなるよ?」
ξ゚听)ξ「何言ってんのよ、アンタとモララーが行った時の目印が……」
そう言って周りを見渡したが、昨日木々につけた傷が綺麗サッパリなくなっていた。
勘違いかと思って見直すが、やはりどこにも無い。
正真正銘消えている。
- 637: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:43:08.56 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)「跡が……無い?」
(´・ω・`)「そうさ、変態が言っていただろう、この世界は常に進化しているんだ。
癒えない傷なんてこの世には無いからね、見てのとおりさ」
(;´_ゝ`)「目印が無いと、でも……」
(´・ω・`)「ちなみに僕は大体の場所なら記憶している。
さて、僕に食事は準備してもらえるのだろうか?」
ツンは大きく舌打ちをしながら、返事もせずに朝食の準備に取り掛かった。
食用の雑草を簡単に燻したり、生で食べる簡素なものだ。
油でもあれば幾分レパートリーは増えるたのだろうが。
( ・∀・)(……)
これは喧嘩しているのか?
いや違う、何だかんだ言いながらしっかりと協力できているのだ。
疎外感を感じながら、モララーは口を開く。
( ・∀・)「それじゃあショボン君、また案内してもらえるかい?
何とか覚えられるように務めるよ、もしくは目印にリボンを巻きつけようか、それなら消えない」
(´・ω・`)「好きにしてくれ、それじゃあ早い目に行く事にしようか?
ああツン、帰ってくるまでに美味いお茶を準備しておいてくれ」
ξ#゚听)ξ「知ったこっちゃ無いわよ!」
- 638: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:45:07.95 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)(……)
今のショボンの一言も、ただの揶揄だろうか?
その一言だけでこのメンバーが上手く回っているように感じたならそれは考え過ぎだろうか?
自分が引っ張るよりもこのショボンという男が動いた方がよっぽど協力が上手くいく。
安心してしまった自分がいると同時、激しい虚無感があった。
自分がどれだけ右往左往した苦労も、結局は報われなかったのだから。
ツンと兄者に火の番と食事を任せ、モララーとショボンは供に水を求めに森を進む。
水というのは、小さな湖から掬い出したものだった。
二人でそこまでの道を歩くが、会話らしい会話は無い。
モララーは、僻み、妬んでいたのだろう、ショボンという男を。
(´・ω・`)「それで、一体どうしたんだい? カリカリしている様子だね」
( ・∀・)「そんな事も無いよ」
(´・ω・`)「君は実に嘘をつくのが下手だね、お茶の時もそうだけど。
嘘も方便というしね、もう少し上手に嘘をつく練習をした方が良い。
おそらく君が、まだクオリティを見出せ無い一人なんだろう?」
自分の気持ちもお見通しか、それが気に入らなかった。
どれだけ躍起に頑張っても手に入れることの出来なかった『信頼』を、この男は一瞬にしてモララー自身から奪っていったのだ。
- 644: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:47:07.63 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「世間の風当たりの強さは重々感じて生きてきたが、心当たりの無いやっかみは嫌でね」
( ・∀・)「……やっかみって、そこまで分かってるじゃないですか」
(´・ω・`)「おやおや、失言したよ……クックック」
自分が絶対に口を割らない事を見越して、この男は先に結論を言ったのだろう。
ああ、恥ずかしいほどに随分とこの男を信頼してしまったものだ自分は。
( ・∀・)「今まで気にしないようにしていたけれど、才能のある人間に会うと辛いね本当。
自分がどれだけ無力かをまざまざと見せ付けられると、まったく嫌んなっちゃうよ」
(´・ω・`)「君は、どうして公安になったんだい?」
( ・∀・)「……僕は奇麗事といわれるかもしれないけれど、誰かにために何かがしたかった。
誰かは身近な人間や大勢な方が良い、それなら公安になったのは必然とも言えるのでは?
初めはヒーローに憧れる子供みたいな感情ですよ、それがいつか自分の礎になってしまっていただけで」
(´・ω・`)「なぜ公安を辞めたんだい?
本当に自ら辞職を願ったんだろう、それはどうしてなんだい?」
( ・∀・)「言わずもがな、公安なんて言っても結局は自益を優先する人間ばかりさ。
楽して安定した給与を貰いたい、本当に民間の事を思っている人間がどれだけいると思って。
日本の心臓部を司るジジィが腐っていたので、これ見よがしに反抗したまでですよ」
公安時代からそうだった、熱意だけでどれだけ躍起になったところで力ある人間には勝てないのだ。
自分以外にも何人と熱意ある人間が沈んでいく様を見てきた。
そう、必要無い熱意など捨ててしまわねば重荷になると、そう思い知らされる。
- 646: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:49:05.89 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「だったらどうして辞める? 公安そのものを君から変えていけば良いだろう?
(;・∀・)「え……」
ショボンが口にした出し抜けの言葉に、思わず声が出た。
予想だにしない言葉だった、それでいて大切な人からの言葉にダブって耳へと届いた。
『そうか、それじゃあオマエが熱意だけで上へ登りつめる第一人者になればいいじゃないか。
そうすれば熱意ある人間から鑑みられるだろう、そして皆熱意が必要だって気付くんじゃ無いか?
熱意の無い人間ばかりで腐っていると思うなら、オマエが変えろ』
こんな自分の愚痴を聞いてくれたのは他でも無い、公安時代の先輩であり内調での同僚でもあるジョルジュだ。
あの人はそして自分にそう言ってくれたんだ。
そう、奇麗事だけのつまらない自分の話を真面目に聞いてくれ、賛同してくれたあの人。
( ・∀・)(ジョルジュさん……)
後に知ったことだが、ジョルジュも元々はほとんど仕事は出来ない人間だったと。
それにも拘らず、自分の上に立ち、信頼や羨望を集めていたのだ。
まったく、自分の手本がそこにいた。
熱意だけで登りつめた男がそこにいたんだ。
- 650: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:51:09.28 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「自分が、変えるか……」
考えもしなかったといえば嘘になるだろうか。
それでも自分のような何も出来ない人間が公安を根から変えるなど、非現実的な話この上ない。
奇麗事だけを述べてとバカにされるに決まっているさ、勝手に自身へそう言い聞かせていた。
( ・∀・)「無理さ、ただの一個人がどう足掻いたって何が出来る訳も無い、無力だよ。
出る杭は打たれるのさ、社会とはそういうところだろう」
(´・ω・`)「だったら僕の考えはどうして変わったんだい?」
ショボンの思わぬ一言に、胸から熱い何かが沸いてくるのを感じた。
大切な事を忘れる所だった。
自分の持つ唯一の武器を放棄するところだった。
( ・∀・)「僕は……何もできていない」
(´・ω・`)「何もできていないヤツに僕はこんな事をいう程度の人間だと思われているのかい、心外だね。
君は僕が犯罪者である以前に、僕という人間を見てかかわってくれた。
こんな人間に会えるなんて実に久しぶりだ、だから僕だって協力してもいいかなんて思ったのだがね」
( ・∀・)「……」
駄目だ、何を言ったって口では勝ち目が無い。
こんな中途半端な自分の気持ちでは論議にすらなりゃしない。
- 653: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:53:16.66 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「ヤレヤレまったく……悪人にまさか道を示されるとはね」
(´・ω・`)「安心してくれ、僕は無理だろうヤツには言わないさ……ククク」
その一言一言に大きな感銘を受け、そしてその後押しが嬉しかった。
まぁいいか、世を揺るがす犯罪者にこうも言ってもらえるなど大変光栄な話だ。
( ・∀・)「現実に戻ったなら、公安に再び戻ってみるかな……公安自体を変えていくことはもちろん、
ショボン君みたいな才能を無駄にした、尊敬できる犯罪者の誕生を防いでみせるよ」
(´・ω・`)「期待せずに待っているよ。
ほら、何だかんだで湖に到着したよ、道は覚えたのかい?」
( ・∀・)「大丈夫だよ、僕が覚えなくてもショボン君がいるからね」
(;´・ω・`)「随分な信頼だな、まったく公安志望が聞いて呆れるよ……」
二人は袋に水を掬い取ると、改めて来た道を引き返していった。
帰りは互いに無言だったが、互いを信頼した、気持ちの良いものだった。
- 665: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:57:25.62 ID:JxlIAxi70
- ξ;゚听)ξ「あ、お帰り……」
(´・ω・`)「これは随分血生臭い状況だね、説明は要らないよ」
(;・∀・)「喜ぶべきシーンなんだろうけどね」
その場では兄者が変態と血みどろの死闘を演じていた。
二人ともあえて拳を避けようとせず、ひたすらに殴り合っていた。
ξ;゚听)ξ「二人とも笑ってる……楽しそう」
(´・ω・`)「男には拳同士でしか話し合えない、そんな時もあるものさ。
そしてより二人の仲は親密になるのさ、ククク」
(;-∀-)(公安に戻ろうとした手前、喧嘩は止めるべきかな……でも正直係わりたくないな)
三人が見守る中、兄者と変態の懇親の一撃が互いの顔面にクリーンヒットした。
同時に地面へと倒れる二人。
(;'A`)「くッ……兄者、やるようになったな……」
(;´_ゝ`)「会長こそ、まだ届かないとは……遠い……」
二人とも体を痙攣させ、辛うじて動く首と目で互いを見合った。
(´・ω・`)「これは先に立ち上がったほうが勝つ、手出しは無用だ」
ξ;゚听)ξ「そんな気毛頭無いわよ、汚い!」
(;-∀-)(言われたから仕方ない、手出しは無用だよな手出しは無用……)
- 667: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:59:32.02 ID:JxlIAxi70
- (;'A`)「兄者、悪いが俺はまだ……負けれねぇ!!」
変態はグッと体に力を入れると、ボロボロの体を立ち上げた。
虹色マントが風に靡く。
(;´_ゝ`)「バカな、まだどこにそんな力が……!」
('A`)「これが俺、会長と一不審者との実力差だ」
ごつ然とした態度で、威風堂々と言い放った。
勝てない……自分にはまだ不審者協会会長の座は早かった、そう直に感じさせられた。
ξ#--)ξ「……で、二人とも満足した?」
(※)'A`)「あ、はいホンマすんません一脇役が調子に乗って。
これでも本編ではサブ主人公張るくらい頑張っていたんですが」
(※)´_ゝ`)「本当反省してます、ちょっと悪乗りが過ぎました」
(´・ω・`)「とりあえず変態が来たと言う事は、皆のクオリティが出揃ったという事でいいのかい?」
('A`)「そうらしい、さっき神様からデコメール来たんで。
重要な事はちゃんと電話で伝えようね皆!」
( ・∀・)「と言う事は、ようやく帰れるのかい……皆、ゴメン。
やっぱり自分が最後の一人だったみたいだ」
- 671: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 23:01:35.18 ID:JxlIAxi70
- ξ゚听)ξ「なーに言ってんのよそんな清々しい顔しながらさ!
本当悪いって思ってるならもうちょっとすまなさそうな顔しなさいよ。
嘘つくの下手な人ね」
(;・∀・)「誰かにも同じ事言われたよ」
(´・ω・`)「気にしなさんなって事さ」
( ・∀・)「そうだね、皆ありがとう。そして、帰ろうか」
モララーが促すと、皆が首を縦に振った。
(;´_ゝ`)(アレ、流れ的に一人一言でオレの番じゃないの!?
おかしくない、押しなべて俺ってないがしろ!? 最後まで空気!?)
('A`)「それじゃあ神様の元へ案内しようか。
最後にやり残した事とか無いか?」
ξ゚听)ξ「あっ、ちょっと待って!」
ツンは叫ぶと、すぐに焚き火の近くに置いてあったカップを手に取ってくる。
そして皆に配った。
ξ゚听)ξ「お茶を準備しろって言ったでしょ?
最後に飲んでいきなさいよ」
- 676: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 23:03:43.73 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「『美味しい』お茶といった筈だがね……やれやれ」
ξ゚听)ξ「飲んでいる時くらいは口数減らせないものかしら」
(;´_ゝ`)「え、オレの分が無いのですが……あれ?」
それぞれがそれぞれ、様々な思いを馳せて最後のお茶を飲んだ。
決して美味しくも無かったが、誰一人と残す事は無かった。
ξ゚听)ξ「お味はいかがでしたか?」
(;・∀・)「ああ、次はもうちょっと腕を上げてくれる事を期待するよ」
ξ#゚ー゚)ξ「言ってくれるじゃない、材料が悪いのよ材料が、言葉を選びなさい!」
(;-∀-)(本音を言ったのに、やっぱり女って難しいものだな……)
(;´_ゝ`)「いや、だからオレの分が……」
('A`)「私の分まで準備していただけて悪いね、どれどrこれはMAZUUUUUUUUUUUUU!!!!」
ξ#゚听)ξ「」
(;´_ゝ`)「オレの分は……」
- 682: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 23:05:45.77 ID:JxlIAxi70
- (※)'A`)「それじゃ、今度こそ思い残す事は無いね?」
( ・∀・)「ああ」
(´・ω・`)「うん」
ξ゚听)ξ「ええ」
(※)'A`)「よし、それじゃあ、案内しようか」
(;´_ゝ`)(あれ、オレの台詞は!? 流れ的にマジおかしくない!?)
モララーが手を差し出した。
ショボンとツンも、無言で手を被せる。
( ・∀・)「兄者、何不貞腐れてるんだい」
(;´_ゝ`)「……ああ、悪い」
そして兄者も手を被せ、四人は最後にしてとうとう互いの手を取り合った。
全員がクオリティを見つけたと同時、遂にメンバーが一体化した。
今までの苦労もあったが、終わってみれば自然と名残惜しく感じるものだから不思議だ。
('A`)「それじゃあ、行くぜ?」
変態が合図すると同時、四人の姿はもうこの世界には無かった……。
( ^ω^)エアーがクオリティを育てたようです Aパート END
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