( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです

49:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:48:43.37 ID:ADzlCFqP0
  
第一話 「終わろうとする世界」


(;^ω^)「僕は一体……?」

少年は呆然と立ち尽くしていた。
彼は必死に記憶の糸を手繰り寄せる。

(;^ω^)「え〜っと、僕は確か…ドクオと一緒に行こうと……
      それで気づいたら……」

彼は、呟きながら辺りを見回す。

彼を囲う風景は殺伐としているものだった。
太陽が黒雲に覆われ、辺りは薄暗い。
外に立ち並ぶ家屋やビル群は、その殆どが倒壊している。
アスファルトの地面には例外なく亀裂が入り、建物であったものの残骸で埋め尽くされていた。

(;^ω^)「コレは戦闘の後かお? ……でも何か変だお」

これに似た景色を、彼は見たことはあった。
それは、ダイヴィッパーと"ARASHI"との大規模な戦闘で荒れ果てた、彼の生まれ育った街である。

しかし、彼は目の前の風景に違和感を覚えていた。
彼の街と比べてみると、建物の形状が違うのだ。
その場に見えるビルも民家も、彼の見たことのない形状のものばかりであった。

鉛筆のような細長い六角柱のビルに、半球のドーム状の民家。
少なくとも、彼の知っている街にはそんなものは存在しない。



52:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:50:13.82 ID:ADzlCFqP0
  
一時間ほど歩いただろうか。
彼は、人が多く集まる場所へと辿り付いていた。
そこは比較的建物の倒壊が酷くない場所で、舗装された道に何らかの店々が立ち並んでいる。
彼の街で言う、繁華街のような場所だった。

(;^ω^)「マジかお」

しかし、ここでも彼の想像とはかけ離れた光景があった。

「お兄さ〜ん、寄ってかない? 一時間5000ペソでどうかしら?」

「麻薬……武器……臓器……何でも売るよ」

「うるせえッ!! とっととシャブ寄越しやがれ!!」

けばけばしい化粧に、露出の多い派手なドレスを纏った女。
体中に刺青が入った、人相の悪い黒服の男。
銃器や刀、内容物が不明な薬瓶を並べた小さな露店。
その周りにたむろうかのように地面に座り込む浮浪者達。

そして、一帯を埋め尽くすかのように光を放つネオンの海。

人間が欲望の赴くままに行動する街。
彼はそんな所に迷い込んでしまったようだった。

(;^ω^)「ヤヴァイお……早くここから逃げるお」

彼はこの場に足を踏み入れた瞬間から、身の危険をひしひしと感じ取っていた。
ここに居る彼以外の人間は、どう見ても堅気の者には見えない。
そのうちの数人は彼を見つめながら、不気味な笑みを浮かべ、何やら密談を交わしている。



56:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:52:30.61 ID:ADzlCFqP0
  
(;^ω^)「言われなくてもスタコラサッサだぜい……って、おっ?」

立ち去ろうと駆け出したその時、彼の視点に一つの人影が浮かんだ。

ξ*゚ー゚)ξ 「……」

(;^ω^)「ツッ……ツン!?」

その人物を彼は見たことあった。
彼の高校の同級生であり、ダイヴィッパーの開発者でもある少女、ツン。

濃い目の化粧に、胸元が大きく開いたピンクのドレスを纏う姿は、
彼が普段見ている彼女とは大きくかけ離れている。
だが、くるりと渦巻いた特徴的な髪型に、ツンと上向いた瞳が特徴的な、愛嬌のある顔立ちが彼女そのものであったのだ。

(;^ω^)「ツン!! 君もここに居たのお!! って……何なんだお、その変な格好は?」

見知った顔を見て彼は安堵した。
そして、すぐさま彼女に声を掛ける。

ξ*゚ー゚)ξ「あら? 私の名前を聞いて、こんなボウヤまでやって来るのね。
       仕方ないわね、私はこの通りで一番の人気嬢だもの。
       なら話は早いわ。一晩15000ペソでいかがかしら?」

(;^ω^)「……へ?」

しかし、彼女の口から返ってきた言葉を彼は理解できなかった。
一瞬混乱したものの、彼はさらに問い詰める。



59:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:55:27.10 ID:ADzlCFqP0
  
(;^ω^)「何いってるんだお? ツン、僕だお!! ブーンだお!!」

ξ*゚ー゚)ξ「へえ〜アンタ、ブーンっていうんだ? もしかして初めてなのかしら?
       大丈夫。私が優しく教えてあげるからw」

(;^ω^)「……」

妖艶なポーズを取り、片目でウィンクするその姿。
そして、彼女の口からは絶対に出てこないであろう単語の羅列に、彼は狼狽する。

(;^ω^)「ちょっ!! どうしちゃったんだお! っていうか、なんでこんな事してるんだお!!」

彼は動揺のあまり大声を上げ、彼女の肩を掴み激しく揺さぶった。
彼女のツンとした態度の裏にある清純を知っていた彼にとって、その変わり果てた姿は衝撃である。

ξ*゚听)ξ「きゃっ!! ちょっと痛い!! 痛いわ!! 何すんのこのガキ!! 離しなさいよ!!」

(;^ω^)「こんなことしたらダメだお!! どうしちゃったんだお、ツンッ!!」

ξ*゚听)ξ「こらっ!! 離せッ!! 誰か!! 誰かこのガキを何とかしてッ!!」

彼女の助けを呼ぶ声に、すぐに屈強そうな黒服の男が集まる。
そして、ブーンを押さえつけ、無理矢理羽交い絞めにした。

「オラッ!! テメエ!! ウチの一番人気に何してやがるんだ!!」

(♯^ω^)「離すお!! ツン!! 一体どうしちゃったんだお!! ツン!! 待っt……ブアッ――」



61:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:56:44.96 ID:ADzlCFqP0
  
なお抵抗しようとする彼の顔に、黒服の男の鉄拳が飛んだ。
他の黒服の男も続くようにして、殴り、蹴り、制裁を加える。

ξ*゚听)ξ「ったく……ドレスが乱れちゃったじゃない」

その光景を、彼女は平然とした様子で見下ろしていた。

ξ*゚听)ξ「どこのお坊ちゃんか知らないけどさ、私達はこうでもしなきゃ生きていけないのよ。
       のうのうと生きてるアンタにはそんなこと理解できないわよね?」

(※)ω゚)「……ぐあっ!! ……ぐはっ!!」

冷淡に言葉を投げかける彼女の横で、彼は暴力を受け続けた。
一発殴られ、蹴られる度に、漏らすように苦悶の悲鳴を上げる。



66:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:57:37.63 ID:ADzlCFqP0
  
ξ*゚听)ξ「そんなもんでいいわ…どこかに捨てておきなさい」

(※)ω゚)「……ううっ……」

数分後には、彼は変わり果てた傷だらけの姿で横たわっていた。
辛うじて意識があるのか、小さく漏らすように声を発している。

ξ*゚听)ξ「コレに懲りたら、金輪際私に近づかないで。 お前達、行くわよ」

(※)ω゚)「……く……」

ブーンは遠ざかる意識の中で、黒服の男を引き連れて何処かへ去って行こうとする彼女の後姿を見つめていた。

「もう、この世界は――」

彼女は去り際に、呟くように、誰に言うわけでもなく何かを口走った。
しかし、それを完全に聞き終えることなく、彼の視界は次第に暗転し、やがて意識は途絶えた。



69:すっとこどっこい(アラバマ州) :2007/04/13(金) 23:58:38.84 ID:ADzlCFqP0
  
廃墟と化した街の一角で、形を保ったままそびえ立つ高層ビルの一室。
その中にある、二つの人影は何やら会話を繰り広げている。

( ∵)「――この世界は、『終末』に近づいているんだ」

黒い細身の服を纏った、青白い肌の少年は言った。

('、`*川 「『終末』って……それは一体どういうことなんだい?」

薄い水色のカーディガンを羽織った老女は聞きなおした。
いや、老女と呼ぶにはその外見は年齢の割に見た目よりも若い。

( ∵)「言葉の通りさ。この世界は、もうすぐ消え去ってしまう」

('、`*川 「それはまた、唐突な話だねえ」

彼女はそっと溜息をつく。
自宅リビングのソファーでうたた寝をして目が覚めたと思ったら、見慣れない世界に居たのだ。
この突然の状況に、思考が追いつくことすらままならない状態である。

( ∵)「いきなり、貴方をこんな所に連れ出してしまって申し訳ない。
    だが、事態は急を要するんだ」

('、`*川「うーん、いまいち状況が掴めないわ。
     何がわからないかがわからない、くらいにね。これは一体どういうことなの?」

( ∵)「そうだね、まずは説明が必要だ。……まずは僕たちの世界について、話をしようか」

彼は、不安げな表情の彼女を横目に、ふうと、一息つくと、静かに語り始めた。



72:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:00:16.47 ID:8EfekdEx0
  
――まずは、僕達の世界のことについて話そう。

もともと、この世界には『英雄』が居たんだ。
彼はいわゆる正義の味方で、子供にも大人にも信頼され、愛されていた。

その一方で、『悪の組織』も同時に存在していた。
『悪の組織』首領は部下たちを使って悪事をはたらき、街の人々を苦しめていた。
つまり、『英雄』と『悪の組織』との二者の均衡で、この世界は成り立っていたんだ。

しかし、突然、その流れは止まった。
『sks』の反応が急に消えてしまったからなんだ。

――『sks』、それは、この世界の生命源みたいなものさ。

言い換えれば、この世界の時間、空間、物質の創造の全てを司る存在、というところかな?
僕は『sks』と対話を行う役割を担い、この世界の事象をコントロールしていた。

その『sks』の存在が失われることで、この世界は本当の意味での『終末』に向かい始めた。
手始めに起こったのがこの世界の住人に対する浸食だ。

浸食とは『sks』の消失によって人々が受けた影響のことだ。
しかも悪いことにその影響は人を選ばず、無差別に、無作為に降りかかるんだ。

浸食された者の体は腐敗し、心は失われてしまう。
つまり例えるならば、彼等は『生きた屍』、まあ、貴方の世界で言うゾンビのような存在になるんだ。



75:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:02:28.41 ID:8EfekdEx0
  
しかし、彼等が浸食される過程で厄介な問題が起こった。
生を謳歌することの出来なかった彼等の無念の想い、つまり、残留思念が彼等の体に残ってしまったんだ。

そして、遂には無差別に他の人間を襲い、街のあらゆる建物を破壊した。
さらに面倒なことに、屍に殺された人間は屍になり、その屍が別の生きた人間を殺し、新たな屍を作り出す。

こういった悪循環が遂には、この世界に大きな影響を与えてしまう。
『英雄』と『悪の組織』の二者によって保ってきた均衡を崩すほどにね。

はじめに浸食された屍達は『悪の組織』の構成員にその牙を向ける。
構成員たちは為す術も無く、次々と屍と化してしまった。
組織は世界制服の目的で動いていたが、浸食のせいで組織そのものが破綻してしまう。

一方、敵である組織を失った『英雄』は、浸食された亡者達に勇敢に立ち向かった。
だが、彼は『英雄』として称えられることは無かった。

その原因の一つは、浸食の規模が大きすぎたことだ。
もはや、その勢いは彼個人の手に負えるものではなかった。
次第にそれは街をも巻き込み、街の荒廃へと繋がっていった。

そして、『英雄』の無力さに失望した人々は、いつからか、彼の出現を望まなくなっていた。
彼が居ても、浸食に巻きこまれた状況は変わらなかったからね。



79:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:03:51.16 ID:8EfekdEx0
  
一息で長い説明を言い切って、彼は一呼吸する。
そして、間を置いて息を吸い込むと、さらに付け加えた。

( ∵)「『英雄』の目的も、人々を守ることから、屍達を狩ることそのものへと変わっていった。
    それが彼の生きる目的にすり替わってしまったんだ」

('、`*川「……」

一瞬の沈黙が部屋の中を支配した。
彼女が少年の言葉を理解するだけで精一杯だったこともあった。
だが、同時に、真剣な彼の眼差しに飲み込まれていたからでもあった。

( ∵)「……そして、これが今のこの世界の状況さ」

そして、少年は彼女に窓の外を見るように視線で促す。

窓の外に広がる光景は、凄惨なものであった。
建物や道路のあらゆるものは崩壊し、荒れ果てている。
人々はぼろぼろの布を纏い、虚ろな目で、黒雲で覆い尽くされた空を見上げている。

まさに、世界の『終末』を示しているような光景であった。

('、`*川「酷い……これが貴方達の世界の現実…?」

( ∵)「そうだね。辛うじて浸食に巻き込まれていない人達も、あんな感じさ。
    彼らは、もはや生きる事そのものが目的になりつつある。
    生きて何かをするわけでもなく、ただ、この世界が浸食に飲み込まれることを待つしかできないんだ」



82:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:05:59.87 ID:8EfekdEx0
  
('、`*川「……そもそも、なぜ私をこんな所に呼び出したりしたの?
     そりゃあまあ、昔はそれなりにやんちゃもしたけど……」

彼女は、少年と彼女の世界で出会い、そのままこの異世界に召喚される形となった。
しかし、どうしても自身が呼ばれた理由が分からなかった。

('、`*川「私としても、この世界をどうにかしたい所なんだけど、
     こればっかりは私だけでなんとかできる問題じゃないよ。
     もっと力のある、若い人に頼んだほうがいいんじゃないのかい?」

確かに、彼女がこの問題を解決するには荷が重すぎた。
目の前で困っている人々を助けたいという気持ちはあったが、同時に、自分がこの状況を救える力がないことも分かっていた。

だが、少年はそれを否定した。

( ∵)「いや……僕がここに貴方を呼んだのは、力が有るとか無いとかそういうことではないんだ。
    僕が貴方を呼んだ理由、それは貴方の『慈愛』だ。
    この世界を元に戻す為に必要なのは『力』ではない。それは『英雄』がすでに証明しているんだ」

('、`*川「……慈愛?」

( ∵)「この世界を救う手がかりを探す為に、僕は別の世界を彷徨い……そして見つけた。
    周りの人々に『希望』を与える貴方の姿を」



84:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:07:31.79 ID:8EfekdEx0
  
('、`*川「そう言われてもねえ……」

正直、彼女は戸惑っていた。

まるで自分が救世主だと言わんばかりの少年の言葉。
突然目の前に突きつけられた、異世界の現実。
彼女がそれを受け入れるには、いささか時間が少な過ぎた。

('、`*川「では、一体私は何をすればいいの?」

しかし、彼女は最も聞きたかった質問を彼にぶつけた。
自分が非力であることは承知の上で、この世界の為に何か役に立ちたいと思い始めていたからだ。

( ∵)「貴方は――」

少年はそっと目を閉じて、言った。

「――貴方の心の向くままに行動すればいい」

その瞬間だった。

少年の体は突如、眩い光に包まれる。
彼の身につけている服も、その白い肌も、一切見分けのつかないほどに強く輝く。

次に、彼の体の輪郭もおぼろげなものへと変わり、周りの空間と彼との区別が付かなくなる。
そして、少年であった光の塊は次第に小さくなっていく。

('、`*川「ッ!!」

突然の発光に、思わず彼女はその小さな手で顔を覆った。



88:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:09:25.95 ID:8EfekdEx0
  
目を開けていられないほどのに白い光。
まるで、暗闇に埋め尽くされたこの世界を照らすようであった。
輪郭がはっきりしない発光体は、徐々に鮮明に形を帯びていく。

それは、例えるならば光の輪であった。
輪は数秒ほど宙に浮かんだ後、そのままふよふよと彼女の元へと近づいて来る。
そうして、それは彼女の首元へすうっ、と吸い込まれていった。

('、`*川「……う……ん……今のは一体……」

光の世界から覚めると、目の前の少年は跡形も無く消えていた。
今までの出来事が嘘だったかのように、辺りは静まりかえっている。
暫く呆然としていたが、ふと、彼女は首の辺りに違和感を覚えた。

('、`*川「これ……は?」

彼女の首には小さく細い銀の鎖が巻かれていた。
前方には楕円形の宝石が一つ繋げられている。
その形状は、装飾用のペンダントのようであった。

ペンダントは無駄に飾り気も無く、シンプルな造りのものだ。
しかし、宝石の放つ七色の輝きは他の高価な宝石にも劣らない気高さを醸しだしていた。

('、`*川「ペンダント?」

しげしげとペンダントを見つめながら彼女は呟いたが、果たしてその問いに答える者は誰も居なかった。

('、`*川「……さて、どうしたもんかねえ」

彼女は溜息を付きながら、窓の外にそびえ立つ巨大な鉄塔を見つめていた。



90:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:10:47.09 ID:8EfekdEx0
  
('A`)「ああ、マンドクセ」

街の中心にそびえ立つ、赤い鉄塔。
鉄筋の一部は所々で曲がっており、腐食が進んでいる。
しかし、他のどの建物よりも高い三角錐の塔はそれでもなお異様な存在感を放っていた。

('A`)「高けえな……落ちたら簡単に死ねそうだ」

塔の頂上近くの鉄骨の上で、男は孤独に立ち尽くしていた。
黒いマントに黒い軍服、そして黒いブーツを纏った全身黒ずくめの妙な格好の男であった。
そして、彼の纏うものには全て、大きく骸骨の刺繍が施されてある。

('A`)「……ハア、本当は俺が征服するはずだったのにな」

男は荒れ果てた街並みを見下ろし、そう呟いた。

男はかつて、人々に『悪の軍団』と恐れられた『しっと団』の首領であった。
しかし、浸食に部下達は巻き込まれ、組織は壊滅。
おまけに永遠の好敵手であったはずの『英雄』は、首領であった男を無視して屍たちを狩り続けている。

('A`)「……現在『しっと団』は俺一人か……あの頃が懐かしい」

彼は、輝かしい過去を思い出していた。

15歳以上20歳未満の女性(美人限定)の下着を盗む計画。
さらには、体育の授業で使われる女子のハーフパンツを全てブルマに摩り替える計画。
そんな悪質な大計画を『しっと団』は行ってきた。



92:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:11:59.59 ID:8EfekdEx0
  
('A`)「極め付けに『15歳以上20歳未満の美女を囲むハーレム大作戦』を行う寸前で、世界は変わっちまった」

男は小さく溜息を漏らした。
しかし、それも吹き荒れる強風に飲み込まれてしまう。

('A`)「飛び降りたら楽になれるかな……」

男は足元を、虚ろに眺めていた。
吸い込まれそうな不思議な感覚がする。
だが、なぜか恐怖はなかった。

('A`)「ま、流石の俺でも即死だろうな」

もはや、男には何も残されてはいないからだ。
忠実な部下も、山積みになったパンティにブラジャーの山も、全て浸食によって奪われていた。

('A`)「もう……生きる気がしねえや」

そして、生きる目的すらも失っていた。

彼は覚悟を決めた。
全てに絶望し、男が飛び降りようとした、

――その瞬間だった。

「そこの君。ちょっと伺いたいのだが」



98:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:13:42.99 ID:8EfekdEx0
  
            ,r'"⌒ヽ 
          /`・ω・´ \   「ここは一体どこなんだい?」
      , .-‐- くJ(      ゝ-rr- 、、
     /Y  ,r 、 `ー r'"^〃 、  つヒヽ
    ,ノ '^` i! =テミ i' 天ニ  ミ、 ='"^ヾ }
   ,/ ''=''" ノ-‐'ヾ-人,,__ノnm、''::;;,,  イ
  i!   ,∠-―-、、     `ー'フヾ、  j
  f'´    ノし   `丶、 ー=ミ-JE=-  /
  ヾ=ニ- 彡^ 〃   ,,>、、`''ー-::,,_,,ノ
    ``ー--┬:, ''"~´フ ソ´`7'' ''"´
         ,に (`゙゙´ノ   f^ヽ
        ,ハ    ,ィ'   ,;-ゝ、
        /ミ`ーt!,_,ィ-‐彡''"^ヽ
        /  ヾ::::::::::::::::r''"  ぃ ;} 
       l   t:::::::::::/    ノ /  
       l!   `'T7′   / /

       そ い や っ さ あ!!

マッチョであった。
一人のマッチョが、いつの間にか塔の頂上に立っていたのだ。

Σ('A`;)「…ッ!?」

そして男が頭上のマッチョに気付いた瞬間、脊髄に電撃が走り、脳髄からはドーパミンが溢れ出す。

これだ――と、男は思った。

太陽のように輝く小麦色の光沢に、アルプスに連なる山々のように険しい筋肉の隆起。
その全てをとっても非の打ち所は無い。



100:レースクイーン(アラバマ州) :2007/04/14(土) 00:15:29.29 ID:8EfekdEx0
  
マッチョの美しい筋肉を見て、彼の頭の中を支配していた絶望は一気に消え去ってしまった。
代わりに彼の中を埋め尽くしていたのは、筋肉に対する憧れ。筋肉に対する慈愛。
そして、筋肉に対する希望であった。

('A`;)「……あ、貴方は?」

(`・ω・´) 「私はシャキン――もとい、ゴッド・オブ・マッスル!! まあ、『筋肉神』とでも呼んでくれたまえ」

シャキンは鉄塔の頂上で器用にバランスを取りながら、モスト・マスキュラーのポーズで答えた。
(参考:ttp://club.pep.ne.jp/~mikami1/pose_most-muscular.jpg

('A`;)「あ、貴方が神かッ!!!」

男は、シャキンの筋肉のバルク(筋肉の大きさ)、カット(筋肉ムキムキ度)、
そして、その黄金比とも呼べる均整さに深い感銘を覚えた。

ちなみに、これがボディビル大会における審査対象でもあるので、
読者の良い子のみんなは、この三点を意識して筋トレに励むとよい。

('A`;)「……決めたぜ!! 俺は貴方に付いていく!!」

(;`・ω・)「いや、ちなみにここはどこなんだい?」

('∀`)「筋肉の、筋肉による、筋肉のための世界!! 俺は新たな世界を創り上げるッツ!!」

こうして、新たなる伝説はここから始まった。

第一話 完



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