( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです
- 5: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:06:10.75 ID:yhwcxsEj0
「あれ……ちょ……え? なにこれ? ミスッたモナ?」
その声の主は、360度に広がる白い雲の上で胡坐をかいていた。
その瞳は瞑られ、まるで瞑想をしている様なそんな画だった。
「ちょっとちょっと、なんでバラけてんの?
ん……蘇生の必要がある奴もいるモナー……
うわぁ……面倒くさいってレベルじゃねーモナー……」
ため息をついて上を見上げる。
そこにはこれ以上ないくらいの青の景色が広がっているのだが、
目を瞑っている彼はそれを見ることはない。
「……行かなきゃしょうがないモナー……
……いや、声だけ届ければ……もうそれでいいモナー」
そう言うと、彼はその場から忽然と姿を消した。
( ^ω^)空気がクオリティを育てるようです 〜〜帰還編〜〜
- 7: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:08:03.72 ID:yhwcxsEj0
(;^ω^)「な、なんだお…ここは……」
辺りを見回すと、一面白だらけの異様な光景だった。
足元を見ても、上を見上げてもそこにはただ白、白。
自分が地面に足を着いているのかすら分からず、浮遊感すら感じた。
(;^ω^)「一体どうなってるんだお……」
あの世界を救い、元の世界へ帰れるはずだった。
ところが、これだ。
夢だと思いたい所だが、直感的にここも異世界なのだとブーンは理解した。
(;^ω^)「とにかく、ペニサスおばあちゃんと……あとシャキンさんも探すかお……」
元々違う世界の住人である二人が、この世界に来ているかは定かではないが、
とにかく他にやる事がない以上、そうするしかない。
もしかしたら、この世界には自分しかいないのではないか。
二人は無事元の世界に帰れて、自分だけが何らかに不具合でこの世界に飛ばされてしまったのではないか。
そう考えるとブーンは急に不安を感じた。
- 11: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:10:30.68 ID:yhwcxsEj0
ξ#゚听)ξ「だからどこなのよ!! ここは!! そこの人は誰なのよ!!!」
('、`*川 「私はペニサスって何度も言ってるじゃない
それに私はこの世界の住人でもないし、ここがどこかなんて知らないわ」
( ´_ゝ`)(糞……このばあさんさえ居なかったら俺とツンは二人っきり……)
ξ#゚听)ξ「あーもうわけわかんない!! 帰れるんじゃなかったのよ……」
物に八つ当たりしようにも、何もないこの真っ白の世界ではそうもいかず、ツンは唯苛々としていた。
('、`*川 「それよりブーンちゃん知らない?
無事に帰れたのならいいんだけど……」
ξ#゚听)ξ「知りません!」
('、`*川 「そう……。ありがとう。
……それより貴方も不安なのは分かるけど、そうしかめっ面してちゃ駄目よ?
せっかくの綺麗な顔が台無しじゃない」
ξ*゚听)ξ「べ、別に綺麗なんかじゃないわよ…そ、それより早く元の世界に帰れる方法を見つけましょう。
きっとこの世界も脱出出来るはずよ」
( ´_ゝ`)「脱出っていってもなぁ……」
('、`*川 「そうねぇ……」
ため息が三つ重なった。
- 17: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:12:20.95 ID:yhwcxsEj0
(´・ω・`)「クク……全くこうも理解を超えた事が続くかね」
薄く口を開き、癖になった笑い声を洩らす。
『理解を越えた』という言葉は何もこの異様な空間だけに向けられたものではない。
ショボンがここへ来ると間もなく、突如その空間に筋骨隆々の男が現れた。
次いで、どこか焦点のずれた目をした女性が現れた。
ショボン自身、超常現象などを信じる性質ではないが、
目の前で起こる数々の現象が幻だとも思えなかった。
(`・ω・´) 「ここは一体どこなんだ。……いやそれにしてもここでも私の大腿筋は美しい……」
そう言って男はうっとりしながら自分の全裸の肉体を眺める。
(*゚ー゚)「あはっ…あはははははははっはは!!」
そして先程から意味不明な基地外発言を繰り返している女。
ショボンとシャキンが彼女に名を聞いても彼女に言葉は全く伝わらなかった。
(`・ω・´) 「まったく……一刻も早く筋肉教を広めないといけないというのに」
喚く基地外女と、嘆きながらも筋肉を愛でる事をやめない男。
その二人を見て、ショボンは呟く。
(´・ω・`)「クク……人も世界も狂ってる……」
- 20: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:14:18.14 ID:yhwcxsEj0
(;-∀-)「……」
モララーはなるべくその光景を見ないように努めていた。
両手で耳を塞ぎ、それから洩れてくる声や音を聞かないようにした。
しかし、両手が塞がっている以上、匂いだけはどうにも遮断することが出来なかった。
(*'A`/ ,' 3 「アッアッアッー」
淫らな喘ぎ声とともに連結したそれは激しく上下し、前の男は汁を、後ろの男は汚物を撒き散らす。
モララーが何を言おうと、全く聞かず、連結した二人は完全に自分達だけの世界に入っていた。
その二人にとっては、最早、世界など必要ないのだ。
(;-∀-)(ツン君やショボン君はどこへ……?
それに何なんだ、彼らは?……この異世界の住人か?)
モララーはそう考える。
しかし、答えは違う。性行為を行っている彼らもまた、この真っ白な異世界に飛ばされたのである。
(*'A`)「イッ……」
/ ,' 3 「駄目だ! まだだ! まだ終わらんよ!」
果てそうになる後ろの男を、前の男がそう窘める。
その言葉自体がますます後ろの彼を刺激する。
モララーはひたすら五感を閉じた。
- 25: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:17:22.93 ID:yhwcxsEj0
「えー、テステス。聞こえるモナー?
とりあえず、この世界にようこそモナー。
それぞれ前の異世界では大変お疲れ様モナー。
ちょっとした手違いで、バラバラになったり死んだ仲間も居るだろうけど
全員無事だから安心してほしいモナー。
さて、ここからが本題モナー。
今から皆を元の世界に戻すモナー。
方法は、それぞれが自分の世界に戻りたいと強く願うだけでいいモナー。
もし……自分の世界に戻りたくないという者がいたら、
そう願えば元の世界には戻さず、望む世界に飛ばしてあげるモナー。
以上。……あ、言い忘れてたモナー。
何故、君達が別世界に飛ばされたのか……それは……あ、やっぱいいモナ。
以上」
- 29: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:20:32.62 ID:yhwcxsEj0
その声が聞こえなくなってから、最初に口を開いたのはツンだった。
ξ゚听)ξ「……今の……何?」
そう問うツンも、問いかけられたペニサスもまた唖然としていた。
('、`*川 「……神様って本当にいらっしゃるのねぇ……」
(;´_ゝ`)「何? 望む世界にも行けるの? 」
ξ゚听)ξ「……らしいわね」
歓喜の声を挙げる兄者をよそ目に、ツンは考えていた。
もし、先程の声が本当に神様のもので、こうして異世界に誘ったのも神様の力に
よるものだと考えると、自分の望む世界に飛ばすというのも嘘ではないだろう。
だとしたら、それは素晴らしい事なのではないかと。
('、`*川 「で、帰りたいって願えばいいのかしら?」
ξ゚听)ξ「え?」
(;´_ゝ`)「えぇ?」
('、`*川 「あら、貴方達は帰らないの?
私は迷う余地なんてないけど…」
あっけらかんとした表情で言う。
- 32: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:23:17.41 ID:yhwcxsEj0
ξ゚听)ξ「……望む世界に行けるのに?」
言いながら、ツン自身も『自分が望む世界』を明確に想像出来ない事に気付いていた。
('、`*川 「私の望む世界は元の世界だから。
今回の事で、どれだけあそこが大事な場所が分かったわ」
( ´_ゝ`)(なんという真面目……これは間違いなくいいおばあちゃん……)
それにね、とペニサスは続ける。
('、`*川 「私には帰りを待ってる人が居るのよ。貴方達にも居るでしょう?
だったら帰らなきゃ」
ξ゚听)ξ「そう……ですね」
待っている人が居る――ツンはそう言い切るペニサスを羨ましいと思った。
ξ゚听)ξ「……私も帰ります。待ってくれている人がいるかは分からないけど」
本当の所、一時はもう二度と元の世界に戻る事はないのだと思った。
元の世界の人達にももう会えないのかとも思った。
そして元の世界には自分など要らないのではないかと。
('、`*川 「居るわよ。きっとね」
そんなツンの頭をペニサスは優しく撫でた。
- 38: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:25:38.20 ID:yhwcxsEj0
その様子を無言で眺める男が一人。
( ´_ゝ`)(ツンも帰るのか……まぁ仕方がない。
どうせ俺の望む世界にはもっとレベルの高い女が沢山いるだろうしな……)
兄者に帰る気は更々なかった。
望む世界と聞いたら、そりゃもう、えぇ。
('、`*川 「貴方も帰るわよね?」
(;´_ゝ`)「え、えぇ、もちろん」
たじろぐ兄者にツンが訝しげな目を向けたが、兄者が問い詰められる事はなかった。
('、`*川 「じゃあ皆で祈りましょう。えっと、目を閉じた方がいいのかな……」
ξ--)ξ「……」
ペニサスとツンが目を瞑り、兄者もそれに習って目を瞑る。
だが、二人と違って、兄者の願いはあらぬ世界に向かっていた。
そして、間もなく三人は奇妙な浮遊感に包まれた。
二人の心は元の世界へ。
残りの一人の心はめくるめく淫乱な世界へ……のはずだった。
( ´_ゝ`)(あ……予約してたエロゲ取りにいかなくちゃな……)
三人は元の世界へ帰った。
- 41: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:27:59.28 ID:yhwcxsEj0
(´・ω・`)「ククク……これでいいはずだ」
そう言ってショボンがしぃを抱え起こす。
しぃは先程までとは打って変わって、意味不明な言葉を叫ぶこともなくただ立っていた。
それでも目は相変わらず焦点の定まらない様子だった。
(*゚ー゚)「ワタシ……カエル……カエル……カエル……」
繰り返しそう呟くと、次の瞬間、しぃはその場から消えた。
(´・ω・`)「クク、上出来だ」
(`・ω・´) 「ほう。一体何をしたんだ? 良かったら是非教えを乞いたい」
興奮気味の大胸筋を手で押さえながら、シャキンが言う。
(´・ω・`)「ちょっとしたマインドコントロールさ。
さて、僕も帰らせてもらうとしよう……」
(`・ω・´) 「もう帰るのか。惜しいな、その筋肉をもう少し見ていたかったが」
シャキンがその言葉を言い終えると、既にショボンは消えていた。
(`・ω・´) 「……それほど元の世界に帰りたいようには見えなかったが……
おっと、そろそろ帰らねば。筋肉教を広めなくてはならないからな」
- 46: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:30:12.89 ID:yhwcxsEj0
『もう終わりだ……』
荒巻は低く重みのある声ではっきりとそう言った。
それでも離れないドクオを強引に自分の身体から引き剥がすと
荒巻はもう一度同じ言葉を繰り返した。
('A`)「えらく冷たいんだな……」
/ ,' 3 「大人になれ……」
その二人から少し離れた所では、モララーが元の世界に帰ろうとしていた。
(;-∀-)(早く帰るんだ……一刻も早くこいつらから離れないと……)
元の世界に戻る。
その事を誰よりも願ったのはきっと彼だろう。
そしてすぐ彼はその場から姿を消し、特に何もなく、望み通り元の世界へ帰った。
('A`)「帰るのか……元の世界へ」
/ ,' 3 「あぁ……」
誰が見ても分かるほど、ドクオは落胆していた。
荒巻はそんなドクオをやれやれという表情で見ると、自らの臀部をドクオに向けて突き出す。
『これが最後だ……』
荒巻のその声は低く重くも、暖かみのある響きだった。
- 52: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:32:18.90 ID:yhwcxsEj0
(;^ω^)「お?……お?」
神様とやらの声を聞いて、まず思ったのが
ペニサス達が無事で良かったという事。
そして、次に一刻も早く元の世界へ帰りたいという事だ。
しかし……
(;^ω^)「なんで帰れないんだお!!」
何度願っても、一向に帰れる気配がなかった。
元の世界へ帰りたいという心に嘘偽りはない。
それでも神様はブーンを元の世界に帰してはくれなかった。
(;^ω^)「何が悪いのかお……」
ポーズを変えてみたり、口に出してみたり……
試行錯誤を繰り返しても全て無駄に終わった。
(#^ω^)「グッ……。神様さぼってんじゃねーお!早く帰せお!」
ブーンが神様に悪態をついた時だった。
- 59: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:34:28.51 ID:yhwcxsEj0
(#´∀`)「さぼってんのはテメーだろがモナー! 何してんだよ、グズが!!」
( ゚ω゚)「ぶッ!……」
(#´∀`)「全く……神様に向かってなんつー口の利き方モナー」
突如、ブーンの目の前に現れた男。
それっぽい格好はしているが、お腹はでっぷりと出ている上、
神様とは思えないほど怒っていた。
(;^ω^)「あ、貴方が神ですかお?」
(#´∀`)「そうモナー。もうお前以外全員元の世界に戻ったモナ」
(;^ω^)「ちょ……早く僕も戻してくださいお」
自称神様はそこで一つため息をついた。
( ´∀`)「……言ったモナ? 願えば勝手に元の世界に戻るモナ」
(;^ω^)「ええ? 願っても何も起きませんお……」
( ´∀`)「だから、君はクオリティが足りないんだモナ。
そんなんじゃこの先ニート間違いないモナ」
- 63: 電話番(兵庫県) :2007/04/15(日) 20:37:05.70 ID:yhwcxsEj0
(;^ω^)「クオリティ……かお?」
( ´∀`)「そうモナ。君はここに来る前の異世界で何をして、何を得たモナ?」
(;^ω^)「えっと、世界を救おうとして……それから……」
( ´ω`)「あまり役に立たなくて……かなり空気で……それでも周りは優しくて……」
(;´∀`)「ちょ……回想で凹み過ぎモナ。君が悪いのはそこだモナ。
空気がなんだモナ。実際ちゃんと世界を救ったモナー」
( ´ω`)「……」
( ´∀`)「あの世界の人達から、感謝されてたモナー。
お疲れ様って言って貰えたモナー。
だったらそれでいいモナ。空気じゃないモナー」
( ^ω^)「……」
( ´∀`)「……もう一度聞くモナー。
君は元の世界へ帰りたいモナ?」
その瞬間、ブーンは自分の身体が軽くなったのを感じた。
( ^ω^)「僕は……」
そして、空気が動いた。
( ^ω^)エアーがクオリティを育てるようです 〜〜帰還編〜〜 おわり
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