( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです

391: 高校教師(愛知県) :2007/04/15(日) 22:52:00.51 ID:2hpDFT3t0
  


      エアーがクオリティを育てたようです

( ^ω^)ブーンが巨大ロボットに乗り込んだようです編
  
           第四話外伝 後編



397: 高校教師(愛知県) :2007/04/15(日) 22:54:21.77 ID:2hpDFT3t0
  

瞬間、まぶたを貫くような強烈な光。

体を包む重力が無くなり、空を飛んでいるような感覚をブーンは憶える。

しかし、それもほんの一瞬。
気が付けば、ブーンの体は格納庫内の通り道にあった。

( ^ω^)「おっ……」

ブーンはすぐさま辺りをきょろきょろと見回す。
そこには忙しなく動く作業員の姿があり、そしてダイヴィッパーも確かに存在していた。

ポケットから携帯電話を取り出し、ブーンは表示を確認する。
時間はブーンが消えた時から、一分も経っていない。
“この世界”にとっては一瞬の出来事だったのだと、ブーンは理解した。

( ^ω^)「……」

――だから、君はクオリティが足りないんだモナ――

異世界からの去り際に聞いた、神からの苦言。
思い起こせば、自分は神様と会話したんだなどと、ブーンは不思議な感覚にも陥る。

( ^ω^)(……これから、もっともっとクオリティが必要になるんだお)

ブーンにとっての本当の敵。
それは、異世界で戦ったあの屍よりもっと強大で、凄まじい力を持っているはずである。
この世界を破滅に導かんと、どんな手を使ってくるか想像もつかない相手だ。
今までにない苦戦を強いられることは間違いない。



402: 高校教師(愛知県) :2007/04/15(日) 22:56:46.50 ID:2hpDFT3t0
  

だが、ブーンはそれでも勝たなければならない。
大切な人達を、守らなければならない。

不安はないのかと聞けば、それは大き過ぎる程だ。
異世界でも、ダイヴィッパーとブーンだけでは戦いに勝つことはできなかったかもしれない。
ペニサスにシャキン、そして異世界の人々がいたから。頼れる仲間がいたから、あの戦いは勝てたのだ。

もちろん、この世界の人々も、それと同じぐらい頼りになる仲間である。
だが、それと同時に、ブーン自身がどれだけ戦えるか。
それが、とかく重要な要素となってくるだろう。

一緒に戦ってくれるドクオの存在もあるが、それに頼り切るわけにもいかない。
むしろ、ドクオを補って余りある程のクオリティが、今後は必要になってくるはずだ。

( ^ω^)「……世界を救った、かお」

ブーン自身にあまり実感はなかったが、それが紛れもない事実であることは確かだ。
神は異世界の顛末については教えてくれなかったが、ブーンは不安などは感じていなかった。
あの人々ならば、必ず輝かしい未来が作れるはずと……そうブーンは確信していた。

( ^ω^)「……一つ救うも、二つ救うも同じだお!」

自分に言い聞かせるように、ブーンはそう力強い言葉を口にする。
それが空元気であることは確かだ。
だが、決して弱音を吐いてはいけないのだと、ブーンは思った。

誰でもない、自分がこの世界を守らなければならない。
自分の世界は、自分で守らなければならない。
そして、この世界はそれに見合う価値があるのだと、ブーンは思った。



407: 高校教師(愛知県) :2007/04/15(日) 22:58:26.59 ID:2hpDFT3t0
  
( ^ω^)「ダイヴィッパー……」

ブーンは作業の続けられている自らの愛機を見つめ、その名を呼ぶ。
ささやくような小さな声でも、それはすがるようなものではない。
その声に込められたのは、その真逆の思い。決意のようなものだ。

( ^ω^)「一緒に救うんだお……この世界を」

鋼の愚神は、何も答えない。
だが、ブーンはその名を口にする度、ダイヴィッパーが力をくれているような気がした。

一人と一機は共に戦い、共に死線を越えてきた。
もはや、ブーンにとってダイヴィッパーは掛け替えのない存在、もう一人の自分のようなものである。
人機一体。そのイメージで動かすからか、その間には人と機械を超えた、強固な絆が存在していた。

( ^ω^)「……さて、と」

ブーンは視線をダイヴィッパーから、レストルームの方へと動かす。
中の様子は見えないが、ドクオが空の缶を持ってぼーっとしている姿をブーンは容易に想像できた。
丁度良く、ブーンの腹の虫もその活動を再開する。

ブーンは異世界でのことをドクオに話そうかとも考えたが、どうせ信じてはもらえないと考え直した。
それどころか、きっと「中二病乙」などと馬鹿にされる。この世界のドクオならそうするだろうと、ブーンは思った。

( ^ω^)「……空気じゃ、ないんだお」

最後にそれだけ、静かにそう呟き、ブーンは目の前を歩き出した。


第四話外伝 完



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