( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです
- 494: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:19:52.09 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「ククク、やっぱり君は育ってきた環境が随分と違うね、さっきまでと言っている事がまるで正反対じゃないか。
大方どんな都合の良いいい訳も通用するような環境で、さぞ甘やかされてきたんだろうね?」
ξ#゚听)ξ「そういうアンタこそ随分と他人が信じられないようでお気の毒なこと!
せっかく協力してやろうって気になったっていうのにさ!」
( ・∀・)「二人とも、とりあえず落ち着こうよ」
ξ#゚听)ξ「何よアンタこそ元公安だなんて言っておきながら相手が殺人者って分かった途端に萎縮しちゃってさ!
あーヤダヤダこういう自分の都合だけで権利を振りかざすヤツは本当嫌だわ!」
(´・ω・`)「随分と的確な自己分析が出来ているじゃないか、クックック」
この二人は二言目にはこうやって皮肉のぶつけ合いだ、モララーは一人頭を抱えた。
そもそもハナから協力できる気などしなかった。
何だこのメンバーは、どうして自分が一人躍起になって協力しようと努めなくてはならないのだ。
どうして自分が頑張れば頑張るほど空回りして、結果は望みから遠退いていくのだ。
モララーはこれでも多くの世間を揺るがすような事件を担当してきた。
しかしモララーに相応の実力が備わっていたかと言うと、正直な所疑わしい。
と言うのも、上司にその熱意がかわれ、現場に借り出される足の一本としてがほとんどだったのだ。
彼自身確かに目を見張る実力は無いが、他から頭一つ抜け出した熱意に行動力を持っていた。
熱意、正義感、それらがあれば対等に渡り合えると思っていた。
- 495: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:21:52.62 ID:JxlIAxi70
- だが、様々な事件を手がけるうちに大きく気付く事があった。
そう、熱意があって実力の無い人間は高が知れているのだ。
結局は熱意がなく実力だけある者のアゴで、都合の良いように使われるばかりなのだと。
局で「便利屋さん」と揶揄されているらしいがなるほど、上手く考えたものだ。
そして気付いたら自分は下からも良く思われていなかった。
当然だ、実力もなく熱意だけで上へ登った人間など下からは媚を売っているようにしか見えないに決まっている。
同じように実力がなく、その上熱意すら持たぬ者の僻みを常に背後に感じざるを得ないのだ。
上司のケツに、尻尾を振りながら付いて行くばかりの犬のように映っていたのだろう自分は。
まったく、世の中は実に理不尽なものだとヒシビシと感じた。
躍起に頑張る人間、愚直な人間、奇麗事だけをつらつらと並べる人間とはえてして嫌われるものなのだ。
(;-∀-)(まったく、嫌になってくるよ……いい加減にさ)
一際大きなため息をつく彼の横でツンとショボンは口喧嘩をし、兄者はいよいよパンツ一丁にまでなっていた。
モララーが黙った事を皮切りに不穏な空気が漂ったか、ショボンとツンも口喧嘩を収束させ、静寂がその場を包む。
(;´_ゝ`)(あれ、ヤダ何気付いたらこの空気?
オレのせいだよねそうだよ男のストリップなんて誰も見たくないに決まってるじゃないか俺のバカ、氏ね!)
大丈夫です誰もアナタの事なんて見ていませんから。
- 498: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:23:56.69 ID:JxlIAxi70
- (;´_ゝ`)「あ、ハイ! 先生ッ!」
ξ#゚听)ξ「うん!?」
(;・∀・)「なんだい……」
咄嗟に挙手して意見を提示しようと試みるが、その不穏の空気では怪訝されただけだった。
存在をアピールしたいだけだったがまさかのしっぺ返しだ、ここで「言いたい事忘れました」などと言ったら殺される。
(;´_ゝ`)(ヤバイヤバイヤバイ、何でこんなに皆殺気立ってるの!?
ってか何か考えないと、このままだとあの世で死ぬようですだよマズイって!!」
兄者は蜘蛛の巣が張り巡らされているだろうその脳を力の限り活性化させ、
彼の出来るだろう最高のアイデアを捻出し、提案した。
(;´_ゝ`)「トマトを栽培しよう」
ξ゚听)ξ
( ・∀・)
(´・ω・`)
それまでとはまた違った、それでいてより緊迫した不穏な空気が漂った。
ヤルかヤラれるか、言葉など不要、殴って会話するしかないだろう空気が。
- 502: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:26:03.49 ID:JxlIAxi70
- 兄者の脳裏に走馬灯が駆け巡った。
遊女として名を馳せエロゲ町の女帝とまで謳われた父者、「引っ越し引っ越し」と叫びながらの布団叩きが日課だった母者。
変態へと開花した弟者に変態店長、変態会長に変態つとむちゃん。
(;´_ゝ`)(あれ、オレの人生マジでやばくない? 走馬灯っていうか地獄絵図じゃないコレ?
誰かいただろ、ほら、可愛い小学生で名前なんていったけ……つとむじゃなくて、えっと……)
走馬灯ですら変態の百鬼夜行となった兄者は、次こそは普通の人間になりたいと神に誓った。
(´・ω・`)「……うん、なるほどね、それはいいアイデアかもしれない」
( ・∀・)ξ゚听)ξ( ´_ゝ`)「……え?」
突如頷くショボンに、(兄者含め)三人は驚きの目を向ける。
トマトだぞ、あのスカトロの象徴ともいえるトマト神だぞ良いと思っているのか。
(´・ω・`)「さすが兄者だね、よく考えたものだ。
いやしかし他の二人には通じていないのか」
何か勝手に納得していらっしゃるようで。
兄者は既に聞き手に回っていた。
- 504: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:28:14.99 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「つまり兄者は、ここで共同生活をしようと提案したのさ。
ここに残るにしても、住処は必要だ。協力するとしても絶好の条件じゃないか」
( ・∀・)「なるほど、様々な事を協力して行っていくのか!
協力したい人間はそこで行動すれば良いし、そうでない人間にしてもそういった場が出来るのはありがたいと」
ξ゚听)ξ「鬼才ktkr!」
(;´_ゝ`)(なんかよく分からんけど汚名返上、俺GJ)
(´・ω・`)「いいよ、僕は兄者の考えに免じてその条件下なら乗ろうか、協力するしない関係なくだがね」
( ・∀・)「自分は当然おkだよ、いずれにしてもしばらくこの世界にいる必要はありそうだしね」
ξ゚听)ξ「私も帰れるのなら……仕方なくだけどね」
( ´_ゝ`)「俺は提案者として当然賛成だ」
互いに手を重ね、奇妙な団結の元、円陣でそれぞれがまばらに気合を上げた。
ξ--)ξ「それでなんでアンタパンツ一丁なのよ」
(;´_ゝ`)(ktkr! もっと罵って、もっともっと!!)
- 512 名前: すずめ(dion軍) [BGMチェンジ] 投稿日: 2007/04/11(水) 21:32:50.27 ID:JxlIAxi70
- (;´・ω・`)(;´_ゝ`)(;・∀・)「どおおおりゃあああああ!」
ドオォォン......
太陽が昇っても依然として暗みの残るそこで、男たち三人が一斉に力を込め、転がっていた大木を一気に立ち上げた。
モララーがすぐに紐を出して、近くの木々とそれを結び固定する。
そしてそれらの間にシートを被せ、小さく簡素ながらにも立派なテントを作り上げた。
ξ゚听)ξ「お疲れー」
テントを張る事でまた一段と空からの光は遮られた。
昼にも拘らず、ツンは昨晩に起こした焚き火をしっかりと燃やし続けていた。
(;´・ω・`)「やれやれ、慣れない事はするもんじゃないね」
(;´_ゝ`)(普段からもっと筋トレしとけばよかったぜ……絶対今のはオレ以外の二人の力だよな。
自慰行為だけでいい汗かいたなんて満足している毎日だったからな……)
(;・∀・)「まあまあ、ショボン君もここでやっていくなら住処はいずれ必要だろうし。
それよりも、次は役割分担して少しづつ必要な物を揃えていこう」
今までの確執はどこへやら、意外にもまとまり、協力できている自分たちにモララーは再び気持ちを持ち直した。
諦めてはいけない、自分こそが頑張って皆を協力へ導かないと。
( ・∀・)「それで、火の番を常に一人準備するとして残りでそれぞれ動いて……」
(´・ω・`)「その辺りは勝手にしてくれ、僕はそこまで手伝う義理はないね」
ああ、やっぱり協力できていると思ったのはまやかしか。
直後にこんな反応が出てくるものだから相変わらず分からないメンバーだ。
- 513: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:34:55.83 ID:JxlIAxi70
- ξ#゚听)ξ「アンタ、この期に及んでまた……本当一人だけ意地張っちゃってバカみたい」
(´・ω・`)「意地の一つも持たずに都合の良いほうへ靡いていく君なんかより、芯があってよっぽど良いだろう?」
(;-∀-)「あー、あー……」
言い合っていてもなんら進展など望めない、いい加減にしてもらいたいものだ。
とりあえず当面はこの二人を引き離し、どちらかと自分か行動するほうが良いだろう。
(´・ω・`)「ククク、僕はキミ達とあいあいと協力をするつもりなんてないね、一人散歩にでも行った方がマシだよ」
( ・∀・)「それじゃどうぞ」
モララーが長いリボンと小さなナイフを手渡す。
(´・ω・`)「?」
( ・∀・)「リボンは木にでも少し結びつければ良い目印になると思う、迷わなくて済むと思うよ。
ナイフはリボンを切るのに使ってもいいし、直接木を切って目印作るのにも使えると思う」
ξ#゚听)ξ「モララー、ちょっとアンタ何及び腰になってんのよ!」
(´・ω・`)「クックック、これは随分と利口で無い行為だね。
ナイフってのは近接戦に便利で、1動作で頚動脈を切ることだってできる。
この状況下では銃にも増して危険なんだ、それが分からないわけじゃないだろう?」
ショボンが実際にナイフをちらつかせると、背筋が一瞬で凍りついた。
ただその一動作で腰が抜けそうになる程異常に不穏な空気が漂う。
- 516: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:36:58.92 ID:JxlIAxi70
- やはり彼は殺人者なのだ。
彼を信頼してはいけないのだ、そう思わせるには十分だった。
(´・ω・`)「殺人者相手に、易々とこんなものを持たせていいと思っているのかい?
愚行甚だしい、今なら返すが……どうする?」
あえて質問する辺りショボンの意図は読めない。
どうすると聞かれても、返せと言ったら返すのだろうか?
ξ;゚听)ξ「ほほら、やっぱり何よ裏切る気でずっといたんでしょうずっとずっと!
私達今殺されるわよ今、殺されたら分かる、分かるわアンタのせいよ!
ふざけないでよ、どうして敵に塩を送るのよ、バカじゃない!?」
(;-∀-)「愉快犯じゃあるまいし、殺す気なら既に僕らは殺されているよ。
ナイフは別に今返してもらわなくても良いよ、自由に散策してきた後で良いや」
(´・ω・`)「まぁそうだが、いつでも殺せたよ冗談でなく……ククク」
そう言いながら、ちらつかせたナイフをクルクルと手馴れた様子で回す。
先ほどまでの殺意は一気に消え去った、これが『殺人者』の極意なのだろうか、大したものだ。
(´・ω・`)「それで好きにしてくれとは面白いじゃないか、僕に自由を与えて仲間意識を芽生えさせる気かい?
それとも僕の良心でも呼び覚まそうと企んでいるのかな?」
( ・∀・)「残念ながら僕はそんなに打算的に動ける人間じゃないよ。
ショボン君には、これから必要になるだろう水源の確保を頼みたい。
湧き水、川、湖……見つからなかったなら見つからなかったで良いよ」
言ったモララーに、ショボンは肩をすくめて見せた。
- 518: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:38:58.30 ID:JxlIAxi70
- (´・ω・`)「やれやれ、結局報告義務は僕の良心次第じゃ無いか、参ったね。
いいよ、だったらそれで手を打とうか、君の発想や言い回しに免じてね……クックック」
何がそんなに面白いのか、ショボンは笑いと供に一人暗闇へと足を進め、すぐにも見えなくなってしまった。
気難しい相手だと、モララーは大きくため息を吐いた。
そして、一応ツンを見張る意味でも一緒に行動をした方がいいかと頭を切り替える。
( ・∀・)「よし、それじゃとりあえず昨日からほとんど食事していないからね、僕の持っているお菓子だけじゃ辛いだろう。
果物なんて都合の良い物は無いだろうけど、なにか食料を探しに行く事にするか」
ξ゚听)ξ「だったら私付き合うわよ?
食用の草なんかの知識なら若干あるし、実際調理して食べた事もあるから」
ツンの方から声をかけられ、願ったり叶ったりだ。
それよりも思わぬサバイバル魂に驚かされる、どういった人生を歩んでいるのか知らないが、かなり波乱万丈なのだろう。
( ・∀・)「それじゃ兄者君、ツン君と一緒に食料探しに行って来るよ、火の番を頼めるかい?」
(#´_ゝ`)(何いいぃぃ二人でお出かけだとおおぉぉ!!!1 許すわけ無いだろうこのヤロウ!)
ξ゚听)ξ「兄者、ちゃんと消えないように気をつけておいてよ?」
(*´_ゝ`)「はい」
(#´_ゝ`)(ちくしょう、あのモララーとかいうヤツ……許すまじき!!)
- 526: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:43:30.62 ID:JxlIAxi70
予てから承知していたとはいえ、森の中に入り込むと想像を遥かに絶する闇が待っていた。
改めてこの森の深さを感じる、ぬかるむ足元は太陽を知らない地面なのだろう。
草木が生い茂っている事は分かるも、その一つ一つをしっかりと見分ける事は困難だった。
( ・∀・)「うーん、参ったねこれは。中々難易度が高そうだ」
ξ#゚听)ξ「ちょっと、待ってよ足元滑るから全然進めないじゃない、置いてかないでよ!」
( -∀-)「はいはい」
モララーは返事をしながら、木々に目印となるリボンをくくりつけていく。
この暗闇ではカラフルなそれも、マーキングの意味をほとんどなさない。
木の枝を切っては、それを進行方向に沿って地面へと突き立て目印にしておく。
リボンと木枝、こうまですれば流石に大丈夫だろう。
(;・∀・)(それにしても、こうまで暗いと探し物もおちおちしてらんないよ……)
足場が悪くなり、離れないようにツンの手を取って先へ先へと誘導していく。
しばらく歩くと、とうとう光が差し込む空間が見えた。
( ・∀・)「お、運が良いね、あそこで一息ついて、食用の植物を探そうか」
ξ゚听)ξ「うん、賛成」
- 527: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:45:26.86 ID:JxlIAxi70
- 上からの少しの光が降り注ぐそこは、辺りよりも草木の育ちが良いようで背丈を越える無数の雑草が行く手を遮った。
来た道の印も兼ねて草を踏み分け、簡易な獣道を作り上げる。
そして二人して周囲にある様々な雑草を調べだした。
(;・∀・)「……うーん、やっぱりよく分からないや僕には」
ξ゚听)ξ「いいわよ、大体私が分かるし」
ツンはそう言いながら、葉っぱを千切っては噛んで顔をしかめる事を繰り返していた。
そんなに分かるものなのだろうか、モララーも試しに雑草の一つを噛んでみたが、植物独特の重い苦味に吐き気がした。
ξ゚听)ξ「いいから、私に任せておいて。
多分これは食べられると思う、見た目もそうだし、噛んだ感じ大丈夫そうだった」
(;・∀・)「あー、これかい?」
言われた形状の葉っぱを目印に、雑草をかき分け調べる。
草などでお腹が膨れると思えない、油でもあれば揚げるところだがそれも無い。
ついでにキノコなども探してみたが、とうとう見つからなかった。
それらしい雑草はまずまずの量を手に入れたが、ずっとこれだけ食べ続けていくなんて考えると発狂しそうだ。
ツンはツンで何か別の木の葉を集めていたようだが、モララーは口よりも手を動かすほうに集中した。
帰りは思ったよりも目印が上手く働き、一度も迷う事無く帰る事が出来た。
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