( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです
- 530: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:47:30.50 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「ただいま兄者君、火の番ありがとう」
( ´_ゝ`)「まぁちょろいもんよ、かなり暇だったが」
ξ゚听)ξ「でももうちょっと頼めるかしら?
モララー、ちょっと手伝ってくれる?」
( ・∀・)「うん、なんだい?」
(;´_ゝ`)(あれ、俺会話に入り込めて一言だけ?
ちょっと扱いぞんざい過ぎないかな、被害妄想とかそういう次元じゃなく無い?
いや、きっとこういうプレイなんだな放置プレイってやつか中々キツイな……)
ツンは大きくて平らな石の上に自分の集めた葉っぱを置くと、ナイフを用意した。
そして葉っぱを切断していく。
( ・∀・)「……」
ある程度切断が終わると、次は簡単に擦る。
大雑把に終わらせると、ツンはモララーにナイフを預けた。
ξ゚听)ξ「こんな感じでよろしく」
(;・∀・)「あ、うん……」
言われるがまま、モララーはツン監視の下一つ一つ気長い作業を繰り返した。
- 532: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:49:24.76 ID:JxlIAxi70
- しばらくすると、ツンはモララーの鞄から小さなアルミカップを出してその中に細切れにされた葉っぱを入れる。
そして焚き火にまで持っていくと、火に当ててあぶる。
ξ゚听)ξ「兄者」
(*´_ゝ`)「はい」
ξ゚听)ξ「火種足りないから取ってきて」
(*´_ゝ`)「把握しました!」
腰に命綱を巻いて、すぐにも兄者は駆け出した。
暗闇と一体化してすぐに彼の姿は目視できなくなる。
そしてしばらく無言の空間が漂った。
( ・∀・)「……あの」
ξ゚听)ξ「ん?」
( ・∀・)「もしかしてこれ、お茶?」
ξ゚听)ξ「そんな感じ、あまり美味しく無いだろうけどね」
互いに手を止めることなく話し合う。
- 535: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:51:19.58 ID:JxlIAxi70
- ξ゚听)ξ「私が作るのは久しぶりだしね、大抵任せっきりだったし」
( ・∀・)「ああ、元の世界での話か……良い仲間がいたんだね」
ξ゚听)ξ「冗談よして、あいつ等なんて駒としても立派に使えないわよ。
あいつ等が必死で何かやろうとしても、私が適当にやったほうがよっぽど出来るんだから」
( ・∀・)「……」
ξ゚听)ξ「手、止めないで」
ツンが注意したが、モララーはその手を動かさずに考え込む顔を止めない。
そしてツンの方をバッと向いた。
ξ゚听)ξ「手、止めないでよ」
( ・∀・)「そうじゃないよ、どうして君は仲間にそんな事を言えるんだい?」
ξ゚听)ξ「仲間……本当冗談きついわね、物事一つろくに出来ないアレが仲間だなんて」
( ・∀・)「別に僕は自分たちを信じろと言っているわけじゃ無い、自分のために何かやってくれる人になんて口をきくんだ。
だったらどうして君は現実に帰りたいだなんて言うんだ?」
ξ;゚听)ξ「え……」
ツンの言葉が止まり、表情が固まった。
彼女自身しっかりとそれを考えたりしなかったのだろう、ただよく分からないここから逃げたいというだけで。
そうだ、仮に帰ったとしてその世界は自分を求めているのだろうか?
今まで自分が周りを跳ね除け、必要としなかったから思わなかったが、そもそも自分が周りに必要とされているのだろうか?
- 539: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:53:14.24 ID:JxlIAxi70
- ( ・∀・)「懐かしく思っていないのかい?
自分に気を使ってくれる人、自分のために何かをしてくれる人を懐かしく思わないのかい?
それとも、本当にいなくて清々するなどと思っているのかい?」
ξ;゚听)ξ「私は別に、……!」
( ・∀・)「だったらここに残ればいいじゃないか、違うかい?
分かっているだろう、その仲間達がどれだけ君にとって大切な人達かという事くらい。
いつまで子供のように駄々をこねてわがままを言っていれば気が済むんだ?」
ξ )ξ「……」
まくし立てたモララーに、無言となったツン。
どれだけ自分が我が侭で生きてきたのか、自分勝手気にやってきたのか。
相手を怒りたいがために粗探しばかりしていた現実、それを突きつけられた。
ξ )ξ「……もう、遅いわよどうせ。
現実に戻ったって私なんて必要とされていないわよ。
そうね、私もここでずっと過ごした方が幸せなのかもしれないわね……」
( ・∀・)「大丈夫さ、気にしなくても良いよ、みんな君を待ってくれている」
ξ#゚听)ξ「何も知らないくせに勝手な事を言わないで、何様よアンタ!?
私の事も知らずにさ、私は不必要よ、要らない人間なのよ!」
ヒステリックに自分を不必要な存在としたがる人間は多い。
そういった傾向は、人生において他人を信じられない人間によく見られる。
自分が他人を欺いてきたからこそ、他人が信じられない人間。
- 544: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:55:08.82 ID:JxlIAxi70
- そうだ、結局は誰も信じられやしない。
そして誰から信じられる事も無いのだ自分は。
ξ;凵G)ξ「私なんていなくていいのよ、きっとせいせいしているわ!
何も知らないくせに上辺だけの言葉をつらつら並べてカッコつけないで!」
( ・∀・)「だったらどうして君は……泣いているんだい?」
モララーの言葉にツンは押し黙った。
静かに鼻を啜る音だけがその場に響く。
そうだ、寂しいのだ自分は。
それが悔しいのだ。
今やどんな我が侭を言おうと誰にも相手にされず、怒られる事も無くなってしまった。
いつからだろうこんなに孤立してしまったのは、いつからこんなに寂しくなってしまったのだろう?
ただ自分は怒って欲しかっただけなのかもしれない、随分幼稚な話だけれど。
( ・∀・)「戻ってからは、しっかりと皆の事を労わってあげないといけないね、これまでの分も込めて」
ξ;凵G)ξ「もう……手遅れよ」
( ・∀・)「手遅れなんかじゃないさ、君のどんな我が侭も許してくれた人達なんだろう?
何よりも君がこんなに仲間達の事を思えているじゃないか」
そう言って宥めるモララーの気持ちが通じたか、ようやくツンは涙を止めた。
( ・∀・)「君はこれからがある年齢だ、まだまだ余裕でやり直せるさ」
- 549: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 21:57:03.18 ID:JxlIAxi70
- モララーの見せる優しい笑顔に気持ちを落ち着け、ツンは涙をふいてその目を向け返した。
目つきが鋭いのはどうやら元来のようだ。
ξ゚ー゚)ξ「アンタ……結構良い男じゃない」
( ・∀・)「不思議なもので、よくそう言われるんだけどね。
そのくせここ数年は女ッ気の無い人生だよ、まったくおかしな話だと思わないかい?
気付けばもうすぐ三十路さ、人生は早いものだよ」
ξ゚ー゚)ξ「私が貰ってあげても良いわよ?」
不敵に微笑んだツンに、モララーは頬を引き攣らせて答えた。
(;・∀・)「そうだね、二十歳になったら迎えに来てくれるかい?」
ξ゚ー゚)ξ「そうするわ。"心の主"として迎えに行くから、私のこと忘れたら承知しないわよ?」
どうして女性とは心を許した相手にはこうもすぐ強気になれるのか。
そんなどうでも良い事を考えながら、モララーは作り笑いをより深く刻んだ。
(;・∀・)「なんだかよく分からないが、忘れないようにだけは努めておくよ」
ξ゚听)ξ「あーあー、やっぱり適当な返事しかしないんだから。これだから男って嫌だわ」
まったく、随分な立ち直りようだ。
意外にこの子は強い心の持ち主なんだろう、そう思いながらモララーはずっと苦笑を続けていた。
- 559: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:01:01.38 ID:JxlIAxi70
日が沈む頃、兄者とショボンは帰ってきた。
(´・ω・`)「おやおや、随分とご機嫌そうじゃないか」
ξ゚听)ξ「別に、アンタの顔見たらそんな気分も一気に吹っ飛ばざるを得ないわね」
(´・ω・`)「僕が君に言おうと思っていた台詞まんま言われたね、予知能力かい?」
ξ゚听)ξ「あー、面倒なヤツね本当アンタって。
それよりも水は?」
(´・ω・`)「心配しなくてもどうぞ」
ショボンが掲げた袋には、一杯の水が入っていた。
( ・∀・)「おお、それだけあれば十分だね」
(;´_ゝ`)「俺も火を焚きすぎてカラカラだった」
(´・ω・`)「場所は大体覚えているから水の心配はもう要らないと思う。
それよりも食料の方が心配だね、草食動物じゃあるまいしこの調子なら誰かしら不調をきたすだろう。
お腹をこわすような些細な所から、次第に体調を崩していくことはままあることだ」
( ´_ゝ`)「正直俺限界だな……」
( ・∀・)「とりあえず当面の問題は食料か……打開策があれば良いけどねぇ」
- 563: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:03:00.80 ID:JxlIAxi70
次の日、食料の確保がメイン課題となった。
森を歩き、その全貌を掴み、木の実など栄養価の高い食料を見つけるのが最重要課題だ。
( ・∀・)「それぞれで今日も動こうか、今はそれが重要だと思う。
兄者、また火の番を頼めるかい?」
(;´_ゝ`)「別に良いが……」
(#´_ゝ`)(ち、またかよ……それでオマエは幼女と散策かおめでてーな)
ξ゚听)ξ「あ、じゃあ今日は私もここに残るわ」
(*´_ゝ`)「ktkr!」
( ・∀・)「そうかい、それじゃあショボン君と自分だけで動く事にするよ」
(´・ω・`)「そうするかい」
( ・∀・)「それじゃあとりあえず、水源の位置を教えてもらえるかい?
川があったのかい? それとも湖が?」
二人が話をしながら歩いて行くと、残った二人はのんびりと火を眺めていた。
そしてツンは昨日燻ったお茶葉を取り出すと、水に浸し、また熱する。
( ´_ゝ`)「お茶作りか?」
ξ゚听)ξ「うん、兄者も試しに飲んでね」
(*´_ゝ`)(一番!? まさかオレに一番に飲ませたいがために……いや、絶対そうだ!)
- 567: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:05:04.14 ID:JxlIAxi70
- しばらく熱していると、ようやく水の色が少し緑味がかってきた。
緑も緑、薄緑。
濁ったような印象を受け、パッと見はとてもではないが美味しそうには見えない。
(;´_ゝ`)(……何この魔女の儀式?)
兄者の懸念を他所に、ツンは満足した表情をしながら熱するのを止めた。
そして出来上がったお茶を軽く口に含む。
ξ゚听)ξ「……まぁこんなものね、私が作るの久々だし」
そう言いながら兄者にお茶を渡す。
(;´_ゝ`)「……」
ここで「関節キスktkr!!」とでも叫べればいいのだが、そのお茶の濁り具合に心配が先走った。
眉間に皺を寄せ、おずおずと確認を取る。
(;´_ゝ`)「……飲めと?」
ξ゚听)ξ「うん、良いわよ飲んで」
(;´_ゝ`)「……はい」
覚悟を決めてツンの口跡が残る場所からお茶を含む。
男らしくグイと含んだ。
ξ゚听)ξ「……どうかな?」
- 570: すずめ(dion軍) :2007/04/11(水) 22:07:17.02 ID:JxlIAxi70
- ツンが聞いたが、兄者は眉間に寄せた皺を解こうとしなかった。
そうだ、お世辞でも美味しいとは言えない。
ぶっちゃけ不味い、どうしてこんな飲み物が当然のように飲めるのか、草の味しかしない。
草を飲んで「美味しいです」と言える現代人にお会いできるものなら今すぐにでもご対面したいものだ。
むしろ呼んで来い、いっこく堂呼んで来い。
(;´_ゝ`)(何この罰ゲーム、「美味しい」と言わなきゃいけないの自分!?)
悩んだ挙句、とうとう兄者は最高の作り笑顔をツンへ向けた。
そして一言、「いと美味し」と返す。
兄者が遂に空気を読んだ貴重な瞬間だった。
一瞬にしてパッと広がるツンの笑顔、後ろめたい兄者は苦笑い。
ξ*゚听)ξ「よね、ちょっと生臭いけど十分許容範囲よね。
私も久しぶりで心配だったけど良かった、自信になったありがとう兄者!
よし、モララーたちにも飲ませてあげよ!」
すぐに気合を入れて2杯目を作り出したツンを傍目に、罪悪感に駆られた。
ああ、やはり空気を読み切れなかったのだろうかと。
(;´_ゝ`)(人付き合いって難しいな、俺自信失ってきたわどんどんと)
鼻歌を歌うツンの横で、兄者の苦悩は絶える事なかった。
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