内藤小説
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:30:48.55 ID:S/AYdx4wO
('A`)「というわけなんだ」
(´・ω・`)「………もう既に面倒な事になってるじゃないか」
('A`)「そうだな。ただ…これからもっと厄介な事になりそうな予感がするんだ。だから来たんだ。どうも一人じゃ手に負えない気がするんでね」
(´・ω・`)「なぜ内藤に話さなかったんだい?それに彼が隠している事も気になるし」
('A`)「…これは少なからず昔の事に関係している様な気がするんだ。まぁ……昔の事で一番傷を負ったのはあいつだからな…」
('A`)「それに、俺だって嫌な予感はするが確信があるわけじゃない。わざわざ無用な心配させて傷口をえぐるような事はしたくなかったのさ」
(´・ω・`)「そうか…。だが、傷を負ったのはお前も同じだろう」
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:33:35.85 ID:S/AYdx4wO
- (´・ω・`)「平山という人物が何者で何を目的にこんなことをするかは見当がつかんが、こっちからアクション起こす必要もないんじゃないかい?」
('A`)「…そうかもしれんな。俺の考えすぎかもしれんしな…」
(´・ω・`)「ふむ。しかし、一応聞こうか。君のその考えすぎの頭は、平山の正体を誰だと疑っているんだい?」
('A`)「………昔よくみんなで遊んだよな。毎回俺は約束の時間に遅刻して、それを毎回そいつに咎められた………」
(´・ω・`)「…そうだったな…。口が悪くて、いつも内藤が仲裁に入って…」
('A`)「…彼女とはあれから会ったか?」
(´・ω・`)「大分昔に店に来てくれたことがあったよ。そのすぐ後にも一度来たな」
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:35:57.95 ID:S/AYdx4wO
('A`)「そうか。その時、彼女は何か言ってたか?」
(´・ω・`)「何せ10年近く昔の事だからね。…あぁ、アメリカに行くと言っていたな」
('A`)「アメリカ?」
(´・ω・`)「うん。英会話を学んで、向こうでネット関連の勉強をするとか」
('A`)「ネット関連の勉強…なんだってわざわざネットの勉強なんて…」
信じられなかった。俺たちも彼女もネットに見離され、関わるのも嫌なはずじゃなかったのか?
(´・ω・`)「…きっと悔しかったんだろうね、彼女は」
('A`)「悔しいのはみんな同じさ。だから俺もお前も内藤も自ら姿を消したんだろう?」
(´・ω・`)「彼女が悔しかったのは、自分の事じゃなくて僕達仲間の事だったんじゃないかな?」
(´・ω・`)「自分はともかく、仲間がネットから見離され、忘れ去られていくのが彼女にとってはなによりも耐えがたい事だった」
('A`)「………」
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:38:37.76 ID:S/AYdx4wO
(´・ω・`)「だから彼女は逃げなかった。自分の為じゃなく消えていった仲間の為に。…人間は時として、他の為にこそ強さを発揮することがあるからね」
('A`)「彼女がそういったのか?」
(´・ω・`)「まさか。彼女の口からは正反対の事しか出ないよ」
('A`)「…」
(´・ω・`)「誰よりも仲間思いだった彼女だからね…」
('A`)「…そうか。俺の知らないところで彼女は頑張っていたんだな…。いや、お前もか」
(´・ω・`)「まぁ客は少ないながらも、この仕事結構気に入っているからね」
('A`)「前に進んでいないのは俺と内藤だけか」
('A`)「彼女は何か俺たちに伝えようとしているのか…いやしかし…」
- 71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:40:18.13 ID:S/AYdx4wO
(´・ω・`)「確かに何か変な感じだね。彼女ならこんなくどいやり方しないだろう」
('A`)「そこが引っ掛かる。こう…遠回しに自分の存在を誇示している」
(´・ω・`)「…僕らがここでいくら議論しても彼女の考えなんて分からないんじゃないかな」
(´・ω・`)「もうあれから10年たっているんだ。僕らが知っているあの頃の彼女と変わっていても不思議じゃないよ」
('A`)「…その通りかもしれないな…別に出来ることがあるわけじゃない。俺はただ、平山が彼女なのか確かめたかっただけかもしれん」
(´・ω・`)「…うん。僕だって彼女の事はずっと気になっていたんだ。もちろんキミも内藤の事も」
('A`)「…だが…情けないことに今の俺は彼女に会わせる顔がないな」
(´・ω・`)「皆同じだよ。そうじゃなかったらとっくに皆会ってるさ」
('A`)「ショボン…。お前もそうなのか?」
(´・ω・`)「もちろん。昔のようには生きがたいよ」
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:45:32.64 ID:S/AYdx4wO
('A`)「そうか………ふぅ、飲み過ぎたな。そろそろおいとまするよ」
(´・ω・`)「うん。今日は話せて良かった。またいつでもおいでよ」
('A`)「あぁ。必ず来るよ。今日だって本当はお前に会いたかっただけだしな。勘定してくれ」
(´・ω・`)「今日はサービスにしとくよ」
('A`)「儲からないはずだ…」
ドクオはアルコールたっぷりの腹を抱えてショボンの店を後にした。
- 74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:48:36.62 ID:S/AYdx4wO
- 内藤は夢の中にいた。
( ^ω^)「ここは…………」
懐かしい場所だった。10年前まではここが自分の居場所だと信じて疑わなかった場所
( ^ω^)「これは夢かお…?」
やけに意識がはっきりとあった。それでも気を抜いたらすぐに壊れて、現実に引き戻されるような…そんな夢だ。
ふとどこからか自分を呼ぶ声がした
('A`)「よう内藤」
( ^ω^)「おはようだお」
言葉が勝手に出てくる
('A`)「風邪はどうだ?良くなったか?」
( ^ω^)「ずいぶん楽になったお。ドクオジュースのおかげかもしれんお」
('A`)「俺の精子は美味かったか?」
(;^ω^)「エッー?」
('A`)「バロスwwwwwwwwwwwwwww」
あぁ、と内藤は思った。これは記憶なのだ。記憶を夢として見ているのだ。
- 77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:50:31.90 ID:S/AYdx4wO
(´・ω・`)「やあ、内藤。元気になったようだね」
( ^ω^)「おはようだお、ショボン。ショボンカクテルが効いたお」
(´・ω・`)「あぁ、僕の精子は美味かったかい?」
(;^ω^)「…」
(´・ω・`)「冗談だよ」
二人とも若かった。といっても、ショボンとはあれ以来会っていないから分からないが。
内藤はこういう日常のくだらない会話が好きだった。
- 78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:52:26.84 ID:S/AYdx4wO
- 穏やかで平和で、ずっとこのままで居たかった。あと一人も含めて…
とその時、場面が切り替わった。まるでテレビのチャンネルを変えるように。
そこは真っ暗だった。何もない。闇。何も見えない。そして誰からも見られない。
いつからだろうか。闇を恐れなくなったのは。闇はカーテンだ。あれから、内藤は闇のカーテンで自分を覆ったのだ。
内藤の遥か頭上から光が差し込んだ。ぼっかりと開いた穴。そこに人影があった。逆光で顔が見えない。
その人影が内藤の方へ手を差し伸べた。そしてこう言った
「あたしを連れ出して」
連れ出して?暗闇にいるのは内藤の方だ。暗闇に引きずり込めというのか。いや駄目だ。そんなことは出来ない――――――――
- 79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:53:56.99 ID:S/AYdx4wO
- パッと視界が明るくなった。白い天井。白い布団。白い壁。それが現実のホテルの部屋だと思い出すのに数秒かかった。
結局、昨日はペイチャンネルも見れずに眠りに落ちてしまったのだった。
( ^ω^)「ふぅ、嫌な夢だお。ぽこたんも元気ないお」
( ^ω^)「そういえば最近全然抜いてないお」
時刻は朝の7時だった。普段ならまだ惰眠をむさぼっている時間だ。例の招待状ともいえる手紙が届いてからはなぜか早く目覚める。
( ^ω^)「さて今日はどうするかお」
帰ろうか帰るまいか。どうすべきだろう。正直、早く人の目がない自分の家に帰りたかったがここに残れば何かが起こるような気がした。
( ^ω^)「…まぁペイも見てないし………残るお」
- 80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 17:55:47.27 ID:S/AYdx4wO
(´・ω・`)「これでよし、っと」
ショボンは店内の電気を消しているのと鍵がかかっているのを確認して、外に出た。
(´・ω・`)「さてと…行くかな」
嫌な感じだ、とショボンは思った。昔からこの予感があるときは決まって外出しないよう心がけていた。
(´・ω・`)「行きたくないなぁ…やめようかなぁ………いや………行くか…」
ショボンは一人の時は優柔不断になるのだ。周りに誰か居るときはそうでもないのだが。それに、やると決めてからの手際はピカ一だったが、いかんせん何事にも腰が上がらないのだ。
- 82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:01:10.53 ID:S/AYdx4wO
- その点ドクオは行動力があった。頭の回転も早いし、何より頼りがいがある。内藤は……馬鹿だし、不器用だし、運動神経ないし……
そこまで考えてショボンは少し笑ってしまった。そういえば昔から内藤と関わる人間は皆笑顔になる。だからこそ内藤は皆に愛されていた。
ショボンにもドクオにもないものを持っていた。そしてそれは皆を笑顔にさせる力があった。
だから―――――今度はショボンが助ける番だ。
(´・ω・`)「本当に手のかかる奴だなぁ」
これから必ず何か悪い事が起こる。それはショボンの経験から感じる予感だった。助けなければならない。何があろうと。
(´・ω・`)「でも死にたくはないなぁ。危なくなったらすぐ帰ろうかなぁ」
そう言い残して、ショボンはドアに貼り紙をして店を離れた。
「やぁ、ようこそバーボンハウスへ。と言いたいところですが、しばらく長期休暇をとります」
口から出る言葉とは裏腹にしっかりとした字でそう書かれていた。
- 84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:06:55.62 ID:S/AYdx4wO
( ^ω^)「ふぅ、昼間は人の出入りが多いお。カードなんて買えないお」
内藤はペイチャンネルの番組表をずっと眺めていた。
( ^ω^)「藤沢マリ………見てぇ…」
そんなことを考えてる内に時刻はもう昼に差し掛かろうとしていた。
( ^ω^)「お?昼かお。お昼ご飯食べたいお。どうするかお」
この安ホテルにはルームサービスなどなかった。あるのは3階のレストランだけ。
( ^ω^)「レストラン不味そうだお。…嫌だけどお外で食べるかお」
不思議なことに外出するのが前ほど嫌ではなかった。あの手紙がきてからというもの外に出てばかりだったので慣れたのだろうか。
- 85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:09:01.91 ID:S/AYdx4wO
- ( ^ω^)「外っていっても、ここも昔とは変わったから店とか分からんお」
( ^ω^)「そういえば、ショボンがお店やってるって聞いたことあるお」
( ^ω^)「でも飲み屋だから昼は閉まってそうだが、まぁいいお」
単純にショボンに会いたいという気持ちがあった。昔は彼等から逃げるように姿を消したが、何故か今は会いたかった。
今の状況に対する不安も手伝っていた。ショボンなら何か答えを出してくれそうな、そんな気がした。
( ^ω^)「だが道がわからんお」
仕方がないので、ホテルのスタッフに尋ねて調べてもらった。どうやら分かりづらい場所にあるらしく、地図をプリントアウトしてもらった。
( ^ω^)「今ここだから…わりと近いお。行くお」
- 87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:13:10.49 ID:S/AYdx4wO
- 距離的には十数分歩けば着く………はずだった。
( ^ω^)「…迷ってなんかないお…」
と、その時
ドーン!!!
(@ω@)「ハーイ。ゴメンナサイネ」
( ^ω^)「痛っ。お?」
(@ω@)「ハーイ」
( ^ω^)「馴れ馴れしいお。ぶつかってきてなんだお」
(@ω@)「スイマセーン。急いでマシタ」
( ^ω^)「………」
(@ω@)「……じゃあ…また」
( ^ω^)「待ってお。バーボンハウスの場所知らんかお?」
- 88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:16:05.37 ID:S/AYdx4wO
(@ω@)「バーボンハウス?………あぁ」
( ^ω^)「知ってるのかお?お?」
(@ω@)9m「あ、すぐ近くですよ。ホラあそこ」
( ^ω^)「お?」
内藤が男の指差す方を振り向いた瞬間だった。
ズカーン!!!!!
( ゜ω゜)「はべしっ!」
衝撃が内藤の脳天を貫いた。何か硬いもので頭を殴られた―――。
そう考えた時には内藤は気を失って倒れていた。
戻る/次のページ