内藤小説

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:18:54.55 ID:S/AYdx4wO
  



(´・ω・`)「ふぅ・・・」


ショボンは疲れていた。顔なじみの情報屋を手当たり次訪ねて歩いたが、成果はおもわしくなかった。


(´・ω・`)「予感が外れたかな…」


ショボンは夜の仕事をしているため情報屋などと接することも多かった。


だからこの一連の出来事についても何か情報があるのではないかと期待していたのだ。



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 18:21:47.61 ID:S/AYdx4wO
  


(´・ω・`)「勘繰りすぎた…か…。いやしかし…」


何か黒い動きがある、ショボンはそう考えていたのだ。
何故そう思うのか。

それはショボンにもはっきりとした根拠を答えることは出来ないが、彼にはそれを補って余りある経験と勘があった。

ショボンのように夜の仕事をしていると嫌が応にも問題に巻き込まれることが多々ある。

それをなるべく回避するためには経験と勘が必要だった。


(´・ω・`)「あの人のところに行ってみるか。…嫌だなぁ…」


ショボンの足取りを重くしていたのは決して疲労のせいだけではなかった。



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 19:23:46.46 ID:S/AYdx4wO
  

ドクオが内藤と仕組まれた再会をした日から5日が過ぎた。

('A`)「ったく。内藤のバカはいったいどこに居るんだ…」

ドクオはショボンの店の近くに居た。この2、3日ドクオは内藤を捜し歩いていた。

自分で得た情報とショボンからの情報とで、5日前再会した日に内藤が泊まったホテルは突き止めた。

しかし、それからの足どりは掴めない。いや、正しくはショボンの店に向かってから、だ。

ドクオはあの日、内藤と別れたことを悔やんだ。何か起こるであろうことは分かっていたのだから。

あの日ドクオは自分がひどく惨めな奴に思えていた。久しぶりに会った友人に、今の情けない自分をあれ以上見せたくなかったのだ。



104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 19:34:48.09 ID:S/AYdx4wO
  


('A`)「…む?もうこんな時間か…」

ドクオが左手にしてある腕時計に目をやった時だった。腕時計のガラスに何かが映った。


('A`)「なっ!」


ドクオは反射的に身をひるがえした。ビュッと空を切る音が鳴る。


次の瞬間、ドクオを襲った人物は背を向け走り去っていった。

('A`)「チッ!待て!」

ドクオが体勢を立て直して、追いかけようとした時には既に人影は消えていた。


('A`)「クソッ!!」


ドクオは追いかけようか迷ったがやめた。


自分を照らす夕日に言いようのない不安を肌で感じた。



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 19:52:46.06 ID:S/AYdx4wO
  
(´・ω・`)「こんばん…」

(`・ω・´)「いらっしゃーい!!!」

ショボンが言い終える前に威勢のいい声が店中に響く。

(`・ω・´)「おう?なんだショボンじゃないか!」

(´・ω・`)「相変わらずだね、シャキーン兄さん」

(`・ω・´)「お前こそ相変わらず、眉が下がりっぱなしだな!」

(´・ω・`)「…声でかいよ、兄さん…」


ショボンはカウンター席に座りテキーラを頼む。周りを見渡すと客が一杯で、その中には一癖も二癖もありそうな客も居た。



109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 19:55:36.46 ID:S/AYdx4wO
  
(`・ω・´)「それで何の用だ?お前がこの店に来るってことはそれなりの理由があるんだろう?」

(´・ω・`)「…うん。実はね…」

ショボンは事のあらましをシャキーンに話した。もちろん内藤の行方がわからないことも含めて。

(´・ω・`)「…ということなんだ。それで兄さんのところに何かめぼしい情報がないかなと思ってね」

(`・ω・´)「なるほど。…だが残念ながら俺は何も聞いてないな」

(´・ω・`)「そっか。じゃあ仕方ないね」


ショボンは視線を感じていた。じっとりと舐めるような視線。

シャキーンと会話をしながらショボンはずっとその視線の持ち主の様子を窺っていた。



110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 19:57:30.49 ID:S/AYdx4wO
  

カウンターの隅に座っている男。

その男に自分たちの会話が聞こえていただろうか。

もちろんわざと店内にいる客たちに聞こえるように話したつもりだ。

そして反応を見せたのが彼だったのだ。

(´・ω・`)「それじゃあ、そろそろ僕は帰るよ」
(`・ω・´)「そうか!気をつけてな。くれぐれもな」

(´・ω・`)「ありがとう」

ショボンは要らないというシャキーンの好意に甘えて代金を払わずに店を後にした。



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:01:28.89 ID:S/AYdx4wO
  

5月になったというのに夜風はまだまだ冬の冷たさを残していた。


ショボンは店から50メートルくらい離れた路地で煙草に火をつけた。

ピカピカのジッポライターのふたを閉じると、カチンッ、という音が響く


と同時にショボンは反転して頭上から振り下ろされるそれを避けた。

ショボンは素早くそいつの手を蹴りあげ、落ちた武器を蹴り飛ばす。

男「クッ!!」

ショボンを襲った男は、とっさに上着の懐に手をやり何かを取り出そうとする


ガチャ


そう重い音を奏でるその黒い物体は男の後頭部に突き付けられていた。


(´・ω・`)「兄さん、ちょっと遅くないかい?」

(`・ω・´)「はっは!随分、昔にしまったコレを捜すのに手間取ってな」


そう答えるシャキーンの手にはどう見てもピカピカに手入れをされている拳銃があった。



114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:04:50.84 ID:S/AYdx4wO
  
シャキーンの店の地下室。ここはシャキーンが趣味で集めているワインの貯蔵庫になっている。そこに4人の男は居た。

男「………」


(´・ω・`)「…いつまでそうやってしらをきるつもりだい?」

男「………」

('A`)「俺を襲ったのもお前だろう?」

男「………」

ショボンとシャキーンが捕まえた男は何一つ喋らなかった。しかし、ただ単に、そして偶発的にショボンを襲っただけではないことは確かだ。

ドクオに連絡をし、彼も襲われたことを聞いてそれは確信に変わった。



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:12:23.76 ID:S/AYdx4wO
  
(`・ω・´)「らちがあかないな」

(´・ω・`)「どうしたら喋ってくれるかい?」

男「…クックック。あんたら仮にも夜の世界を生きる人間だろう?俺みたいな仕事をしている奴が自分から喋ることがあったかい?」

(´・ω・`)「ない…な」

男「だろうな。だったら…」

(´・ω・`)「喋らせたことは沢山あるけど…ね」
男「え?」

ドガッ!

ガスッ!

ボキッ!

メキッ!

……グニャ

男「うっ…し…死ぬ…」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

(`・ω・´)「ショボンよ落ち着け。コラ!、眼球をえぐるんじゃない」

('A`)「………」



116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:14:51.22 ID:S/AYdx4wO
  
その男は、あらゆるところから血を出しつつ喋っていた。

男「…わ…わかった。喋る…」

(´・ω・`)「ありがとう。まず、僕を襲う前にドクオを襲ったのも君だね?」
男「…そうだ」

('A`)「誰に頼まれた!?」

(´・ω・`)「まぁ落ち着いて、ドクオ。僕に任せて」

('A`)「…あぁ」

(´・ω・`)「質問を続けよう。君は…平山かい?」

男「平山…?違う。俺はそんな名じゃないし、そんな偽名も使ったことはない」

(´・ω・`)「聞いたことも?」

男「あぁ」



118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:17:37.74 ID:S/AYdx4wO
  
(´・ω・`)「ふむ。君は内藤という男を知っているかい?」

男「…あぁ」

(´・ω・`)「実は彼の行方がわからないんだ。知っているかい?」

男「知らない」

('A`)「お前が襲ったんだろうが!?」

男「確かに俺が襲った…が、それからの行方は知らん。契約外の話しだ」

(´・ω・`)「その契約とやらをお聞かせ願いたいね」

男「…いいだろう。今回、俺が請け負った仕事は、内藤、ドクオ、ショボンの三人をある連中に引き渡すことだった」

('A`)「ある連中ってのはどこのどいつだ?」

男「依頼人に関してのことは殺されようと、言うつもりはない。俺が言えるのは契約内容までだ」



120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:20:25.52 ID:S/AYdx4wO
  
(´・ω・`)「プロ意識はあるみたいだね。依頼はいつ請けたのかい?」

男「5日前だ」

('A`)「俺が内藤と会った日だ」

(´・ω・`)「その翌日に君は内藤を襲った」

男「そうだ」

(´・ω・`)「えらく仕事が早いね。内藤の居場所は依頼人から聞いていたのかい?」

男「…いや、聞いていない。連中は居場所を知らなかったから俺に依頼したんだ」

(´・ω・`)「…君はどうやって内藤の居場所を突き止めたんだい?」

男「突き止めた…というより、たまたま知っていたという表現が正しいな」

(´・ω・`)「たまたま知っていた?」

男「…ふぅ。これ以上は金を貰わないと喋れないな」

('A`)「てめぇ…」



121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:23:36.02 ID:S/AYdx4wO
  
(´・ω・`)「ドクオ。落ち着いて。今は何よりも情報が欲しいんだ」

('A`)「…あぁ、わかってる。すまない」

(´・ω・`)「シャキーン兄さん、すまないけどちょっとばかし金を貸してくれないかい?」

(`・ω・´)「ああ!200万くらいでいいか?」

(´・ω・`)「どうだい?キャッシュで払うよ」

男「いいだろう。だが依頼人については一切喋らないぜ」

(´・ω・`)「ああ、じゃあこの200万を渡そう」

男「確かに」

(´・ω・`)「さぁ、喋って貰おうか」

男「あぁ。俺は内藤の居場所を知っていた。あんたらを襲う依頼の前に、別の依頼人から別件の依頼を請けたんだ」

男「その依頼は、住所を調べて内藤とドクオに手紙を出す、というものだった」



122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:25:59.34 ID:S/AYdx4wO
  
('A`)「!!!あれはお前だったのか?」

男「あくまでも依頼人の代理で、ということだ。その手紙の内容がどういうものかは知らなかった」

(´・ω・`)「なるほど封書で依頼人から渡されたわけか」

男「そうだ。もちろん直接じゃなく仲介人を通してだが」

男「そして、俺は内藤とドクオの住所を調べ、ちゃんと指定された日に届くようにした」

(´・ω・`)「それが6日前のことだね」

男「そうだ。それで契約は完了したはずだった。しかしその日の深夜にその依頼人が急遽もう一つの依頼をしてきた」

(´・ω・`)「…?」

男「俺は仲介人を通して何かが書かれた二つ折りの紙を受け取った。そしてそれを内藤の家のドアの隙間に挟んどくように、と」

男「中は見るなということだったから、何が書かれているのかは知らない。俺も変な事に巻き込まれたくはなかったしな」

(´・ω・`)「紙…ね。ふむ。それで翌日の早朝に君は内藤の家へ行った」

男「あぁ。楽な仕事だったよ」



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:28:11.51 ID:S/AYdx4wO
  
男「そしてそれをやり終えて一服している時に、別口の方から仕事が来た」

(´・ω・`)「それが内藤を含めた僕たちを襲って引き渡すという仕事だった」

男「そう。俺は内藤の後をつけた。だから俺は奴の居場所を逐一把握していたというわけだ」

(´・ω・`)「嘘みたいなタイミングだね」

男「嘘と思うのならそう思えばいい。だが俺ようにどこの組織にも属さないフリーの世界じゃ珍しくもない」

(´・ω・`)「君が内藤の居場所を調べた、ということを知った人物が君に彼を襲うよう依頼を出した」

男「可能性は高い。俺のようなフリーの仕事屋は金さえ出せば誰にだって雇われるからな」

(´・ω・`)「だろうね。契約は果たしているわけだから」

('A`)「ちょっと待て。だったら内藤が俺と会う前や後にも襲う機会があっただろう?」

男「依頼人の都合というのもあるさ」

(´・ω・`)「僕とドクオを今日襲うというのも依頼人の都合というわけか」

男「あぁ」



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/02(月) 20:32:05.62 ID:S/AYdx4wO
  


('A`)「連中の目的は?」
男「知らん。俺はあんたらを襲って引き渡せと指示されただけだ」


(´・ω・`)「内藤をどこへ連れて行った?」


男「それも知らん。内藤を襲った時は依頼人も一緒だった。俺が内藤を気絶させて、奴らが内藤を連れていったからな」


(´・ω・`)「………」


(`・ω・´)「………」


('A`)「…いよいよ面倒な事になってきたな…」



本音としてはこの目の前に居る男から無理矢理にでも吐かせたいが、この男も骨があるらしい。

ドクオはため息をついて内藤の事を考えた。



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