内藤小説

15: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 12:46:33.42 ID:sjrkKl4IO
  

ツンがテレビを切ろうとした時、テレビの中のニュースキャスターがこう伝えた。

「速報です。先ほど午前11時25分ごろ、サンフランシスコ市内のゴミ処理場で男性の遺体が発見されました。………」

ξ゚听)ξ「ふーん、この辺も物騒ね」

「警察の発表によると、この男性の身元はアンディ・カーター、38歳、元陸軍所属で現在は探偵稼業を行っていた、ということです。その他の詳しい状況などは分かっておらず………」

ξ゚听)ξ「え?…」

「関係者によるとアンディ・カーターは軍隊を辞めた後、紛争地域の傭兵部隊に入っていたなどの情報もあり……」

ξ゚听)ξ「…う、嘘でしょ…?カーターが…」

顔から血の気が引いていくのが自分でも分かった。

ξ゚听)ξ「…消された…の…?」

ツンはしばらくソファーから立ち上がることが出来なかった。



16: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 12:47:45.55 ID:sjrkKl4IO
  


( ^ω^)「……お………」

頭を割るような頭痛とともに内藤は目覚めた。

( ^ω^)「…?ここは…?」

周りを見渡すと薄暗さでほとんど何も見えなかった。頭の痛さとコンクリートの冷たさだけが敏感に伝わる。

( ^ω^)「そういえばあの時…変な奴がぶつかってきて、後ろを向いた隙に何か殴られたんだお」

そう思い出すと、内藤の心の中で一気に不安と恐怖が膨れ上がってきた。



18: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 12:48:53.62 ID:sjrkKl4IO
  
( ^ω^)「これはやばいかもわからんね」

しばらくすると、目が慣れてきたのか少しずつ周りが見えてきた。

マンションの一室のような感じだ。しかし家具の類いの物は一切なく、あるのは小さな窓と、入り口のドアだけだ。

幸い身体は縛られもせず自由に動き回ることが出来たが、ドアには鍵がかかっており内側から開けられない仕組みになっていて、窓は開くものの、小さすぎてそこから逃げ出すことは不可能だった。

窓から見える景色は山の緑ばかりで、どうやら田舎のようだ。この部屋はおそらく5階か6階で高さもかなりあった。

( ^ω^)「どう見ても監禁されたようだお」

誰が?何の為に?

考える事は山ほどあったが、内藤は何よりも夢精で濡れたパンツを取り替えたかった。



19: ◆P.U/.TojTc : 2006/10/04(水) 12:51:14.41 ID:sjrkKl4IO
  

(´・ω・`)「またか…」

ドカッ!

メキッ!

ボンッ!

「がはっ………」

バタンッ

(´・ω・`)「キリがないな」

5人目の尾行者を片付けてショボンはそう呟いた。

ドクオがアメリカへ向けて日本を立った日、ショボンは店を閉め電車を使って色々な街へ足を運んでいた。

その間中ずっと数人に尾行されていた。ショボンはそれを人気のない所で一人ずつ片付けていった。

しかし、誰か一人を襲っても他の奴らは出て来ず結局尾行を巻くことは出来ないでいた。



20: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 12:52:42.18 ID:sjrkKl4IO
  
(´・ω・`)「内藤もドクオも大丈夫かなぁ」

一人目の尾行者をのした時、駄目元で内藤の居場所を吐かせようとしたが無駄だった。

尾行している奴らはそんな事は知らされていない、下っ端の下っ端だ。

ショボンがドクオを無理矢理アメリカに送ったのにはちゃんと理由があった。

もちろん彼女―――ツンと会ってもらうという目的もあるがそれだけではない。

敵は既に内藤を捕まえた。そして、次に狙って来るのは当然、自分とドクオだ。

しかし、ドクオはいない。敵もまだ彼がアメリカに行っていることまでは掴んでいないだろう。



23: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 12:55:04.13 ID:sjrkKl4IO
  
ドクオがアメリカに行くまでの道のりで尾行されていたのなら話しは別だが、彼はそんなヘマはしない。

単に腕っ節だけを見てもドクオとショボンは互角だ。しかし、ショボンが参謀タイプならドクオは実戦タイプだ。手が出るのが早いのは意外にもショボンだったりするのだが。

とにかくドクオなら尾行されても難無く巻くだろう。

その証拠に、敵はショボンを強引に捕まえようともせず様子を見ている。

ショボンを泳がせているのだ。敵はドクオの居場所を掴んでいない、ショボンはそう確信した。



24: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 12:57:26.81 ID:sjrkKl4IO
  
これこそがショボンの狙いだった。もしショボンとドクオが一緒に居たら、敵は全力で襲ってくるだろう。

しかし、ドクオが居ない以上、ショボンだけ捕まえても仕方がない。敵にしてみたらショボンがドクオと接触する機会を狙って捕まえにくるだろう。

しかしドクオ居ないとなると彼を捜す方とショボンを尾ける方がいるためその分、敵の戦力も分散され、ドクオを捜す方も必然と手薄になる。

(´・ω・`)「ドクオ頼みだなぁ」

無論、これは時間稼ぎにしかならない。

敵さんがしびれを切らして、ショボンを捕まえ拷問でドクオの居場所を吐かせるということも十分に考えられるからだ。

まぁ、それは最終手段だろうとショボンは考えていた。
拷問を行うというのは多分にリスクもある。追い詰められない限りは無理にする必要もないやり方だ。

(´・ω・`)「敵さんは追い詰められるとは露ほども思ってないだろうね」

内藤が捕まえられてる今、不謹慎かもしれないがショボンは久々にwktkしている自分に気付いていた。



28: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:15:19.05 ID:sjrkKl4IO
  


武田「フヒヒ、よつばハァハァ」

('A`)(うわぁ…)

ドクオは座った場所から身じろぎ出来なかった。数分前にちょっと動いただけでフィギュアが落ちるからと激しく怒られたからだ。

フィギュアが部屋一杯に並んでいる様を見てドクオは早くも帰りたい衝動に駆られた。

('A`)「あのさ…俺がここに来たのはあんたに協力して貰おうと…」

武田「ん?…あぁはいはい。で、何すればいいの?」

('A`)「する必要はない。情報だけ貰えればそれでいい」

武田「あ、そう。何の情報?」

('A`)「ツンの事だ。知っているんだろう?」

武田「あぁ…彼女のことか。うん。知ってるよ」



29: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:17:58.46 ID:sjrkKl4IO
  

('A`)「彼女が今どこにいるか分かるか?」

武田「知らない」

('A`)「住んでる所は?」

武田「知ってるけど、彼女はもうそこにはいないと思うよ」

('A`)「…どこかに身を潜めてるってことか?」

武田「うん。それか捕まっているか」

('A`)「…あんたは今回の事で何か知っているのか?」

武田「知らないよ。ただ彼女からの連絡で誰かから逃げてるってことは知ってるけど」

('A`)「彼女から最後に連絡があったのはいつだ?」
武田「そうだね、二週間くらい前かな」

('A`)「何か言っていたか?」

武田「短い電話だったからね。気をつけて、と」



30: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:21:35.94 ID:sjrkKl4IO
  
('A`)「なんだってあんたが気をつけなきゃならないんだ?」

武田「可能性としては自分に関係のある人に危険が及ぶこともあるからじゃない?」

('A`)「…他には?」

武田「しばらく身を隠すって。それだけ。理由も何も言わなかったよ」

('A`)「そうか…。彼女が身を隠すような場所に心当たりは?」

武田「ないよ。連絡を取っているといってもそんなに親しい関係でもなかったし」

('A`)「…あんたさっきから嫌に人事のように言うな」

武田「人事だからさ。ま、彼女が助けを求めたら助けるけど、何も言わなかったし」

('A`)「…もし俺が彼女の立場でもあんたに助けは求めないだろうな」

('A`)「人の心ってもんが分からないみたいだな、あんた」



武田「アナタンハァハァ…」



('A`)「…聞けよ…」



31: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:26:35.88 ID:sjrkKl4IO
  

時は移ってドクオが日本を発つ二週間前

ツンは喫茶店でカプチーノを飲みながら人を待っていた。

店内の客を怪しまれないように見渡す。そういう目で見ると誰もが怪しく見える。

カランコロンとドアが開くと見知った顔が覗く。

ジュディ「あ、待たせちゃったかしら」

ξ゚听)ξ「い、いえ。私も今来たところです」

ジュディ「そう。ならよかった」



32: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:28:58.91 ID:sjrkKl4IO
  
ξ゚听)ξ「あ……あの……」

ジュディ「カーターの事なら言わないで。…あなたが気にすることはないわ」

ジュディはカーターの事務所で働いていた。前にツンがキモヲタストーカーの事で相談に行った時もジュディは良くしてくれた。

道を歩く人々が振り向く程の美人で、スーツをビシッと着こなし仕事も出来る。ジュディは所謂キャリアウーマンだった。

その彼女が何故個人事務所のような小さいところに収まっているかは分からなかったが、カーターに好意を抱いてるようにも見えた

それだけにツンはカーターの事で申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



33: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:33:25.02 ID:sjrkKl4IO
  
ジュディ「彼も危険だってことは十分理解していた筈よ。その上であなたの依頼を請けたの」

ξ゚听)ξ「………」

ジュディ「だからあなたに責任はないわ」

ツンは今にも泣いてしまいそうになったが、なんとか堪えた。何故なら自分よりもずっとカーターと親しかった筈のジュディが気丈にしているのだから。

ジュディ「それでね、ツン。悪いけどカーターが居ない以上これからの調査は出来ないの」

ジュディ「今ここにあるのは生前、カーターが調べたものよ。これをあなたに渡したくて」

ξ゚听)ξ「これは…?」

ジュディ「えぇ。見れば分かると思うけど、あなたが危惧していた事はどうやら実際に行われようとしているみたいよ」



34: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:37:00.73 ID:sjrkKl4IO
  
ξ゚听)ξ「やっぱり…」

ジュディ「このライブテンファンド社。裏じゃ相当きな臭い事しているみたい」

ξ゚听)ξ「じゃあやっぱりカーターもこの会社に…」

ジュディ「おそらくね。しかも彼をああも簡単にとなると……」

ξ゚听)ξ「そうですね…」

ジュディ「それからもう一つ重要なことがあるわ」

ξ゚听)ξ「?」

ジュディ「悪いけどあなたの事も詳しく調べさせてもらったわ」

ジュディ「それで分かったわ。あなたが何故こんな依頼をしたかが」

ξ゚听)ξ「………」

ジュディ「気分を悪くしないで、ツン。カーターが死ぬ間際に私に電話してきたのよ」

ξ゚听)ξ「カーターが?」



35: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:41:39.18 ID:sjrkKl4IO
  
ジュディ「そうよ。おそらく彼も感づいていたんだと思う。あなたが昔、日本のネット世界の重鎮だったってこと」

ξ゚听)ξ「重鎮だなんてそんな」

ジュディ「いい?ツン。落ち着いて聞きなさい。もうすぐあなたも追われる身になるわ」

ξ゚听)ξ「……」

ジュディ「相手はあなたが思っている以上に凶悪で大きな組織よ。今はまだ警察で賑わっているから大丈夫かもしれないけど」

ξ゚听)ξ「わかってます」

ジュディ「いいえ分かってないわ。あなたは何かしようとしている。それも一人で」

ξ゚听)ξ「…」



36: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:45:05.15 ID:sjrkKl4IO
  

ジュディ「危険すぎる。カーターだってやられたのよ?」

ξ゚听)ξ「おとなしく捕まれっていうの?」

ジュディ「そんなこと言ってないわ」

ξ゚听)ξ「じゃあどうしろって…」

ジュディ「私にも協力させて。カーターの仇をとりたいの」

ξ゚听)ξ「ちょ…そんなのカーターは望んでないわ!」

ジュディ「私、が望んでるのよ、ツン」

ξ゚听)ξ「…」

ジュディ「大丈夫。私は昔から自分の望むことを叶えてきたわ。仕事も男も…ね。フヒヒッ。さ、目を付けられないウチに出るわよ」

ξ゚听)ξ(フヒヒッて言った…)

勘定をすませて店を出る時、ツンはジュディの懐が膨らんでいるのに気付いた。



38: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:48:40.63 ID:sjrkKl4IO
  

これはもう駄目かもわからんね

内藤はそう感じていた。

何度も脱出を試みた。しかし、ドアはもちろん窓からは腕と肩を出すので精一杯だった。

( ^ω^)「自分の頭デケェ…」

もう一時間以上も濡れた鼻をムニュムニュしていたがいい加減飽きた。



40: ◆P.U/.TojTc :2006/10/04(水) 13:50:53.02 ID:sjrkKl4IO
  
( ^ω^)「ドクオ、ショボン…心配だお」

この男は自分が心配かけてるとは中々考えつかないのである。

内藤にはもう一つ心配があった。

「暗闇の中 光の中 私を連れ出して」

この言葉。

そしてこの一連の出来事。
なんとしてもここから脱出して事の真相を確かめなければならない。

内藤は疲労が溜まっている身体に鞭を打ち脱出すべく窓に向かう。

( ^ω^)「…ツン…………」

内藤の心の中とは裏腹に窓から見える空は雲一つない青が広がっていた。



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