内藤小説
- 86: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 17:44:53.98 ID:jknrd+eCO
――――――――――――
モイヤー夫人の許可を得て、沢山の資料を持って帰ってきた。この中に何かの手掛かりがあるかもしれない。
(´・ω・`)「ん…?」
ショボンは先ほど借りてきたレンタカーで武田邸に戻って来た。
外から見て、特に家に変化はないが何か人の気配がする。ハマーだろうか。
(´・ω・`)「とりあえず入ってみるか」
警戒しながらも玄関を開け中に入る。
- 87: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 17:48:19.41 ID:jknrd+eCO
(´・ω・`)「ハマーさん、居るんですか?」
いきなり撃たれてもたまらないので声を掛けてみる。
(´・ω・`)「ドクオとツンの友人です」
玄関からリビングに繋がるドアがそっと開く。
ハマー「あんたがショボンかい?」
まだハマーの顔は見えない。
(´・ω・`)「そうです。ドクオは日本に帰りました」
ハマー「そうか。まぁ上がってきな。といっても俺の家じゃないがな、HAHAHA」
- 89: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 17:51:42.72 ID:jknrd+eCO
(´・ω・`)「それじゃあどうも」
ショボンがドアを開け、入って行くととても大柄な、いかにも屈強といった男が立っていた。
ハマー「知ってるみたいだが俺はハマーだ。よろしく」
(´・ω・`)「ショボンです。よろしくどうも」
二人は握手を交わした。二人ともどこか動作がぎこちなかった。
ハマー「いつからアメリカに?」
(´・ω・`)「ついこの間です」
ハマー「そうか…」
二人は少しの間会話を続けた。今の状況や情報。内藤の事も話した。
少し会話をしただけで、ショボンはハマーが優秀な人間だと悟った。
- 90: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 17:53:00.08 ID:jknrd+eCO
ハマー「ふむ、それでだ。これからどうするつもりだ?」
(´・ω・`)「とりあえず、ツンの居場所を何とか突き止めたいと」
ハマー「そうだな」
ハマーもどこに連れていかれたのかは見当がつかないらしい。
(´・ω・`)「ジュディはCIAだと思っていいんですね?」
ハマー「あぁ。そうじゃないとあんな真似はしないだろう」
(´・ω・`)「確かに」
- 91: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 17:54:14.55 ID:jknrd+eCO
ハマー「それから俺は独自にあたってみたいと思っている」
(´・ω・`)「その方がいいみたいですね」
ハマー「君は携帯電話持ってるか?」
(´・ω・`)「いえ」
ハマー「そうか。まぁいい。これは俺の携帯の番号だ。何かあったら連絡するんだ」
ハマーは、小さな紙に番号を書いてショボンに差し出した。
(´・ω・`)「それはどうも」
- 93: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 18:00:50.35 ID:jknrd+eCO
ハマー「じゃあ俺はさっさと行くかな。あんたも気をつけるんだな」
(´・ω・`)「あの…ハマーさんは何でそこまでしてくれるんですか?」
ハマー「カーターの仇……とでも言っておこうか。それに、ツンもドクオも、それからあんたもいい奴みたいだからな」
(´・ω・`)「…そうですか。感謝します。日本に来る事があったらテキーラでも奢らせて下さいね」
ハマー「HAHAHA、そいつはありがたいね」
ハマーはそう言うと家から出て行った。
(´・ω・`)「なるほどね…」
ショボンもモイヤー夫人から借りた資料を持って、武田の部屋に行く事にした。
- 105: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:15:21.28 ID:jknrd+eCO
('A`)「…チッ」
嫌な感じがする。ねっとりとした視線が背中に張り付く。
('A`)「…とうとうおいでなすったか」
身体の筋肉が緊張する。
不自然さを相手に気付かせてはいけない。
複数か?
いや、一人…二人…か。
- 107: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:20:55.61 ID:jknrd+eCO
('A`)「来るなら来やがれ」
小声で自分を奮い立たせる。
腰を上げて広い所まで走った方がいいのだろうか
このまま座ってるだけでは撃たれたら終わりだ。ベンチも盾になりもしないだろう。
('A`)「…行くか」
とドクオが走り出そうとした時だった。
ドォンと腹に響く音、その衝撃でパリンと音を立てて割れ弾ける街灯。
('A`)「なっ……」
ドクオは熱い爆風を身体に感じた。
- 108: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:22:56.94 ID:jknrd+eCO
- ――――――――――――
警察と消防車のサイレンの音が喧騒を更に増幅させる。
ドクオはその公園から少し離れた場所から様子を見守っていた。
周りには普通の日常に飽きて、非日常に憧れる野次馬達で一杯だった。
野次馬じゃなくても気になるのは確かだ。何せ都会のど真ん中で爆弾が仕掛けられ爆発したのだから。
('A`)「狙われたのは俺…だろうな」
実際に爆発したのはドクオが座っていたベンチではなく、広場を挟んで離れた向かいのベンチだった。
幸いにもそこには誰も座っていなかったが、一歩間違えば大惨事だ。もちろん今日のニュースではトップニュースとして報じられるのだろう。
('A`)「穏やかじゃねーな、おい。殺しにかかってきたのかよ…」
ドクオは周りに気を配りながらそこから離れることにした。
- 109: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:26:17.09 ID:jknrd+eCO
(´<_` )「流石だな、兄者」
( ´_ゝ`)「当然の事だ、弟者」
(´<_` )「これでターゲットも気付いただろう、フェアな精神だ」
( ´_ゝ`)「フフフ。これで心置きなく任務をこなせるというものだ」
流石だな俺達、と二人同時に言い高らかな笑い声を上げながらその兄弟は去っていった。
- 110: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:30:40.34 ID:jknrd+eCO
(´・ω・`)「奴らが僕らを狙う理由はこれか…」
ショボンはモイヤー夫人から借りた資料と数時間睨めあってていた。
そこに書かれていたのは、モイヤーとレインズ、レインズとライブテンファンド社、ライブテンファンド社と自分達を繋げるものだった。
モイヤーはアメリカとロシアとのハーフだった。その昔、モイヤーが研究員として働いていたのはアメリカではなくロシアだった。
そしてその研究とは核爆弾の研究だった。
- 113: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:39:41.37 ID:jknrd+eCO
今から約10年前、2006年。世界は核問題で揺れていた。北朝鮮と呼ばれていた国は各国の制止を、条約を無視し核実験へと踏み切った。
日本では核武装すべきか非核武装を貫くかの議論で国が割れた。現在では日本も核武装、核保有国として存在している。もちろん、そうなるまでには紆余曲折があったが。
当時、アメリカ、ロシアが恐れていたのは核実験そのものではない。憂慮すべきは核拡散だったのだ。経済的に力のない国が、なけなしの金で核を買う。そして核を武器にして外交をこなし、発展する。
- 114: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:42:47.58 ID:jknrd+eCO
そこには本来あってはならない力が存在してしまう。「世界の警察」を自認するアメリカにとっては国を揺るがし兼ねない問題だ。
一方、ロシアは核の売買が国レベルではこびっていた。しかし、それは売買で使うのはあくまでも数世代前の核であった。その為、核の研究は世界の中でも進んでいる方だった。
その中でモイヤーも一員として働いていた。
彼がそこを辞めたのは約15年前と記録にある。
ショボンと出会うわずか5、6年前だった。
- 115: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:45:26.04 ID:jknrd+eCO
そして、デニー・レインズ。モイヤーとレインズの出会いはやはり店の『ヘヴン』ではなかった。
モイヤーが研究員として働いていた頃の写真が数枚ある。その中には若いモイヤーとレインズも写っていた。二人は同僚だったのだ。
しかしモイヤー夫人はレインズの名を聞いた事もないと言っていた。同僚なら家に連れてきたりはあるだろう。当時、モイヤーは既に結婚していたのだから。
(´・ω・`)「スパイ…だったのかな」
レインズはアメリカのスパイで研究員になりすましたのではないか。そしてレインズはモイヤーにその事を打ち明けたのではないか。ハーフである彼の協力を見込んで。
- 117: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:47:49.80 ID:jknrd+eCO
そうだとしたら、レインズとモイヤーのただならぬ関係とはこの時から始まっていたと推測出来る。
それが何らかの理由でモイヤーを殺さなければならなくなった。
(´・ω・`)「それよりも驚くべきはこっちだね」
モイヤーの同僚にレインズとは別に思わぬ人の名前があった。
そしてその人をショボンは知っている。ショボンだけでなく内藤もドクオもツンも…。
その名前は
『荒巻スカルチノフ』
- 118: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 19:55:22.73 ID:jknrd+eCO
ξ゚听)ξ「それにしても何であんたまで連れてこられたのかしら?」
武田「うーん。ジュディさんも何やら切羽詰まってたみたいだからね」
ξ゚听)ξ「電話…かしら」
武田「電話ってなんだい?」
ξ゚听)ξ「ジュディが私達を連れて行く前、彼女が誰かと電話していたのよ」
武田「どんな内容だったの?」
ξ゚听)ξ「それがよく聞こえなかったのよ」
- 122: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 20:26:55.51 ID:jknrd+eCO
武田「おそらく上からの指令じゃないかな。態度ががらっと変わったからね」
ξ゚听)ξ「そうだとしたら、ドクオも連れて行くはずじゃないかしら。あんたじゃなくてね」
武田「確かにね」
ξ〃凵V)ξ「…わ、悪かったわね…その…巻き込んでしまって…」
武田「気にすることないよ。最近、運動不足で太りぎみだったしね」
ξ゚听)ξ(気にしてるんだ…)
- 123: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 20:28:42.61 ID:jknrd+eCO
武田「…君は……いや、何でもない」
ξ#゚听)ξ「言いたい事あるんなら言いなさいよ」
武田「わかったよ。君はジュディさんの事をどう思ってるんだい?」
ξ゚听)ξ「…カーターを殺したのがジュディなら…許せないわ」
武田「…そう。そうだよね」
ξ゚听)ξ「……そうよ」
時計の針は夜の10時に差し掛かろうとしていた。
そして…ベッドは一つ。
二人はいつしか身を寄せ合い…
ξ゚听)ξ「ねーよ」
武田「………」
戻る/次のページ