内藤小説

7: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:24:04.72 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「げぇ…もう朝か…」

安っぽいビジネスホテルのベッドでドクオは目覚めた。例の爆弾の奴らが襲って来る事を警戒していたらおちおち寝てもいられない。
それでなくてもここの所、ろくに睡眠をとっていない。

('A`)「…マンドクセ」


洗面所に行き、歯磨きをし顔を洗う。鏡に超絶キモ面が映っていたが気にしない。

今日は一体何をしようか。とりあえずショボンとそれからシャキーンにも連絡を取ってみよう。自分を狙った爆弾使いの情報も欲しい。



8: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:27:16.27 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「しっかし迂闊に動けないな…」

朝食はルームサービスで採る。お世辞にも美味しいとは言えないモーニングセットを頬張りつつドクオはまずシャキーンの自宅に電話をかけた。

(`・ω・´)『もしもし』

('A`)「あぁ俺だけど」

(`・ω・´)『おぉドクオか』

('A`)「今日の朝刊見たか?」

(`・ω・´)『爆弾の件はやはりお前絡みか』

('A`)「多分な。それでだ、そいつらの情報はなんか入ってないか?」

(`・ω・´)『断定は出来んが、ある奴らが動いてるという情報はある』



9: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:30:14.62 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「誰だ?」

(`・ω・´)『流石兄弟といってな、兄はボマー、弟はスナイパーで名を馳せている奴らだ』

('A`)「ボマーか。んで片一方はスナイパーね。手強そうだな…」

(`・ω・´)『まぁ八割方そいつらの仕業だろう。油断したら簡単に殺されちまうぞ』

('A`)「こっちは丸腰だってのに。今から武器取りに行っていいか?」

(`・ω・´)『高いぞ?』

('A`)「ショボンのツケにしといてくれ」

(`・ω・´)『いいが、どうなっても俺は知らんぞ。じゃあ店で待ってる。気をつけてな』

('A`)「そりゃどうも」



11: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:32:45.42 ID:UwO5QGXeO
  


受話器を置いて、ショボンにも電話しようと思ったが国際電話は料金が高いのでシャキーンの店で掛ける事にした。

通信費だけでも馬鹿になりやしない。


('A`)「爆弾が降ってこない事を祈ろう…」


ドクオはさっさと着替えをすまし、ホテルの部屋を後にした。



12: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:35:47.68 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「あー…やばいなコレ」

まただ。ドクオは小さくそう呟いた。最近やたらと独り言が増えているのが気になるが、そんな事を言ってる場合ではない。

ホテルをチェックアウトしシャキーンの店に向かっている途中に再び昨日の公園で感じたあの視線、気配を察知した。

('A`)「しかしここはマズイな」

ここは人通りも多く、ビルも立ち並んでいる。もし今、仕掛けられたら被害はどのくらいになるだろう。少なくない事は分かる。

しかし、相手はプロだ。無用な殺しはしないはず。下手に動かない方がいいだろう。



13: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:37:47.80 ID:UwO5QGXeO
  

だが、立ち止まってはいけない。弟の方は狙撃がある。

このまま均衡を保っていったらシャキーンの店まで数分で着いてしまう。シャキーンに迷惑を掛けるわけにはいかない。


('A`)「早いとこケリつけるか…」


本当なら武器を調達してからやりたい所だが、どうのこうの言ってる暇はない。

大きな通りから狭い路地に入る。都会独特のビルとビルの隙間の狭く汚い路地。おそらくこの先は行き止まりになっているだろう。

あまり良い場所とは言えないがここでやるしかない。



14: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:40:37.66 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)(どう出てくるか。とりあえず爆弾だけには注意しとかないとな…)

そう思った時だった。

ドォンという轟音が響き、チリや何かのかけらが混じった熱風が吹き荒れる。


('A`)「ッ!!」


どうやら身体に怪我はないらしい。だが視界は砂嵐のようなものでほとんど見えない。



16: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:45:49.69 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「ウッ!」

腹に一発。そして後頭部に一発、衝撃がある。

そして脱力感

全身の力が抜ける。まるで電池が切れたみたいに。強い力で首根っこを掴まれて引きずられていく。

情けない。あっさりとやられてしまった。これが一流のプロなのか。

あぁもう駄目だ。意識が…

('A`)「んっ!」

意識が宇宙の彼方に飛びそうになった瞬間、かすかに銃声のような音が聞こえ、身体が地面に叩き付けられる。



17: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:50:40.89 ID:UwO5QGXeO
  

パンッ。

今度は割りとはっきりと乾いた銃声が聞こえる。
もしかして俺が撃たれているのだろうか。

パン、パンッと続けざまに銃声が鳴る。サイレンサーをつけているのか、音はかなり小さい。


「…オッ!…しっ…りし…おっ!起き……おっ!」


…お、って…なんだそれ…
……

………

お?

('A`)「…ん…」

「お?生き返ったかお?」

('A`)「……おま…」

ドクオは言葉を続ける前に気を失ってしまった。



18: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:53:03.02 ID:UwO5QGXeO
  

(#´_ゝ`)「ぐぅ!誰だ邪魔する奴は!」

(´<_` )「落ち着け、兄者。ここは一旦撤退するが吉」

(#´_ゝ`)「黙れ!この兄者の腕を撃ち抜くとはどこのどいつだ!」

(´<_` )「落ち着けと言っているんだ、兄者」

(#´_ゝ`)「黙れ小僧!元はと言えば貴様がしっかりしておれば…」

ガチャ

(´<_` )「もう片方の腕に穴開けたくなかったら黙る事だな、兄者」

(#´_ゝ`)「ハァハァ…もう大丈夫だ、弟者」

(´<_` )「とりあえず一旦ここから離れるぞ、兄者」

( ´_ゝ`)「御意」

そう言うと、兄者と呼ばれる方は煙幕爆弾を仕掛け二人は足早にその場所を去っていった。



19: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:56:48.53 ID:UwO5QGXeO
  

――――――――――――

('A`)「あー、じゃあそういう事だから、おぅ」

プチっツーツー

('A`)「ふぅ、これでいいか?」

( ゚∀゚)「いいだろう。理解が良くて助かる」

シャキーンにちょっと用事で店には行けないと連絡をする。公安の奴らと一緒に居るなどとは言えない。

( ^ω^)「迷惑かけてごめんお」

('A`)「今に始まった事じゃないさ」

口ではそう言いながらもドクオは心から安心していた。いくら生きてると信じていても実物を見ないとそう心穏やかには居られない。

( ゚∀゚)「怪我の方はどうだ?」

('A`)「ただの打撲だから大した事はない」

( ゚∀゚)「それは何よりだ」



20: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22:59:36.03 ID:UwO5QGXeO
  

このジョルジュ長岡という男が内藤の擬装自殺を行った張本人だ。当然、公安の人間である。

ドクオが流石兄弟に襲われた時に助けたのはジョルジュとそしてもう一人。

( ・∀・)「ま、その程度の怪我で済んだのは幸運だったね」

( ^ω^)「モララーさんも戦えるとはびっくりしたお」

(;・∀・)「俺も一応公安なんだから当然だろ」

( ^ω^)「ただの運転手かと思ってましたお」

どうやら内藤はこの公安の二人と随分親しくなっているらしい。

内藤を助けてくれたのだから感謝しなければいけない所だが…



21: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:04:34.77 ID:UwO5QGXeO
  

( ゚∀゚)「…公安は嫌いか?」

('A`)「…好きではないな。だが内藤を助けてくれた事は感謝する。後、俺を助けてくれた事もな」

( ゚∀゚)「気にするな。国民の安全を守るのも我々の仕事だ」

よくもまぁいけしゃあしゃあと。ドクオはそう思ったが口には出さない。今までも公安と関わる事は何度かあったが、決して信用してはならない所だと理解していた。

('A`)「大体の経緯は把握したが、またどうして都合よく俺が襲われている所に出くわしたんだ?」

( ゚∀゚)「偶然だな。流石兄弟が日本に入って来ているのは掴んでいたが、どこに居るのかまでは把握していなかった」



22: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:08:01.32 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「俺を尾行していたのか?」

( ゚∀゚)「……さぁ」

( ^ω^)「どうでもいいお。生きてるだけで丸儲けだお、ドクオ」

( ・∀・)「ダヨネー」

('A`)「…じゃあ質問を変えよう。公安は俺達をどうするつもりだ?」

( ゚∀゚)「?どうするもなにも今まで内藤君を保護していたんだぜ」

('A`)「クック、公安はCIAの犬じゃないのか?」

ドクオが口元に笑みを浮かべながらジョルジュに問う。

( ゚∀゚)「犬?はっはっは、流石よく分かっているなー」



23: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:11:31.96 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「少なくともCIAは最初の時点で、ライブテンファンド社…」

( ・∀・)「おっと。それ以上は言わないでおくが吉だぞ。俺達も聞きたくないしね」

( ゚∀゚)「まぁおそらく君の考えは間違ってはいないが、現時点ではCIAも微妙な立場だ。敵でもない」

('A`)「だが俺達を助けたのはどういう風の吹き回しだ?」

( ・∀・)「ふぅ…。面倒な人だな」

( ・∀・)「正式に保護命令が来たんだよ、もちろん上から」

('A`)「なぜ?」

( ゚∀゚)「それは言えない」

モララーを見てみる。

( ・∀・)「同じく」

('A`)「これだから公安は…。まぁいい。それよりお前は怪我はないのか?」



25: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:16:06.39 ID:UwO5QGXeO
  

( ^ω^)「おっ!やっと喋れるお。怪我はないお」

('A`)「良かったな。それにしても最初はライブテンファンド社に捕まったんだよな?」

( ^ω^)「多分そうだお」

公安の二人を見る。何も言わない所をみると間違いないだろう。

('A`)「それから公安に保護された…。それじゃあずっと、ライブテンファンド社は焦っていたのか」

('A`)「CIAは敵じゃないって言ったよな?だとしたらおかしいぜ」

( ゚∀゚)「何が?」

('A`)「俺が日本に来る前、CIAにツンが拉致された」

( ^ω^)「!!ツンがかお!?」



26: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:18:39.84 ID:UwO5QGXeO
  

('A`)「あぁお前にはまた後で説明してやる。が、これはどういう事なんだ?」

( ^ω^)「ツンが…」

( ゚∀゚)「……保護じゃないのか?」

('A`)「俺を放置で?」

( ・∀・)「君は少し勘違いをしているね。CIAと公安は繋がりこそあるが、別個のしかも別国の組織なんだよ。俺達が分かるわけないだろう」

( ゚∀゚)「モララー…喋りすぎだぞ」

('A`)「なるほどな。CIAの独断ってことか。油断ならないな」



27: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:22:47.66 ID:UwO5QGXeO
  

( ^ω^)「ドクオ、早く詳しく話してくれお!」

('A`)「あぁそうだな。この二人が居なくなったらすぐ話そう」

( ゚∀゚)( ・∀・)「…やれやれ」

( ^ω^)「すまんお。ダッシュでこの部屋から出てってくれお」

(;゚∀゚)(;・∀・)「…把握した」

バタンとドアが閉まる音を確認して、身を乗り出す。

( ^ω^)「早く説明してくれお。ツンは…大丈夫なのかお?」

('A`)「わかった。説明してやるから落ち着いて聞け」

とは言ったものの、どこから説明すればいいのか。ドクオは難しい顔をいっそう難しくしてゆっくり丁寧に話し出した。



28: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:30:44.46 ID:UwO5QGXeO
  

強引に部屋を追い出された後、二人は誰も居ない廊下を歩いていた。

( ゚∀゚)「ふーむ。なんかややこしい事態になってきているな」

( ・∀・)「流石兄弟はどうします?」

( ゚∀゚)「捕まえるしかないだろう」

( ・∀・)「また狙って来ますかね?」

( ゚∀゚)「それは間違いないな」

( ・∀・)「あと、色々とCIAに確認を取る必要があるかもしれませんね」

( ゚∀゚)「あいつらがまともに答えるとは思わんがな」

( ・∀・)「CIAには結構重要な所ですしね。それにしてもあのドクオって奴は中々頭が切れるみたいですね」

( ゚∀゚)「あぁ…。奴は…昔からそうだった」



29: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:34:28.66 ID:UwO5QGXeO
  

( ・∀・)「あれ?個人的に知ってるんですか?」

( ゚∀゚)「向こうは覚えちゃいないだろうがな。お前がまだこっちに来てない時だ」

( ・∀・)「へえぇー。やっぱりただ者じゃなかったんだ、あの人達」

( ゚∀゚)「今はともかく、昔はもっと色んな事件に関わっていたがな」

( ・∀・)「それが今回の緊急命令と関係あるのかな」

( ゚∀゚)「さぁ。もしかしたらこれは裏にでかい何かがあるのかもしれんな」

( ・∀・)「面倒だなぁ…」

( ゚∀゚)「全くだ…」



30: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 23:38:08.86 ID:UwO5QGXeO
  

(´・ω・`)「ん…」

腰が痛い。強靭な腰が売りのショボンには珍しい事だ。どうやら調べ物をしている途中で眠りに堕ちてしまったらしい。

机にはよだれの跡がカピカピになって残っている。あごもカピカピする。

(´・ω・`)「んー」

誰からも連絡はないみたいだ。ドクオに調べて貰いたかった事があったのだが。

(´・ω・`)「気付けの一杯でもやるか」



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