内藤小説
- 52: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:29:53.28 ID:/AakpsSSO
( ゚∀゚)「簡単に言うと、今の公安の中には色んな派閥があってな。その中で国家転覆を狙っているような連中はCIAとも緊密な繋がりがあるんだ」
( ゚∀゚)「そして俺やモララーのように中立…というか上の命令に従順な奴らの派閥もある。中には右翼みたいな奴らも居るがな」
('A`)「で、お前らが内藤の保護の命令を受け、遂行した。荒巻からの…だな?」
( ゚∀゚)「あぁ」
( ^ω^)「ショボンはどこまで分かって荒巻の所へ行ったのかが分からんお」
('A`)「なんとも言えないな。だが、荒巻を黒幕だと知ってて行くような危険な真似はしないだろう」
( ^ω^)「…おびき出されたって可能性はないかお?」
('A`)「どうも違うらしい。アポとって行ったそうだからな。そして連絡が途絶えた…」
- 53: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:33:13.14 ID:/AakpsSSO
( ゚∀゚)「タイミングからいってショボン君が荒巻に会いに行ったのはレインズと手を組んだ後だろうな」
( ^ω^)「……公安には何か報せがなかったかお?」
( ・∀・)「今日の深夜に、君とドクオを荒巻の隠れ家に連れて来いと連絡があったくらいかな」
('A`)「そうだったのか。で、何であんたらは俺達を助けたんだ?」
( ゚∀゚)「公安も楽じゃないのよ」
( ・∀・)「前々から公安に疑問を感じてたしね」
('A`)「だが、辞めるっていって、はいそうですかとはいかない所だろ」
- 54: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:35:36.66 ID:/AakpsSSO
( ゚∀゚)「まぁだからいい機会だったんだな」
( ・∀・)「僕が言い出したんだけどね」
( ^ω^)「とにかく助かったお!」
( ゚∀゚)「これも運命かもな。乗り掛かった船だし、最後まで付き合うぜ」
('A`)「…死ぬかもしれないぞ?」
( ・∀・)「生きる為なら死んでもいいさ」
( ^ω^)「名言厨きめぇwww」
( ・∀・)「うはwwwそこつくかww」
( ^ω^)「笑ってる場合じゃねーお。これからどうするお」
- 56: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:38:35.22 ID:/AakpsSSO
( ・∀・)「………」
('A`)「ツン達の事も気になるしな」
( ^ω^)「ツン…」
('A`)「気になるか?」
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)「…とりあえず体力をつける為に寝るかな?」
( ´_ゝ`(´<_` )「zzzzzzzz……」
('A`( ゚∀゚( ・∀・( ^ω^)
「…………」
顔を寄せ合ってスヤスヤと眠っている流石兄弟を見て、残りの四人も程なくして眠りについた。
- 57: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:41:08.99 ID:/AakpsSSO
――――――――――――
レインズ「どういう事だ。わざわざ日本まで足を運ばせといて」
/ ,' 3 「不測の事態だったのだ」
レインズ「不測だと?裏切り者が出たのは不測の事態なのか」
/ ,' 3 「…今、行方を追わせている所だ。どうせ袋の鼠だろう」
レインズ「こんな事なら私の部下に任せておけば良かった」
/ ,' 3 「あまり有能とは思えないがの」
レインズ「少なくとも裏切ったりはしないさ」
久し振りの再会だが、一般で言う再会とは全く異なるものだ。
何せ、ついこの間まで潰し合いをしようとしていた間柄なのだから。今、こうして一緒に居るのも関係が修復されたからではない。
- 58: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:43:48.77 ID:/AakpsSSO
お互いの利害が一致しただけの話しだ。これほどドライな関係は世の中を捜してもそうそうあるものではないだろう。
見つけ次第連絡しろ、と言い残してレインズは部屋から出て行った。彼と彼の連れて来た部下達にも部屋与えたのだが、気に入らないらしい。
大方、どこかのホテルのフロアごと借り切っているのだろう。
/ ,' 3 「友情…か。ふぉっふぉっふぉっ」
自嘲気味に笑う。いや実際愉快だ。
レインズも歳は取っていたが、昔の面影はそのままだ。再会した時、懐かしさが込み上げたきたのは意外だった。
しかし、その懐かしさの後にはむせかえしたくない過去まで蘇ってくる。
/ ,' 3 「人間の行動なんぞただの損得勘定の結果だ…ましてや友情など」
誰に言うでもなく小さく呟き、そして自嘲した。
- 59: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:46:25.84 ID:/AakpsSSO
――――――――――――
男だらけ六人でも流石兄弟のアジトだと雑魚寝などというむさくるしい状況にはならなかった。
そのおかげで、疲れはすっきりと取れて目覚めの良い朝を迎える事が出来た。
自分が発砲したので気にはなっていたのだが兄者はそれほど腕の傷を気にしておらず、安心した。
( ^ω^)「おっおっおっ。皆早いお」
('A`)「お前が遅いだけだ」
- 60: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:48:48.25 ID:/AakpsSSO
流石兄弟はせっせと武器の手入れしており、モララーはドクオと何やら話し込んでいる。ジョルジュは朝からAV観賞をして必死に腕を振っている。
( ^ω^)「…皆に話があるお」
全員がそれぞれの作業の手を止めてこっちを見つめる。
( ^ω^)「昨日の夜、色々考えたお。ツンの事もショボンの事も」
( ^ω^)「今、ツンはCIAにショボンは荒巻に捕らえられているお。危険度からいったらショボンの方が危険だと思うお」
('A`)「……」
( ^ω^)「だから、なるべく早くショボンを助けたいんだお」
- 63: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:53:41.71 ID:/AakpsSSO
( ^ω^)「僕やドクオだけでは無理なんだお。…皆の力を貸してくれないかお?」
( ゚∀゚)「何を言うかと思えば……。昨日も言っただろう、最後まで付き合うってな」
( ・∀・)「同意!」
( ´_ゝ`)「同じく」
(´<_` )「とゆうか依頼だから依頼主に従うまで」
( ^ω^)「…みんな……恩に着るお。じゃあ早速、荒巻邸突入作戦会議を始めるお!」
ついこの間まで、敵同士だった人間が集まって結団式をしている。全員がこの奇妙な連帯感を自然と受け入れていた。
- 64: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 01:56:52.51 ID:/AakpsSSO
――――――――――――
作戦会議も一段落し、昼の休憩を挟んだ。決行は今日の真夜中になりそうだ。なるべく早い方がいい。
少し一人になりたかったので弟者に空いてる部屋を貸してもらった。ジョルジュが何も言わずティッシュの箱を渡してきたが、使うつもりはない。
と、不意にノック音がする。
('A`)「おーい、入ってもいいかー?」
( ^ω^)「おっ!どうぞだお」
('A`)「ちょっといいか?」
( ^ω^)「ちょっとだけだお」
('A`)「おぅ」
ドクオがベッドに腰掛ける。キョロキョロして灰皿を探して煙草に火をつける。そういう仕種は昔から変わっていない。
- 65: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:00:23.10 ID:/AakpsSSO
('A`)「ツンの事だけどな」
( ^ω^)「なんだお」
('A`)「お前本当はツンの所に行きたいんじゃないのか?」
( ^ω^)「…ツンは今の所、そんなに危険でもなさそうだお」
('A`)「そりゃそうだがな…」
( ^ω^)「馬鹿なりに色々考えたお。僕がアメリカに行く事も」
( ^ω^)「でも空港にも港にも既に公安の監視があるはずだお」
('A`)「お、お前にしては冷静だな」
( ^ω^)「舐めたらあっかっんーお。ただ大丈夫な予感がするんだお。ツンは賢い子だお」
('A`)「どうやら余計な心配だったようだな。よし!ショボンを助けて、ツンを取り戻すぞ!」
( ^ω^)「そうだお!皆で生き残るお!」
二人は作戦の最終チェックの為に皆の居るリビングへと戻った。
- 73: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:21:32.64 ID:/AakpsSSO
――そして深夜、作戦決行時間―――
('A`)「ふぅ…なんとかここまでは無事に来れたな…」
(;・∀・)「しかしこれは…」
( ゚∀゚)「凄い数の警備だな。公安も居るな」
(;^ω^)「ヨソウガイデース」
('A`)「まぁちょっと予想より多いだけだ、気にすんな」
( ´_ゝ`)「流石、俺達から逃げ切った男だ。頼もしい」
(´<_` )「報酬はたんまり貰うぜ」
ここは荒巻邸から少し離れて、草木が生い茂っている場所。六人は最低限聞こえる程度の声で話している。
- 74: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:23:31.10 ID:/AakpsSSO
('A`)「さて、と計画をおさらいするぞ。しっかり頭に入れとけ」
('A`)「まず、それぞれが配置につく。2時5分に行動開始。侵入口と侵入方法はさっき説明した通りだ。」
( ´_ゝ`)「そこが最初の難関だな」
('A`)「難関と言うほどでもない。本来ここは荒巻個人の単なる隠れ家だ。システムはそれほど警戒するものではないしな」
( ゚∀゚)「ま、だからこそこれだけ有象無象を集めて警備してるってわけだな」
- 75: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:26:42.41 ID:/AakpsSSO
('A`)「あぁ。そして一斉に侵入。入口は各自把握してるな?次にショボン救出班と荒巻確保班に別れて行動を開始する」
('A`)「何度も言うが、荒巻確保班は決して無理はするな。無理だと思ったら救出班と合流するんだ」
( ゚∀゚)「把握」
('A`)「基本は隠密行動だ。見つかっても騒がれる前に気絶させろ。殺しも避けるんだ」
( ´_ゝ`)「……把握」
('A`)「ショボン救出後は荒巻確保班の状況によって臨機応変にいく。無線を忘れるな」
( ^ω^)「把握した!」
('A`)「では……幸運を祈る」
( ・∀・( ゚∀゚( ´_ゝ`(´<_` ( ^ω^)
「おK!!!」
- 76: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:29:59.66 ID:/AakpsSSO
――――――――――――
(´・ω・`)「……ん。寝てしまったのか…」
昨日…いやもう一昨日か、荒巻の部屋から出された後、SPと思われる男達にこの地下まで連れて来られ、ここに入れられた。
上の豪華な建物とは正反対にここは正に「牢獄」といった言葉が当て嵌まる。
寝てる場合でもなかったのだが、やはり疲れが溜まっていたらしい。
(´・ω・`)「頭もすっきりしたようだ」
- 77: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:32:28.00 ID:/AakpsSSO
荒巻とレインズが手を組んだ。それもついこの間だ。
なぜか。
レインズの思うように事が運ばなかったからだろう。
手を組んだということは、ある程度妥協したという事だ。そして両方に得があるという事。
…いや、もう目的などどうでもいい。大事なのは、いずれにしろ自分や内藤達が知りすぎた、ということだ。
荒巻の言葉からも、その時が来たら処分される事は間違いない。
(´・ω・`)「どうするべき…かな…」
明日を迎えられる保証はない。そう考えると背中に悪寒が走るのだった。
- 78: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:34:40.17 ID:/AakpsSSO
('A`)『こちら救出班、侵入した。そっちはどうだ?どうぞ』
( ゚∀゚)『こちら荒巻確保班、こっちももOKだ。どうぞ』
('A`)『把握した。ではそれぞれの作戦を開始する』
( ゚∀゚)『ラジャー!』
ドクオは無線を切り、腰の装着部分に戻した。
( ^ω^)「向こうも無事に侵入出来たかお?」
('A`)「あぁ、いい感じだ。俺達もさっさと行こう」
( ´_ゝ`)「把握した。」
- 79: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:36:30.69 ID:/AakpsSSO
こちらはショボン救出班。メンバーは内藤にドクオに流石兄弟の兄者だ。
難無く邸内に侵入する事は出来た。だが、問題はここからだ。まず、ショボンが幽閉されているであろう地下への入口を捜さなければならない。
作戦会議の段階で、荒巻邸内の見取り図は手に入れて大体は把握しているが、それでも容易な事でないのは確かだ。
地下への入口と思わしき場所は三ヵ所ほどあった。それを一ヵ所ずつ確認していくしかないのだ。それに三ヵ所の内にないという可能性もある。隠し通路のような感じで存在しているのかもしれない。
- 80: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:39:16.45 ID:/AakpsSSO
('A`)「よし。計画通り、あのA部屋から調べるぞ」
三ヵ所にはそれぞれ現在地点から近い順にA部屋、B部屋、C部屋と呼ぶようにしている。
( ^ω^)「おK。まだ全然気付かれてないお」
( ´_ゝ`)「…コソコソするのは性に合わんな」
( ^ω^)「そう言うなお。壁を破壊する時には頼むからお」
渋る兄者を引っ張って移動する。A部屋に行くまでには当然だが、廊下を通らなければならない。やはり監視カメラ等はないようだが、人とすれ違ったりしたら面倒だ。
('A`)「やはり内部にはあまり警備が居ないな。流石、偏屈爺さんだぜ」
偏屈爺さん、とはもちろん荒巻の事だ。荒巻はあまり機械も人も好きじゃないらしい。
- 82: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:41:18.68 ID:/AakpsSSO
( ´_ゝ`)「だが、中で騒ぎを起こせば外に居る連中が押し寄せてくる」
( ^ω^)「慎重に行くお」
('A`)「まず、俺が行ってくる。大丈夫だったら合図するから待機してろ」
( ^ω^)b「把握」
ドクオは周りを確認し、廊下を忍び足で行く。
(;^ω^)「あぁ…見てるこっちが緊張するお…」
( ´_ゝ`)b「大丈夫だ。敵が出て来たら爆破してやる」
(;^ω^)「巻き添えくらうだろお…常識的に考えて…」
そんな心配はよそにドクオは無事にA部屋の前までたどり着いた。そしてドアを開け、侵入する。
10秒……20秒……30秒…
ドクオは部屋に入ったきり出てこない。
- 83: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:45:17.71 ID:/AakpsSSO
(;^ω^)「合図出すんじゃなかったのかお…。…こんな所には居られないお、僕も行くお!」
( ´_ゝ`)「待て!見事なまでに死亡フラグだ!」
内藤が足を踏み出そうとした時、部屋のドアからドクオがひょいと顔を覗かせた。そして、合図をするでもなくこっちに戻って来た。
(;^ω^)「どうかしたのかお?」
('A`)「いや、呼ぶの面倒だったから一人で調べてきた」
(#^ω^)「おま…計画を乱してるのはお前だお」
('A`)「悪い悪い」
( ´_ゝ`)「中には誰も居なかったのか?」
('A`)「あぁ、だが地下への入口もなかった。B部屋に行こう」
( ^ω^)「その前にごめんなさいしろお」
('A`)「行くぞ、兄者」
( ´_ゝ`)「把握した、毒者」
内藤を無視して、二人は進んでいった。
- 85: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:47:32.44 ID:/AakpsSSO
(;゚∀゚)「しっかし広いなー」
( ・∀・)「平家だから尚更そう感じますよね」
(´<_` )「む!誰か来る。そのまま動くな」
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……」
物影でじっと身を固めてやり過ごす。やって来たのは、お手伝いさんのような女性だった。
軽い足音とシャッシャッという着物の衣擦れの音が、近付くにつれ大きくなり段々と音は遠ざかっていった。
( ゚∀゚)「…いいぞ」
ジョルジュが声をかけると二人とも立ち上がる。
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