内藤小説

86: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:50:34.24 ID:/AakpsSSO
  

( ゚∀゚)「荒巻の部屋は一番奥にある。慎重に進むぞ」

( ・∀・)「はい」

(´<_` )「承知」

荒巻確保班はジョルジュとモララーと流石兄弟の弟者。荒巻確保とは言うは簡単だが、やるのは難しい。

目的はあくまでもショボン奪還だ。今ここで無理をする必要はない。が、ジョルジュは荒巻をやるなら今がいい機会だと思っていた。

内部の警備は薄く、危機感はあまりないようだ。作戦会議の時は無謀な計画だと思ったが、この状況を考えるとそうでもないようだ。

( ゚∀゚)「とりあえずは中廊下までだ。もたもたせずに行こう」

ここから荒巻が居るであろう部屋までは大分距離がある。

ジョルジュは最大に神経を尖らせて歩を進めた。



87: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:52:31.61 ID:/AakpsSSO
  

―――時は少し遡り、場所はアメリカ―――


ξ゚听)ξ「はぁ…」

至って普通の部屋で普通よりも少しだらけた生活。生活する上では何不自由ない生活を続けている。

しかし何もせずに時間が過ぎ日付が過ぎていくと、これは監禁なのだと実感する。いや、実際には軟禁なのだろうけど。

気が付けばずっと内藤の事を考えていた。

生きているのだろうか。生きているとしたら一体今何をしているのだろう。

心配、不安、恐怖が襲ってくる。それから苛立ちも。



88: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:55:50.08 ID:/AakpsSSO
  

自分はこれだけ内藤の事を考えているのに、向こうはそうじゃなかったらと思うと腹が立ってくる。

本当に自己中な性格してるなぁと自分でも思う。

ξ゚听)ξ「…死んでたら承知しないからね…」

ここに連れて来られてから、CIAも全く接触して来ない。すぐにでもどこかへ連れて行かれて、ライブテンファンド社に引き渡されるのだろうと思っていたのだが。

もちろん、ジュディも姿を見せなかった。

ξ゚听)ξ「ねぇ、どう思う?」

隣で冷凍ピザを貪っている武田に話を振る。

武田「ハムッ、ハフッハフハフ」

ξ゚听)ξ「氏ねばいいのに…」



89: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:58:03.70 ID:/AakpsSSO
  

武田「どうって何がさ?」

ξ゚听)ξ「私達は何故ここに監禁されてるのかって事よ」

武田「……ま、僕もずっとそれを考えていたんだけどね」

ピザを平らげ、手についたソースを舐めると武田は続けた。

武田「CIAとライブテンファンド社に繋がりがあるのは事実。だとしたら、僕達を引き渡すのも当然だよね」

ξ゚听)ξ「そりゃそうでしょうね」

武田「でも実際は今の所そうしてはいない。ここだよね」

ξ゚听)ξ「ライブテンファンド社からの接触もないわね」

武田「なんらかの事情があるんだ。例えば、CIAが引き渡しの条件を提示したとかね」

ξ゚听)ξ「……」



90: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:59:47.35 ID:/AakpsSSO
  

武田「一番都合良く考えると、CIAとライブテンファンド社の縁が切れたってのも考えられる」

ξ゚听)ξ「だとしたら、私達は解放されてもいいんじゃないの?」

武田「それは分からないよ。僕らを解放する事でCIAにデメリットがあるかもしれないしね」

ξ゚听)ξ「…じゃあいずれにしろ私達が自由になる事はないじゃない」

武田「そうだと思うよ。うん」

ξ#゚听)ξ「男ならちょっとは脱出しようとか考えてみなさいよ!」

武田「僕は無駄な体力を使うのは嫌いなんだ」

ξ#゚听)ξ「…だからピザなのよ…」



91: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:01:40.70 ID:/AakpsSSO
  

ツンが武田にあれこれ文句を浴びせている時だった。

ガチャガチャとドアの鍵を開ける音がした。

思わず、ツンと武田は目を合わせた。一瞬にして身体に緊張が走る。

ドアが開く音。そして足音。

足音がツンと武田の居るリビングに向かって近付いて来る。


「やぁ」


ξ゚听)ξ「……あ」



93: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:04:07.37 ID:/AakpsSSO
  

そこには背広を着込んだハマーが立っていた。

ハマー「元気だったか?」

なぜハマーがここに…。背広を着たハマーはCIAのように見えた。

ξ゚听)ξ「…どうしてここに?」

ハマー「どうしてって、助けに来たに決まってるだろう?」

ξ゚听)ξ「ハマーさん…」

正に涙の出る思いだった。わざわざここまで助けに来てくれるなんて。

武田「どうやってここに入れたの?」

ハマー「あぁ、まぁとりあえずここから離れるのが先だ。詳しい事はまた後で話す」

ξ゚听)ξ「え、えぇそうね!見付からないうちにしないと」



94: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:05:48.62 ID:/AakpsSSO
  

コツン…


「そこまでよ」


ξ゚听)ξ「!」

武田「!」

ハマー「……来たか」


その声の方へ振り返る。開けられたドアから見えたのは彼女だった。


ジュディ「やってくれるじゃない、ハマー」


ジュディの手には拳銃が握られており、その照準は真っ直ぐハマーの方へ向けられていた。



95: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:08:02.32 ID:/AakpsSSO
  

数日、ほんの数日振りなのにも関わらずなぜか別人のように見える。

ξ゚听)ξ「……ジュディ。銃を下ろして…」

ジュディが銃を構えてる姿はとても凛として美しささえ感じさせたが、同時に恐怖も感じさせる。

ジュディ「無理な話ね」

彼女はあっさり言い切った。

ハマー「…ツン、こいつに何を言っても無駄さ」

いつの間にかハマーも拳銃を出してジュディに狙いをつけている。

ξ;゚听)ξ「ジュディ…お願い、私達はここに残るからハマーを撃たないで!」

ジュディ「あら…随分と手なずけたのね、ハマー」

ハマー「……」



97: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:10:57.42 ID:/AakpsSSO
  

しばしの沈黙。ハマーもジュディも微動だにしない。そして銃口も。


ξ゚听)ξ「ジュディ…私、貴女にどうしても聞きたい事があるの」

ジュディ「…何?」


相変わらず、こちらを見ようともしない。彼女の目はハマーしか捉えていなかった。


ξ゚听)ξ「…どうして……どうしてカーターを殺したの…?」


ずっと聞いてみたかった。納得出来なかったのだ。ジュディはカーターに好意を寄せていた、…少なくともツンからはそう見えていたのだ。


ジュディ「……なるほどね」


ξ゚听)ξ「ぇ…?」



98: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:13:22.10 ID:/AakpsSSO
  

ジュディ「ハマーがそう言ったのね?」

ξ゚听)ξ「……どういう事?」

ハマー「しらばっくれるつもりか」

ジュディ「よく言うわ。……自分が殺したくせに」

ξ゚听)ξ「!!」

武田「……」

ハマー「馬鹿な。殺したのは君だろう?」

頭が混乱してきた。それでなくてもこの状況は尋常じゃないのに。

カーターを殺したのはジュディだと思っていた。信じたくはなかったけれども、ジュディがCIAらしいと聞かされて、監禁された時からはそう思わざるを得なかった。


しかし……



99: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:16:33.43 ID:/AakpsSSO
  

ジュディ「ツン、ハマーに何て言われたの?」

ξ゚听)ξ「何って…。貴女がCIAだと言う事…そしてカーターを殺したんじゃないかって事…よ」

ジュディ「なぜ私がカーターを殺したと信じたの?」

ξ゚听)ξ「それは…顔見知りによる犯行の線が強いって…」

ジュディ「それもハマーが言ったのよね?」

優しくも厳しい声。

ξ゚听)ξ「えぇ」

ハマー「もうやめるんだ」

ジュディは続ける。

ジュディ「ねぇ、よく考えて。顔見知りの犯行なのよね?」

ξ゚听)ξ「……」

ハマー「いい加減にしろ!」

ハマーが伸ばした腕を更に伸ばして照準を合わせる。



101: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:21:33.55 ID:/AakpsSSO
  

ジュディ「確かに、私もカーターとは親しかった。でもカーターには私以上に心を許していた人が居たわ」


ハマーは今にもジュディに向けて発砲しそうだ。


ジュディ「親友…がね」


親友。カーターを良く知っていて、人生のある時期を一緒に過ごした友達。それはツンの知っている限り一人しかいない。


ξ゚听)ξ「……ハ…マー…?」


ハマー「………」



102: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:24:22.21 ID:/AakpsSSO
  

次の瞬間だった。

「突入!!!」

威勢のいいその声と共に、武装した集団が部屋を占拠した。

ξ゚听)ξ「キャアッ」

武田「ぶふぅっ」

ハマー「チィィッ!!特殊部隊かっ!」

ハマーが一発、二発と発砲しながら、機微に動く。

ジュディ「ツンッ!!」

ξ゚听)ξ「キャアァッ!」

ジュディが叫んだ時にはもう遅かった。ハマーはツンの後ろに回り込み、ツンの側頭部に拳銃をあてた


ハマー「全員動くなァ!少しでも動いたら、こいつの頭が吹き飛ぶ事になるぜ」



103: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:26:59.73 ID:/AakpsSSO
  

ξ;;)ξ「やめ……て。撃たないで…」


この場に居る全員の動きが止まる。


ハマー「そのまま武器を置け。そして、ゆっくり右に移動するんだ」


特殊部隊の隊長らしき人物とジュディが軽くアイコンタクトをとる。そして、言われた通りにした。


時間をかけて移動させると、ドアへの道があいた。ハマーはツンを盾にしながらじわりじわりと移動する。


ハマー「動くんじゃないぞ」


低くよく通る声で言った。声を聞く限り、よく落ち着いている。場慣れしているのだろう。


そして、ハマーとツンは特殊部隊と向き合うように移動し、ソファーに座っている武田の後ろを通る。



114: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 03:57:29.27 ID:/AakpsSSO
  

ハマーの目は特殊部隊の手元をじっと見つめている。

武田「ホワァッ!」

武田が妙な掛け声と共にエビ反るように身体をくねらせて、ハマーの銃を持っている方の腕を掴む。

ハマー「グッ!!」

ツンを絞めていた腕が緩み、ツンが前に倒れ込みソファーにもたれかかる。

ハマー「アァァァァァァ!!」

ハマーが武田を振りほどく。転がるピザ。

そして、ハマーは全速力でドアの方に走り込む。距離はわずか2、3m程だ。

特殊部隊とジュディが床に置いた拳銃を拾って狙いをつけて撃つにはあまりにも短い時間だった。

拳銃を構えた時にハマーは既にドアの外に出ていた。

それから「追えぇぇ!」という怒号。

全てがスローのように流れていく。



116: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 04:00:47.65 ID:/AakpsSSO
  

特殊部隊がハマーを追い、その足音が遠ざかると部屋には嘘のような静けさが戻ってきた。

武田「だ、大丈夫かい?」

ξ;听)ξ「ん…なんとか…」

鼓動が有り得ないくらい早くリズムを刻んでいる。

ジュディ「ツン……立てる?」

そう言って、手を差し延べる。

ξ;;)ξ「ジュディ…あたし…あたし…ごめんなさい」

ジュディ「…いいのよ、ツン。私がCIAだというのは紛れも無い事実だしね」

ξ;;)ξ「グズッ…」

武田「……色々と説明してもらえますか?」

ジュディ「…そうね。もっと早くにするべきだったのかも」

静かで、そして重い空気を壊すかのように外から微かに発砲音が聞こえた…。



117: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 04:03:11.21 ID:/AakpsSSO
  

――――――――――――


ジュディがアイスコーヒーを三人分運んできた。ツン、武田、そしてジュディはテーブルを挟むようにしてソファーに座っている。

ジュディ「落ち着いた?」

ξ゚听)ξ「えぇ。ありがとう」

ジュディ「貴方も素晴らしい勇気だったわ」

武田「ど、どどどどどど(ry」

ξ゚听)ξ「何赤くなってんのよ」

武田はそれには答えず、アイスコーヒーを一気に飲み干す。必死に照れを隠している様子が笑えた。

ジュディ「…ごめんなさい。ずっと放置してて」

ξ゚听)ξ「謝るのはこっちの台詞よ」

ジュディ「いいの。これで誤解も解けたわけだしね」

そう言うと、ジュディはニコッと笑顔を見せた。



119: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 04:06:29.43 ID:/AakpsSSO
  

武田「じじじじゃあ、ツンとついでに僕を監禁したのはライブテンファンド社から守る為の保護だったんですね?」

ジュディ「そう考えてもらっていいわ。こっちにも事情があって貴方達に話す事は出来なかったけれど」

ξ゚听)ξ「あの電話はその保護の指示だったのね」

ジュディ「電話?」

ツンは、ここへ連れてくる前にジュディがだれかと電話をしていて、それを聞いた事を説明した。

ジュディ「あぁ、あの電話ね。そうよ、あの時にハマーがライブテンファンド社の手先じゃないかって事の報告を受けたのよ」

武田「ななななるほどねね」

ξ゚听)ξ「まさかハマーがね…」

ジュディ「…そうね。私も迂闊だったわ。てっきり彼は引退してるとばかり思ってたから…」



121: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 04:09:08.45 ID:/AakpsSSO
  

武田「きき聞きたい事があるんだけど、CIAはどこまで関わっているのかなな?」

ジュディ「…詳しい事は言えないけど、これからCIAがライブテンファンド社に協力する事はないわ」

ξ゚听)ξ「……」

ジュディ「…黙っててごめんなさい、ツン」

ξ゚听)ξ「…あなたがCIAならなぜ最初から私の依頼を請けたの?カーターと敵対するのは分かりきっているのに…」

ジュディ「…カーターは私がCIAだって事を知ってたと思う。聞いてみたこともないし、聞かれたこともないけどね」

ξ゚听)ξ「え…」

ジュディ「それでも彼は依頼を請けると言って聞かなかったわ。…そういう人なのよ、カーターは。戦士の本能っていうのかしら」

ジュディ「カーターの事件の後、貴女に会って言った言葉覚えてる?」

ξ゚听)ξ「…敵討ち」

ジュディ「そう。…それは本当よ。CIAの仕事とは別にやらなければいけない事なの」



122: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 04:11:40.15 ID:/AakpsSSO
  

ジュディの目は真剣そのものだった。

武田「…ツンと一緒に行動してたのも命令ですね?」

ジュディ「…えぇ。でもあくまでも監視よ。最初からCIAはライブテンファンド社に協力的じゃなかったの」

武田「しかし、協力の申し出を断るに断れない理由もCIAにはあった…。まぁその辺には興味ないですけどね」

ジュディ「…賢明ね」

ジュディも武田に遅れる事数分、アイスコーヒーを飲み干した。

ジュディ「貴方達に話さなければならない事がもう一つあるの」

ξ゚听)ξ「なんですか?」

ジュディ「詳しい事はまた後で話すとして、今ライブテンファンド社で少し妙な動きがあるの」

ξ゚听)ξ「kwsk」

ジュディ「ライブテンファンド社のレインズという男を知ってる?」

ツンは頭を傾げたが、武田は知っている様だった。そういえば、武田はライブテンファンド社で働いていたのだった。それをツンは思い出した。



123: ◆P.U/.TojTc :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 04:18:48.39 ID:/AakpsSSO
  
ジュディ「その彼が取り巻きを連れて日本に発つそうよ」

ξ゚听)ξ「…それが?」

ジュディ「貴女のお友達の内藤とドクオは今日本に居るわ」

二人が日本に居る。ん…?とツンは考えた。それよりも大事な事を今言ったような…

武田「やっぱり、内藤君は生きてたんだ」

ξ゚听)ξ「!!!!!」

ジュディ「あぁ、アレね。彼の自殺は日本の公安の偽装工作らしいわよ。……なるほど、これを先に言うべきだったのね。ツン?」

ξ〃凵V)ξ「なっ!なななななな何よっ!べ、別に心配なんて!…」

武田「してたよね」

ξ〃凵V)ξ「う、うるさいわよっ!!」

ジュディはツンが真っ赤になっている様子をにやにやしながら眺めていた。

ジュディ「もういいかしら、ツン。それで話っていうのはここからなのよ」


だが結局、ジュディが話を始めるまで数分かかった。その理由がツンが鼻血を出してしまったからなのはここだけの秘密。



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