内藤小説

31: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:13:20.94 ID:MnzLK27RO
  

合図を受けて、内藤とドクオも周りを確認して向かう。

('A`)「開けるぞ。中に見張りが居るかもしれんが、速攻で片付けるぞ」

内藤と兄者は頷いた。鍵が開いた音で既に向こうに気付かれているかもしれない。

1、2、の…3!でドクオが勢い良くドアを開ける。ドクオの手には拳銃が握られている。

('A`)「……っと。居ないようだぜ」

三人とも部屋に入る。えらく無機質な部屋だった。入るなり目に映るのは灰色のコンクリートの壁だけだ。

そして左に地下に続いている階段がある。

(;^ω^)「また貯蔵庫とかいうオチだったら嫌だお」

('A`)「…とにかく降りてみよう」

またもや、ドクオを先頭に階段を下ってゆく。先程の階段よりも暗くて足場が見えなかった。

('A`)「ん…。今度は少し長いようだな」

ドクオの言う通り、少し長めの階段を下りきるとまたドアがあった。今度は木製でなく金属制で鍵もあるようだ。



32: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:18:48.61 ID:MnzLK27RO
  
( ^ω^)「覗き窓があるお。ちょっと見てみるお」

ちょうど目の位置にあるそれに顔を近付けて覗いてみる。

( ^ω^)「どれどれ……おっ!!」

('A`)「何か見えるか?」

( ^ω^)「牢屋っぽい柵が見えるお!」

ドクオは内藤を退かして覗き窓を見る。

('A`)「牢屋だ!兄者、鍵を開けてくれ!」

( ´_ゝ`)「爆破の方が早いんだが……まぁいいだろう」

兄者が慣れた手つきで針金を操る。そしてこの鍵もまた数十秒で開けた。

('A`)「よし、入るぞ。一応警戒しとけ」

覗き窓から見た限り、誰も居ないようだったが気は抜かない。

('A`)「…突入!」

( ´_ゝ`( ^ω^)「おKKKKKK!!」



33: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:21:25.15 ID:MnzLK27RO
  

ドアを開けた音が室内に響く。

三人が一斉に中に入り、警戒する。しかし、警備はいないようだ。

('A`)「…!!ショボン!」

(;´・ω・`)「ド、ドクオ!」

( ^ω^)「ショボンだお!!」

(;´・ω・`)「ブーン!!二人とも無事だったんだね!」

( ^ω^)「おっお!ブーンって呼ばれたの久し振りだお!ショボンも無事で良かったお!」

('A`)「……そういや、昔はブーンって呼んでたよな」

ドクオが妙に落ち着いて呟く。



34: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:23:31.53 ID:MnzLK27RO
  

(;´・ω・`)「君達は捕まってたんじゃなかったのかい?」

( ^ω^)「まぁ色々あって逃げたんだお。後で詳しく話すお」

('A`)「兄者!この牢屋の鍵も開けてくれ!」

( ´_ゝ`)「よしよし、待っていろショボン」

(;´・ω・`)「あぁ…ってえええぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇ!!!流石の…兄者じゃないか!」

('A`)「知ってるのか?」

(;´・ω・`)「会うのは初めてだけど…。ドクオは彼らに狙われてたんだよね?」

( ´_ゝ`)「フフフ。その通り」

( ^ω^)「とりあえず流石兄弟は仲間だお。それだけ覚えておいたらいいお」

('A`)「中々ややこしい事態になってるんだ。とにかくここから出よう」

(´・ω・`)「わかった」



35: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:26:17.40 ID:MnzLK27RO
  

兄者の天才的なピッキング技術で鍵が開く。

(´・ω・`)「ふぅ。助かったよ」

( ^ω^)「おっお!ショボンも少し老けたお!」

(´・ω・`)「……僕にとってのヒーローは君達…か」

( ^ω^)「何を言ってるんだお?」

(´・ω・`)「いや、こっちの話さ」

('A`)「もたもたしてないで行くぞ。次の作戦を始める」

(´・ω・`)「作戦?逃げるんじゃないのかい?」

( ^ω^)「荒巻さんを捕まえるんだお」

(;´・ω・`)「そう来るか。まぁ詳しい話は行きながら聞こう」


久し振りの再会を喜び合う暇もなく、四人になったメンバーは駆け出した。



37: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:36:29.09 ID:MnzLK27RO
  

救出班からショボン救出に成功したと連絡があった。予定時刻通りに作戦を開始する。

作戦は二つのパターンを用意していた。救出班の状況を考えて作戦を決めた。

( ゚∀゚)「もう後戻りは出来ないな…」

(´<_` )「怖じけづいたか?」

( ゚∀゚)「多少は…な。馬鹿にするか?」

(´<_` )「…いやそんなつもりはない」

( ・∀・)「僕はwktkしてきましたけどね」

(´<_` )「こういう輩の方がよっぽど危険だ」

( ・∀・)「迷惑なんて掛けませんよ」

作戦開始予定時刻まであと2、3分。これからが本当の勝負だ。

荒巻を手に入れればこちらの勝ち。失敗すれば当然負けだ。荒巻を一旦捕まえてしまえば逃げるのはそれほど難しくはない。何にせよスピードが重要だ。



39: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:39:27.82 ID:MnzLK27RO
  

( ゚∀゚)「いいか、合図が出たら全速力で突っ切れ。そして荒巻の部屋に突入、捕獲だ」

( ・∀・)「把握です」

(´<_` )「あと1分」

三人とも時計の秒針を見つめる。早いのか遅いのか、どちらにしても一秒の重さが身に染みる。

( ・∀・)「あと30秒…」

心臓の鼓動が聞こえるようだ。鼓動は秒針が一秒を刻むよりも早くリズムを刻んでいる。

(´<_` )「あと20秒」

未だ静けさが夜を支配している。これが嵐の前の静けさだということを知っているのは数人だけだ。

( ゚∀゚)「あと10秒……9…8…7…6…5…4…3…2…1……」

闇を切り裂くような轟音と光。それは正面玄関の辺りから聞こえて来た。今頃、外の警備はパニックになっている事だろう。

( ゚∀゚)「走れえぇぇぇぇぇぇぇえぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」

ジョルジュが先頭になり中廊下を走り抜ける。モララー、弟者の順で続いて行く。

この道の先にあるのは天国か地獄か。その時、それは誰にも分からなかった。



40: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:41:39.55 ID:MnzLK27RO
  

(;^ω^)「ややややりすぎじゃないかお!?」

('A`)「…ま、いいだろ」

(*´_ゝ`)「フフフ…美しい…」

(´・ω・`)「あと幾つ爆破させるんだい?」

(*´_ゝ`)「あと五つほどなり」

('A`)「よし、じゃあ兄者後は頼んだぞ」

( ´_ゝ`)「あぁ、身を隠しておく。頃合いを見て駆け付けるから弟者を頼む」

( ^ω^)「任せろお!誰も死なせやしないお!」

('A`)「じゃあ俺達もさっさと行こう」


兄者をその場に置いて内藤、ドクオ、ショボンの三人は荒巻の居る部屋に向かう。



41: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:45:20.88 ID:MnzLK27RO
  

(´・ω・`)「それにしても無茶苦茶なやり方だね。どうせドクオの計画だろう?」

(;'A`)「う…。仕方ないだろ!時間なかったし…」

(´・ω・`)「まぁ助けてくれた事には感謝するよ。こうなったらやるしかないし」

( ^ω^)「そうだお。やるしかないんだお」


もうこの状況では身を隠しつつ行く必要はない。幸い兄者の爆破で警備の目は外に向いているから、中を進むのはたやすい。

土足で長い廊下を走り抜ける。時折、女中のような女性が出てくるが、相手にしない。


( ^ω^)「お!あれが中廊下かお」

('A`)「ジョルジュ達はもう行ってるみたいだな」

(´・ω・`)「僕らも急ごう」


全速力で中廊下を駆け抜ける。そこを通り過ぎると、あと少しで荒巻の部屋だ。



42: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:48:11.79 ID:MnzLK27RO
  

あと少し。三人は更にスピードを上げる。

と、その時行く手を阻むように黒服の男達が立ち塞がる。


(;^ω^)「おっ!」

('A`)「チッ!」

(´・ω・`)「サクッと片付けよう!」


1、2、3、4、5人。服の上からでも強靭な肉体を纏っているのが分かる。手強そうだ。しかし、ここで片付けておかないと後で困る。


('A`)「うらぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ドクオがスピードに乗ったまま突っ込む。

(´・ω・`)「よいしょ」

男達の体勢が崩れた所をすかさずショボンが殴り、蹴り倒していく。

(;^ω^)「おっー…」



43: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:50:53.59 ID:MnzLK27RO
  

正直、内藤の出番はない。なんのことはない。この二人は異常に強いのだ。多少、相手のガタイが良くても問題ではない。

('A`)「よっ」

(´・ω・`)「ほっ」

あっという間に5人居たのが2人になる。相手の顔にも焦りの色がうかがえる。

('A`)「終わらせるぜ!」
(´・ω・`)「うん」

一撃。

それだけで充分だった。

(;^ω^)「二人とも強すぎだお……出番なしにも程があるお」

主人公である内藤の嘆きも聞かず、二人は再び走り出す。

( ^ω^)「…泣かないお」

涙腺をきつく絞めて内藤も走り出した。



44: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:53:23.94 ID:MnzLK27RO
  

( ゚∀゚)「お!遅かったな」

( ^ω^)「おっお!無事だったかお!」

( ・∀・)「あっさりすぎて拍子抜けですよ」

/ ,' 3 「……」

('A`)「…よくやった」

( ^ω^)「……」


表の喧騒が嘘のように静まりきった室内。床には3人の黒服の男が横たわっている。たった3人でジョルジュ達から荒巻を守るなんて出来るわけがない。


/ ,' 3 「…やられたのぉ…」


どこか他人事のように荒巻が呟く。その顔は諦めともつかない、何かを悟ったようなものだった。



46: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 00:56:08.98 ID:MnzLK27RO
  

('A`)「残念だったな、思い通りにならなくて」

/ ,' 3 「……」

荒巻は静かに目をつぶった。まるで死刑判決を言い渡された被告人のように。

(´・ω・`)「あなたはこれから僕たちの管理下に置かれます」

/ ,' 3 「……好きにするがいい」

爆音が壁を振動させる。兄者はまだ起爆させているようだ。

/ ,' 3 「…どうやってこの屋敷から抜け出すつもりだ…?」

('A`)「ご心配なく。ちゃんとルートは確保してます」

ドクオがやけに皮肉めいた言い回しで言う。彼がこういう言い方をする時は大体マジギレしている時だ。



47: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:00:09.21 ID:MnzLK27RO
  

( ^ω^)「…荒巻さん。大体の話はさっきショボンから聞いたお…」

/ ,' 3 「……」

( ^ω^)「なんで…なんでこんな事になっちゃったんだお?レインズっていう友達と憎み合ったり…手を組んで僕たちを利用しようとしたり…」

/ ,' 3 「…君に言ってもわからんさ」

( ^ω^)「確かに僕は馬鹿だお。…でもやっちゃいけない事くらい分かってるつもりだお」

/ ,' 3 「君と私じゃ立場が違う。…私の苦しみは一生わからないさ。同時に私には君の苦しみも分からない。これでいいじゃないか」

( ^ω^)「そんなのただの甘えだお」

/ ,' 3 「…私が調べた所によると君は掲示板から追い出された後、引きこもりを続けていたそうじゃないか。そんな人間にどうこう言われる筋合いはない」

( ^ω^)「それは……」

言葉に詰まる。その通りだ。自分こそ甘えていたのだから。

('A`)「…内藤。悪いが時間がない。話すんなら後にしろ」

(´<_` )「確かにここから離れるのが先決だ」

…うん、とドクオと弟者の言葉に頷く。



48: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:02:43.41 ID:MnzLK27RO
  

そして、ドクオとジョルジュが荒巻を両側から挟み、一行は逃げる準備をする。

大丈夫。ここからの計画には問題ない。侵入した時に使ったルートは警備も知らないルートだ。

心配ない。例え気付かれたとしても荒巻を人質にしているのだから向こうも無茶は出来ない。

行くぞ、とドクオが皆に声を掛ける。

準備が整い、ドアに一番近かった内藤がドアを開ける。

そしてドアが開く。当然だ。

( ^ω^)「おっ?」

しかし内藤はまだドアノブに手を掛けただけだった。

次の瞬間、既に内藤の首には誰かの腕が回っていた。そしてこめかみには拳銃――――

(;^ω^)「おっ!」

(;´・ω・`)「ブーンッ!」



49: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:05:20.55 ID:MnzLK27RO
  

('A`)「誰だっ!?」

「何の騒ぎかと思えばこれた…」

部屋には既に黒のスーツを着た男達が数人入り込んでいた。荒巻の側近達よりももう一回り大きい体をしている。そして日本人ではない。

「…まぁいい」

声はまだドアの外側から聞こえていた。

/ ,' 3 「……レインズ」

('A`)「レインズ?あの…」

レインズ「情けない姿だな。日本のボスともあろう者が」

背が高くスラリとした体型をした男が入ってくる。整った顔立ちに幾分かの皺が味を出している。白髪をオールバックにしているのも様になっていた。



50: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:07:35.13 ID:MnzLK27RO
  

/ ,' 3 「なぜ今ここに?」

レインズ「ショボン君をこちらで引き取ろうと思ってね。それで来てみたらこのザマだ」

(´・ω・`)「…デニー・レインズ…僕を覚えているか?」


低く抑えた声でショボンが問い掛ける。


レインズ「…久しぶりだな。まさかこんな形で再会するとは思わなかった」

(´・ω・`)「…僕も…ですよ」

レインズ「ちょこまかと動いてくれたな。そのお陰でこっちは苦労した」

(´・ω・`)「なぜモイヤーを殺した?彼はお前の…」



52: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:10:03.65 ID:MnzLK27RO
  

レインズ「あぁ友人だ。そうだとも。だが奴は私を裏切ろうとした。私の計画を知って、辞めるように言ってきた。辞めなければ私の過去もこの計画も公表すると言ってな」

(´・ω・`)「それで……そんな事で殺したのか」

レインズ「そんな事だと?そうなれば私の人生は終わりだ。何もかもを失う!」

(´・ω・`)「……哀れな奴だ…」

レインズ「何とでも言うがいい。私の苦しみなどお前には到底理解出来ないだろう」

レインズ「くだらん話はここまでだ。武器を置いて手を挙げろ。さもなければこいつの頭が吹き飛ぶぞ」

レインズはそう言うと内藤の方を指差した。

(;^ω^)「……」

内藤の頭に拳銃を突き付けている男が内藤のこめかみにぐりぐりと銃口を押し付ける。

('A`)「…そっちこそ武器を棄てて内藤を解放しろ。下手な真似したらこいつが死ぬぜ」

ドクオも拳銃を荒巻の頭に向ける。



53: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:12:34.11 ID:MnzLK27RO
  

レインズ「構わんぞ」

( ゚∀゚)「…馬鹿な事を」

( ・∀・)「諦めて投降するんだね」

レインズ「お前らは…そうか。公安の裏切り者というのはお前だな。……それに流石の弟者か。フッ…馬鹿ばかりだ」

(´<_` )「失敬な。馬鹿なのは兄者の方だ」

レインズ「身の程知らずが。別に荒巻に用はない。殺したければ殺せばいい」

('A`)「強がっても無駄だ。腐っても友人だろう」

レインズ「こっちは荒巻もこの内藤も別に要らないんだ。勘違いするな。何ならこっちの人質から殺してみせるぞ」

('A`)「…」



55: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:14:49.37 ID:MnzLK27RO
  

(´・ω・`)「…ドクオ、レインズは本気だよ」

('A`)「……従えってのか…?」

(´・ω・`)「そうだよ」

('A`)「……」

従った所で逃がしてくれるわけでもない。むしろどうなるか分からない。とにかく死が近付くという事だ。

( ^ω^)「…僕に…僕に構うなお!従ったって殺されるだけだお!」

('A`)「…お前…」

レインズ「フ…フハハハッ!こんな所で友情ごっこか?」

( ^ω^)「こんなカスさっさとやっちまえお!」

レインズ「クックッ。茶番はもういい。黙らせろ」

指示を受けた男が拳銃で内藤の頭を殴打する。鈍く嫌な音がする。



56: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 01:16:36.94 ID:MnzLK27RO
  

( ´ω^)「ウッ」

('A`)「内藤ッ!」

(メ^ω^)「だ、大丈夫だお!僕に構うなお!」

レインズ「…実に不愉快だな」

その一言を聞いて、男がもう一度同じように内藤をいたぶる。内藤のこまかみから赤い血が流れる。

( ´ω`)「あぅっ」

(´・ω・`)「もういいっ!従う!」

レインズ「もう一発だ」

指示通り、もう一発。

(メ´ω`)「あぅぅ」

(;゚∀゚)「…んのヤロウ」

('A`)「糞がッ!わかった!降伏する!」

レインズ「まだだ」



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