内藤小説

105: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 14:49:03.60 ID:MnzLK27RO
  

これか?―――――
という弟者の声。
そして
これだ!―――――
という皆の声。

(メ'A`)「………おら」

(メ^ω^)「……お?」

(メ'A`)「おぶってやるって言ってんだよ」

(メ^ω^)「気持ちは有り難いけど、肩を貸してくれるだけでいいお」

(メ'A`)「あっそ。ほら、掴まれ」

(メ^ω^)「…ドクオもボロボロだお」

(メ'A`)「お前よりはマシだ、行くぞ」



106: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 14:50:17.84 ID:MnzLK27RO
  

(メ^ω^)「…ありがとお」

(メ'A`)「…ここで全部終わらすぞ」

(メ^ω^)「…だお」

二人がその場所に行くと、全員が待っていた。

本棚のあった場所の裏に地下へと続く階段があらわになっていた。どうやらスイッチを押すと出てくるらしい。そして一定時間すると自動と元に戻る仕掛けになっている。

(メ´・ω・`)「行くよ」

ショボンが先頭になり階段を下りていく。長年使われていなかったのだろう。ほこりっぽい匂いが染み付いている。

微かな足音ですら反響して鳴り響く。暗く不気味なこの階段の先はどこへ繋がっているのだろう。



107: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 14:52:11.16 ID:MnzLK27RO
  

やたらと長い…いや、長く感じた階段を下りると、そこには金属制の重厚な扉があった。今までのとは比べものにならない程、頑強な造りになっているようだ。

(メ´・ω・`)「…駄目だ。向こうからロックされている」

(メ゚∀゚)「…まいったな」

(メ^ω^)「兄者のピッキングでなんとかならんかお?」

( ´_ゝ`)「鍵穴もないのにどうやってピッキングしろと?」

よく見ると扉の横に何かの認証装置がついていた。指紋などで開くシステムなのだろう。

(メ'A`)「…手詰まりか…」

(´<_`メ)「……兄者、何とかならんか?」

( ´_ゝ`)「その言葉待っていた!」



108: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 14:57:30.27 ID:MnzLK27RO
  
(メ^ω^)「なんとか出来るのかお!?」

( ´_ゝ`)「出来る!!」

(メ'A`)「だから最初から言えっつーの…」

( ´_ゝ`)「少し離れて待っているがいい、愚民ども」

調子に乗っている兄者の言葉に全員がイラッとしたが、敢えて何も言わず下りた階段を再び少し上り待機する。
兄者は懐から何やら危なげな装置を取り出す。そしてそれから出ている導線を扉の僅かな隙間に差し込み、更に細工を施す。

( ´_ゝ`)「これで良し」

兄者が作業を終えて、全員が居る所まで階段を上がってくる。そこで一旦立ち止まり、扉からの距離を確認してもう少し上に上がり耳を塞ぐ。

(メ'A`)「…おい、出来たのか?」

ドクオの問い掛けも、耳を塞いでる兄者には届かない。
何かを言い掛けようとしたドクオの声は途中から爆音に掻き消された。パラパラと爆発によって削られたコンクリートのかけらが熱風とともに降り注ぐ。
しばらくすると、それが収まり静けさを取り戻す。

( ´_ゝ`)b「…ミッションコンプリート」

兄者は全員からパンチをもらった。



109: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 14:58:54.70 ID:MnzLK27RO
  

使いものにならなくなった扉をショボンが警戒しながら開ける。扉は爆発の影響で熱を帯びていたが気にしてる場合ではない。

警戒はするが、レインズも荒巻も先程、武器を取り上げた為武器は持っていないはずだ。もしここから外に繋がっていたらと考えると、もたもたしてはいられない。

ショボンは思い切って中に踏み込む。

(メ´・ω・`)「…」

ショボンの目に映ったのは意外な光景だった。

後ろから流石兄弟、ジョルジュとモララー、そしてドクオと内藤が続く。

(メ^ω^)「…お、ここは…」



110: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:02:42.85 ID:MnzLK27RO
  

ちょうど学校の教室と同じくらいの広さ。実験室、いや研究室と呼ぶのがふさわしいか。四方をコンクリートの壁に囲まれ、様々な器具、薬品がテーブルや棚に並んでいる。

そして、レインズと荒巻も居た。

(メ´・ω・`)「…ここまでだな」

不思議な静寂が支配する室内でショボンが言う。

レインズにも荒巻にも反応はない。

(メ'A`)「大人しく捕まるか、それとも力づくで捕まえられるか…選ぶか?」

それにも反応はない。

(メ^ω^)「…荒巻さん…この部屋はなんなんだお?」

少しの沈黙の後、内藤のその言葉に荒巻は重い口を開いた。

/ ,' 3 「…ここはある所を再現した研究室だ」



111: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:04:52.09 ID:MnzLK27RO
  

(メ^ω^)「ある所……かお」

/ ,' 3 「そうだ」

(メ´・ω・`)「…ロシアでの総合研究所時代の研究室ですね」

/ ,' 3 「…あぁ」

(メ´・ω・`)「そして貴方とレインズ、それからモイヤーが出会った場所…」

(メ^ω^)「……」

内藤もショボンを助けた後に少しだけ事情を聞いていた。

/ ,' 3 「……己への戒め…といったところだな」

レインズ「…くだらん」

レインズがようやく口を開く。

/ ,' 3 「……そうだな」

(メ'A`)「悪いが、あんたらの昔話を聞くつもりはない。こっちには時間がないんだ」



112: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:07:26.12 ID:MnzLK27RO
  

ショボンが内藤の足に巻いた布きれは真っ赤に染まっていた。確かに時間はない。

レインズ「取引をしようじゃないか。私達はもう君達を追わない。代わりに君達も今回の事は決して口外しない。これでどうだ?」

(メ'A`)「ふざけるのも大概にしとけよ…」


ドクオの顔には怒りの色がありありと浮かんでいた。


レインズ「金も欲しいだけやろう」

(メ'A`)「てめぇ!!!」

ドクオが内藤を支えてる腕と逆の腕で拳銃をレインズに向ける。

(メ´・ω・`)「…ドクオ」



113: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:09:05.34 ID:MnzLK27RO
  

(メ^ω^)「ドクオ、銃をしまってくれお」

(メ'A`)「……」

(メ^ω^)「ドクオ」

ドクオはまだ銃を降ろさない。

(メ'A`)「……お前はなんでいつもそうやってヘラヘラしていられるんだよ…」

(メ^ω^)「…僕はただ目の前で人が殺されるのを見たくないだけだお」

(メ'A`)「お前だって酷い目に合わされたじゃねぇか!」

(メ^ω^)「ドクオは僕の大切な友達だお。友達を殺人者にするわけにはいかんお」

(メ'A`)「……」

チッ、と小さく舌打ちをして渋々ドクオは銃を降ろした。

そして再び沈黙。

その沈黙を破ったのは荒巻だった。



114: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:11:19.20 ID:MnzLK27RO
  

/ ,' 3 「……友達…か。懐かしい響きだ」

/ ,' 3 「………お前達の好きにすればいい。煮ようが焼こうがの」

(メ^ω^)「…そんな事はしませんお。ただ…僕の友達を傷付けた罪を償って欲しいだけですお」


実際、荒巻が今回の事で犯した罪と言えばショボンを換金した事だけだ。強いて言えば、国家機密の軍事データをレインズに流そうとした事だが、それも未遂だ。

最も過去に遡れば幾らでも出てくるだろうが、そんな事をするつもりは内藤にもない。内藤の頭にあるのは友人を危険に晒す可能性を無くす事だけだ。


/ ,' 3 「…それでは連れて行ってもらうとしようか」


荒巻がゆっくりこちらに歩いて来る。



115: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:12:49.08 ID:MnzLK27RO
  

数歩程歩いて立ち止まる。そして顔は内藤達の方を向いたまま言う。

/ ,' 3 「……お前も…もう終わりだ、レインズ」

小さく、それでいて強さを感じさせる声だった。

レインズ「…終わりだと?」

レインズ「俺は……俺はこんな所で終われない!!ようやくここまではい上がって来たんだ!!」

整った顔を歪ませ、紅潮させて叫ぶように言う。

レインズ「俺もモイヤーもお前に裏切られ、命からがらアメリカに帰ってそれからどれだけ苦労したかお前に分かるか!?」

レインズ「やっと…やっと平穏な日々を手に入れた!それを奪われてたまるか!」

/ ,' 3 「……」



116: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:15:14.85 ID:MnzLK27RO
  

何も言わない。いや荒巻は何も言えないのだろう。裏切ったのは紛れも無い事実、そして友達を捨てた証拠なのだから。

/ ,' 3 「…今日の日まで、お前とモイヤーを裏切った時の事を思い出さない日はなかった…」

/ ,' 3 「時を戻せたら…と何度も思った。本当はあの時、日本は裏切ってもお前達を裏切るべきではなかった」

/ ,' 3 「しかし、愚かな事に私は命惜しさでお前達を裏切ったのだ…。もうそれは許してもらおうなどとは思っていない」

/ ,' 3 「ただ……」

そこで荒巻の言葉は止まった。自分には何も言う資格はない、という考えが彼の言葉を躊躇わせる。

荒巻は顔を伏せてまたこちらへ歩を進めた。その姿は内藤達にすら何かを感じさせた。



117: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:16:48.25 ID:MnzLK27RO
  

(メ^ω^)「…ドクオ、肩もういいお。ありがとお」
(メ'A`)「大丈夫かよ?」

うん、とドクオに向かって頷き、足を引きずりながらレインズの方へ向かう。

周りの止める声も聞かず、内藤は進む。

レインズ「来るな」

(メ^ω^)「…レインズ…さん。確かに貴方の怨みは分かるような気がするお。……でも、貴方に僕の友達を傷付ける権利はないお」

レインズ「来るな」

(メ^ω^)「…なんで…なんでモイヤーさんを殺しちゃったんだお?…モイヤーさんが裏切ろうとしたからかお?」

レインズ「来るな!」



118: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:18:59.79 ID:MnzLK27RO
  

(メ^ω^)「…それは違うお。裏切ったのはあんたの方だお…。モイヤーさんはあんたを止めたかっただけだろがお…」

レインズ「来るなぁぁぁああ!!!」


レインズがその場に尻餅をつき、それでも後ずさる。

内藤は既にレインズの目の前に来ていた。


(メ^ω^)「終わりなんかじゃないお。今から…ここからやり直すんだお」


レインズは尚も後ずさり、ドンッと背中がテーブルにぶつかる。



119: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 15:21:32.42 ID:MnzLK27RO
  

その拍子にテーブルの上からジュラルミンケースが落ち、その衝撃かそれとも最初から開いていたのか、中身が床に座り込んでいるレインズの前に飛び出る。

(メ^ω^)「お?」

/ ,' 3 「む!あれは!」

荒巻のその声よりも早くレインズがそれを掴み取る。

(メ'A`)「なんだ!?」

/ ,' 3 「いかんっ!」

レインズが床に座ったままの姿勢で内藤に飛び付く。

(メ^ω^)「おっ!お……お」

足を怪我をしている内藤が耐え切れるはずもなくレインズもろとも倒れる。

(メ´・ω・`)「ブーンッ!」



123: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 16:21:50.49 ID:MnzLK27RO
  

(メ'A`)「ブーンッ!」

ショボンとドクオが反応し、走り出す。

少し早かったショボンが凄まじい力でレインズの身体を掴み内藤から剥がす。

レインズの身体はいとも簡単に投げ出された。

(メ'A`)「大丈夫かッ!?」

(メ゚ω゚)「足が……足が……」

(;´・ω・`)「…!?……これは」

(;'A`)「……!!」

内藤の足の出血はまだ止まっていない。今の衝撃で更に酷くなったかもしれない。

しかし、ショボンとドクオが驚いたのは内藤の足ではなかった。

内藤の腹部。そこにはおぞましいものがあった。

よく見るとそれはウエストポーチのような形で内藤の腹に巻かれていた。

レインズが内藤目掛けて倒れ込んだ時に仕掛けたに違いなかった。



124: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 16:26:15.80 ID:MnzLK27RO
  

(メ´ω`)「……ぉ?」

(メ´ω`)「………」

(メ゚ω゚)「……」

内藤の腹部に爆弾らしきものがつけられていた。ベルトなどを見てもウエストポーチのようだが、ポーチの部分にはダイナマイトか何かの装置があった。

(メ'A`)「てめぇ!何しやがったッ!!」

ドクオが倒れているのレインズの胸倉を掴み無理矢理立たせる。そして胸倉を掴んだまま壁にレインズの身体を押し付ける。

レインズの顔に不気味で歪んだ笑みが浮かぶ。だが、口を開く様子はない。

ジョルジュ達も内藤の元に駆け付ける。



125: ◆P.U/.TojTc :2006/11/12(日) 16:30:27.74 ID:MnzLK27RO
  

(メ゚∀゚)「こんなの後ろのベルトを外しちまえばいんじゃねーか?」

ジョルジュがそう言って、倒れている内藤の身体を起こしベルトを外そうとする。

/ ,' 3 「いかんッ!!」

荒巻の大きな声に一瞬ジョルジュがビクッとする。

/ ,' 3 「それを外したら…爆発するぞ」

(メ゚ω゚)「…爆発……」

(メ゚∀゚)「…なんだと…?」

荒巻の一言に場の空気が変わる。

レインズは尚も不気味な笑みを浮かべ続けていた。

(メ´・ω・`)「これは一体…?」

/ ,' 3 「…それはテロ用の爆弾だ」

(メ´・ω・`)「それでこんな形なのか…」



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