('A`)が海へいくようです

115:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 08:43:57.59 ID:0Ka25irL0
  
ξ;゚听)ξ「ただいまー。あら、ドクオお帰り。おそかったわね」

俺たちのいるパラソルにしばらくしてツンがやってきた。

ξ゚听)ξ「もう、砂は熱いし日差しはきついし店の親父はむさくるしいしもう、最悪!」

( ^ω^)「おっおっ。自然の摂理だお。」

文句は垂れているが、ツンも楽しそうだ。

三人で焼きそばを食べた。もそっとしていて、あまりうまいとはいえないが腹は満ちた。


「砂で城を作るお!!」とブーンが意気込んで砂を掻き始めた。ツンも彼を手伝う。

幸せそうな二人をカメラに収める。 うん、さすが美男美女、何をやっても絵になる。

そんな二人を邪魔する気にもなれず、俺は一人浮き輪につかまり海に浮いていた。

いい。気持ちいい。やっぱ海はいいね、うん。

どれくらいたったか、そろそろあがろうかと思うと、後ろを泳いでいた少年が悲鳴を上げた。

(;A; )「うわぁぁぁぁん!痛いよー!!」

俺が振り返るとそこには泣いている少年と、小さなクラゲ。どうやら刺されたようだ。



116:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 08:57:02.45 ID:0Ka25irL0
  
('A`)「少年、見せな、どこ刺された?」

五歳くらいであろう少年は黙って足を刺した。なるほど赤くなっている。

('A`)「おk、刺されたとこ触るなよ?手もやられっから」

俺はその足を海水で洗い触手をおとし、少年を抱え、海の家の人に頼んで氷嚢を作ってもらい、患部を冷やした。

( `八´)「おお、兄ちゃん。的確な応急処置だね。」

と海の家のおじさんが俺を褒めてくれた

('A`)「自分も昔やられたことあるもんで」

俺は後ろ髪を掻き揚げながら答える。やっぱ褒められるのは慣れない。照れくさい。

俺の時は親父がやってくれたんだよな。

−−−うわーん!いたいよー!
−−−落ち着けドクオ、刺されたとこ触るなよ?手もやられるぞ

ふと昔を思い出す。 親父も同じ事いったんだったな、俺と。

そう思うと何か照れくさくて、俺は後ろ髪を掻き揚げた。



125:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 10:13:02.74 ID:0Ka25irL0
  
パラソルに戻ると、そこには砂の城らしきものができていた。

( ^ω^)(「ドクオ、見てくれお、これは力作だお。おっおっ」

形はいびつだが、ちゃんと城と呼ぶのも怪しいが、その城を俺は一目見ただけで好きになった。

('∀`)「やるじゃん」

ξ゚听)ξ「あらドクオ、私もがんばったのよ?」

「ああ、すごくいいと思う。」と俺は心から言った。二人はうれしそうに笑いあった。


( ^ω^)「ビーチボールで遊ぶお。ハイ!ドクオ!」

ブーンのきれいでしなやかなボディから繰り出されるその一撃をかわすことはかなわなかった。

バシッと俺の顔面に当たる。

('A`)「    や っ て く れ た な       」

( ^ω^)「 さ ぁゲームの始まりだ 」

ボールを投げあう俺とブーン。それを見て笑うツン。

結局4時ころまでそうやって遊んだ。



132:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 10:50:04.58 ID:0Ka25irL0
  
いつしか海は夕方の雰囲気となり、遊泳時間終了を告げるアナウンスが流れる。

遊びつかれた俺たちはパラソルの下でごろごろして談笑していた。

( ^ω^)「そろそろ、行くかお?」

('A`)「そうだな。夕飯でも食いに行くか?」

ξ゚听)ξ「そうね、おなか減ったわ」

何食うかな、と思っていると。

(・∀・)「ママ!あのおにいちゃんだよ!」

振り返ると、先ほどの少年と、その母親らしき人がこっちに来た。

ξ゚听)ξ「ドクオ、この子どうしたの?」

('A`)「ん、ちょっとな。」

(*゚ー゚)「このたびは息子がお世話になったようで・・・この子はアレルギー体質なので迅速な処置をしていただいて本当に感謝しています。」

( ^ω^)「お?」

俺は後ろ髪を掻き揚げ、二人に少年の応急処置をしたことを話した。
お礼とかされるの苦手なんだよなぁ、俺。ほんと照れくさい。



141:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 11:16:51.88 ID:0Ka25irL0
  
(*゚ー゚)「それで、お礼といっては何ですが、主人がこの近くで料亭をやってるんです。
     もしよろしければご馳走させていただけないでしょうか?」

遠慮はしてみたけども「どうしてもお礼がしたい」といわれ、結局ご馳走になることにした。

歩いて10分ほどで、そこについた、が

( ^ω^)「すごいお・・・」

一般人が気楽に入れるといった感じではなく、役人が接待で来るような荘厳さ。

メニューのほとんどが時価。すげぇ。

客間に招かれ、俺たちは座った。

ξ;゚听)ξ(大学生が入るような雰囲気じゃないわね・・・)
( ;^ω^)(だおだお)
(;'A`)(あ、女将さん入ってきたぞ)

女将さんだけではなかった。店の主人と思しき方も入ってきた
雰囲気に呑まれ、固まった俺たちを見て女将さんはクスリと笑い

(*゚ー゚)「気楽にやってくださいな」
( ,,゚Д゚)「そうだぞ 今日はお偉いさんでもめったに食えないようなもん振舞ってやるから期待しろ ゴルァ!」

次から次へと出てくる豪華な料理。見た目もスゴイが味もいい。

( ,,゚Д゚)「おまえらがもっと偉くなって稼ぐようになったらまたこいや!サービスしてやっからな!ゴルァ!」

言葉は荒いがいい人たちだった。うん、きっとまた来よう。



177:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 14:06:42.53 ID:0Ka25irL0
  
俺たちは女将さんたちに礼をいい、料亭を後にした。
ホテルに向かうのだがちょっと遠回りして海岸沿いの道に出る。
月の光を反射した水面がなんとも幻想的な雰囲気を漂わせている。

その雰囲気にクーを思い出す。変なやつだったな、あいつは。

 

ホテルラウンジ。
ここは前来たときとあまり変わっていない。ぴかぴかの床。高い吹き抜け。

しっかり掃除されていて、築12年とは思わせない綺麗さだ。

( ^ω^)「思いのほか綺麗なとこだお」

ξ゚听)ξ「ほんと。ここがあの値段なんてかなり良心的ね」

俺たちの部屋も完璧な掃除が施されていた。

「一番乗りだおー」といってブーンがベッドに飛び込んだ。

('A`)「ガキかお前は。」

ξ゚听)ξ「ガキね。」

俺はベランダに出てタバコを吸った。



180:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 14:24:01.84 ID:0Ka25irL0
  
広いベランダにテ-ブルといすがあった。
俺はそれに腰掛け、ぷかぷかとタバコをふかした。

ツンはシャワーを浴びているようだ。

しばらくして、ブーンが缶チューハイを持って出てきた。


( ^ω^)「一杯どうかお?」

('∀`)「いいな、もらおうか。」

二人でチューハイの缶を開ける。プシュ、と音を立てる。

静かに乾杯し、酒を口に含む。 うまい。炭酸が口にさわやかだ。

( ^ω^)「今日はたのしかったお。」

('∀`)「ああ、たまには旅行はいいもんだな。」

ホテルラウンジは高場にあり、広いラウンコビーチを一望できた。

( ^ω^)「ドクオのおかげだお、本当に感謝してるお。来てくれてありがとう。」

俺は何も言えずただ後ろ髪を掻き揚げた。

俺はもう一口酒を飲む。

俺は思い出していた。三年前のあの日。文化祭の後夜祭でのことだ。



186:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 14:40:06.29 ID:0Ka25irL0
  
−三年前。

後夜祭中に俺はツンに呼び出された。



('A`)「あんだい?」

ξ゚听)ξ「さっきあんたのことをペニサス伊藤さんが呼んでたわよ?」

('A`)(・・・あのデブスか。)「いけないって言っといてくれ。まぁ用件はそれだけじゃないんだろ?」

ドゥン・・・  花火が上がっている。校庭の方で騒がしい。そろそろ後夜祭もクライマックスのようだ。

ξ゚听)ξ「ねぇ、内藤君ってどんな人?」

明るくて、馬鹿だけど、優しさを持っていて正直でみんなから人望もある。何よりイケメンだ。そんな感じのことを言った。

ξ゚听)ξ「・・。あんたがいい人というならきっとすごくいい人なのね。」

('A`)「おう」

私、内藤君にリボン交換申し込んでみる。といい、かけていった。

・・・今日はツンツンしねーんだな。


携帯が鳴った。内藤からだ。



192:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 15:03:31.82 ID:0Ka25irL0
  
(; ^ω^)『相談したいことがあるんだお。サイジェリアに来てくれないかお?』

大方、ツンのことだろう。

('A`)「・・ああすぐ行く。」

予想通り。
サイジェリアでブーンにツンはどんな人かと聞かれた。
言動と目つきはきついけどそれはただ素直になれないだけで本当は優しくて天然だ。

そして何より実は微Mだってことを話した。

('A`)「メアドは交換したんだろ?それなら直接話したほうがいい。」

(; ^ω^)「おっおっ・・・やってみるお。」


それから二人はどんどん仲良くなっていった。


数日後、二人は出かけるという。もう潮時だろう。

その朝、俺はブーンに電話した。

('A`)「今日、告白しろ。あいつは素直になれないやつだからお前から言ってやれ。」




そしてその日が、ブーンとツンの記念日となった。



207:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 15:36:44.60 ID:0Ka25irL0
  

・・・
・・

('∀`)「あのころはお前も結構うぶだったよな。」

( ^ω^)「おっおっ。もう昔の事だお。懐かしいお・・・」

あのころ、本当に楽しかった。

ξ゚听)ξ「シャワーあいたわよ。」

部屋の中からツンが言った。

( ^ω^)「じゃ、先に入らせてもらうお」

俺は「おう」と答え、海の向こう側を見つめた。


ξ゚听)ξ「・・・タバコやめたら?体に毒よ?」

('A`)「ん。やばいと思ったらやめるさ。」

もう、とツンはため息をつき、さっきまでブーンが座っていたいすに腰掛けた。

ξ゚听)ξ「お酒、もらっていい?」
どうぞ、とこたえると「ありがとう、いただくわ。」といい、ビールのふたを開けた。



213:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 15:51:23.63 ID:0Ka25irL0
  
ツンはビールを二口ほど飲み、口を開いた。

ξ゚听)ξ「・・・ドクオって不思議ね。」

('A`)「何が?」

ξ゚听)ξ「なんか、いるだけで安心できるっていうか。」

('A`)「・・・なんだもうよってるのか。」

ξ゚ー゚)ξ「ふふ、そうかもね。」
俺は後ろ髪を掻き揚げた。変な事いうな、照れくさいだろうが。

ツンとも昔話をした。部活が楽しかったこと。合宿が楽しかったこと。予選も通過できなかった大会は悔しかったこと。

どれも今ではいい思い出だ。
やがてブーンも入浴を終え、「ドクオ、次ぎどうぞだお」と言った。

冷たいシャワーが焼けた素肌にしみたが、かいた汗を洗い流せてさっぱりした。

その後は、三人で酒を飲んでポーカーしたりした。


夜は更け、今日が終わりをつげ、二日目の朝が始まった。



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