('A`)が海へいくようです
- 293:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 19:44:26.40 ID:0Ka25irL0
- 川゚ー゚)「ドクオはギターがへたくそだな」
('A`)「るせーやい」
景色はすっかり秋になっていた。
クーと付き合い始めて、ちょうど半年ほどが経っていた。
遅めの学園祭に、俺はギターで出ることにされていた。誰だ、俺の名前出したやつは。
しかし、俺も男だ。腹をくくって練習しだしたのだが、なかなかうまくいかない。
やっとFコードが押さえられるようになった俺は嬉々としてクーにFコードを聞かせにいった。
川゚ー゚)「同じコードだけではつまらん。適当にできるコードを組み合わせてみたらどうだ?」
といわれ、適当にやってみようとするもうまくコードチェンジができず、変な音が出たり。
川゚ー゚)「だが嫌いじゃないな、ドクオのギター。音はいびつなんだけど、どこか頼りがいがある音だ。」
('A`)(がんばって練習しよう・・・)
- 304:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 20:19:15.41 ID:0Ka25irL0
- 俺はがんばって練習した。
クーはお世辞はいわない。だから、たびたびクーに聞かせた。クーはちゃんと聞いてくれ、素直に意見を言ってくれる。
そのおかげで俺はめきめき、とは行かないが次第に上達していった。
川゚ー゚)「ちゃんと弾けるようになってきてるじゃないか。いいぞ。」
('∀`)「へへ・・」
クーが褒めてくれると、素直にうれしかった。
俺はどんどん曲のレパートリーを広げていった。
いろんな曲をクーに聞かせた。
川゚ー゚)「私はいろんな音楽を聴いてるつもりだが、君の音色はかなり独特だな。均等が取れていないようで、まっすぐな音。
私が聞いたどんな音色とも違う。」
('∀`)「褒めてんだかけなしてんだか。どっちともとれねえな。」
「世界で一番好きな音だよ」とクーは言ってくれた。
俺は「ありがとよ」といい、クーと唇を重ねた。
- 319:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 20:50:06.90 ID:0Ka25irL0
- しかしその日は来た。唐突に。
川゚−゚)「ドクオ、話したいことがある。聞いてくれ」
俺の部屋で、クーは切り出した。
('A`)「ん?」
川゚−゚)「・・・私の父親の都合で、海外へいかなければならなくなった。」
('A`)「・・・そうか、寂しくなるな。いつ帰ってくるんだ?」
クーはプルプルと肩を震わせていた。
('A`)「・・・クー?」
クーの頬を伝い、しずくが床に落ち斑点を作った。理解した。もう会えないかもしれないということを。
川;−;)「私の父親は事故で足が不自由なのだが、仕事で海外の会社を任されることになったんだ。」
川;−;)「私の母親は、何年も昔に他界している。じゃあいったい誰が父親の面倒を見る?
一人娘の私しかいない。だから私は父親について行かなければ・・・」
('A`)「・・・いってこいよ」
- 324:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 21:08:34.13 ID:0Ka25irL0
- ('A`)「俺の親父もう死んじゃったけどさ。きっと、俺に話したいことが山ほどあったと思う。」
クーは黙って俺の言葉に耳を傾けた
('A`)「若いころの自分の話とか俺が小さいころの話とか。でも俺は聞きそびれちまった。」
川;−;)「・・・・ドクオ」
('A`)「俺たちはまだ若いからきっとまた会える。でもだいたいは親が先に死んじまう。だから、お前にはそういう機会を逃さないでほしい。」
川;−;)「わかった・・・・ありがとう、ドクオ」
−−−最後にお前のギターが聞きたい。弾いてくれ。
−−−しょうがねえな。それに最後なんていうな。帰ってきたらいくらでも聞かせてやる。
−−−・・・・そうだな。いい音だ。ありがとう、ドクオ。
- 339:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 21:44:45.74 ID:0Ka25irL0
・・・クオ。 ・・・ドクオ!!
( ^ω^)「ドクオ起きるお!朝だお!」
俺は目を覚ました。・・・夢か。時間を見る。8時12分。
('A`)「あ、やべ、結構寝てたな。まだ朝食間に合うか?」
( ^ω^)「30分までだお。急ぐお。」
二階の大広間で朝食のバイキングが行われていた。
俺は取り皿にブレッドにレタス、ポテトサラダを取りマーガリンとコーヒーを取った。
( ^ω^)「それぽっちでいいのかお?」
ブーンの皿にはさまざまなものが山盛りになっていた。
(;'A`)「朝っぱらからそんな馬鹿食いできるかよ・・。」
窓際のテーブルにツンがいた。場所をとっていてくれたようだ
ξ///)ξ「べ、別にあんたたちのためにとっておいたわけじゃないんだからね!」
( ^ω^)('A`)「はいはい」
- 354:◆L2jfNrixB. :2006/08/06(日) 22:33:49.65 ID:0Ka25irL0
- 俺はブレッドを切り、間にマーガリンをいれて食べた。シンプルだがうまい。
ホテルのコーヒーはさすがといったところか。程よい苦さだ。
ブーンはあれだけあった料理をぺろりと平らげて見せた。なんて胃袋だ。
( ^ω^)「おっおっ。腹いっぱいだお。朝飯腹いっぱい食うのはひさしぶりだお。」
ξ;゚听)ξ「普通朝は満腹まで食べないもんよ・・・」
( ;^ω^)「そうなのかお?」
いつものように他愛のない会話で盛り上がる。賑やかな朝も悪くないな。
('A`)「ところで、今日はどこに行くつもりなんだ?」
ξ゚听)ξ「水族館のチケットがあるから、行きましょう。」
手際いいな、というと、ツンは「でしょ」と胸を張って見せた。
('A`)「俺水族館にはいった事ないから、ツン、ナビ頼むな」
ξ゚听)ξ「わかったわ」
( ^ω^)「おっおっ。じゃあ早速いくお」
といい、俺たちは車に乗り込んだ。
- 495:◆L2jfNrixB. :2006/08/07(月) 12:39:20.62 ID:LptL3ebh0
- ホテルを出て、三十分が経とうとしていた
(;'A`)「おいおい、ほんとにこの道でいいのか?そこにホテルラウンジから車で20分て書いてあるけど
一向に見えないじゃねーか。」
ξ;゚听)ξ「う、うるさいわね、こっちでいいはずよ・・・あ、そこ左」
左折する。何かめちゃくちゃ細い道だ。車一台が通るので精一杯という感じ。
あ、やべ、前から人が通ってきた。
「そんなところに車置かれるとこまるよね。」
( ;^ω^)「すみませんお。・・・お?」
(;´・ω・`)「ん?・・あれ?ブーン?」
見覚えのあるしょぼくれ顔。こいつはもしかして
(;'A`)「もしかして・・・ショボン?」
(´・ω・`)「ドクオ?それに、ツン?」
やっぱり。
彼はショボン。俺とブーンと高校のころ同じクラスで、ツンと俺の部活の部長を務めた男だ。
ξ;゚听)ξ「なんでこんなところに?」
(;´・ω・`)「それはこっちの台詞だよ・・君たちVIPの方にいるんじゃなかった?」
- 499:◆L2jfNrixB. :2006/08/07(月) 13:01:56.76 ID:LptL3ebh0
- 俺たちは三人で旅行に来ていることを告げた。
彼は大学のゼミで来ているという。
(´・ω・`)「でもなんでまたこんな何にもないところへ?」
ξ゚听)ξ「水族館にいこうと思って・・・」
(;´・ω・`)「水族館て・・・まるで反対方向だよ?」
ショボンのおかげでツンが地図を逆に見ていたことが判明した。あほか。
ξ゚听)ξ「・・・」
( ;^ω^)「ツン、人間間違いはあるお」
どうやらもう、パンフレットにある地図の範囲を超えているようだった
ξ;゚听)ξ「ねぇショボン、水族館のチケットはおごるから、かわりにナビしてくれない?」
(´・ω・`)「ゼミ早めに終わって今日一日暇だからべつにいいけど・・・いいの?」
( ^ω^)「おっおっ。旅行は道連れが多いほど楽しいお。」
俺は助手席のドアを開けた。
('∀`)「・・頼むぜ相棒」
(`・ω・´)「・・・了解」
- 520:◆L2jfNrixB. :2006/08/07(月) 14:07:08.24 ID:LptL3ebh0
- ショボンの的確なナビにより一時間ほどして、水族館が見えた。
時刻は11時03分。水族館を出るころには昼飯時だろう。
( ^ω^)「でけぇお・・」
世界最大級の水族館、国立ラウンジ臨海水族館。すごい。めちゃくちゃでかい。
(;'A`)「ツン、よくこんなとこのチケット取れたな。」
ξ;゚听)ξ「叔父さんにもらったんだけど・・・こんなすごいところなんて思わなかったわ。」
駐車場に車を止め、チケットを見せ入場する。まず俺たちを出迎えてくれたのは通路の壁にはめ込まれた水槽のきれいな熱帯魚たち。
( ^ω^)「おっおっ、かわいいお」
ブーンがガラスに顔をくっつけんばかりに魚たちを眺めた。
('A`)「・・・二人づつ分かれて行動するか。ブーンとツン、俺とショボンで。」
( ^ω^)「おっおっ、そうするかお」
ξ゚听)ξ「気、使わせちゃって悪いわね。」
('∀`)「なぁに、水族館デート、楽しめよ」
(´・ω・`)「・・・・ウホッ」
何やら背筋に寒気が走ったが、気のせいだろう。
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