('A`)が海へいくようです

175:◆L2jfNrixB. :2006/08/09(水) 13:58:03.90 ID:pePzhUkB0
  
秋は駆け足に過ぎ去り、もう冬が訪れていた。

そんな中VIP大学園祭はなかなか盛大に行われていた。

(;'A`)「やべ・・・・緊張してきた。てか何で俺ソロなんだよ。」

( ^ω^)「おっおっ。毎年恒例らしいお。去年はドラムソロだったらしいお。」

特設ステージの裏にブーンが応援しにきてくれていた。

司会「さぁ!毎年恒例!素人ソロライブの時間です!今年はギターソロ!

   演奏してくれるのは・・・ドクオ君! HEY, come on!」

会場には結構な人がいるらしい。しかもテンション上がりまくってる。

( ^ω^)「さあ時間だお、がんばれお!ドクオ。」

俺は「おう」とちからなく返事し、俺は特設ステージに上がる。

人、人、人。

狭い会場にところせましと人がひしめいていた。どうやらこの催しはだいぶ人気が高いらしい。

俺の入場に会場が歓声に包まれた。あれ?俺場違いじゃね?

司会者が中央のパイプいすに俺を促した。俺はイスに腰掛け、深呼吸をした。



182:◆L2jfNrixB. :2006/08/09(水) 14:55:21.53 ID:pePzhUkB0
  
俺はアコースティックギターの音を合わせていく。次第に静かになっていく会場。

ギターの弦を一回なでる。あわせられた音ががさなって響く。完璧だ。

−よし、やるか。

俺はギターを鳴らした。まず演奏したのはLET IT BE。

クーが薦めてくれた曲だ。左手と右手をリズムそって動かしていく。作られる旋律に会場が包まれた。


そのほかにもブーンが薦めた曲、自分でやりたい曲など3曲ほど演奏する。曲が終わるたび会場は拍手に包まれた。

全部演奏し終えると司会者がこっちへやってきた。

司会「ドクオ君、時間あまってるからもう一曲だけやってくれ」

(;'A`)「まじすか」

司会者はぽんと俺の肩をたたき、司会席に戻っていった。

えらい勝手だな、オイ。しかし、なにやるか。

俺はふいにクーの顔を思い浮かべる。

俺は無意識手を動かしていた。8分のストローク。

・・・粉雪舞う季節は、いつもすれ違い・・・

俺は歌い始めた。



201:◆L2jfNrixB. :2006/08/09(水) 15:34:42.01 ID:pePzhUkB0
  
学園祭の三日前、この国を去ったクー。

・・・人ごみにまぎれて同じ空見てるのに・・・

クーも同じ空を見てるのだろうか。

・・・風に吹かれて似たように凍えるのに・・・

あっちは寒いのだろうか。



粉雪  ねぇ 心まで白くそめられたなら 二人の孤独を分け合うことができたのかい?



歌い終え、会場は歓声と拍手に包まれる。あ、そういや歌なくてもいいんだっけ。うわ、はずかしい。

ステージを降りた俺をブーンが迎えてくれた。

( ^ω^)「ドクオ!スンバらしかったお!感動したお!・・・・お?」

なんだよ?俺の顔に何かついてるのか?

( ;^ω^)「ドクオ、泣いてるのかお? 」



「え?」



294:◆L2jfNrixB. :2006/08/09(水) 22:47:06.76 ID:pePzhUkB0
  
・・・
・・

目が覚めた。今は何時だ?

携帯を覗くと「6:26」と記されている。カーテンの隙間から朝日がこぼれていた。

きっと今日もいい天気になるだろう。

二人はまだ寝ているようだ。

俺はベランダにでて一人タバコをすった。

行きの時点で感じていた予感はあたってたな。ふっと煙を吐き出す。

(-ω⊂ )「ドクオ、おはお。珍しくはやいおね。」

ブーンが目を覚ましてベランダに出てきた。

('A`)「ん、まぁたまにはな。」

( ^ω^)「おっおっ、朝日がきれいだお・・」

十分ほど朝日を眺め、部屋に戻るとツンもおきていた。

ξ゚听)ξ「あら、ドクオにしては朝早いわね、どうしたの?怖い夢でも見た?」

夢。夢は見た。昔の夢・・・。

('∀`)「まあな」と、俺は朗らかに返した。



414:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 14:00:34.41 ID:CDEv3pvC0
  
俺たちは朝食をとるべく二階大広間に向かった。

取り皿に思い思いの食材をのせていく。俺は昨日と同じくブレッドにマーガリンを取り、

さらに生ハム、レタス、トマトを皿に乗せ、コーヒーをとった。ブーンはまた馬鹿食いするようだ。

ξ゚听)ξ「・・・あんた絶対太るわね」

席に着くとつんがブーンに言った。

( ;^ω^)「そういえば最近おなかに肉が・・・」

ξ゚听)ξ「帰ったらピザはしばらくお預けね」

( ;^ω^)「そんな・・・殺生な・・・ 」

そんな二人のやり取りを眺めがらの朝食。やっぱ、悪くないな。

ブレッドにトマト、レタス、ハム、マーガリンをはさみ、かぶりつく。食材が口の中で混ざり合い絶妙な味を作り出す。

うまい。やっぱ朝はこれに限る。コーヒーを一口含む。やはりこれがないと一日は始まらないな。うん。

ブーンは俺の3倍くらいある量の朝食を俺と同時に食べ終わるという圧倒的強さを見せつけてくれた。

( ^ω^)「世界最速の美食家、ソニックイーターとは俺のことだお」

誰もしらねーよ、そんなん。



419:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 14:31:17.93 ID:CDEv3pvC0
  
('A`)「今日の予定は?」

朝食をとり終わり、食後のまったりとした空気の中俺は口を開いた。

ξ゚听)ξ「んー考えてないけど、またビーチにいかない?」

( ^ω^)「おっおっ!海を心行くまで堪能するお!」

俺は了解、と答えた。


荷物をまとめ、二日間お世話になったホテルラウンジの一室を軽く掃除する。

ξ゚听)ξ「こんなもんかしらね。」

ツンがパンパンと手を払う。

ツンは綺麗好きらしく、ほとんど来たときと変わりない状態までやってのけた。

('A`)「ほー、やるな。これならいい嫁になれるわ。」

ξ///)ξ「ほ、ほめたって何にもでないんだからね!」

( ^ω^)「おっおっ、てれてるお」

ξ///)ξ「うっさいばかっ!」

( ゚ω゚)「ウッ!!!」



425:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 14:59:42.82 ID:CDEv3pvC0
  
軽く掃除するはずがかなり本格的にツンがやったため、チェックアウトぎりぎりまでホテルにいた。

( ;^ω^)「何もみぞおちをおもいっきり殴らなくても・・・」

ξ゚听)ξ「あんたのせいよ。」

( ;^ω^)「そうかお?」

ξ゚听)ξ「そうよ。」

( ;^ω^)「それはすまんかったお・・・」

なにやら微妙な形で収まったが、まぁいいか。


車に荷物をつみいれ、出発したのは10時ちょっと過ぎ。15時に帰るとしても十分時間がある。上々。

さっきのこともあってちょっと心配だったが、車内の二人はいつもどおりだった。きっとあれが日常なのだろう。


十分ほどでビーチに着く。今日も痛いくらいの日差しだ。

水着に着替え、適当なところにパラソルとテーブルを設置する。

設置し終わると準備体操をし、はじかれたようにブーンが海へ繰り出して行った。

ツンもそれに続く。そんな二人をカメラに収める。お、今ので最後の一枚か。

フィルムを使い切った満足感を感じ、俺はカメラをバッグにしまうと、海へ繰り出した。



431:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 16:19:32.32 ID:CDEv3pvC0
  
( ^ω^)「二人とも、テトラポットまで行くお!」

といってブーンが泳ぎ始めた。

ξ゚听)ξ「まったく元気ね・・・あんた体力ないけど大丈夫?」

('A`)「同情するならその浮き輪をくれ」

ξ゚听)ξ「やだ。がんばってねー」

といい、ツンは浮き輪につかまり泳ぎだした。俺も仕方なしに泳ぎ始める。浮き輪もってくればよかった、畜生。


二人から遅れること2分、俺はようやくテトラポットにたどり着いた。マジ疲れた。岸に帰れるかな・・・」

ξ゚听)ξ「だらしないわね、あんたほんとに体力無いのね」

('A`)「俺はお前らと違ってインドア派なんだよ」

俺は肩で息をしながら答える。

( ^ω^)「おっおっカニがいるお。かわいいお。」

ξ゚听)ξ「あらほんと・・・」

('A`)「フジツボに気をつけろよ、足とか切るから」

親父ときたときもテトラポットまで来たんだっけか。そんでそのときフジツボで足を切って大泣きしたんだっけか。

そんなことを思い出しつつ、今は遠い岸を見つめた。



435:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 16:28:13.05 ID:CDEv3pvC0
  
そのころとある海の家。

( ;`八´)「あれ?昨日金網こんなとこにおいといたっけ?」

( ´∀`)「店長、使ったらちゃんと元の位置にもどしておいてほしいモナ。」

( ;`八´)「あ、いや。これはその・・・・ごめん」



442:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 17:06:40.65 ID:CDEv3pvC0
  
しばらくのんびりとテトラポットで過ごしていると釣竿を持った中年男性が小船に乗ってやってきた。
俺はふとタバコが吸いたくなってポケットに手を伸ばそううとしたが、水着だということに気がつき手を戻しため息をついた。

中年「タバコ、いりますか?」

不意におっさんが話しかけてくる。悪人ではなさそうだから差し出されたタバコを一本もらう。

('A`)「どうも」

くわえると、おっさんが火をつけてくれた。

(;'A`)「!?   ゴホッゴホッ 」

なにやらしけったような、なんともいえない煙が磯の香りとともに肺を満たした。たまらずむせる。 
何じゃこりゃ、何年もしけったところに放置されていたようなこの味。

中年「知っていますか?20年前ここで水難事故がありましてねぇ
    ・・・旅行中の男性で釣りにをしに小船でテトラポットまでたどり着いたはいいものの、足を滑らせて頭を打ちそのまま海へ ド ボ ン」

トン、と胸を押された。俺はバランスを崩す

(;'A`)「なにをするd・・・!?」

そういえばあの小船、オールが無い。どうやってここまで?

( ;^ω^)「危ないお!」

間一髪、ブーンが転ぶ寸前に俺を受け止めてくれた。「いったいどうしたんだお?」と心配そうに俺を見た。

そこにはもうおっさんの姿は無かったが、俺の口にはしっかりとコケの生えたタバコがくわえられていた・・・



34:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 23:24:06.72 ID:zw+J5n220
  
(;'A`)「・・・ブーンお前、ここに誰か来たの見たか?」

( ;^ω^)「?誰か来てたのかお?」

(;'A`)「・・・不気味だ、とっとと岸に戻ろうぜ・・・」

俺はしけったタバコを吐き捨て、言った。

ξ゚听)ξ「?ふたりともどうしたの?」

ツンの後ろからただならぬ気配を感じる。

(;'A`)「早く岸に帰ろう。」

ξ゚听)ξ「はい?なんで?」

('A`)「いいから!!」

二人ともわけがわからないといった感じだったが、それでも了承してくれたようだ。
急いで岸まで泳ぐ。途中振り向くと、テトラポットの上で誰かが笑ったような気がした。
行きの半分くらいの時間で帰ってこれたんじゃないだろうか。

岸に帰った二人にテトラポットのことを話した。

( ;^ω^)「そういえばドクオぼろっちいタバコ咥えてたお・・・。不気味だお」

ξ;゚听)ξ「落ちてたやつ拾って咥えたんじゃないの?」

('A`)「無礼な、そんなことするか。」



41:◆L2jfNrixB. :2006/08/10(木) 23:46:07.22 ID:zw+J5n220
  
とりあえず俺は供養になるかわからないが、いつか見たドラマのまねをして、線香代わりにタバコを一本火をつけ砂浜に刺した。
しけったタバコのお礼だよおっさん。そろそろ成仏しな。俺はテトラポットに手を合わせ、そう念じた。


ちょっと不可思議なアクシデントがあったが、ほかにこれといった事件は無かった。

やっぱ平穏なのが一番だな。平和万歳。

( ^ω^)「ドクオ、この除霊ビーチボールで除霊してやるお。」

(;'A`)「まさかお前・・・やめろ!」

( ^ω^)「ウォォオォオォ!悪霊退散!」

どうやら平和は長くは続かないようだ。



<ヽ`∀´>「このテトラポットは半島の領土ニダ!おっさんもそう思うニダ?」

「違うと思います。・・・それより知っていますか20年前、ここで水難事故があったんですよ・・・。」

<ヽ;`∀´>「な、なに?そんなこと聞いてないニダ!く、来るなニダ!それ以上近づいたら謝罪と賠償をy・・・

トン・・・

うわぁぁぁぁ


夏の海にはご注意を・・・



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