( ^ω^)の全てが終わったようです
- 318: 1 :2006/07/26(水) 22:44:38.59 ID:YcNlZi7v0
- 何かが始まりゃ何かが終る
何かが終りゃ何かが始まる
終わりと始まり同じ事
ならば我へと問い掛ける
貴様は終わりか始まりか
- 29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:04:15.93 ID:SWg0viw80
- 【第2話 歪】
「それからどうなったの?」
いつのまにか俺たちは歩くのを止め、地べたに座り込んでいた
椅子なんて大層なものはココには無い。
建物のとして完成しなかった、建設途中の廃虚
作りかけたまま放置されているそこはコンクリートだけしかない世界
そこの床に座る二人
その光景は歪な世界を表現していた
「どうもしないお、なぜかそのとき自分は冷静だったお」
「ふーん…」
「もういいかお?昔話はあまり好きじゃないお」
「でも、私はまだ聞いてないわ?」
「"始まり"は話したお」
「ええ、キッカケとなる"始まり"だけね。
私が興味あるのは、"終った""始まり"よ」
「…」
静寂が支配する空間
互いに見つめあいながらも、結局は折れることにした
何故だかわからないけれど、目の前の少女には全てを聞いて欲しかった
- 31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:04:54.98 ID:SWg0viw80
- あれから
トーチャンの遺体を確認して、家に戻ってきた
不思議と涙は出なかった
多分何処か壊れたようなカーチャンのことのほうが心配だったのかもしれない。
だけど悲しみは、家に戻り布団に入ったときに初めて涙となって表れた
────2Day─────
終わりがきたのは一瞬で
全て持って行くのも一瞬でした
目が覚めたのは自分のベッドで
いつものような朝、ゆっくりと重い頭を持ち上げながら
布団から出ると、そのまま着替える
そして下階へと降りていく
時刻は7時、いつもならカーチャンとトーチャンがリビングにいて
楽しく朝の食事をしているはずだ
だけど、降りた先には、誰もいなかった
- 32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:06:06.35 ID:SWg0viw80
- ( ;ω;)「そっか…トーチャン死んだ…んだお」
口に出してもいまいち実感できない
まるで今このときも夢のような、そんな気がした
グゥ
お腹が鳴る。そこで気が付いたが昨日の晩から何も食べていなかった
( ;ω;)「うう・・・お腹減ったお・・・」
台所にはカーチャンの姿も無い、
不意に昨日の夜のカーチャンの姿を思い返し不安になる
慌てて、親の寝室へと駆け込んだ
ふすまを開けると中央に布団
ソレは昨日引いたままの上体
もっこリと中央が膨れ上がってるから、カーチャンはまだ寝ているのだろう
一言声をかけようとも思ったが…
昨日のカーチャンの姿を見る限りしばらくほっておくのが一番いいように思えた。
静かにふすまを閉め、ブーンは外へと駆け出した
- 33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:08:39.97 ID:SWg0viw80
- 食事は適当にコンビニで済ませた。
ブーンはそのまま学校に行くと、いつものように教室へと入る
( ^ω^)「おいすー!」
('A`)「お、キタキタ、今日は遅刻ギリギリだな」
机に、鞄を放り投げるように置き、そのまま直でドクオの席に向かう
いつものようにドクオの横にはショボも座っている
( ^ω^)「おっおっおっwちょっと寝坊したお」
('A`)「なんだそりゃ、カーチャン起こしてくれなかったのか?」
その言葉に一瞬体が反応する。だけど二人に心配をかけるわけには行かない
( ^ω^)「カーチャンちょっと体調が悪いらしいんだお」
そう、いつものように返した。つもりだった
(´・ω・`)「それより、ドクオ。」
('A`)「なんだよ?」
(´・ω・`)「君はその年になっても母親に起こしてもらってるのかい?」
その言葉に見る見る顔が赤くなる
('A`)「そ、それは、ブーンだって同じじゃないか」
(´・ω・`)「いや、そうなんだけどね。ブーンはまだわかるんだけど
君までとは………ショボッ!」
(#'A`)「てめぇぇっ!」
ガタンとドクオが立ち上がる
そしてそのままショボに掴みかかるが
そこで動きが止まった。
正確にはドクオとショボ二人の動きが
- 34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:09:16.98 ID:SWg0viw80
- (;'A`)「ど、どうした?ブーン」
掲げている右手を下げながらドクオが心配そうに顔を覗きこんでくる
(´・ω・`)「君が止めないと、僕が本当になぐられてしまう」
そういいながらショボもドクオに掴まれた襟を直しながら言ってくる
そこでようやく僕は正気に戻った
( ^ω^)「あ、なんでもないお、ごめんお。ボーっとしてたお」
('A`)「本当にそれだけか?」
(´・ω・`)「うん、いつもと少し様子が違うようだが・・・」
( ^ω^)「だ、大丈夫だお、ちょっと疲れてるだけだお
それよりも、ショボは言葉を選ばないと本当殴られてもしらないお」
(´・ω・`)「大丈夫、こいつにそんな度胸がない事ぐらいわかってる」
('A`)「ちょwwwwwwwwてめぇwww」
同じ毎日、教室に響く笑い声はいつもと同じ楽しい歌声
大丈夫、そう自分に言い聞かせるのだった
- 35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:09:50.97 ID:SWg0viw80
- ('A`)「んじゃな」
いつものように学校が終り、校門前でドクオたちと別れる
今日一日、ドクオたちには気を使わせてしまったようだ。
お互いに口には出さないものの、そんなふんいき←何故か変換できない
がヒシヒシと伝わった
( ^ω^)「僕もまだまだだお…成長するお!」
自分自身に言い聞かせるようにブーンは誓う
そして、いつものように走って帰るのだった
- 36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:12:40.13 ID:SWg0viw80
- ( ^ω^)「ただいまだおー」
ドタドタといつものように玄関を開け、靴を放り脱ぎ
台所へと向かう
( ^ω^)「カーチャン、お腹すいたおー」
そういいながら、台所へと入るとカーチャンがいた。
居ないだろうなと思いつつ入ったブーンは、それだけで嬉しかった
( ^ω^)「カーチャン!大丈夫かお?」
J( 'ー`)し「ああ、ブーンお帰り。ごめんねもう大丈夫よ
それより、お腹すいたんだろ?約束どおりケーキ作ってるから早く手を洗っておいで」
( ^ω^)「おっwおっwおっwわかったお」
ドタドタを足を鳴らしながら洗面所へと走る
ブーンは心の中で安心していた。
トーチャンが死んでしまったことは悲しいけど、カーチャンのほうがもっと悲しいはず
難しい事はわかんないけども、僕がしっかりカーチャンを支えないとイケないそんな気がする
自分の中でそう決意し、また
カーチャンが居れば頑張れる。
カーチャンといつもと同じ幸せな時間をすごせる
そう、思えたから。
- 37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:14:25.29 ID:SWg0viw80
- あたりはすっかり暗くなった
カチャカチャと台所ではカーチャンがお皿を洗っている
ブーンはいつものようにテレビを見て笑ってる
本当なら、この時間にはトーチャンも居間に居て
ブーンと一緒にTVを見て笑ってるはず
ソレがなくなってしまったのは、本当に悲しいけど
ブーンにはまだカーチャンが居る
それがブーンを強くさせていた
(僕が頑張らなきゃいけないお!カーチャン守るお)
笑いながらも心の中でそう決意する
キュッキュッ
水道を閉める音がする。
カーチャンの洗い物が終わった音
その後は、二人でテレビを見る
そう、いままでどおり
ブーンはそう思いながら台所のほうを向く
そして目に入ってきたのは信じられない光景だった
- 38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:14:57.28 ID:SWg0viw80
- ジッと包丁手に取り見つめているカーチャン
そしてそのまま 左腕に刃をあて
一気に引いた
ブシュッ という嫌な音と共に吹き出る鮮血
一瞬呆気に取られたブーンだったが
( ;゜ω゜)「ちょ、カーチャン!!なにしてるお!」
我に返ると共に、カーチャンを押さえつけに走る
J( ゜ロ゜)し「やめて!邪魔しないで!」
近くにより、包丁を押さえつけると狂ったように暴れ出すカーチャン
J( ;ー:)し「ブーン、辛いでしょ、辛いよね、ねぇ、一緒に死のう?
カーチャンこうやって死ぬから、ブーンも後追って?
それともカーチャンがブーンを殺してあげようか?
ねぇ!死のう 死のう 死のう 死のう 死のう 死のう?」
長い髪を振り回しながら、壊れたように 死のう を繰り返し呟く
ブーンは何も言えなかった
- 39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/25(火) 20:15:35.57 ID:SWg0viw80
- 恐怖 ソレもあるかもしれない
だけどなにより自分の言葉をカーチャンに否定されるのが怖かった
血が流れている左腕を強く掴み、止血する
反対の手は、まだ包丁を持っている右手を押さえる
そして、ある程度暴れるとカーチャンは急に意識を失った
その後は慌てて救急車を呼び、カーチャンを病院に運んでもらった
救急車の中で聞いたサイレンは
まるで自分の人生が音を立てながら歪に変形している
そんな錯覚を引き起こした
第2話 歪 終
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