( ^ω^)の全てが終わったようです
- 100:1 :2006/07/26(水) 01:04:05.38 ID:j3+PSWWs0
- 部屋をあけたとき、僕は自分の目を疑った
最初は、窓から差し込む夕日の色だと思った。
壁も床も天井も、全てを紅色に染め上げていた
一瞬 すごい綺麗な光景 そう感じた
しかし臭いがすぐにその幻想を打ち消してくれた
生臭い臭い。嗅いだことなんて無いのに、なぜだか僕はソレを
血の臭いと感じた
【第4-2話 狂歪】
- 101:1 :2006/07/26(水) 01:04:22.57 ID:j3+PSWWs0
- グシャッ
何かの音が響く
グシャ
再び
壁も天井も床も、真っ赤に染め上げられた部屋の中央で座っている誰か
誰かなんていう表現はおかしいのに、僕は認めたくなかった
だって、その後姿は 紛れも無く
- 102:1 :2006/07/26(水) 01:04:38.64 ID:j3+PSWWs0
カーチャンなのだから。
- 103:1 :2006/07/26(水) 01:05:42.97 ID:j3+PSWWs0
- ( ;゜ω゜)「ア・・・ア・・ア・・・・」
声にならない声が喉から出る
その音に、一瞬ピクリと体を揺らし反応をしたが
カーチャンはそのまま振りむく事無く、再び手を振り下ろす
グチャ
聞きなれない音が耳へと強制的に入ってくる
J( 'ー`)し「ブーンかい・・・?」
"何か"をしているカーチャンは振り向く事無く再び手を上げ
振り下ろす
その行動をとるたびに、狭い部屋に響く聞きなれない音
- 104:1 :2006/07/26(水) 01:06:14.56 ID:j3+PSWWs0
──────グチャ、グシャ、ベチョ、
- 105:1 :2006/07/26(水) 01:06:58.77 ID:j3+PSWWs0
- 何をしているんだろうか
いや、何をしているかなんて大体は想像がつく
だけども、僕はそれを確認せずにはいられなかった
やめとけばよかったのに
( ;゜ω゜)「な、何をしているんだお・・??」
意を決しながら発した言葉は擦れていたと思う。
震えるような、その問いに今度はカーチャンの動きが止まった
そして、ユラリとその体を揺らしながら立ち上がると
ゆっくりと振り向きながら
J( 'ー`)し「ブーン、モウスグトーちゃんが生き返るからね・・・」
そう言った
- 107:1 :2006/07/26(水) 01:08:41.38 ID:j3+PSWWs0
- ブラリとおろした腕には、何かが握られている
いや、もうそれは何かと呼ぶこともできないほど朽ち果てた肉塊
そして、僕は振り向いたカーチャンの目を見てしまった
返り血だろうか、赤く染まったその頬
いつもからは考えられないほど、ボサボサになった髪
そして、何よりも僕に恐怖を与えたのは
目だった。
ひどく濁った目
- 108:1 :2006/07/26(水) 01:09:36.63 ID:j3+PSWWs0
- その目が僕のことを睨み付ける
たったそれだけのことで僕の体は自由を失った
J( 'ー`)し「・・・あ、そうだ、ブーン。コレにはね・・」
そういいながら、手に持ってるものを掲げる
犬だか、猫だかすでに分からない肉塊はピチョピチョと血を垂らしながら持ち上げられた
J( 'ー`)し「安全を願う願掛けも含まれているんだよ。
トーチャンが生き返り、私たちの安全を守ってくれるお呪い。
本当はカーチャン一人でブーンの分までやろうと思ってたんだけど、
本人がやるのが一番いいって言うからね・・ブーン。
さぁこっちにきて、カーチャンの言うとおりにお呪いをしよう・・?」
そういいながらニッコリと笑うカーチャン
その笑顔は、本当に目の前の人物がカーチャンかと疑問に思うほど
"狂っていた"
- 109:1 :2006/07/26(水) 01:10:02.80 ID:j3+PSWWs0
- ( ;゜ω゜)「何を言ってるんだお・・・トーチャンは死んだんだお・・?」
J( 'ー`)し「うん、だから私がこうやって、生き返るお呪いをしてるのよ。大丈夫、ちゃんとこういった話しに詳しいお友達に聞いたから」
そういいながら一歩近づいてくるカーチャン
無意識のうちに僕も一歩下がる
足はガクガクと振るえ、体がわけの分からない汗を噴出す
J( 'ー`)し「ね・・?ブーン。カーチャンのお願いだよ。コレカラ3人で暮らすために必要なことなの。カーチャンと一緒にお呪いしよう?」
また、一歩
部屋に引かれたカーペットはどれだけの血液を吸っているのだろうか、カーチャンが一歩足を踏み出すたびに
ビシャッ
という歪な音を立てる
- 110:1 :2006/07/26(水) 01:10:46.64 ID:j3+PSWWs0
- ( ;゜ω゜)「お、おかしいお・・・カーチャン、、一体どうしたんだお?」
J( 'ー`)し「どうもしないよ?ブーン。さぁ・・・ハヤクこっちにおいで?」
そういいながら、肉塊を持っていないほうの手を上げるとオイデオイデをする。しかし、その手には赤く染まりあがった"何か"が握られていた
これ以上、この光景を見たくなかった。
今すぐ逃げ出したかった
だけど、この足はその意思をかたくなに拒むように
動かなかった。
一歩、一歩
ベシャ ベシャ
醜い音をかもしながらカーチャンが近づいてくる
そしてついに、ボクの目の前に来たカーチャンは
ニッコリと狂った笑みを浮かべ
ボクの肩へと手を伸ばす・・・・・・
( ;゜ω゜)「うわああああああ!」
- 111:1 :2006/07/26(水) 01:11:52.77 ID:j3+PSWWs0
- ドンッ
カーチャンの手がボクの肩にふれるかいなかの時に
ボクは恐怖に負けた。
思いっきりカーチャンを付き飛ばす
体格が華奢なカーチャンはたったそれだけで数歩後ろに下がり
倒れた
ベシャンッ
血をすったマットがカーチャンの身体を受け止め醜い音で鳴く
( ;゜ω゜)「あ・・・あ・・・」
とっさに我に変える
( ;゜ω゜)「だ、大丈夫かお・・?カーチャン」
今すぐカーチャンの元へと駆け寄りたかった
だけど、この部屋がそうさせてくれない。一歩でも踏み込んだら自分もこの非現実に飲み込まれそうで恐かった
- 112:1 :2006/07/26(水) 01:12:26.22 ID:j3+PSWWs0
- カーチャンは床に倒れこんだまま動かない
一瞬、打ち所が悪かったのでは!?なんて考えが浮かんだが
良くカーチャンの顔を見ていると、口が動いているのが確認できた
J( 'ー`)し「・・・・・・・・・・・・た
・・・・・・・・・・・れた
・・・・・・・・・・・れた」
モゴモゴと小さく口を動かし呟き続けるカーチャン
そしてだんだんとその声は大きくなり
J( 'ー`)し「ブ・・・・・・・・・られた
・−ン・・・・・・移・れた
ブーンが悪・に・り移られた」
- 113:1 :2006/07/26(水) 01:12:50.18 ID:j3+PSWWs0
J( ゜皿゜)し「ブーンが悪魔に乗り移られた!!!!!!!!!!!!」
- 114:1 :2006/07/26(水) 01:13:30.78 ID:j3+PSWWs0
- それは叫び声と変わった。
ゆらりと身体を揺らしながら、カーチャンは立ち上がる
今度は常に
J( ゜皿゜)し「助けなきゃ・助けなきゃ
助けなきゃ・助けなきゃ
助けなきゃ・助けなきゃ
助けなきゃ・助けなきゃ」
そう呟いている
( ;゜ω゜)「ぼ、ボクはまともだお!」
悲痛な叫び声
だけど目の前のカーチャンに
その言葉は届かなかった
- 115:1 :2006/07/26(水) 01:14:23.40 ID:j3+PSWWs0
- J( ゜皿゜)し「け、ケ、ケ
死ねぇぇぇ!ブーンを帰せぇぇぇぇ!!」
髪を振り回すように、包丁を掲げ突進してくるカーチャン
その顔は夜叉のように酷く醜く恐ろしかった
よろよろと、狂ったように包丁を振り上げ僕に向かって振り下ろす
それは咄嗟のことで僕は一瞬反応が遅れその刃は簡単に僕の肩の皮膚と肉を切り裂く
( ;゜ω゜)「い・・・・・・った・・・・・・・・」
J( ゜皿゜)し「ケ、ケ、ケ・・・・コロスコロスコロス。ブーンを返して
私のかわいいブーンを、かえしてえええええええええ」
狂った叫びが赤い部屋にこだまする
それと同時にカーチャンは再び僕に向かってきた
思い出したように僕の体が反応する
まだ"死にたくない""カーチャンを助けたい"そんな思いが頭を駆け巡る
- 116:1 :2006/07/26(水) 01:14:50.41 ID:j3+PSWWs0
- ( ;゜ω゜)「やめるお!ブーンはまともだお!」
体勢を整えながらカーチャンにむかって叫ぶ
それは無駄だと分かっていても
叫ばずにはいられなかった
だけどそれは想像通り無駄に終わる
カーチャンは聞く耳持たずそのまま包丁を振る
上から下に、右から左に、狙いなんてつけずに
ただ闇雲に振り回すだけ
僕はそれを必死に目で追いながら体をひねり避ける
( ;ω;)「やめてお!やめてお!!!!!!!」
目からは涙が流れながら、僕は必死に叫んだ
でも神様は僕の味方をしてくれなくて
サクッという音とともに、今度はわき腹に痛みが走る
- 117:1 :2006/07/26(水) 01:15:09.01 ID:j3+PSWWs0
- ( ;ω;)「あああああああ」
たいした傷じゃないかもしれない、でも僕は叫ばずには居られなかった
そう、体よりも心が痛かったから
カーチャンは見下したように、口からよだれをたらしながら
ケケケケケケと笑っている
きっと僕を殺せると思ってるから
だから僕も笑うしかなかった。
肩から、わき腹から流れる赤い血は部屋を染めてるソレと一緒
キットボクハクルッタンダロウ
カーチャンは一歩後ろに下がると包丁を構え
そのまま走りよってくる
それはまるでドラマのように、わき腹に突き刺すように
こちらを向いた包丁は一直線に僕に迫っていた
- 118:1 :2006/07/26(水) 01:15:31.44 ID:j3+PSWWs0
- 「それで・・・・?それで?どうなったの?」
もうクライマックスにさしかかった話しは
彼女の興奮をさらに引き立てる
頬は少し紅潮しており、まるで楽しい絵本を読んでもらってる
少女のように、彼女は自分の素をさらけ出していた。
こんな話しで喜ぶなんて、ヤッパリ彼女は"狂ってる"そう感じるとともに"愛とおしい"そう感じる自分もまた狂っているんだろう
- 119:1 :2006/07/26(水) 01:15:58.97 ID:j3+PSWWs0
- グサッ
テレビで見るような効果音が響く
熱い感覚が体に伝わる
痛い痛い痛い
でも耐えれない痛みじゃない
僕の体に全てを預けるようによりかかっているカーチャンの顔は
あいにく見えない
でもじょじょにカーチャンの体は重力に従いずり落ちていき
そのまま床へとうつぶせに倒れこんだ
手には赤く紅くそまった包丁が
それは自分の血でもあり、カーチャンの血でもある
- 121:1 :2006/07/26(水) 01:17:05.41 ID:j3+PSWWs0
- ( ;゜ω゜)「あ・・・あ・・・あ・・・・・」
目の前の光景を見つめる
自分の手からは夥しい血が流れている
でもそれは柄の部分
刃の部分はまた別の血で染まりあがっていた
その光景は、紛れも無く
"僕がカーチャンを刺した"ということを示していた
- 122:1 :2006/07/26(水) 01:17:55.68 ID:j3+PSWWs0
- 崩れ落ちたカーチャンは死んだように動かない
血で染まった床にうつぶせで倒れこんだカーチャンは
まるでこの赤い部屋の全てを自らの血で染め上げたような
そんな錯覚に陥るほど
"狂った世界だった"
( ;゜ω゜)「・・・・あ・・・あ・・あ・・・・」
包丁を床に落す。
カランカランと金属独特の音を鳴らしながら包丁は地面へと落ちた
まるで自分の運命が崩れていく音を立てているように
【第4-2話 狂歪 終】
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