ブーンの心が世界を左右するようです( ^ω^)

31:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:45:50.34 ID:/neJH4P60
  
−−−−八日目・その1


夢の中で誰かが自分に「さようなら」と言っていた。
誰かは忘れた、ただ……やっぱり自分は何も返すことが出来ずに呆然と立ちすくんでいた事だけを覚えている。
もう二度と会えないだろう、今は亡き誰か……。

( 'ω`)「……」

もう朝だった、日は昇り小鳥の声がする。
夜中に何度か起きた記憶はあるが、今ひとつちゃんと思い出せない。

また今日が始まったのだ。

( ゚∀゚)「お、今日はもう起きたのか?」

( 'ω`)「あんまり寝れた気がしないお」

( ゚∀゚)「早起きってのもたまにはいいだろ、ほら」

そう言ってジョルジュさんは僕にお茶を出してくれた。
飲むと一気に体が覚醒する、とてもおいしいお茶だった。

( ^ω^)「おいしいですお、ありがとうだお」

( ゚∀゚)「おう、もうちょっと待ったらメシ作るからな」

( ^ω^)「あ、それでジョルジュさん……」

後悔しないのか、そう自分に確認してから言葉を続けた。



32:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:47:09.89 ID:/neJH4P60
  
( ^ω^)「昨日の……戦いの結果を教えて欲しいお」

( ゚∀゚)「内藤から聞いてくるとはな。覚悟は出来ているのか?」

( ^ω^)「はいですお」

実は覚悟とかそんなものの問題でないのは自覚していたりする。
ただ自分は……結果を聞くだけで"心の主"として動いたと満足したいだけなんだ。
もしくはその結果を聞いてまた何か思って、そこで自己卑下に浸りたいだなんだ。

自分を否定する事ほど楽な事も無い。
自分を否定するとは何もしなくてもいいことなのだから。
ただ布団に潜って「辛い」と言っていればいいだけなのだから。

( ゚∀゚)「昨日はドクシン側の圧勝だよ。
   当然といえば当然だ、ドクシン側は被害なし、バーボン側は確かなことは分からないが20人以上は死んでいる」

(;^ω^)「20人……それは兵だけですかお?」

( ゚∀゚)「わけねーだろ、当然民間人足してだ。ショボンも相当おかんむりだな」

(;^ω^)「……」

ドクシンがまさかそこまで強攻なことをするとは……また心は揺らいだ。
そして今日は……更に進化しているのかもしれないのだから。



33:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:48:14.06 ID:/neJH4P60
  
朝食を食べ終わるとまた色々な悩みが頭を舞った。
いや、そもそもずっと同じ事で悩み続けているんだが。

こうやってのんびりしている自分や"心の主"の責任を放棄しようとする自分。
バーボン国の考えとドクシン国の考え。
そして……ショボンを信じるなという事。

( 'ω`)「お〜……もうダメダメだお」

いつも同じ事ばかりで悩んで、いつも結果を出せずに悩んで自分を否定して誤魔化しているだけなのだ。

川 ゚ -゚)「おお、相変わらず腑抜けているな」

( 'ω`)「生まれつきだお」

川 ゚ -゚)「冗談だ、真に受けるな主様」

( 'ω`)「何の用だお?」

川 ゚ -゚)「いや、ショボンさんから言付かってな。
   午前中に戦いを始めるから、主様にはここにいて欲しいそうだ」

(;^ω^)「ちょ……行くって言っても止めるんだお?」

川 ゚ -゚)「それが役目だ、申し訳ない」

(;^ω^)「……クーさん」

川 ゚ -゚)「クーでいいぞ」



34:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:49:38.61 ID:/neJH4P60
  
( ^ω^)「そうじゃなくて、今までは別に戦いとかしていても特に何も言われなかったお。
   それをあえて言うという事は……行くと危ないのかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、危ない。死ぬぞ」

( ^ω^)「僕はドクシンの集落に行くだけだお。
   戦場になんて行かないお、それでも……危ないのかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、それが危ないんだ」

すぐに走り出したが、直後に腹への鈍痛があった。
倒れこむ自分をクーは支えてくれる。

( ゚ω゚)「おっ……おっ……」

川 ゚ -゚)「行かせない、絶対に。すまん、本当に……すまん」

そのまま壁にもたれさせられた。
そして隣にクーが座る。

まだ腹の痛みは抜けない、苦しい……。
そんな自分の目先に空をかける物体が見えた。
ヘリコプターなどとは違うそれは、恐ろしいスピードでバーボン国からドクシン国へ向かっていった。

(;゚ω゚)「おッ……!」

川 ゚ -゚)「始まったか……」

思考は完全に停止した。



35:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:53:08.49 ID:/neJH4P60
  
---バーボン国側


その戦闘機の中には二人の男が乗っていた。

( ^Д^)「あー、どうも地に足が着いていないってのは怖いもんだな……
   とりあえずもうちょっと運転慣れるためにしばらく旋回するぜ?」

(・∀・)「別にいいけど、せっかくだったら集落の少ないウツダ地方に行ってもらってもいいかな?
   ミサイルの試し撃ちがしたいし、ドクシンにもいい威嚇になると思うし」

( ^Д^)「昨日はオレらの国の国民狙いやがったからな……目には目をには賛成だ」

そう言って進行方向を少し変えると、集落が見えてきた。

(・∀・)「高度を下げて」

( ^Д^)「おっけ、こんな感じか? 早くしてくれ」

(・∀・)「んー、ほいさ!」

ジエンがスイッチを押すと、戦闘機からミサイルが撃たれた。同時、爆弾を投下する。
逃げる人々が小さい、そして脆い。まるでゴミのようだ。

爆発音がいくつも轟くと、次のにはその集落は焼け野原となっていた。

( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」

(・∀・)「狙いが少しズレたね……もう一回ミサイルの試し撃ちいいかな、次はシノー地方で。
   進化して爆発が大きくなったからある程度なら爆弾で誤魔化せるけど、それも悔しいしねー」



36:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:55:07.25 ID:/neJH4P60
  
そしてもう一つの集落も狙うと、簡単に焼け野原となった。
人が、物が、今までの進化が……まるで簡単に消し去られた。

( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー、この辺りの人達も、戦いとはずっと無縁だったのにな」

(・∀・)「そうだね、陸での戦いなら当然この辺りの人達は無縁でいられただろうねー。
   だけどもう安全な所なんてこの大陸上には存在しn……ちょっとプギャーいい?」

( ^Д^)「ん?」

(・∀・)「相手も戦闘機を有するみたいだよ、合計3機。
   ちなみにそのうち1機はバーボン国に向かってるね」

(;^Д^)「それはまずいだろ!」

(・∀・)「だけど内2機はこっちに向かってくるからダメだね。
   その除去を最優先にしないとね」

(;^Д^)「こっちの機体は合計2機……
   国で待機しているもう1機でちゃんとバーボン国に向かった機体を破壊してくれれば……」

(・∀・)「それよりも自分達だね、2対1……頑張ろうか」

(;^Д^)「そうだな、まずは自分達だな」



37:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 01:58:02.13 ID:/neJH4P60
  
ジエンはプギャーに的確な方向の指示を出す。

(・∀・)「もうちょっと右かな……ああ、それは向きすぎ」

(;^Д^)「どうしてそんなに目がいいんだよオマエは……何も見えないぞ」

(・∀・)「おっけ!」

そしてジエンがスイッチを押すと、ミサイルが真っ直ぐに発射される。
しかしそれは相手の戦闘機の下をかすめた。

(・∀・)「おしい!」

( ^Д^)「お、ようやく俺も相手が見えてきた。……マジで2機だな、しかもこっちと型が違う」

(・∀・)「どっちが優れていようと関係ないよ、乗る人の腕だけはこっちの方が上だから」

( ^Д^)「いいこと言ってくれるね!」

プギャーは戦闘機を左右に大きく振って相手戦闘機の狙いを定まらなくし、翻弄を試みる。
相手もこちらに対し左右に分かれて狙いを定め難くした。

(・∀・)「横から狙うのはは中々難しいね、でも相手も横からは狙えないはずだからしばらく互いに様子見かな?」

( ^Д^)「できれば相手が運転に慣れる前に潰したかったが……そうもいかないか……。
   とりあえずジエン、運転の下手な方を先に潰そう、その判断は任せる」

(・∀・)「おっけ!」



38:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 02:01:24.27 ID:/neJH4P60
  
そして空中で距離をとり互いが互いを狙えない状況、旋回しながら様子見をする。

(・∀・)「あっちも二人乗りみたいだね」

片方が指示を出して、片方が運転する。
一人よりも犠牲は大きいが確実さをとったのだろう、人材不足だからてっきり一人乗りかと考えていた。

( ^Д^)「しかし一晩過ごすだけで相手もここまで乗りこなせれるようになるんだからな……
   相手の方が進化の度合いはいいかもしれないな、乗り始めの操縦から違う」

(・∀・)「プギャーの才能を超えれるわけ無いよね?」

( ^Д^)「ああ、乗り始めは相手の方が上かもしれないが、オレを舐めてもらっちゃ困るね!
   牽制しあいながらでもすぐに相手のテクニックを超えてやるぜ!」

そう言ってプギャーは相手の戦闘機のギリギリをすれ違うように運転する。
相手の乗組員が怖気づくかと思ったが、意外にもそのまま進んで来た。
そしてギリギリでそれらはすれ違った。

(・∀・)

( ゚д゚ )



39:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 02:03:21.10 ID:/neJH4P60
  
(・∀・)「……プギャー、さっきの戦闘機は後回しにしよ」

(;^Д^)「そうだな、あの近距離のすれ違いを恐れない乗組員の度量は侮れないからな」

(・∀・)(……)

そして戦闘機は相手のもう一機に狙いを定めた。
ちょっと距離があるか……? いや、大丈夫だ。
ジエンはプギャーに操作を托すと、絶妙のタイミングでスイッチを押した。

ミサイルは相手方向にうまく飛んでいくが、相手もギリギリで気付いたか急降下を試みる。
何とか間に合ったようだ、相手はミサイルを避けた。

( ^Д^)「……だが終わりだな」

しかし戦闘機の先端を下に向けすぎたようだ。そのまま戦闘機の体勢を持ち直すことが出来ず墜落した。

( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー、一発かよyoeeeeeeeee!」

(・∀・)「……ねえ、プギャー。相手と無線で交信できる?」

( ^Д^)「ん、やってみるか?」

プギャーは幾つかスイッチをオンにして、機内に音が響く状態にして交信をしてみる。
しばらく雑音ばかりが不快に鳴り聞こえたが、少し経つと雑音は小さくなって……

( ゚д゚ )『そちrらから挨拶しにk来てくれるttとはgごt丁寧に』

若干のノイズ音と供に、挑発的なセリフが聞こえた。



40:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 02:04:46.14 ID:/neJH4P60
  
(・∀・)「君は……昨日のヘリコプターに乗ってた人だよね?」

( ゚д゚ )『そういuうオマエはバーbbボン国nのスナイpパーだな?
   銃撃s戦になっtてkからずっと先頭でt戦ってきた……違うkか?』

(・∀・)「そうだよ、君とは何か縁のようなものを感じるね」

( ゚д゚ )『d同感だ。そしてkここで決着をtつkけることにしようじゃnないか』

(・∀・)「同感だよー」

無線越しに確認した、互いのプライドとこの戦いにかける思いを。
これを制したものが勝つ、自身だけでなくその国が。

( ´_ゝ`)『あaー……そっちnの操j縦者。ちょっtとiいいか?』

( ^Д^)「ああ俺か、何だ?」

( ´_ゝ`)『オrレはこの二人の戦いをsしっかりとm見守りたいtと思う』

( ^Д^)「何か知らんけど俺も邪魔はしたくないな」

( ´_ゝ`)『そしてこnの二人の勝負をすrるu上で、大切なnのはoオレ達の操縦のu腕だ』

( ^Д^)「そうだな」

( ´_ゝ`)『今まdでの操縦がh本k気か? なrらば……残n念ながらオrレ達の勝ちhは確定するzぞプッ」



41:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 02:07:01.96 ID:/neJH4P60
  
(#^Д^)「……いい度胸だな、安心しろや軽い腕ならしだ。
   オマエこそオレが本気を出した途端に落ちてくれるなよ?」

( ´_ゝ`)『いらん心配dだnな。オレの名hはa兄者、オmマエは?」

(#^Д^)「プギャーだ。兄者とやら、最期に残したい言葉は何かあるか?」

( ´_ゝ`)『そnの時gが来tたら言うよ、何十n年と後のh話だろうgがな』

そして通信は切れた。
同時、互いの戦闘機は急旋回をして空中で牽制しあう。

(#^Д^)「ジエン……オマエの言うとおり確実に操縦してやるよ、だから……絶対に当てろよ?」

(・∀・)「うん、それは問題ないよ。操縦者の腕も勝ってると思ってるからね。
   とりあえず少し高度上げてもらえるかな、それと爆弾落とすよ?」

( ^Д^)「オマエは本当ここ数日で隊長の器になったな……。
   爆風で翻弄でもする気か? 好きにしてくれ。
   俺も同じでオマエのことを信頼しているからな」

そして空の勝負も激しさを増していた。
どちらの国が勝つのか……それは誰にも分からない。



42:◆7at37OTfY6 :2006/07/13(木) 02:07:40.23 ID:/neJH4P60
  
---中立VIP国


もう止める気なんて起きなかった。
どうしようもない、そればかりを考えていた。

川 ゚ -゚)「まだ……止めに行こうなどと思っているか?」

絶望、そして恐怖。

答えは当然NOだ。

( 'ω`)「……」

川 ゚ -゚)「主様……」

クーの言葉に返事も返さなかった。
それでも構わずにクーは言った。

川 ゚ -゚)「そろそろ、決断の時じゃないのか?」

そう、ちょうど自分もそれを思っていた。
これ以上の犠牲を出さないためには……決断するしかないのだろう。



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