( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

37: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:33:44.33 ID:YCXfwVd30
  
第2話 「戦場」


偉そうな男「貴様ら!今日はここまで!私のためによく来た!」

今日は僕とドクオの初陣。そのためにここまで来た。
徴兵されたから来たのであって前で叫んでるおっさんのために来たのではない。

偉そうな男「貴様らは運がいい!私の指揮下にいればこの戦!必ず勝利し!ニューソクのアオビョータン共に我々の正義を刻み込めるだろう!!」

考えるのは昨日の事。ツンの事。
最後は心配してくれたが、途中で物凄く怒らせてしまった事。
何が彼女を怒らせてしまったのだろうか?やはり両親が政府関係者なのだろうか?
それとも…彼女自身が?



38: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:34:38.85 ID:YCXfwVd30
  
辻褄は…合う。
あの黒服達は明らかに彼女を付けねらっていたし。
それにあの筋肉。あいつの行動は今思えばボディーガードだと思えないか?
あいつみたいな強力なボディーガードが付くなんて一般人じゃありえない。
だとしたら僕は彼女に酷い事を言ってしまった事になる。
…ちなみに倒された黒服たちは足まで埋まった奴も含めて全員影も形も消え去っていたらしい。

偉そうな男「貴様!私の話を聞いていないな!!」
(;^ω^)「ぼ、僕かお?」

しまった。考えに没頭してまるで聞いちゃいなかった。

偉そうな男「そうだ貴様だ貴様!!人の言葉はキチンと聞けとご両親に習わなかったのか!?貴様のような奴は最前線にたってもらう!!」
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってほしいお。最前線ってのは一番前の事かお?」
偉そうな男「そうだ!」
(;^ω^)「一番前ってことは一番危険って事かお?」
偉そうな男「そうだ!!」
(;^ω^)「一番危険ってのは、一番死ぬ確立が高いって事かお?」
偉そうな男「そうだ!!!つべこべ言うな!!貴様がニューソクの雑魚共を殲滅すれば問題無い!!!」
(;^ω^)「ちょww殲滅ってwwwヤバスww」

笑ってる場合じゃねー!!



39: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:36:29.20 ID:YCXfwVd30
  
(;'A`)「お前…。何やってんだよ…。」
(;^ω^)「あ…ありのまま今起こったことを話すお!」
(;^ω^)「おれは奴の前で考え事をしていると思ったら、いつのまにか最前線に送られていた!」
(;'A`)「いや、それはいいから。」

おっさんの話が終わって、各自準備をしている時。慌てた顔したドクオに詰め寄られた。
実際何してんのか自分でも分からない。マジでドジった。やばいよやばいよ、ってな感じ。
でもまぁ…。

(;^ω^)「何とかなるお!…たぶん。」
(;'A`)「本当か?」
(;^ω^)「だ、大丈夫だお!それよりドクオの方が心配だお。どこに配置されたんだお?」
( 'A`)「俺か?俺は丁度真ん中辺りの配置になると思うけど。」
( ^ω^)「それならドクオはきっと大丈夫だお!生きて皆の所に帰るお!」
( 'A`)「…おい、ブーン。」



40: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:37:11.61 ID:YCXfwVd30
  
ドクオは睨みながら僕に詰め寄ってくる。

( 'A`)「俺らはガキの頃から一緒だ。」
( ^ω^)「………。」
( 'A`)「物心付いたときから本物の兄弟見てぇに育った。」
( ^ω^)「………。」
( 'A`)「馬鹿みてぇな事して、一緒にカーチャンに怒られもした。」
( ^ω^)「………。」
( 'A`)「だからな…お前だけ先に死んじまうなんてユルサねぇぞ!」
( ^ω^)「………。」
( 'A`)「この戦に勝って、一緒に帰んだぞ!分かってんな!!」
( ^ω^)「モチロンだお!僕とドクオで、一緒にカーチャンの所に帰るお!!」
( '∀`)「よっしゃ。それでこそブーンだ!絶対死ぬんじゃねえぞ!」
( ^ω^)「ドクオこそ死ぬんじゃねえお!」

そう言って僕らは別れた。お互いの無事を祈って…。


それにしても、後ちょっとであの筋肉になるかと思った。



41: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:39:42.20 ID:YCXfwVd30
  
戦況はVIPの優勢で進んだ。
元々の戦力の差も大きいが、それよりも原因はこの男にあるだろう。
男はあたりをウロウロとしながら独り言を喋っていた。

(;^Д^)「…まずいですね。非常にまずいですね。」

この男、名をタカラといい、時代が銃中心になってきてもその戦略を変えることなく、
旧体制のまま、むしろ自分のスタイルのまま戦地に赴いてきた。
かといって、銃が入る前はすばらしい戦果を挙げてきたのかと言えばそんなことはなく。
連敗に継ぐ連敗。無能ここに極まれりといった男。
部下達が密かに付けたあだ名が

無勝将軍

だというのだから押して知るべしといったところか。
彼の元に来る兵は自分の不運を嘆き3日3晩泣き続けるという逸話まである。
なぜこんな無能が指揮官のポストにまで上り詰めたのかといえば、話は単純。血統だ。
なによりも血統を重んじるニューソクにおいて、そのシステムの弊害が最も分かりやすく発露した例である。

(;^Д^)「…本当にまずい。このままでは本土に帰れません…。」

彼は焦っていた。いくら名門の出とはいえ、コレだけの失態を重ねれば降格は免れ得ない。
いや、もしかすると除隊することも…。
それだけは防がねばならない、彼にもプライドがあり、家の名をこれ以上汚すわけにはいかない。

(;^Д^)「…援軍はまだ来ないのでしょうか?早く来ていただかないと…。」

そう呟くと男はまたウロウロと落ち着き無く歩き始めた。



42: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:40:52.16 ID:YCXfwVd30
  
僕達はどうやら優勢らしい。
こういうのは何と無くだが分かるものらしい。

(;^ω^)「勝、勝てそうだお。」

実のところ僕はまだ誰も殺しちゃいない。なんとかかんとか逃げ回っているような状態だ。
それでも両軍の士気がまるで違う事に気づいた。
何故かは分からないが、向こうの兵達は既にあきらめたような表情をしており、
威嚇程度に武器を振り回す程度で必死さが無い。

(;^ω^)「勝てそうだお。」

僕はもう一度そう呟き手元の槍をギュッと握り締めた。

ドーーーン!!

遠くから轟音が聞こえ、何かが爆発した。
人々の悲鳴を前奏代わりに

得体の知れない鉄の化け物がその姿を僕の前に現した。



43: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:42:32.13 ID:YCXfwVd30
  
(;^Д^)「…まだ来ませんか。」

本当にヤバイ、このままでは全滅してしまう。
そう呟いてもおかしくない程の被害をタカラ軍は負っていた。

(;^Д^)「…何故こんな事に…。」

あきらかにコイツのせいだった。

「タカラ司令官!援軍が参りました!」
( ^Д^)「おお!やっと来ましたか!して何千人程?」
「それが…。」

( ´_ゝ`)「全く小さな軍舎だ。こんな所に遣すとは、あの女め…。」
(´<_` )「そう言うな兄者。これも仕事だ。それにこんな田舎大将のところでは仕方ないだろう。」
( ´_ゝ`)「そうは言うがな弟者。」
(# ^Д^)「誰ですかあなた達は!それに誰が田舎大将です!!私はれっきとした名門タカr
「援軍はこの方達2人だけのようです…。」
(# ^Д^)「んなっ!!」



44: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:43:43.80 ID:YCXfwVd30
  
本部は我々に死ねという気か!?2人って!2りって!!!
タカラが激昂して今にも暴れだしそうになるのにやっと気付いたのか、兄者がやる気の無さそうに答える

( ´_ゝ`)「あーあーあー。ここの責任者?一応自己紹介すると俺は流石兄弟の兄者。」
(´<_` )「同じく弟者。兄者、この人があの有名な“無勝将軍”だ。」
( ´_ゝ`)「こいつが?…へー、たしかに無能そうなツラしてるわ。」
(# ^Д^)「誰が無能そうなツラですか!大体あなたたちこそこんな負け戦に派遣されるなんて無能なんじゃないですか!?」
( ´_ゝ`)「おいおい、どうするよ弟者。無能に無能呼ばわりされちまったぞ。」
(´<_` )「聞き流せ兄者。所詮雑魚の戯言だ。それより…。」
(# ^Д^)「だから誰が雑魚だt
( ´_ゝ`)「ああ、負け戦を勝利するこれ程“流石”な事もあるまい?」
(´<_` )「ああ。“流石”だよな俺ら。」
(# ^Д^)「ちょっと!!何無視してんのあんたら。人のはn
(´<_` )「OK。時に落ち着け。」
( ´_ゝ`)「この戦、見事俺達が勝たせてやる。こいつを使ってな。」
(;^Д^)「…!こいつは!」

鈍く輝く鉄の塊が二つ、見たこともないような馬鹿でかい砲身が付いている。

( ´_ゝ`)「詳しくはなんと言うか忘れたが、戦車と言う。」
(´<_` )「こんな物を操れるとは、流石だよな俺ら。」
( ´_ゝ`)「ああ、流石だな、俺ら。」



45: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:46:17.59 ID:YCXfwVd30
  
2つの鉄の塊がこちらに近づいてくる。
キュラキュラと音を立てながら、ニューソク軍・VIP軍の別なく轢き殺している。

(;^ω^)「何なんだおおおぉぉぉぉ!!」

全速力で逃げる。あんなのに太刀打ちできるわけがない!
どっちの味方なのか?元々味方なんていないのか?
ブーンが逃げながら考えていると

ドーーーーーン!!!

と、先程の音が、今度はより近くで聞こえてくる。
ピチャピチャッ
何かがブーンの顔に付く。これは…?

(;゚ω゚)「…血…肉…。」

ベチャッ
今度はさっきより重い衝撃が背中に来る。
走るのを止め、恐る恐る背中を見る。

半壊した腕が生えていた。
いや、けして生えている訳ではない。その証拠にズリズリと音を立て背中を伝い落ちていく。



46: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:48:09.74 ID:YCXfwVd30
  
ドオオオオン!!!

今度は…見えた。見て…しまった。
鉄の塊から何かが発射されて、それが人に当たったと同時に

爆発した。

周りの人たちは皆“飛び散った”。皆散った皆散った皆散った皆死んだ皆死んだ皆死んだみんなしんだみんなしんだみんなしんだ
しんだしんだしんだしんだしんだしぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ!しぬ!しぬ!しぬ!!しぬ!!しぬ!!しぬ!!!しぬ!!!!

( ;ω;)「死にたく…ないおぉ…。」

僕は足ががくがく震え、まともに歩く事すら出来なかった。それでも逃げなきゃいけない。
その想いだけで、僕は四つん這いになりながらも逃げ続けた。
しかし、必死の抵抗も虚しく、鉄の塊の砲身が

僕を向いた

しぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ。しぬ!しぬ!しぬ!しぬ!!しぬ!!しぬ!!しぬ!!!しぬ!!!!

(;'A`)「ブゥゥゥン!!!!」

誰かが僕に叫びながら体当たりをしてきた。無防備だった僕にはその衝撃に耐え切れず、かなりの距離を吹っ飛ばされた。

(;゚A゚)「………!!!!!」



47: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:48:43.39 ID:YCXfwVd30
  
ドオオオオオオン!!!!

今まで以上の轟音が僕の鼓膜を破ろうとしている。いや、それより……

(;゚ω゚)「ド……ク…オ…?」

違うドクオじゃないドクオな訳がないだってドクオは真ん中にいて僕は最前線でドクオな訳ないドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!
モウモウと立ち込めていた煙が晴れ、今被弾した人間の…人間だった者の姿が現れる。

(;゚ω゚)「ド…ク………ゥヮァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!
逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!
逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!
逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!

( ;ω;)「ン…アグッ…、ヒィ……アウ…アウ…!」

逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!
逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!
逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!
逃げろにげろにげろにげろ!!!チガウチガウチガウドクオじゃないドクオじゃないドクオじゃない!!!!

第2話 「戦場」 終



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